報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「満月の鬼」

2024-02-28 20:31:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日02時46分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・リサの部屋]

 リサ「ん……?」

 リサはふと夜中に目が覚めた。
 別に変な夢を見たわけではないのだが、変な寝苦しさを憶えたのだ。

 リサ「んん……」

 リサはトイレに行こうと部屋を出た。
 ドアを開けると、真っ暗な廊下がある。
 リサはそこを照明を点けずに進んだ。
 今のリサは鬼形態なので、暗闇でも見えるのである。
 但し、瞳は赤くボウッと暗闇に浮かんでいることだろう。
 さすがに、トイレの照明は点ける。
 そこも照明を点けずに用を足していたら、以前鉢合わせになった愛原を驚かせてしまったので、さすがにトイレの照明は点けるようにしていた。
 ただ、リサにとっては大変眩しく、目を細めなくてはならなかったが。

 リサ「ふーん……」

 トイレから出た後、階段の所にある窓を見ると、窓からはだいぶ明るい月明りが差し込んできた。
 窓から外を見ると、それは満月だった。

 リサ「……!!」

 リサは何とも言えぬ高揚感を掻き立てられた。
 と、そこへ突然、食人衝動が沸き起こる。

 リサ「ウゥ……」

 視線の先には、愛原の部屋のドアがある。
 右手だけでパキッと骨を鳴らすと、爪を長く鋭く伸ばした。

 リサ「……って、ダメダメダメ!」

 ドアを蹴破ろうとした時、リサは正気に戻った。

 リサ「ううっ!」

 そして階段を駆け下り、キッチンに保管されている“鬼ころし”を開ける。
 それを飲むと、酔いが回って来るものの、食人衝動は失せて行った。

 リサ「そ、そういえば、樽1個分飲もうとしていた鬼がいたな……」

 全く夢を見なかったわけではなく、僅かに夢は見ており、どこかの日本屋敷を歩いていた夢だ。
 屋敷には人間はおらず、廊下や部屋には時折一張羅の男の鬼がいただけだったが、鬼化しているリサを見ても、何もしてこなかった。
 そして、ある部屋に入ると、女の鬼がいて……。

 

 こんな感じで“鬼ころし”を飲んでいた。
 リサが、『何をしているのか』問うと、リサと大して年恰好の変わらぬ鬼の女は、『酒を飲んでいるのだ』と答えた。
 いやもちろん、見れば分かる。
 どうして、そういう飲み方をしているのか聞いたまでだ。
 『医者に酒は1日一杯までと言われたから』とのこと。
 いや、違う、そうじゃないとリサは思った。
 そこで目が覚めたのである。
 鬼の常識は、人間の非常識なのだろうと改めて思った。
 そして、人間と鬼の両方を行き来できるリサだからこそ、ツッコミが入れられたのだろうと。

 リサ「もう寝よう」

 リサは“鬼ころし”1パックを空けると、自分の部屋に戻った。
 最後に夜風を浴びて、酔いを醒ますことにする。

 リサ「ん?」

 なるべく満月は見ないようにしながら窓を開けて、冷たい夜風に当たっていると、何だか変な予感がした。
 風は西から東に向かって吹いているように見える。
 その風に向かって、鬼の臭いがしたような気がしたのだ。
 まさか、この近くに鬼がいるのだろうか。
 愛原の血肉を狙っているのなら、全力で阻止しなくてはならない。
 鬼同士の戦いなど不毛なことこの上ないが、大事な“獲物”を取られては元も子もないのである。

 リサ「気のせいかなぁ……?」

 リサは窓を閉めて鍵を掛け、カーテンを閉めた。
 そして、再びベッドに入ったのだった。

[同日08時00分 天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校2年5組]

 翌朝になり、リサは学校は登校した。
 もちろん、昨夜に食人衝動が起きて、それを防ぐ為に“鬼ころし”を1パック飲んだことは愛原に報告した。
 その理由が満月を見たからと話すと、愛原は一応納得してくれたが、高橋からは、『狼男かよw』とイジられた。
 因みに2度寝した後、もう1度夢を見て、樽酒の“鬼ころし”を飲んでいた鬼女が現れた。
 そして、『人を食わない鬼も珍しいねぇ』と、珍しがられた。

 淀橋「作戦通り、『魔王軍』メンバーを10人くらい連れて来たよ」
 リサ「ありがとう。イトーエンが来たら、ヨドバシとコジマ、そしてレイチェルも含めて、皆で取り囲むんだ」
 レイチェル「わ、私もですか?私はマオーグンではないですが……」
 リサ「協力してくれたら、また愛原先生に頼んで、焼き鳥屋に連れて行ってあげる!」
 レイチェル「そういうことなら。でも、私は何も言えませんよ?」
 リサ「それでいい。レイチェルは後ろから圧掛けてくれればそれでいいから」
 淀橋「ついでに、マシンガンとかショットガン構えてたら?イスラムの武装テロ組織の犯行声明ビデオみたいにw」
 小島「『ジハード!』『神は偉大なり!』『十字軍どもにアッラーの制裁を!』って?w」
 レイチェル「ややもすると、私がその『十字軍』扱いされる側なんですけどねぇ……」
 小島「あっ、ごめんなさい!」
 リサ「それしても、あいつ、遅いな……」

