[3月5日15時00分 天候:晴 東京都墨田区内某所 某チェーンストアー]
遅めの昼食を取ったリサ達は再び車に乗り込み、今度はスーパーに立ち寄った。
パール「今日はここで、お肉の特売をやっているんです。リサさん、今度はお肉が食べたいと思って」
リサ「さすがはメイドさん!後でエレンに、パールがいい仕事してくれたって伝えておくね!」
パール「リサ様……ありがとうございます」
人心掌握術を持っているリサであった。
愛原「ステーキにするのか?リサのは安いアメリカ産牛肉とかでいいぞ。サイズが大きくて安けりゃいいんだ」
リサ「先生!……でもまあ、ホント」
国産牛肉と比べて硬めの外国産牛肉であるが、リサの場合、硬い肉でも鋭い鬼の牙でガシガシ噛み砕いて食べてしまうのである。
カートに籠を乗せて、食品コーナーを突き進む。
???「愛原さん!」
そこへ若い男の声がした。
リサだけがこの声に聞き覚えがあった。
???「やっぱり愛原さんだ!偶然だね!」
リサ「あ、ああ……どうも」
リサは不快そうに眉を潜めた。
愛原「キミは誰だい?」
???「あ、どうも、愛原さんのお父さん!」
愛原「お父っ!?……なあ、高橋。俺、そんな歳に見える?」
高橋「おいテメ、コラ!先生に失礼だぞ!?」
リサ「わたしにも失礼だ!」
???「ひぃぃっ!す、すいません!」
高橋に胸倉を掴まれ、リサと同じ歳くらいの青少年は顔を真っ青にした。
愛原「高橋。ここで揉め事を起こすな」
高橋「さ、サーセン」
高橋はパッと青少年の胸倉を放した。
愛原もそんなに背は高くない(約165cm)が、青少年はそんな愛原よりも背が低かった。
リサ(約153cm)よりは高いが。
高橋は181cmあるので、見下ろす形となる。
愛原「それで、キミは誰ですか?」
???「申し遅れました!僕は愛原リサさんと同じクラスで、伊藤縁と言います!愛原さんとは懇意にさせて頂いております!」
リサ「ウソつけぇ!」
パール「あ、思い出した。麦茶のペッドボトルもセール中らしいので、買ってきます」
愛原「ああ、分かった」
高橋「伊藤園の麦茶だな」
伊藤「伊藤園じゃないです!伊藤縁(いとう・えん)です!」
リサ「似たようなもんだろ」
伊藤「ボクの店に買いに来てくれるなんて、やっぱり愛原さん……いや、リサさんはボクのこと……」
リサ「ンなわけねーだろ!キモい!!」
パールはじぃーっと伊藤を上から見下ろした。
パールもパールで身長170cm弱はあるので、伊藤を見下ろす形となる。
パール「うーん……もう少し痩せた方がいいです。BMIがやや高めと思われます。それと、あと身長15cmは必要でしょう。頑張ってください」
伊藤「なっ……!」
リサ「先生!他の店に行こう!まさか、こいつの店だなんて知らなかった!」
伊藤「この店だけじゃない!ペンギン堂は全国にチェーンを持つ大型ストア!僕はそこの御曹司なのさっ!」
愛原「東京中央学園に通う子弟の中では、比較的裕福な家の子だね」
リサ「だけど、エレンの所の大日本製薬には負ける?」
愛原「資本金、10億円くらい差が付いてるね」
伊藤「あんな、犯罪者の製薬会社と一緒にしないでくれ!リサさん!ボクと付き合えば、一生お金持ちだよ?」
リサ「…………」
リサは変な顔になった。
顔には、『何言ってんの、コイツ』と書かれていた。
リサ「先生、やっぱ他の店に行こう。ここでは買えない」
愛原「お、おい!もうカゴ一杯だぞ!」
伊藤「リサさんのお父さん、僕の一存で、ここの商品を全て無料にできますよ?」
愛原「ウッソ!?」
伊藤「何なら、この安いアメリカ産牛肉ステーキを、そこの近江牛霜降りステーキに交換することも可能……」
リサ「余計なことすんな!!」
リサはマスクを取ると鬼の牙を剥き出しにし、瞳を赤く光らせて伊藤を威嚇した。
耳も少し尖ったが、髪からはみ出るほどではないし、角も生えていない。
伊藤「うぎゃあああああああっ!!で、で、でで出たぁーっ!!けけ、け、警備員ーっ!!」
伊藤は持っていた笛をピィーッと吹いた。
その音色は甲高く、店内に響き渡る。
愛原「ば、バカッ、リサ!!」
高橋「先生、逃げましょう!!」
リサ達はカゴの商品をそのままに、店から慌てて飛び出したのだった。
そして、駐車場の車に飛び乗る。
愛原「クラスメートに正体がバレたじゃないか!どうするんだ!?」
リサ「後でミンチにして食い殺す。……マズそうだけど」
愛原「違うだろ!!」
愛原のゲンコツが飛んでくる。
だが、リサは愛原の体罰にはマゾヒストになってしまうのだった。
リサ「嗚呼っ
