報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「休養日の夜と明け」

2024-02-21 20:39:06 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月28日21時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング→4階リサの部屋]

 

 リサが脱衣所でわざと脱ぎ捨てたショーツ。
 スポーツインナータイプのサニタリーショーツである。
 次に愛原が入ることを見越して、わざとそこに脱ぎっ放しにしておいた。
 17歳少女の使用済み生理用ショーツ。
 果たして、これを愛原はどのように扱うのか。
 自分の部屋に持ち去ってくれれば万々歳である。
 寄生虫を一匹体から出し、それを照明器具の陰に隠れさせる。
 寄生虫の視界をリサがジャックすることにより、まるで自分が寄生虫になったかのように、その場を確認できるようになるのである。
 リサが上がった後、脱衣所に入った愛原は、もちろんすぐにリサのショーツに気づいた。
 そしてそれを拾い上げ、まるで全てを確認するかのように見た後、何事も無くそれを脱衣かごの中に入れてしまった。

 リサ「むー……」

 すると愛原が、天井を見上げた。

 愛原「“鬼の血”には、人間を鬼にする効果があるんだぞ。分かってるのか?」
 リサ「げっ、バレた!!」

 リサは慌てて寄生虫の視界ジャックを切断した。
 同時に寄生虫は、自爆させる。
 自爆といっても、本当に爆弾が爆発するわけではないから大丈夫。
 リサは逃げるようにして、4階の自分の部屋に向かった。
 エレベーターは使わず、階段を駆け上る。
 そして、自分の部屋に飛び込んだ。

 リサ「後で怒られそう……」

 リサは参ったとばかりに、頭に手をやった。

 リサ「ん?」

 すると、頭に突起物のような物があることに気づいた。
 鏡で見ると、どうやら角が生え始めているようだった。
 やっぱり、ずっと角無しというわけにはいかなかったようだ。
 前に生えていた場所と同じ場所だったから、また2本角なのだろう。
 願わくば、牛のような長さにならないで欲しいものだとリサは思った。

 リサ「まだ眠くないけど、取りあえず寝る準備だけしておこう」

 リサは4階の洗面所に向かった。
 一応ここは、4階で寝泊まりしている愛原とリサが専用で使っている感はある。
 トイレもそうだ。

 リサ「少し調子に乗り過ぎたかなぁ……」

 リサは自分の歯ブラシで歯を磨いた。
 実は口内細菌も特異菌によって食われるのだが、汚れと臭いは残るので、それを防ぐ為に歯磨きは必要だった。
 衛生観念が欠如しないところが、愛原リサというBOWの特徴の1つ。
 他のBOWは、例え未感染時の状態を一見して保てたとしても、通常の人間では有り得ない物を口にしたり、衛生観念が欠如したりするものだ。
 アメリカのルイジアナ州ダルヴェイのベイカー農場で起きたバイオハザードにおいても、屋敷内はけして清潔な状態とは言えなかったという。

 リサ「いー」

 歯磨きをした後で、歯の状態を見てみる。
 鬼状態のせいか、今は立派な牙が生えている。

 リサ「よし」

 それから再び部屋に戻る。

 リサ「ん?」

 机の上に置いてあるスマホからLINEの着信音が鳴った。
 見ると、レイチェルからだった。
 基本的にレイチェルが送って来るのは英文なので、それを日本語に訳さないといけないのだが。

 レイチェル「明日は学校来ますよね?」
 リサ「その予定。今日は家に内装工事会社の人達が来てうるさかった」
 レイチェル「もうシャワールームを増設したのですか?」
 リサ「まだまだ。あくまでも、見積もりを取りに来ただけ。BSAAでやってくれるのなら、その工事会社より安くしてくれないと」
 レイチェル「工兵部隊の訓練でもあるので、多分大丈夫だと思いますよ」
 リサ「マジか……。もしかして、ついでにわたしの監視も目的だったりしない?」

 と、リサが返信すると、しばらく既読スルー状態となる。

 レイチェル「完全に制御できているBOWがミスター・ウィンターズと、リサだけなのが珍しいみたいです」
 リサ「わたしはアメリカに行くつもりはないよ?」
 レイチェル「それは残念です」
 リサ「連れて行くつもりだったんかいw オリジナルの大先輩を爆殺しといて、何言ってるんだよ」
 レイチェル「オリジナルのリサ・トレヴァーを爆殺したのは、アルバート・ウェスカーであって、BSAAではありません」
 リサ「そ、それもそうか。イーサン・ウィンターズは、ルーマニアで死んだんでしょう?特異菌の限界を超えたせいで」
 レイチェル「そうです」

