報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「シャワールームを買いに行く」

2024-02-25 20:29:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月5日09時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 今日は日曜日なので、少しゆっくり目に起きた。
 そして、昼食はトーストやサラダだけのシンプルなもの。
 まあ、リサだけはその上にハムチーズを乗っけて食べていたが。

 愛原「今日はショールームに行くから、車頼むぞ」
 高橋「分かりました。任せてください」
 リサ「何のショールーム?」
 愛原「シャワールームだよ。普通に電器屋やホームセンターで売ってるわけじゃないからな」
 リサ「なるほど、そうか」

 日本の内装工事会社に頼めば、それも面倒を看てくれるわけだが、BSAAに頼むとそこまでは面倒看てくれない。
 そこはアメリカ的と言えるかも。
 シャワールームは別に購入し、設置工事だけBSAAが請け負ってくれるというもの。
 そりゃまあ、工事費用も安くしてくれるわけだ。
 まあ、他の内装工事会社も、シャワールームを別に購入していれば、その分は安くしてくれるかもしれないが。
 工賃だけになるわけだからな。

 愛原「幸い、既にサイズは見積もりの時に測ってもらって分かっているわけだから、それに合った物を探せばいいんだ」
 高橋「そうですね」

[同日11時00分 天候:晴 東京都江戸川区西葛西 TOTO江戸川ショールーム]

 リサ「こういう所、初めて来たー」
 愛原「そうだろうそうだろう」

 私はうんうんと頷いた。

 リサ「便器が展示されているね。実際、しちゃっていいの?」

 リサは黒いスカートに手を突っ込んで、下着を脱ごうとした。

 愛原「ダメに決まってるだろ!」

 使い心地を試してみる為に、便座に座ってみるまでは良いのだろうが。
 それに、今回は便器を買いに来たんじゃない。

 愛原「今度、うちでシャワールームを増設しようと思ってまして、それを探しているんですが……」
 スタッフ「かしこまりました。サイズはお決まりですか?」
 愛原「それなら、ここに……」

 私は見積もりで出してもらったサイズを書いたメモを取り出した。

 愛原「施工業者も探している最中なんですが、まず先にシャワールームだけでも購入しておこうと思いまして」
 スタッフ「かしこまりました」
 リサ「バスタブ、ジャグジーにするってのは?」
 高橋「ラブホじゃねーんだぞ」
 パール「ジャグジー付きのバス=ラブホという発想がおかしいよね」
 高橋「なにいっ!?」
 愛原「もっと稼げるようになったら、ジャグジー付きも考えてみような」
 高橋「あのインゴット、何とかして取り返せないっスかね」
 愛原「あれはお前達の取り分だろう?まあ、現金の方も基本的には山分けという形にしたが」
 高橋「インゴットも山分けしましょう」
 愛原「いいのかい?お前達の結婚資金なんじゃ?」
 高橋「別に、式とかは挙げるつもりは無いんで」
 リサ「あれ?先生の実家から、婚姻届は返してもらったの?」
 高橋「まだ来てねぇ……」
 愛原「普通郵便だからな。明日の月曜日には来るかもしれんよ。どっちみち、土日じゃ、役所に持って行っても預かられる形になるだけだから」

 婚姻届は24時間365日受け付けしてもらえると思われがちだが、実際には閉庁時間中は警備室にいる警備員や宿直の職員が預かるだけで、実際の手続きは次の開庁時間に行われる。
 なので、平日の開庁時間中に持って行っても同じことなのである。

 愛原「届いたら、そのまま役所に持って行っていいから」
 高橋「ありがとうございます」
 スタッフ「こちらの商品ですと、お客様の御宅のサイズに合うと思いますが……」
 愛原「なるほど。シンプルな構造ながら、椅子も付いている。これなら、座って体も洗えるな」
 リサ「あ、これ、椅子なんだ」
 愛原「そうだよ」

 バスの前扉のような折り戸を開けると、正面にカラン付きのシャワーがあり、右側に扇形の固定椅子がある。
 一見して台のようにも見えるが、高さ的に椅子だろう。
 シャンプーやボディソープなどを置く台は別にあるし、タオル掛けも中にあった。
 照明は今時のLEDで、換気扇も天井に付いている。

 スタッフ「こちらですと、だいぶお手頃な価格かと思われます」
 愛原「そうですねぇ」

 実際に使うのは、私やリサだろう。
 私はいいと思ったが、リサの意見も聞かないと。

 愛原「リサはどう思う?これでいいか?」
 リサ「わたしはいいと思うよ」
 愛原「そうか」
 スタッフ「御予算としてはいかがですか?」
 愛原「はい。予算もちゃんと想定内に収まっています。あとは業者の選定が終わったらですね。先に購入だけしておきます」
 スタッフ「ありがとうございます」

