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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

すべすべの肌ざわり

2006-02-21 15:14:04 | 好きな絵本

 最近の絵本には、ほとんどの場合、カバーがかかっています。
先日買った3冊の絵本にも、もちろんピカピカのがしっかりと。おまけに、
うち2冊には帯もついていました。私はこのカバーがあんまり好きではありません。
カバーなくていいから、その分を価格に反映してくれればいいのに、と
思っているくらいです。
 
 でも、この絵本↓に関しては、カバーがあって大正解!だと思っています。


ねどこどこかな?
ねどこどこかな?』

ジュディ・ヒンドレイ:作
トール・フリーマン:絵
谷川俊太郎×覚 和歌子:共訳





 なぜそう思ったのかというと。
 つるつるピカピカのカバーをとって、「ほんとの」表紙を見ると、そのおさえたマットな感じが、
とってもいいのです。そして、表紙を開けると、表紙裏から見返しへと続く紙の、色と
そのデザインがとっても私好みで・・。扉をめくって本文に入ると、またまたたまりません。
水彩絵の具のぼやけた感じと、細い線で描かれた人物等の輪郭。その線も、ペンの
かりっとした細さではなく、色鉛筆のようなかすれたあったかい感じで。
紙の地色も真っ白ではなく、アイボリーというか生成りというか。それで文字色も黒ではなく、
セピアに見えるし、書体もなかなか「好き」な感じ。ページごとの文章と絵のレイアウトも、
とても考えられていると思います。

 絵のことから始めましたが、お話は、こんなふうです。

あくびがでたり こっくりしたり ばたんとたおれて くっつきあって
      そのまま ねむってしまいたいとき
        おひるね うたたね どこがいい。
        ーどこが いちばん おきにいり?

 
動物たちがねどこで眠そうにしていたり、くつろいでいたり、ほんとに眠っている場面が
次に来て、そのあとに、3人の(たぶん)兄弟が、動物たちの「ねどこ」に倣って、
寝てみるページが続き、後はその場面の交互の繰りかえしとなります。 

 私は、最初に読んだ時、 『ねえ、どれがいい?』ジョン・バーニンガム作 、 
『どこでおひるねしようかな』
岸田衿子作 山脇百合子絵 の両方を思い出しました。
その2冊とちょっと似た感じを受けたのです。でも、あくまでもそれは「似た感じの匂い」が
ちょっと漂ってきただけで・・こちらにはこちらにしかないリズム、言葉が、確かに存在しています。

   うさぎは ねむる
   ぐっすり ねむる
   すあなの なかで。

   とりは
   ぬくぬく 
 きによりそって。

 かえるは うたたね
   おいけのそこの
       やわらかい どろに つかって。

 みつばちは いいきもち
    ばらの ベッドで。

 
 谷川俊太郎さんと共訳の覚和歌子さんは、有名な音楽家で「いつも何度でも」の作詞の方。
また詩人としても作品集を出されています。またライブでは、谷川さんもゲスト出演されているので、
その「延長上」に今回の共訳も成り立ったのかなあと、推測しています。
(谷川さんが朗読した「いつも何度でも」聞いてみたかったなあ)

 
 もし、この本を手にとったら、ぜひ「ウインクしているこうもり」と「おじさんみたいな顔」を
しているカンガルーのあかちゃんの絵をみてください。そして、カバーをはずして、
すべすべの手触りをお楽しみください。眠っているこどものぽっぺを、そっと指でたどったときと
どこか似ている感じがすると思います。


 



コメント (2)
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