 特異菌の適合率が100%だったおかげで、本人すら自覚が無かった特異菌BOWのイーサン・ウィンターズ。
 リサとの大きな違いは、特異菌は無限ではないということ。
 特異菌の回復力を超えたダメージを受けると、回復しきれずに石灰化して死亡してしまう。
 リサの場合、Gウィルスが基になっているのでその心配は無い。
 特異菌が体内に入る前は、Tウィルスを使役していた。

 レイチェル「娘のローズマリー・ウィンターズに期待です」
 リサ「何を期待してるのやら。写真は見せてもらったけど、普通の女の子だったよ?今、幼稚園くらい?」
 レイチェル「将来は分かりませんよ。もしかしたら、リサより強くなるかもしれません」
 リサ「ははっ、その時は『魔王』の座を譲らないとだねぇ……」

 小一時間ほどレイチェルとのLINEは続いた。
 それが強制終了となったのは、愛原が来たから。

 愛原「こらっ、リサ!脱いだパンツは、ちゃんと脱衣カゴに入れろ!」
 リサ「ごめんなさーい!」

 ということで。

 リサ(パンツ『は』だよね。ブルマ『は』いいってことだねw)

 反省していないリサであった。

[3月1日06時00分 天候:晴 愛原家4階リサの部屋→3階ダイニング]

 リサ「……。うん」

 枕元のスマホがアラームを鳴らす。
 今度は特に具合が悪いというようなことは無かった。
 手を伸ばして、アラームを止める。
 起き上がって洗面所に行き、顔を洗いに行った。

 リサ「ん、角が……」

 鏡で見ると、角が生えていた。
 いつもの通りの太さと長さである。

 リサ「良かった……元通りだ……」

 ここで人間形態になってみると、ちゃんと角も引っ込んだ。

 リサ「ん、これならいい」

 リサは安心して顔を洗った。

 リサ「昨夜のレイチェルの話だと、BSAA、安く工事してくれるみたいだよ?まあ、わたしを見に来るのが目的みたいだけど」
 高橋「おー、見世物じゃねーか」
 愛原「生で安全に見れるBOWなんて、そうそういないからな」
 高橋「見物料取ってやれよ」
 愛原「それで安くしてやるってことなんじゃないかな?」
 高橋「あ、なるほど」
 愛原「安くしてくれるのはいいけど、そもそも相場がよく分からんからな。やっぱり、民間企業から見積もりを取って、相場を把握した上で、BSAAがいくらでやってくれるのか確認した方がいいと思うんだ」
 リサ「分かった。レイチェルにはそう言っとく」

 リサはそう言って、目玉焼きに齧り付いた。
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“愛原リサの日常” 「角無し娘の休養」

2024-02-21 15:53:29 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月28日15時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・リサの部屋]

 リサ「うーん……」

 午後になってからリサの『体調』は悪化し、自室で寝ていた。
 それは女性特有の生理によるものだということで、リサは部屋に籠った次第。
 いつもはここまで重くないのだが、今日は久しぶりに重い日であった。

 リサ「むー……」

 部屋の外からは無粋な男達の声が聞こえて来る。
 やれ、『水道の配管が……』とか、『スペースの関係が……』とか聞こえて来る。
 今日は午後から、内装工事会社が見積もりを取る為に現地調査に来るのだった。
 その為、愛原の声も聞こえて来る。
 いつもなら興味を持ってホイホイ向かうリサだが、今回はそういう気は起こらなかった。
 生理中ならではの精神不安定が、男達の声で更に増幅させられる。
 リサは頭から布団を被った。
 もちろん、彼らがリサの部屋に入って来ることはない。
 それでも、だ。

 リサ「BSAAが工事してくれるかもって話、どうなるんだろう……?」

 取りあえず耳栓でもしておこうと思い、ベッドから出た。
 角が無いこと以外は、鬼形態になっている。
 角があった部分を触ってみたが、今のところまた生えて来ている感は無かった。
 人間に戻るという目的の観点で言えばこれで良いのだが、無いと無いで、少し寂しい気もする。
 若い頃は毛がフサフサあったのに、歳を取ってから禿げてきて、寂しいという気持ちと似たようなものがある。
 耳栓をすると、再びベッドに潜り込んだ。

[同日18時00分 天候:曇 愛原家4階リサの部屋→3階ダイニング]

 リサ「……はっ!」

 室内にある内線電話が着信音を鳴らす。
 元々取り付けられていたものである。
 呼び出したい場所のボタンを押すと、押している間だけ向こう側のブザーが鳴るという仕組みだ。
 因みに今、一定のリズムでブザーが鳴っている。
 記号で表すと、『ー・・ー』といった感じ。
 これは愛原が鳴らしているのだとリサは知った。
 確か、『-・・-』は鉄道の車内合図で、『車内電話を取れ』もしくは『車内電話で打ち合わせをしたい』という合図なのだと。