 ただ、購入してすぐに配達してくれるわけではない。
 何せ、大物だからな。
 恐らく、配送してくれるまで1週間は掛かるだろう。
 その中で、最も早く見積もりを出してくれて、且つすぐに工事をしてくれる所はどこかということになるが……。
 BSAAかぁ?暇してる工兵部隊なら、明日にでもやってくれそうな勢いだ。

 スタッフ「申し訳ございません。配送の方なのですが、生産の方と配送の方が混み合っておりまして……」
 愛原「あ、それは大丈夫ですよ。こちらも施工業者を選定中なので、急ぎではないので」
 スタッフ「ありがとうございます」

 昨今の人手不足問題などで、そういうことが製造部門、配送部門ともに発生していることは想定内である。
 向こうが配送してくれる時期に合わせて、こちらも施工業者を決め、工事を開始すれば良い。
 ……となると、やはりリサが藤野に行っている間になるかもしれないのだ。
 今は3月5日。
 製造から配送まで、最低2週間は掛かる見込みらしいので、やっぱりリサが新しいシャワールームを使えるのは、藤野から帰って来た辺りということになりそうだ。

[同日13時30分 天候:晴 東京都江東区南砂 スシロー南砂店]

 ショールームの帰りに、回転寿司に寄った。
 ここで遅めの昼食を取る。
 まあ、朝食が遅かったのだから仕方が無い。
 リサ的には肉の方が良いのだろうが、それは夕食にでもしてもらおう。

 愛原「まあ、何とかシャワールームの購入だけは決まって良かった」
 高橋「そうですね」
 愛原「取りあえず、ここで昼食にしよう」
 リサ「これって、どのお皿を取ってもいいの?」
 高橋「その前に、そこの蛇口で手を洗うんだぞ」
 リサ「ほーほー」
 愛原「高橋、ウソ教えんな!」
 高橋「こいつの手は、熱湯消毒させといた方がいいですよ?」
 愛原「こらこら。リサ、そこの蛇口はお茶を入れる為のものだ。手の消毒は、入口にあったあれでいい」
 リサ「あー!」
 愛原「とにかく、どの皿を取ってもいいから」
 リサ「わぁい」

 実は魚はリサはあまり食べないので、そんなにバクバク食われる心配は無いのだ。
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“私立探偵 愛原学” 「3月は3月の風が吹く」

2024-02-25 15:13:03 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月1日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 夕食は全員で囲む。

 愛原「父さんからさっきメールがあって、お前達の婚姻届、保証人の所にサインしたそうだ」
 高橋「おおっ!マジっスか!?」
 愛原「ああ。返信用封筒に入れて送ったらしいから、まあ、普通郵便だな。仙台からここまで普通郵便だと、まあ、今週の金曜日に届けば御の字だろう」
 高橋「それは楽しみっスね!」
 リサ「先生、レイチェルからLINEが来て、BSAAの工兵部隊が直接見積もり取りに来たいってー」
 愛原「はあ!?」
 リサ「レイチェルの写真だけじゃ分からないからって」

 それって、BOWたるリサを直接見たいってだけの話では?

 リサ「民間企業より安くするってさ」
 高橋「それで手抜き工事されちゃたまりませんよ。ねぇ、先生?」
 愛原「そ、そうだな……」

 何しろ、軍隊が造るヤツだからなぁ……。

 愛原「でもまあ、せっかくの厚意だ。見積もりだけでも取ってもらおう」
 高橋「はあ……」
 リサ「分かった。じゃあ、レイチェルに連絡しておくね」
 愛原「まさか、いきなり明日なんてことは無いだろうな?」
 高橋「そこまで奴らも暇じゃないでしょう」
 愛原「だといいけどな」

 しかし、リサが再び受けた返信は……。

 リサ「明日でいいかだって」
 愛原「ブッ!……明日は気が早い!もっと後にしてくれ!だいたい、明日は別の内装工事会社が見積もり取りに来るんだから!」
 リサ「今週末にしてもらう?」
 愛原「そうしてくれ!」
 高橋「奴ら、暇なんスかね?」
 愛原「日本は平和だからなぁ……」
 高橋「栗原蓮華がまだ捕まってないのにですか?」
 愛原「あれを追うのは、BSAA日本地区本部隊の管轄で、北米支部は単なるアドバイザーだから」
 高橋「ですよね」
 愛原「だいたい、レイチェルも来てくれるのか?通訳頼まないと……」
 リサ「来てくれると思うけどね。だけど、案外あの人達、日本語ペラペラだよ。レイチェルもそうだけど」
 愛原「レイチェルは留学生として勉強しただけだろ?」
 リサ「いや……。今日の卒業式、片づけ手伝ってくれたBSAAのアメリカ人達、日本語ペラペラだった」
 愛原「何で!?」
 リサ「蓮華の襲撃に備えて警備に来たみたいなんだけど、結局来なかったから、暇だったんで片付け手伝ってくれたんだよ」
 愛原「軍服姿の軍人さん達に片付けのボランティア申し出られた高校も珍しいんだろうなぁ……」
 リサ「そうだねぇ……」