もっとブッてぇ……
」
リサは恍惚な顔になると、スカートの上から股間を押さえた。
高橋「先生がそいつを殴っても御褒美なだけです!後で俺がマグナム撃ち込んでおきますよ!」
愛原「それも意味が無いような気がするが……」
高橋は車を急発進させた。
警備員A「止まってー!!」
警備員B「待ってください!もうすぐ警察が……!」
駐車場の警備員達が笛を吹いたり、赤い誘導棒を振って、この車を止めようとする。
高橋「退けやコラぁーっ!!」
高橋は車のライトをハイビームにし、パッパーッと改造した電子クラクションを鳴らすと、警備員スレスレのところでハンドルを切って、彼らに接触することなくすり抜けた。
警備員A「うわっ!」
警備員B「ひいっ!」
警備員達は車を避ける為に転倒し、1人は被っていた制帽が地面に落ちた。
ケガが無いといいが……。
あと幸いなのは、警備会社が愛原の古巣の会社とは全くの別会社だったということだ。
愛原「高橋!オマエ、いつの間にリース車のクラクション改造したよ!?」
高橋「だ、大丈夫です!返却する時には、元に戻しますから!」
愛原「商用バンを改造すんな!」
リサ「あー、とんだ災難だった!」
愛原「リサも落ち着けよ。男が嫌いなのは分かるけど、リサは可愛いんだから、そりゃ言い寄る男もいるって」
リサ「わたしは先生一筋!以上!」
リサは腕組みをして足を組み、ふんぞり返って座っていた。
完全に機嫌を損ねており、鬼形態になっている。
愛原「どうするんだよ、今夜の夕食?」
パール「しょうがないので、近所のスーパーにしましょう。ただ、そこはお肉の特売はやっていませんが」
愛原「牛肉が高いんだろ?豚肉とか鶏肉はどうだ?」
パール「辛うじて、鶏肉はタイムセールをやる予定らしいです」
愛原「じゃあ、今夜はチキンでいいよ。リサもそれでいいな?半分は暴れたオマエのせいなんだから!」
リサ「分かってるよ!」
パール「かしこまりました」
高橋「まずは急いで家にズラかりましょう!それと先生!一応、善場のねーちゃんにも連絡しといた方がいいかもしれないっスよ?ガチでサツが追ってきたら、ちょっとヤバイっスから」
高橋はハンドルを握り、ルームミラー越しに愛原を見て言った。
愛原「それもそうだな」
愛原は自分のスマホを取った。
そして、揺れる車内の中、善場に連絡を取ったのだった。
遅めの昼食を取ったリサ達は再び車に乗り込み、今度はスーパーに立ち寄った。
パール「今日はここで、お肉の特売をやっているんです。リサさん、今度はお肉が食べたいと思って」
リサ「さすがはメイドさん!後でエレンに、パールがいい仕事してくれたって伝えておくね!」
パール「リサ様……ありがとうございます」
人心掌握術を持っているリサであった。
愛原「ステーキにするのか?リサのは安いアメリカ産牛肉とかでいいぞ。サイズが大きくて安けりゃいいんだ」
リサ「先生!……でもまあ、ホント」
国産牛肉と比べて硬めの外国産牛肉であるが、リサの場合、硬い肉でも鋭い鬼の牙でガシガシ噛み砕いて食べてしまうのである。
カートに籠を乗せて、食品コーナーを突き進む。
???「愛原さん!」
そこへ若い男の声がした。
リサだけがこの声に聞き覚えがあった。
???「やっぱり愛原さんだ!偶然だね!」
リサ「あ、ああ……どうも」
リサは不快そうに眉を潜めた。
愛原「キミは誰だい?」
???「あ、どうも、愛原さんのお父さん!」
愛原「お父っ!?……なあ、高橋。俺、そんな歳に見える?」
高橋「おいテメ、コラ!先生に失礼だぞ!?」
リサ「わたしにも失礼だ!」
???「ひぃぃっ!す、すいません!」
高橋に胸倉を掴まれ、リサと同じ歳くらいの青少年は顔を真っ青にした。
愛原「高橋。ここで揉め事を起こすな」
高橋「さ、サーセン」
高橋はパッと青少年の胸倉を放した。
愛原もそんなに背は高くない(約165cm)が、青少年はそんな愛原よりも背が低かった。
リサ(約153cm)よりは高いが。
高橋は181cmあるので、見下ろす形となる。
愛原「それで、キミは誰ですか?」
???「申し遅れました!僕は愛原リサさんと同じクラスで、伊藤縁と言います!愛原さんとは懇意にさせて頂いております!」
リサ「ウソつけぇ!」
パール「あ、思い出した。麦茶のペッドボトルもセール中らしいので、買ってきます」
愛原「ああ、分かった」
高橋「伊藤園の麦茶だな」
伊藤「伊藤園じゃないです!伊藤縁(いとう・えん)です!」
リサ「似たようなもんだろ」
伊藤「ボクの店に買いに来てくれるなんて、やっぱり愛原さん……いや、リサさんはボクのこと……」