 リサ「はい」
 愛原「リサ、体の具合はどうだ?」
 リサ「んー……まあまあかな」
 愛原「夕飯できたから、降りてこいよ」
 リサ「分かった」

 リサは電話を切った。
 さすがに、腹は減った。

 リサ「行くか……」

 その前にトイレに寄った。
 さすがに今日は見積もりを取りに来ただけのようで、シャワールーム増設予定地には何も無かった。

 

 リサ「あー、お腹空いた」
 愛原「よー。大丈夫か?お前にしては、あまり昼食わなかったよな?」
 リサ「そうだねぇ……。角が無いと、調子が悪いのかもねぇ……」
 愛原「おいおい。人間に戻るんなら、むしろ角は無い方がいいんだぞ?」
 リサ「分かってるよ。今まで軽いのは、BOWだったからで、人間に近づいたから重くなったのかもね」
 愛原「……なるほどな。だったらむしろいいことなのか」
 リサ「まあ、重ければ重いで困るけど」
 パール「それは確かに」

 今日の夕食は豚肉の生姜焼きだった。
 愛原の希望でバラ肉ではなく、ロース肉が使用されている。
 他にも、カキフライがあった。
 どちらも付け合わせの野菜も山盛りである。

 愛原「じゃあ、頂くとするか」
 リサ「いただきます」

 リサはパクパクと御飯を口に運んだし、豚肉に齧り付いた。

 リサ「うん。美味しい」

 食欲は戻ったようである。

 愛原「明日は学校行けそうか?」
 リサ「うん。多分、大丈夫」
 愛原「そうか。それは良かった。角が無かったら、いちいち人間形態とか鬼形態とか気にしなくて良くなりそうだしな」
 リサ「でも、耳は尖ったままだよ?」
 愛原「多少のことなら、『生まれつき』ということで誤魔化せるさ。
 リサ「そうかなぁ……」

[同日21時00分 天候:曇 愛原家3階リビング]

 体操服にブルマという姿のまま、リサはソファに寝っ転がって携帯ゲームに勤しむ。

 愛原「鬼が鬼退治するとは……」
 リサ「獲物の取り合いだよ」
 愛原「そうなのか……」

〔「男には脳が5つ、心臓が7つあった」〕

 愛原「多いな!どこのBOWだ!?」
 リサ「そんなに要る?わたしみたいに、体内に複数宿る特異菌の寄生体を抱える方が楽だよ?」
 愛原「さらっと化け物みたいなこと言うな」

 リサの体内、見た目は普通の人間と変わらない。
 どこかの鬼の総大将と違って、脳が5つ、心臓が7つなんてことはない。
 『見た目には』脳は1つだし、心臓も1つである。
 しかし、Gウィルスを基とする特異菌が脳や心臓などの急所が破壊されても、すぐにスペアを再生させる力を持っているのだ。
 しかも、それまでの記憶も完全にコピーする。
 だから、リサの頭を撃ち抜いて、例えその脳は死んだとしても、また新たな脳が造られ、しかも前の脳の記憶も完全にコピーして何事も無かったかのような状態に戻る。
 リサを完全に殺すには、Gウィルスや特異菌を死滅させなければならない。
 Gウィルスに直接繋がっていると思われる、肩甲骨付近の痣が現時点での弱点である。
 ここを銃で集中攻撃すれば、Gウィルスが直接傷つけられ、しかも回復力が遅い為に、そこを死滅させらることができる。
 残った特異菌達は親玉を失ったことで暴走し、リサは更なる化け物へと変化することになるだろう。
 しかし、もう不死身ではなくなる為、それこそロケットランチャーでも撃ち込んで倒せば良い。

 リサ「多分、また角生えて来ると思うよ」
 愛原「そうなのか?」
 リサ「何となくそんな気がする。朝起きたら、生えてるかもね」
 愛原「戻るにしても、前回と同じぐらいで、しかも自由に引っ込めたりするといいな」
 リサ「ねー。……じゃあわたし、お風呂入って来る」
 愛原「ああ」
 リサ「角が無い方が、頭は洗いやすくていいんだけどね」
 愛原「そりゃそうだろ」
 リサ「……蓮華のヤツ、角生えてた?」
 愛原「あー……どうだったかな?」
 リサ「鬼の男も、わたしじゃなくて、蓮華と付き合えば良かったんだよ」
 愛原「その頃の蓮華は、まだ人間だったからな」

 まだ頭に若干の違和感があったリサだが、取りあえず元には戻れそうだった。
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