[3月4日10時00分 天候:曇 同地区 愛原家]

 約束通り、BSAA北米支部の工兵部隊が我が家にやってきた。
 軍用のジープに乗ってきたのは、4人。
 うち1人はレイチェルで、彼女もまた養成学校生の物なのか、BSAAのワッペンの付いた軍服を着ていた。
 他の3人とはデザインが違う為、養成学校生の物なのかと思った。
 ジープはアメリカ製の物だったが、BSAAのロゴマークが付いており、在日駐留米軍とはまた違う部隊であることを主張している。
 とはいえ、その基地を間借りし、人材も元軍人や現役軍人の出向という形を取っていることから、全く違うとは言い難い。

 愛原「本当に大丈夫かな?」
 高橋「余計壊したりしませんかね?」
 BSAA隊員A「日本のリサ・トレヴァーはどこだ?」
 BSAA隊員B「世界でも数少ない、『人間のような』BOWらしいが?」
 BSAA隊員C「アメリカにお持ち帰りしていいのか?」
 レイチェル「皆さん!今日はシャワールーム設置の見積もりを取りに来たんですよ!」

 私も外国語はよく分からないのだが、リサの名前が出て来たことから、やはり彼らの関心はリサにあるのだと分かった。

 リサ「わたしゃ上野動物園のパンダか」

 

 リサはダイニングで“鬼ころし”を飲みながら、その様子を見ていた。
 因みに、わざと鬼形態になっている。

 BSAA隊員A「Oh!Japanese Lisa Trevor!」

 リサを見つけて喜んでいた。
 どうも、アメリカのオリジナルのリサ・トレヴァーをイメージしていたようで、思いっ切りイメージの違うリサに驚く隊員もいた。
 向こうでは彷徨う化け物だったリサ・トレヴァーだったが、こっちでは鬼のような姿になっているので。

 BSAA隊員B「この角、本物か?」
 BSAA隊員C「本当に不死身なのか?」

 とか、興味深々だ。

 BSAA隊員A「Picture,ok?」

 と、ついに記念撮影まで始める隊員も。
 尚、善場主任からは、隊員達の好きにやらせるようにとのことだった。
 日本政府が強く口出しできない。
 やはり日本は敗戦国なのであり、アメリカは戦勝国なのである。
 それでも何故か、リサをアメリカに引き渡すような話は無い。
 Gウィルスの危険性は向こうの方が強く認識しており、核兵器よりも扱いが難しいとされる生物兵器を抱え込みたくないのが実情だ。
 本来なら戦勝国の圧力で、敗戦国の日本にこのリサを処分するよう迫っても良いのだが、何故かそうはいかない。

 リサ「おっけーおっけーよ」
 レイチェル「OK貰いました」
 隊員A「よし!レイチェル、撮ってくれ!」
 隊員B「スコット!抜け駆けすんな!」
 隊員C「ピーター、俺も入らせろ!」

 本当に見積もり取ってくれるんだろうか?
 ……という懸念は、一応杞憂に終わった。
 契約社会アメリカで生きて来た彼らは、こういう楽しみが終わった後は、ちゃんと契約通りの行動をする。

 隊員A「コンベックスだけじゃなくて、ちゃんとレーザーポインターで正確なサイズをキッチリ測らないとな!」
 レイチェル「寄宿舎にそんな便利な物無かったんですよ」

 基地から持ち出した最新式の機械でもって、正確なサイズを測る隊員達。
 他にも水道管やガス管の状態を確認していた。

 隊員B「新しいボイラー設置した方がいいんじゃないか?」
 隊員C「いや、設置するブースは1つだけだろ?だったら、このままで大丈夫だろ」
 隊員A「いや、水圧を考えると設置した方がいい」
 隊員B「しかし……」

 それまでと打って変わって、むしろ日本の内装工事会社よりも一生懸命現地調査してくれる隊員達。
 逆に、本当に安くしてくれるのか不安であった。

 レイチェル「ありがとうございました。それでは基地に持って帰って、正確な値段を算出してきます。それを踏まえた上で、民間企業より安くします」
 愛原「そ、それは助かるよ」

