報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「3月は3月の風が吹く」

2024-02-25 15:13:03 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月1日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 夕食は全員で囲む。

 愛原「父さんからさっきメールがあって、お前達の婚姻届、保証人の所にサインしたそうだ」
 高橋「おおっ!マジっスか!?」
 愛原「ああ。返信用封筒に入れて送ったらしいから、まあ、普通郵便だな。仙台からここまで普通郵便だと、まあ、今週の金曜日に届けば御の字だろう」
 高橋「それは楽しみっスね!」
 リサ「先生、レイチェルからLINEが来て、BSAAの工兵部隊が直接見積もり取りに来たいってー」
 愛原「はあ!?」
 リサ「レイチェルの写真だけじゃ分からないからって」

 それって、BOWたるリサを直接見たいってだけの話では?

 リサ「民間企業より安くするってさ」
 高橋「それで手抜き工事されちゃたまりませんよ。ねぇ、先生?」
 愛原「そ、そうだな……」

 何しろ、軍隊が造るヤツだからなぁ……。

 愛原「でもまあ、せっかくの厚意だ。見積もりだけでも取ってもらおう」
 高橋「はあ……」
 リサ「分かった。じゃあ、レイチェルに連絡しておくね」
 愛原「まさか、いきなり明日なんてことは無いだろうな?」
 高橋「そこまで奴らも暇じゃないでしょう」
 愛原「だといいけどな」

 しかし、リサが再び受けた返信は……。

 リサ「明日でいいかだって」
 愛原「ブッ!……明日は気が早い!もっと後にしてくれ!だいたい、明日は別の内装工事会社が見積もり取りに来るんだから!」
 リサ「今週末にしてもらう?」
 愛原「そうしてくれ!」
 高橋「奴ら、暇なんスかね?」
 愛原「日本は平和だからなぁ……」
 高橋「栗原蓮華がまだ捕まってないのにですか?」
 愛原「あれを追うのは、BSAA日本地区本部隊の管轄で、北米支部は単なるアドバイザーだから」
 高橋「ですよね」
 愛原「だいたい、レイチェルも来てくれるのか?通訳頼まないと……」
 リサ「来てくれると思うけどね。だけど、案外あの人達、日本語ペラペラだよ。レイチェルもそうだけど」
 愛原「レイチェルは留学生として勉強しただけだろ?」
 リサ「いや……。今日の卒業式、片づけ手伝ってくれたBSAAのアメリカ人達、日本語ペラペラだった」
 愛原「何で!?」
 リサ「蓮華の襲撃に備えて警備に来たみたいなんだけど、結局来なかったから、暇だったんで片付け手伝ってくれたんだよ」
 愛原「軍服姿の軍人さん達に片付けのボランティア申し出られた高校も珍しいんだろうなぁ……」
 リサ「そうだねぇ……」

[3月4日10時00分 天候:曇 同地区 愛原家]

 約束通り、BSAA北米支部の工兵部隊が我が家にやってきた。
 軍用のジープに乗ってきたのは、4人。
 うち1人はレイチェルで、彼女もまた養成学校生の物なのか、BSAAのワッペンの付いた軍服を着ていた。
 他の3人とはデザインが違う為、養成学校生の物なのかと思った。
 ジープはアメリカ製の物だったが、BSAAのロゴマークが付いており、在日駐留米軍とはまた違う部隊であることを主張している。
 とはいえ、その基地を間借りし、人材も元軍人や現役軍人の出向という形を取っていることから、全く違うとは言い難い。

 愛原「本当に大丈夫かな?」
 高橋「余計壊したりしませんかね?」
 BSAA隊員A「日本のリサ・トレヴァーはどこだ?」
 BSAA隊員B「世界でも数少ない、『人間のような』BOWらしいが?」
 BSAA隊員C「アメリカにお持ち帰りしていいのか?」
 レイチェル「皆さん!今日はシャワールーム設置の見積もりを取りに来たんですよ!」

 私も外国語はよく分からないのだが、リサの名前が出て来たことから、やはり彼らの関心はリサにあるのだと分かった。

 リサ「わたしゃ上野動物園のパンダか」

 

 リサはダイニングで“鬼ころし”を飲みながら、その様子を見ていた。
 因みに、わざと鬼形態になっている。

 BSAA隊員A「Oh!Japanese Lisa Trevor!」

 リサを見つけて喜んでいた。
 どうも、アメリカのオリジナルのリサ・トレヴァーをイメージしていたようで、思いっ切りイメージの違うリサに驚く隊員もいた。
 向こうでは彷徨う化け物だったリサ・トレヴァーだったが、こっちでは鬼のような姿になっているので。

 BSAA隊員B「この角、本物か?」
 BSAA隊員C「本当に不死身なのか?」

 とか、興味深々だ。

 BSAA隊員A「Picture,ok?」

 と、ついに記念撮影まで始める隊員も。
 尚、善場主任からは、隊員達の好きにやらせるようにとのことだった。
 日本政府が強く口出しできない。
 やはり日本は敗戦国なのであり、アメリカは戦勝国なのである。
 それでも何故か、リサをアメリカに引き渡すような話は無い。
 Gウィルスの危険性は向こうの方が強く認識しており、核兵器よりも扱いが難しいとされる生物兵器を抱え込みたくないのが実情だ。
 本来なら戦勝国の圧力で、敗戦国の日本にこのリサを処分するよう迫っても良いのだが、何故かそうはいかない。

 リサ「おっけーおっけーよ」
 レイチェル「OK貰いました」
 隊員A「よし!レイチェル、撮ってくれ!」
 隊員B「スコット!抜け駆けすんな!」
 隊員C「ピーター、俺も入らせろ!」

 本当に見積もり取ってくれるんだろうか?
 ……という懸念は、一応杞憂に終わった。
 契約社会アメリカで生きて来た彼らは、こういう楽しみが終わった後は、ちゃんと契約通りの行動をする。

 隊員A「コンベックスだけじゃなくて、ちゃんとレーザーポインターで正確なサイズをキッチリ測らないとな!」
 レイチェル「寄宿舎にそんな便利な物無かったんですよ」

 基地から持ち出した最新式の機械でもって、正確なサイズを測る隊員達。
 他にも水道管やガス管の状態を確認していた。

 隊員B「新しいボイラー設置した方がいいんじゃないか?」
 隊員C「いや、設置するブースは1つだけだろ?だったら、このままで大丈夫だろ」
 隊員A「いや、水圧を考えると設置した方がいい」
 隊員B「しかし……」

 それまでと打って変わって、むしろ日本の内装工事会社よりも一生懸命現地調査してくれる隊員達。
 逆に、本当に安くしてくれるのか不安であった。

 レイチェル「ありがとうございました。それでは基地に持って帰って、正確な値段を算出してきます。それを踏まえた上で、民間企業より安くします」
 愛原「そ、それは助かるよ」

 何か、シャワールーム増設しようってだけで、軍隊が出張って来るほどの大事になっているような……?
 リサが住んでいるというだけで、これか。

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