[2月26日13時15分 天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原家1階リビング]
愛原母「リサちゃん、東京に帰る前に、汚れ物洗濯してあげるから出して」
リサ「えっ、いいんですか!?」
母「女の子は、着替えが多いからね。そこの迷彩柄のあなたも」
パール「は、はあ……」
母親がそんなことを話している。
まあ、男は換えのパンツさえあればいいなんて言うが……。
実際、パンツとシャツと靴下くらいしか換えていない。
母「学とそこのお兄さんも、汚れた下着、ついでに洗濯しておくから」
高橋「ま、マジっスか!?ガチで実家に帰って来た感マックスっス!」
学「俺、まだお前の新潟の実家に行ったことないんだけどな?」
高橋「じ、時期が来たらご案内しまっス。ま、まあ、来ない方が先生には幸せかと……」
パール「マサ!」
高橋「おっと……」
学「はあ?」
時々高橋も変なこと言うなぁ……。
私が首を傾げていると、リサが寄って来た。
どうやら洗濯して欲しいものを、母親に渡したようである。
リサ「わたしの下着、全部洗濯してもらっちゃうけど、いいかな?1枚くらい、洗濯前のヤツを先生にあげても……いいよ?」
学「別に今ここでもらうことじゃないさ。どうせいつも1つ屋根の下で暮らしてるんだからさ」
リサ「そうなんだけど、東京の家だといつも過ぎて、そんな気が起こらないんだよ」
学「あー、なるほど。日常過ぎるもんな」
リサ「そう」
学「だけど、心配無いから。お前もゆっくり寛いでていいんだよ」
リサ「わたしは先生の横が1番落ち着く」
そう言ってリサは、私の隣のソファに座った。
学「ああ、そうかい」
リサ「で、伯父さんの手紙、何て書いてあったの?」
学「『捜査機関がやってきた。巻き込んでしまって、申し訳ない』とか、『これ以上、迷惑を掛けられないので、旅に出ます』とか書いてある」
リサ「またどこかで会えそうだねぇ……」
リサは身を乗り出して、手紙を覗き込んだ。
今のリサは人間形態をしている為、角は生えていないし、耳も長く尖ったりはしていない。
学「そうだな。『尚、詫びの品として、知り合いの千葉県の酪農家が育てた黒毛和牛のステーキ肉を融通してもらった。好きに食べてくれ』?はあ!?」
リサ「ステーキ肉……!」🤤
と、そこへインターホンが鳴った。
学「はいはい!」
インターホンの近くにいるのは私なので、私が出た。
学「はい、愛原です」
配達員「こんにちはー!郵便局でーす!」
学「はーい!どうぞー!」
私はハンコを持って玄関に向かった。
配達員「冷凍ゆうパックです!」
学「どうもお疲れ様です」
私は伝票にハンコを押した。
冷凍ゆうパックということから、何となく予感はしていたのだが、差出人はやはり伯父さんだった。
もう千葉に移動したのか。
ってか、今度の隠れ家は千葉県なのか!?
リサ「血の滴る肉の匂い……」
学「箱の中に入ってるのに分かるのか!?」
リサ「鬼の嗅覚、ナメちゃダメだよ」
高橋「犬の間違いじゃねーか?」
リサ「鬼だよ!」
リサは牙を剥き出しにして高橋に反論した。
学「とにかく、箱を開けてみよう」
何かまた手紙でも同封されていないかと思ったが、そんなことは無かった。
千葉県の酪農家の名前か書かれた、牛肉が詰まれた袋が入っているだけだった。
母「まあ!公一伯父さんから!?」
学「そうなんだ。今度は千葉県だって」
母「あの人も、色々と人脈があるのねぇ……」
父「歳に似合わず、色々と歩き回ってるからな。大学教授を引退したというのに、未だに人脈があるのはそのせいだよ」
学「どうするの?」
父「デカい肉だな。こりゃ、1枚300グラムはあるぞ?」
リサ「300かぁ……」
リサは少しがっかりしたような顔をした。
いやいや!ステーキを出すレストランでも、300グラムはなかなかデカい方だぞ!?