 何か、シャワールーム増設しようってだけで、軍隊が出張って来るほどの大事になっているような……?
 リサが住んでいるというだけで、これか。
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“愛原リサの日常” 「3月の風」

2024-02-25 11:27:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月1日13時00分 天候:晴 東京都台東区上野 ウェンディーズ・ファーストキッチン]

 リサ「アメリカにもウェンディーズはあるでしょ?」
 レイチェル「むしろ、そこがホンバです」
 リサ「それもそうか」

 日本ではマクドナルドと同様、現地法人を作り、運営をファーストキッチンに委託している。
 リサは大きなハンバーガーに齧り付いた。

 リサ「うーん!これだな!」
 レイチェル「リサ、最近読者から『中身がオッサン』って呼ばれてるようですよ?」
 リサ「えっ!?」(;゚Д゚)
 レイチェル「それより、話って何ですか?」

 レイチェルもまた、大きなハンバーガーに齧り付いた。

 リサ「愛原先生が、うちのシャワールーム増設に興味があるって話。BSAAが安くやってくれるのはいいけど、そもそも相場が分からないから、まずは普通の内装工事会社から見積もりを取るってさ」
 レイチェル「そんな気を使わなくても、愛原先生の言い値でOKなんですけどね」
 リサ「先生は真面目な人なんだよ」
 レイチェル「素敵です」
 リサ「BSAAの工兵部隊の訓練が、どうして一般家庭のシャワールームの設置なんだよ?」
 レイチェル「何のことですか?……というか、BSAAでは愛原先生の家は『一般家庭』じゃないですよ」
 リサ「ん?」
 レイチェル「リサというBOWが同居しているというだけで、もう『一般家庭』じゃないでス」
 リサ「いや、そりゃそうだけど!」
 レイチェル「工兵部隊も、ナマでBOWを見てみたいのでしょう」
 リサ「人をパンダみたいに……」

 リサを見る為だけに、わざと安く工事を請け負ってくれるようである。

 レイチェル「現状、『人間のように』生活できているBOWは、リサとローズマリー・ウィンターズくらいしかいません」
 リサ「シェリー・バーキンさんとか、こっちの善場さんとか……」
 レイチェル「『表向きは』BOWではないことになっています」
 リサ「わたしが仮に人間に戻れても、そういう扱いか……」

 リサはヤケ食いするように、ハンバーガーに齧り付いた。

[同日14時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 昼食を取った後、リサは帰宅した。
 但し、レイチェルも一緒で。

 愛原「なに?見積もりを取らせて欲しいって?」
 リサ「どうしてもBSAAでやりたいらしいよ」
 レイチェル「写真だけでも、撮らせてください」
 リサ「BSAAの他の隊員に、BOWのわたしを見せたいらしいよ?」
 愛原「今やリサも、見世物の時代か……」
 リサ「ねー?」
 レイチェル「民間企業に、見積もりを依頼したいそうですね。そこよりも安くしますよ?」
 愛原「まだ、概算額が決まってないんだ。他にも1社、見積もりを依頼しているところだけ」
 レイチェル「了解しました。要はBSAAのライバルは、その2社ということですね」
 愛原「えっ?」
 レイチェル「早速、見積もりを取らせてください」
 愛原「取らせてくださいって、水回りの調査とかできるの?」
 レイチェル「そこは写真などに収め、工兵部隊にチェックしてもらいます」

 愛原はレイチェルに根負けするような形で、見積もりの許可を出した。

 リサ「じゃあ、先生。鍵貸して」
 愛原「ほらよ」

 リサは愛原からエレベーターの鍵を借りた。
 これでエレベーターで、3階や4階に行けるようになる。
 エレベーターに乗り込み、リサは鍵を挿してスイッチをONに回した。
 これでエレベーターが上に行けるようになる。
 4階のボタンを押して、4階に向かった。

 リサ「小さいエレベーターだけど、これで資材とか運べる?」
 レイチェル「ユニットシャワーだと、ちょっと厳しいかもしれませんね。まあ、工兵部隊の訓練ですから、階段で行きますよ。もしかしたら、道路を封鎖して、クレーンで吊り上げるかもしれません」
 リサ「ええっ!?でも、それだと費用が高くなるんじゃ?」
 レイチェル「大丈夫ですよ」