リサ「ンなわけねーだろ!キモい!!」
パールはじぃーっと伊藤を上から見下ろした。
パールもパールで身長170cm弱はあるので、伊藤を見下ろす形となる。
パール「うーん……もう少し痩せた方がいいです。BMIがやや高めと思われます。それと、あと身長15cmは必要でしょう。頑張ってください」
伊藤「なっ……!」
リサ「先生!他の店に行こう!まさか、こいつの店だなんて知らなかった!」
伊藤「この店だけじゃない!ペンギン堂は全国にチェーンを持つ大型ストア!僕はそこの御曹司なのさっ!」
愛原「東京中央学園に通う子弟の中では、比較的裕福な家の子だね」
リサ「だけど、エレンの所の大日本製薬には負ける?」
愛原「資本金、10億円くらい差が付いてるね」
伊藤「あんな、犯罪者の製薬会社と一緒にしないでくれ!リサさん!ボクと付き合えば、一生お金持ちだよ?」
リサ「…………」
リサは変な顔になった。
顔には、『何言ってんの、コイツ』と書かれていた。
リサ「先生、やっぱ他の店に行こう。ここでは買えない」
愛原「お、おい!もうカゴ一杯だぞ!」
伊藤「リサさんのお父さん、僕の一存で、ここの商品を全て無料にできますよ?」
愛原「ウッソ!?」
伊藤「何なら、この安いアメリカ産牛肉ステーキを、そこの近江牛霜降りステーキに交換することも可能……」
リサ「余計なことすんな!!」
リサはマスクを取ると鬼の牙を剥き出しにし、瞳を赤く光らせて伊藤を威嚇した。
耳も少し尖ったが、髪からはみ出るほどではないし、角も生えていない。
伊藤「うぎゃあああああああっ!!で、で、でで出たぁーっ!!けけ、け、警備員ーっ!!」
伊藤は持っていた笛をピィーッと吹いた。
その音色は甲高く、店内に響き渡る。
愛原「ば、バカッ、リサ!!」
高橋「先生、逃げましょう!!」
リサ達はカゴの商品をそのままに、店から慌てて飛び出したのだった。
そして、駐車場の車に飛び乗る。
愛原「クラスメートに正体がバレたじゃないか!どうするんだ!?」
リサ「後でミンチにして食い殺す。……マズそうだけど」
愛原「違うだろ!!」
愛原のゲンコツが飛んでくる。
だが、リサは愛原の体罰にはマゾヒストになってしまうのだった。
リサ「嗚呼っ


リサは恍惚な顔になると、スカートの上から股間を押さえた。
高橋「先生がそいつを殴っても御褒美なだけです!後で俺がマグナム撃ち込んでおきますよ!」
愛原「それも意味が無いような気がするが……」
高橋は車を急発進させた。
警備員A「止まってー!!」
警備員B「待ってください!もうすぐ警察が……!」
駐車場の警備員達が笛を吹いたり、赤い誘導棒を振って、この車を止めようとする。
高橋「退けやコラぁーっ!!」
高橋は車のライトをハイビームにし、パッパーッと改造した電子クラクションを鳴らすと、警備員スレスレのところでハンドルを切って、彼らに接触することなくすり抜けた。
警備員A「うわっ!」
警備員B「ひいっ!」
警備員達は車を避ける為に転倒し、1人は被っていた制帽が地面に落ちた。
ケガが無いといいが……。
あと幸いなのは、警備会社が愛原の古巣の会社とは全くの別会社だったということだ。
愛原「高橋!オマエ、いつの間にリース車のクラクション改造したよ!?」
高橋「だ、大丈夫です!返却する時には、元に戻しますから!」
愛原「商用バンを改造すんな!」
リサ「あー、とんだ災難だった!」
愛原「リサも落ち着けよ。男が嫌いなのは分かるけど、リサは可愛いんだから、そりゃ言い寄る男もいるって」
リサ「わたしは先生一筋!以上!」
リサは腕組みをして足を組み、ふんぞり返って座っていた。
完全に機嫌を損ねており、鬼形態になっている。
愛原「どうするんだよ、今夜の夕食?」
パール「しょうがないので、近所のスーパーにしましょう。ただ、そこはお肉の特売はやっていませんが」
愛原「牛肉が高いんだろ?豚肉とか鶏肉はどうだ?」
パール「辛うじて、鶏肉はタイムセールをやる予定らしいです」
愛原「じゃあ、今夜はチキンでいいよ。リサもそれでいいな?半分は暴れたオマエのせいなんだから!」
リサ「分かってるよ!」
パール「かしこまりました」
高橋「まずは急いで家にズラかりましょう!それと先生!一応、善場のねーちゃんにも連絡しといた方がいいかもしれないっスよ?ガチでサツが追ってきたら、ちょっとヤバイっスから」
高橋はハンドルを握り、ルームミラー越しに愛原を見て言った。
愛原「それもそうだな」
愛原は自分のスマホを取った。
そして、揺れる車内の中、善場に連絡を取ったのだった。