母「私はそんなに食べれないわ。半分の150グラムで十分よ」
父「私も200がせいぜいだな。お前達で、食べてくれ」
リサ「ありがとうございますぅ!」
学「俺もこの300がマックスだから、父さん達が食べない分はリサにあげて」
リサは増えた肉に大歓喜だった。
父「一体、どこから送られてきた?」
学「千葉だね。千葉にもそういえば牧場があるなぁ……」
父「うむ。千葉の黒毛和牛は有名だからな。……まさか、その有名ブランドの肉を寄こしてきたのか?」
学「そうかもしれない」
父「ま、まあ、きっと等級落ちして安くなった肉を譲ってくれたのだろう。伯父さんに会う機会があったら、お礼を言っときなさい」
学「分かってるよ」
母「じゃあ、今夜はステーキね。あと、牛タンもあるから」
学「いつの間に?」
母「あんた達が来る前、生協で買って来たのよ。冷凍してあるから、賞味期限も大丈夫よ」
東京では高級食材の牛タンも、仙台では生協で買えるレベル。
学「ん?」
そこで私はふと思いついた。
帰省最初の夜はすき焼きで、肉はやはり伯父さんが知り合いから融通してくれたという仙台牛の切り落としであった。
切り落としとはいえ、すき焼きの肉にするには十分な量だったし、元々がブランド牛の肉だったから美味かった。
そんな伯父さんは、仙台のこの実家の地下室に隠れていたのだ。
それが今は、千葉……。
何か、法則があるような気がしてならない。
私は箱に付いていた伝票を剥がすと、それを写真に撮り、善場主任に送った。
今日は日曜日なので、さすがに主任も休みだろうから。
……と思ったが、意外と早く返信が来た。
善場「連絡ありがとうございます。こちらで差出人の住所を調べたところ、南房総市内のホテルであることが分かりました。恐らく今はいないでしょうが、公一容疑者は南房総市内に潜伏していると思われます。有益な情報であった場合、報奨金をお支払い致します。ありがとうございました」
という内容のものだった。
もう調べたのか。
早いな。
もっとも、グーグル先生でも使えば一発か。
恐らく今はいないだろうが、BSAA出動案件というわけだな。
千葉県は見た目、袋小路な形をしているが、今は成田空港もあるし、外洋に出る港もあるから、けして行き止まりの県というわけではない。
私としては、それらの交通機関を使って、また他県に避難しているのではないかと思った。
愛原母「リサちゃん、東京に帰る前に、汚れ物洗濯してあげるから出して」
リサ「えっ、いいんですか!?」
母「女の子は、着替えが多いからね。そこの迷彩柄のあなたも」
パール「は、はあ……」
母親がそんなことを話している。
まあ、男は換えのパンツさえあればいいなんて言うが……。
実際、パンツとシャツと靴下くらいしか換えていない。
母「学とそこのお兄さんも、汚れた下着、ついでに洗濯しておくから」
高橋「ま、マジっスか!?ガチで実家に帰って来た感マックスっス!」
学「俺、まだお前の新潟の実家に行ったことないんだけどな?」
高橋「じ、時期が来たらご案内しまっス。ま、まあ、来ない方が先生には幸せかと……」
パール「マサ!」
高橋「おっと……」
学「はあ?」
時々高橋も変なこと言うなぁ……。
私が首を傾げていると、リサが寄って来た。
どうやら洗濯して欲しいものを、母親に渡したようである。
リサ「わたしの下着、全部洗濯してもらっちゃうけど、いいかな?1枚くらい、洗濯前のヤツを先生にあげても……いいよ?」
学「別に今ここでもらうことじゃないさ。どうせいつも1つ屋根の下で暮らしてるんだからさ」
リサ「そうなんだけど、東京の家だといつも過ぎて、そんな気が起こらないんだよ」
学「あー、なるほど。日常過ぎるもんな」
リサ「そう」
学「だけど、心配無いから。お前もゆっくり寛いでていいんだよ」
リサ「わたしは先生の横が1番落ち着く」
そう言ってリサは、私の隣のソファに座った。
学「ああ、そうかい」
リサ「で、伯父さんの手紙、何て書いてあったの?」
学「『捜査機関がやってきた。巻き込んでしまって、申し訳ない』とか、『これ以上、迷惑を掛けられないので、旅に出ます』とか書いてある」
リサ「またどこかで会えそうだねぇ……」
リサは身を乗り出して、手紙を覗き込んだ。
今のリサは人間形態をしている為、角は生えていないし、耳も長く尖ったりはしていない。
学「そうだな。『尚、詫びの品として、知り合いの千葉県の酪農家が育てた黒毛和牛のステーキ肉を融通してもらった。好きに食べてくれ』?はあ!?」
リサ「ステーキ肉……!」🤤
と、そこへインターホンが鳴った。
学「はいはい!」
インターホンの近くにいるのは私なので、私が出た。
学「はい、愛原です」
配達員「こんにちはー!郵便局でーす!」
学「はーい!どうぞー!」
私はハンコを持って玄関に向かった。
配達員「冷凍ゆうパックです!」
学「どうもお疲れ様です」
私は伝票にハンコを押した。
冷凍ゆうパックということから、何となく予感はしていたのだが、差出人はやはり伯父さんだった。
もう千葉に移動したのか。
ってか、今度の隠れ家は千葉県なのか!?