 そして、4階に到着する。

 リサ「ここがシャワールーム建設予定地」
 レイチェル「なるほど。シャワールームを設置するには、ちょうど良い広さですね」

 レイチェルは手持ちのデジカメで写真を撮り、持っているコンベックスでサイズなどを測った。

 リサ「業者さん達は水道管とかも見てたみたいだけど?」
 レイチェル「水道管はどこにありますか?」
 リサ「えーと……」

 普通は床下であろう。
 洗面所の下のスペースの扉を開けると、水道管が見える。
 もっとも、立ち会いをしていなかったリサは、内装工事業者達がどこの水道管を見ていたのかは不明である。
 ただ、この辺りから水やお湯を引っ張って来るのは明白だった。
 一応、隣のトイレの水道管も見せる。
 それから3階に下りて、3階のキッチンの水道管や風呂場を見せた。

 レイチェル「ありがとうございます。早速このデータを、BSAAに送りたいと思います」
 愛原「空いている机、使っていいよ」
 レイチェル「ありがとうございます」

 レイチェルは空き机に座ると、自分のバッグの中からノートPCを取り出した。
 軍用の、衝撃に強いタイプである。
 恐らく、BSAAから貸与されているのだろう。
 ネット回線は、自分が持ち込んだポケットWiFiを使うようである。

 リサ「あれ?今日はお兄ちゃんがいないみたいだけど?」
 愛原「高橋には、事故物件の調査に行ってもらったよ。現地調査してくるだけだから、あいつ1人でも大丈夫だと思ってさ」
 リサ「お兄ちゃんも1人で仕事できるようになったんだね」
 愛原「俺がいない時でも、簡単な仕事ぐらいはできるようになってもらわないとな」
 パール「そうですね」

 パールは給湯室から、コーヒーを入れててきた。
 リサはスツールを持って来て、愛原の隣に座る。

 愛原「おいおい。仕事も手伝ってくれよ」
 リサ「何やる?」
 愛原「これ、10部ずつコピーしてきて」
 リサ「仕事がお茶汲みとコピーとかw」
 パール「昭和のOLみたいですね」
 リサ「全く」

 リサは苦笑しながら、複合機の所まで行った。
 と、そこへ電話が鳴る。
 電話はパールが取った。

 パール「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます。……あ、はい。いつもお世話になっております。……はい。少々お待ちください。……先生、善場主任から電話です」
 愛原「分かった。……あ、もしもし。愛原です。お疲れさまです」
 レイチェル「Ok.Let’s send.」

 レイチェルは工兵部隊のデータ送信を完了させたようだ。

 レイチェル「ありがとうございました。取りあえず、工兵部隊へのデータ送信は終わりました」
 愛原「そうか」
 レイチェル「ただ、あくまでも概要だけですので、詳しい説明はこれからしてこようと思います」
 愛原「あ、あの、まだ他から見積もりは出ていないんだから、あんまり先に話を進めないでくれな?」
 レイチェル「分かってますよ。愛原センセイは、カタログでどんなシャワールームがいいか考えておいてください」
 愛原「カタログか。まだ見てなかったな。そもそも、ユニット工法なのか、在来工法なのかも不明なんだから」

 ただ、2階以上に設置する場合は、防水工事などの関係で、ユニット工法が採用される場合が殆どだ。
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“愛原リサの日常” 「愛原リサの日常」

2024-02-24 21:45:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月1日08時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 正門前に掲げられた『卒業式』の看板。
 今日は3年生の卒業式である。
 もしも東京中央学園大学に進学する場合、入学式は基本的に4月1日だから、1ヶ月の春休みとなる。
 今年は4月1日は土曜日、2日は日曜日だから、3日に入学式となるか。
 リサが登校したのは、在校生側の参加者に登録されていたからだ。
 本来、栗原蓮華を送る為に登録した。
 互いに憎まれ口を叩いて、一時の別れとなるはずだった。
 今ここに、栗原蓮華はいない。
 鬼化してしまい、実家もその捜査によるゴタゴタで混乱していた。
 休学という扱いになっているが、留年してまで復学することがあるのかどうかは望み薄だ。

 レイチェル「リサ、おはようでス」
 リサ「ああ、おはよう」

 レイチェルも『送る側』に参加した。
 留学生として、日本の卒業式がどんなものなのかを見たいというものだった。
 因みにレイチェルもまた、来年度までここにいる予定。
 養成学校は日本の高等専門学校と同様の5年間なので、ここを卒業した後、また養成学校の今度は『本科』に戻らなくてはならない。
 『予科』の内容は、殆どハイスクールと変わらない為に。
 『本科』を卒業すれば基本的にBSAAに配属されるが、卒業時の成績と希望によっては、アメリカの国防大学への編入も認められるという。
 ただ、そこまで進学してしまうと、BSAAよりは合衆国軍に配属されることが多い。

