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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

はたらきもののじょせつしゃけいてぃー

2006-02-10 16:43:28 | ひらきよみ(読み聞かせ)

 今日2月10日は、読み聞かせの「お当番」の日で、
担当したのは、2年生のクラスでした。読んだのはこの本。

はたらきもののじょせつしゃけいてぃー

はたらきもののじょせつしゃ
   けいてぃー


バージニア・リー・バートン作
いしいももこ訳


 
 選んだ理由は、季節的にぴったりなことと、
いつか機会があったら、バートン作、いしいももこ訳という、
組み合わせの絵本を読んでみたいと、思っていたからです。

 版を重ね、長く読み継がれている本には、多くの人から
愛される理由があります。いしいももこさんが訳された日本語は、
ふだんはあまり使わないかもしれないけど、忘れてしまいたくは
ない、美しい日本語のように思えます。

 
 擬人化されているトラクターの『けいてぃー』。
じぇおぽりす、という町の道路管理部に在籍する赤いトラクター
です。けいてぃーは、とても強くて、大きくて、夏にはブルドーザー
をつけて、道路を直し、冬には除雪機をつけて、雪をかきのけます。

 けいてぃーは、もはや「擬人化」などどという表現を大きく越えて、
じぇおぽりすの立派な一員です。
 一員というより、けいてぃーを中心にして、この町が成り立っている
のではないか、と思わせるような、頼もしいまさに「主役」です。
 
 けいてぃーは、はたらくのが すきでした。
 むずかしい ちからのいる しごとが、
 あれば あるほど、けいてぃーは
 よろこびました。

 
町のために、働くことが生きがいのけいてぃーと
そんなけいてぃーをとても自慢にし、誇らしく思っている
じぇおぽりすの人たちとは、固い信頼関係で結ばれています。

 それがよくわかるのは、こんなところです。

 じぇおぽりすの まちは、すっぽり、まっしろい
ゆきの もうふの したに かくれました。
 
 ゆっくり、じっくり、けいてぃーは
ゆきを かきのけて、ぜんしんしました。

「たのみます!」と、けいさつの しょちょうさんが
いいました。「まちを まもるのです。われわれが
そとに でられるように してください」
「よろしい。わたしに ついていらっしゃい」と、
  けいてぃーは いいました。 

 そして、まず大通りの雪をかきのけ、次に「たのみます!」と
いう郵便局長さんにも、「よろしい。わたしに ついて
いらっしゃい」とこたえます。

 電話局、電力会社、水道局、お医者さん、消防署長さん、
次々と頼みを聞いていき、けいてぃーが動いた後に、雪は除けられ
じぇおぽりすの町は徐々に姿を取り戻します。
 言葉の繰りかえしの楽しさに加えて、白く覆われていた町が
道路を中心として現れ出てくるという、目で見る楽しさも、ここで
同時に味わうことができます。


 家で、自分の子どもと読むのなら、ページのまわりに細かく
描きこまれている「働くくるま」の様子を見たり、じぇおぽりすの
町の地図を、辿っていくのもとても楽しいと思います。
 クラスの中では、そういう楽しみ方はできませんが。
 雪が2階の窓のところまでつもり、だれもかれも、なにもかも、
じっとしていなければならない、という町中が埋ってしまった場面と
その次のページの、けいてぃーが雪の中から現れてくる場面を
対比して、めりはりをつけるようにして読むと、楽しさが伝わり
やすいかなあと、思いました。





コメント (8)
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