リサ「血の滴る肉の匂い……」
学「箱の中に入ってるのに分かるのか!?」
リサ「鬼の嗅覚、ナメちゃダメだよ」
高橋「犬の間違いじゃねーか?」
リサ「鬼だよ!」
リサは牙を剥き出しにして高橋に反論した。
学「とにかく、箱を開けてみよう」
何かまた手紙でも同封されていないかと思ったが、そんなことは無かった。
千葉県の酪農家の名前か書かれた、牛肉が詰まれた袋が入っているだけだった。
母「まあ!公一伯父さんから!?」
学「そうなんだ。今度は千葉県だって」
母「あの人も、色々と人脈があるのねぇ……」
父「歳に似合わず、色々と歩き回ってるからな。大学教授を引退したというのに、未だに人脈があるのはそのせいだよ」
学「どうするの?」
父「デカい肉だな。こりゃ、1枚300グラムはあるぞ?」
リサ「300かぁ……」
リサは少しがっかりしたような顔をした。
いやいや!ステーキを出すレストランでも、300グラムはなかなかデカい方だぞ!?
母「私はそんなに食べれないわ。半分の150グラムで十分よ」
父「私も200がせいぜいだな。お前達で、食べてくれ」
リサ「ありがとうございますぅ!」
学「俺もこの300がマックスだから、父さん達が食べない分はリサにあげて」
リサは増えた肉に大歓喜だった。
父「一体、どこから送られてきた?」
学「千葉だね。千葉にもそういえば牧場があるなぁ……」
父「うむ。千葉の黒毛和牛は有名だからな。……まさか、その有名ブランドの肉を寄こしてきたのか?」
学「そうかもしれない」
父「ま、まあ、きっと等級落ちして安くなった肉を譲ってくれたのだろう。伯父さんに会う機会があったら、お礼を言っときなさい」
学「分かってるよ」
母「じゃあ、今夜はステーキね。あと、牛タンもあるから」
学「いつの間に?」
母「あんた達が来る前、生協で買って来たのよ。冷凍してあるから、賞味期限も大丈夫よ」
東京では高級食材の牛タンも、仙台では生協で買えるレベル。
学「ん?」
そこで私はふと思いついた。
帰省最初の夜はすき焼きで、肉はやはり伯父さんが知り合いから融通してくれたという仙台牛の切り落としであった。
切り落としとはいえ、すき焼きの肉にするには十分な量だったし、元々がブランド牛の肉だったから美味かった。
そんな伯父さんは、仙台のこの実家の地下室に隠れていたのだ。
それが今は、千葉……。
何か、法則があるような気がしてならない。
私は箱に付いていた伝票を剥がすと、それを写真に撮り、善場主任に送った。
今日は日曜日なので、さすがに主任も休みだろうから。
……と思ったが、意外と早く返信が来た。
善場「連絡ありがとうございます。こちらで差出人の住所を調べたところ、南房総市内のホテルであることが分かりました。恐らく今はいないでしょうが、公一容疑者は南房総市内に潜伏していると思われます。有益な情報であった場合、報奨金をお支払い致します。ありがとうございました」
という内容のものだった。
もう調べたのか。
早いな。
もっとも、グーグル先生でも使えば一発か。
恐らく今はいないだろうが、BSAA出動案件というわけだな。
千葉県は見た目、袋小路な形をしているが、今は成田空港もあるし、外洋に出る港もあるから、けして行き止まりの県というわけではない。
私としては、それらの交通機関を使って、また他県に避難しているのではないかと思った。