 リサ「今日は3年生の卒業式だ。本当は鬼斬りセンパイを送ってやるはずだった」
 レイチェル「安心してくだサイ。警備は万全です」
 リサ「ん!?」

 レイチェルは学校の制服を着つつも、ブレザーの下にはアーミーナイフやハンドガンを隠し持っていた。

 レイチェル「元人間のBOWは、ふとしたことから人間だった頃の記憶が戻ると言います。また、その時の習慣も戻ると言われています。このセレモニーのことを思い出したBOWが、ここに現れないとも限りません」
 リサ「なるほど。でも、今の蓮華は夜しか行動できないはずじゃ?」
 レイチェル「夜にしか移動していないということから、そう思われてるだけで、実際そうなのかは不明です」
 リサ「そ、それもそうか」
 レイチェル「それに、例え昨日まではそうだったとしても、今日から昼間も行動できるようになっているかもしれません。蓮華は今でも人食いをしています。リサも知っての通り、人食いを続ければ、変化も常に起こります」
 リサ「確かにそうだね」

 リサは人食いはしていない。
 だが、愛原などから血中老廃物や血液の摂取はしている。
 愛原の味に飽きたら、他の女子生徒を捕まえては『捕食』するのがリサのやり方だ。
 そういうガス抜きを行っていることで、リサの場合は食人衝動を抑えている状態だが、皆が皆そんな器用なことができるわけではない。
 というか、リサが器用過ぎるだけなのだ。
 やはり普通は、BOWといったら、人食い生物兵器なのである。
 何が言いたいかというと、器用に人間の血液関係の物だけを摂取しているとはいえ、それだけでもやはり変化は起きるというわけだ。
 その程度の摂取だから大きな変化は無いのだが、小さな変化はよく起こっている。
 髪の色が変わったり、爪の色が変わったり、瞳の色が変わったりなど。

[同日09時00分 天候:晴 同学園 体育館]

〔「卒業生、入場です」〕

 卒業式が開催される。
 リサは栗原蓮華の席が空席になっているのを確認した。
 当然、保護者席を見ても、栗原家からは誰1人来ていない。
 来賓席を見たが、PTA会長代行たる愛原は来ていなかった。
 どうも愛原は鬼の女にモテるらしく、愛原が来ることで、栗原蓮華が来てしまうことを避ける為であった。
 その為、PTA会長の挨拶は副会長が行った。
 本来のPTA会長たる斉藤秀樹はロシアへ逃亡。
 何故かその代行に抜擢された愛原も欠席という異例の事態であった。
 とはいえ来年度、愛原は正式にPTA会長に任命される見込みである。
 副会長は他のクラスの男子生徒の母親であったが、どこかの会社の役員であり、卒業式には来賓として参加したが、やはり今日は平日ということもあって、会社を抜け出して来ている状態なのだという。
 恐らく、卒業式が行われる午前中だけ半休扱いにしているのだろう。
 来客用駐車場を見ると、何台か黒塗りの高級車が止まっているので、そのうちの1台が会社役員たる副会長の役員車であると思われる。
 リサは制服の左腕に、『生徒会』の腕章を着けてはいるが、正式な生徒会役員ではなく、ただの手伝いである。
 そういった意味では、レイチェルも左腕に同じ腕章を着けている。
 リサの役割はただの雑用であるが、もう1つの役割は、BSAA隊員同様、栗原蓮華の来襲を同じ鬼型BOWとして警戒すること。
 もし万が一の時は、ここで戦うことになる。
 BSAAは援護射撃兼校内の避難誘導が主な役割である。

 一同「君が代は♪千代に八千代に……」

 私立の学校ながら宗教系ではない為、ちゃんと国歌斉唱は行われる。
 ミッション系スクールでは、歌われないことも多い。
 その代わり、聖歌を何曲も歌うという。

[同日12時00分 天候:晴 同学園・体育館]

 レイチェル「何も起こりませんでしたね」

 卒業式は無事に終わり、リサ達は後片付けに追われていた。
 設営や撤収を行うのは、もちろん在校生達である。

 リサ「やっぱあいつ、夜にならないと行動できないんだよ。吸血鬼みたい」
 レイチェル「……か、もしくは人間だった頃の記憶や習慣が完全に失われたかのどちらかですね」
 リサ「そうかもね。お腹空いたから、さっさと片付けて帰ろう」

 リサは1人で演壇をヒョイと持ち上げた。

 リサ「まだ持てるから、この上に椅子乗っけてー」
 レイチェル「リサは人間形態でも、力はBOWのままなんですネ」
 リサ「ある意味便利」
 レイチェル「知らない人が見たらビックリするので、やめた方がいいですよ」
 リサ「いやー、わたしの方がまだマシだと思うよ」
 レイチェル「どうしてですか?」
 リサ「だって……」

 リサとレイチェルは演壇などを片付ける為に、ステージの上に乗っている。
 そこから、椅子が並べられている方を指さした。

 BSAA隊員A「この椅子はどちらに!?」
 生徒会役員「そ、それは、向こうの備品庫に……」(;゚Д゚)
 BSAA隊員B「楽器の移動、音楽準備室へ完了しました!」
 吹奏楽部員「あ、ありがとうございます!」(`・ω・´)ゞ

 リサ「軍服姿の軍人さん達が撤収手伝う方が、皆ビックリすると思うよ?しかも全員、何故か日本語ペラペラの北米支部だし」
 レイチェル「皆、日本の学校の卒業式がどんなものなのか興味があったんですよ」
 新聞部員「あの、レイチェルさん。BSAAの軍用車の写真、撮ってもいいですか?」
 レイチェル「外側だけOKです。内側はNGです」
 リサ「なに、しれっと軍機探ろうとしてんの!」

 リサは知り合いの新聞部員を窘めた。

 リサ「それとレイチェル、後で話が……」
 レイチェル「Oh!体育館裏に呼び出しですか?」
 リサ「古い!“花子さん”の世代じゃあるまいし!むしろわたし達の世代はトイレに来てもらう……じゃなくて!うちのシャワールーム設置の話!ほら、BSAAが設置してくれるって話!」
 レイチェル「あの話ですか!愛原先生、興味を持ってくれましたか?」
 リサ「そのことについて話があるって言ってんの、アメリカ人!」
 レイチェル「分かりました。それじゃ、ランチを食べながら話をしましょう。駅前でハンバーガーでも食べながら」
 リサ「そ、そうだね」
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“愛原リサの日常” 「休養日の夜と明け」

2024-02-21 20:39:06 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月28日21時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング→4階リサの部屋]

 

 リサが脱衣所でわざと脱ぎ捨てたショーツ。
 スポーツインナータイプのサニタリーショーツである。
 次に愛原が入ることを見越して、わざとそこに脱ぎっ放しにしておいた。
 17歳少女の使用済み生理用ショーツ。
 果たして、これを愛原はどのように扱うのか。
 自分の部屋に持ち去ってくれれば万々歳である。
 寄生虫を一匹体から出し、それを照明器具の陰に隠れさせる。
 寄生虫の視界をリサがジャックすることにより、まるで自分が寄生虫になったかのように、その場を確認できるようになるのである。
 リサが上がった後、脱衣所に入った愛原は、もちろんすぐにリサのショーツに気づいた。
 そしてそれを拾い上げ、まるで全てを確認するかのように見た後、何事も無くそれを脱衣かごの中に入れてしまった。

 リサ「むー……」

 すると愛原が、天井を見上げた。

 愛原「“鬼の血”には、人間を鬼にする効果があるんだぞ。分かってるのか?」
 リサ「げっ、バレた!!」

 リサは慌てて寄生虫の視界ジャックを切断した。
 同時に寄生虫は、自爆させる。
 自爆といっても、本当に爆弾が爆発するわけではないから大丈夫。
 リサは逃げるようにして、4階の自分の部屋に向かった。
 エレベーターは使わず、階段を駆け上る。
 そして、自分の部屋に飛び込んだ。

 リサ「後で怒られそう……」

 リサは参ったとばかりに、頭に手をやった。

 リサ「ん?」

 すると、頭に突起物のような物があることに気づいた。
 鏡で見ると、どうやら角が生え始めているようだった。
 やっぱり、ずっと角無しというわけにはいかなかったようだ。
 前に生えていた場所と同じ場所だったから、また2本角なのだろう。
 願わくば、牛のような長さにならないで欲しいものだとリサは思った。

 リサ「まだ眠くないけど、取りあえず寝る準備だけしておこう」

 リサは4階の洗面所に向かった。
 一応ここは、4階で寝泊まりしている愛原とリサが専用で使っている感はある。
 トイレもそうだ。

 リサ「少し調子に乗り過ぎたかなぁ……」

 リサは自分の歯ブラシで歯を磨いた。
 実は口内細菌も特異菌によって食われるのだが、汚れと臭いは残るので、それを防ぐ為に歯磨きは必要だった。
 衛生観念が欠如しないところが、愛原リサというBOWの特徴の1つ。
 他のBOWは、例え未感染時の状態を一見して保てたとしても、通常の人間では有り得ない物を口にしたり、衛生観念が欠如したりするものだ。
 アメリカのルイジアナ州ダルヴェイのベイカー農場で起きたバイオハザードにおいても、屋敷内はけして清潔な状態とは言えなかったという。

 リサ「いー」

 歯磨きをした後で、歯の状態を見てみる。
 鬼状態のせいか、今は立派な牙が生えている。

 リサ「よし」

 それから再び部屋に戻る。

 リサ「ん?」

 机の上に置いてあるスマホからLINEの着信音が鳴った。
 見ると、レイチェルからだった。
 基本的にレイチェルが送って来るのは英文なので、それを日本語に訳さないといけないのだが。

 レイチェル「明日は学校来ますよね?」
 リサ「その予定。今日は家に内装工事会社の人達が来てうるさかった」
 レイチェル「もうシャワールームを増設したのですか?」
 リサ「まだまだ。あくまでも、見積もりを取りに来ただけ。BSAAでやってくれるのなら、その工事会社より安くしてくれないと」
 レイチェル「工兵部隊の訓練でもあるので、多分大丈夫だと思いますよ」
 リサ「マジか……。もしかして、ついでにわたしの監視も目的だったりしない?」

 と、リサが返信すると、しばらく既読スルー状態となる。

 レイチェル「完全に制御できているBOWがミスター・ウィンターズと、リサだけなのが珍しいみたいです」
 リサ「わたしはアメリカに行くつもりはないよ?」
 レイチェル「それは残念です」
 リサ「連れて行くつもりだったんかいw オリジナルの大先輩を爆殺しといて、何言ってるんだよ」
 レイチェル「オリジナルのリサ・トレヴァーを爆殺したのは、アルバート・ウェスカーであって、BSAAではありません」
 リサ「そ、それもそうか。イーサン・ウィンターズは、ルーマニアで死んだんでしょう?特異菌の限界を超えたせいで」
 レイチェル「そうです」

 特異菌の適合率が100%だったおかげで、本人すら自覚が無かった特異菌BOWのイーサン・ウィンターズ。
 リサとの大きな違いは、特異菌は無限ではないということ。
 特異菌の回復力を超えたダメージを受けると、回復しきれずに石灰化して死亡してしまう。
 リサの場合、Gウィルスが基になっているのでその心配は無い。
 特異菌が体内に入る前は、Tウィルスを使役していた。

 レイチェル「娘のローズマリー・ウィンターズに期待です」
 リサ「何を期待してるのやら。写真は見せてもらったけど、普通の女の子だったよ?今、幼稚園くらい?」
 レイチェル「将来は分かりませんよ。もしかしたら、リサより強くなるかもしれません」
 リサ「ははっ、その時は『魔王』の座を譲らないとだねぇ……」

 小一時間ほどレイチェルとのLINEは続いた。
 それが強制終了となったのは、愛原が来たから。

 愛原「こらっ、リサ!脱いだパンツは、ちゃんと脱衣カゴに入れろ!」
 リサ「ごめんなさーい!」

 ということで。

 リサ(パンツ『は』だよね。ブルマ『は』いいってことだねw)

 反省していないリサであった。

[3月1日06時00分 天候:晴 愛原家4階リサの部屋→3階ダイニング]

 リサ「……。うん」

 枕元のスマホがアラームを鳴らす。
 今度は特に具合が悪いというようなことは無かった。
 手を伸ばして、アラームを止める。
 起き上がって洗面所に行き、顔を洗いに行った。

 リサ「ん、角が……」

 鏡で見ると、角が生えていた。
 いつもの通りの太さと長さである。

 リサ「良かった……元通りだ……」

 ここで人間形態になってみると、ちゃんと角も引っ込んだ。

 リサ「ん、これならいい」

 リサは安心して顔を洗った。

 リサ「昨夜のレイチェルの話だと、BSAA、安く工事してくれるみたいだよ?まあ、わたしを見に来るのが目的みたいだけど」
 高橋「おー、見世物じゃねーか」
 愛原「生で安全に見れるBOWなんて、そうそういないからな」
 高橋「見物料取ってやれよ」
 愛原「それで安くしてやるってことなんじゃないかな?」
 高橋「あ、なるほど」
 愛原「安くしてくれるのはいいけど、そもそも相場がよく分からんからな。やっぱり、民間企業から見積もりを取って、相場を把握した上で、BSAAがいくらでやってくれるのか確認した方がいいと思うんだ」
 リサ「分かった。レイチェルにはそう言っとく」

 リサはそう言って、目玉焼きに齧り付いた。
コメント
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