 リサは伊藤縁の机を見た。
 しかし、彼が登校してくる様子は無かった。
 そして、ついに朝の全体朝礼開始の予鈴が鳴ってしまう。

 淀橋「あいつ、遅刻かな?」
 リサ「くそっ!」
 小島「しょうがない。一旦解散して、体育館に行こう。逆に私達が遅刻になっちゃうよ」
 淀橋「作戦の立て直しが必要みたいだね」
 リサ「うう……!」

[同日09時00分 天候:曇 同高校 2年5組]

 体育館における全体朝礼が終わった。
 3年生はもう卒業してしまったので、1年生と2年生だけの朝礼となった。
 教室に戻るが、伊藤縁の姿は無かった。

 坂上「伊藤!伊藤縁はいないのか?」

 担任の坂上修一にも欠席の連絡が来ていないらしい。

 淀橋「何だアイツ?サボりか?」
 小島「リサに振られたことが、よっぽどショックだったんじゃない?」
 リサ「わたしのせいなのか?」
 小島「い、いや、そういうことじゃなくって……」
 坂上「ん?愛原は何か知ってるのか?」
 リサ「い、いえ!別に、何も……」

 そこへ、副担任の倉田恵美がやってきた。
 何を隠そうこの2人、この学園のOB・OGどころか、学年も同じだったのである。
 クラスは違ったようだが……。

 倉田「坂上先生、伊藤君の家に電話してみて、ようやく本人が出ました」
 坂上「本人が?何だって?」
 倉田「体の具合が悪いので、今日は休むとのことです」
 坂上「何だ、そうだったのか」
 男子生徒「イトーのヤツ、仮病っスか、先生?」
 倉田「いや、電話に出た限り、とても具合が悪そうだったから、本当だと思うよ」
 男子生徒「へー……」
 淀橋「やっぱり、魔王様にフラれて大ショックだったんじゃない?」
 リサ「いや、だから、わたしのせいじゃないって」
 坂上「とにかく、授業を始めるぞ!教科書開いて!」

 伊藤縁が病欠だと分かったことで、一応の解決扱いとなり、授業が始められた。
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“愛原リサの日常” 「動き出す栗原蓮華」

2024-02-28 15:21:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月5日18時00分 天候:晴 東京都板橋区常盤台 伊藤家]

 板橋区の中でも屈指の高級住宅街、常盤台。
 この住宅地に大きな一軒家を構える伊藤家。
 ここに伊藤縁は住んでいる。

 母親「今日は縁ちゃんの大好きなフォア・グラよ」
 縁「はー……」
 母親「どうしたの?さっきから溜め息ばかりついて。何かあったの?」
 縁「食べたくない……」
 母親「えっ?」
 縁「ママ!ボク、フォアグラよりもっと食べたいものがあるんだ」
 母親「まあ、そうだったの!それだったら先に言ってくれたら良かったのに!どうして言わなかったの?」
 縁「だって、それ、ママにも作れないものだからなんだ」
 母親「まあ。主婦にして調理師免許も持っているママにも作れないものなんてあるの?分かったわ。パパに頼んで、縁ちゃんの食べたい物を作れるシェフを探して連れて来てもらうわ。言って。何が食べたいの?」
 縁「違うんだ、ママ」
 母親「何が違うの?」
 縁「ボクが食べたいのは、料理じゃないんだ。……いや、もうこの際、料理にして食べちゃいたいくらいなんだ!」
 母親「だから、何が食べたいの?」
 縁「ボク、愛原さんが食べたいんだ」
 母親「ええっ!?愛原さんって、同じクラスのちょっと変わった女の子の?」
 縁「うん!ボク、愛原さんが食べたくてしょうがないんだ。愛原さんの事を考えると、ママの作ってくれるどんな料理も食べれなくなっちゃうんだ!」
 母親「……縁ちゃん」
 縁「ママ!パパに頼んで、愛原さんをここに連れて来てくれないかな?どんな手を使ってもいい!もう監禁して食べたいくらいなんだ!」
 母親「……明日、病院に行きましょ。学校にはママから連絡しておくし、病院も探しておくから」
 縁「ママ!?」
 母親「運転手の田中に、明日は縁ちゃんを学校じゃなく、病院に連れて行くよう言っておきますからね」
 縁「ママ!何てこと言うんだ!?それじゃまるでボク、頭がおかしくなったみたいじゃないか!」
 母親「そうね。学校で色々あったのね。イジメられてるの?」
 縁「違うよ!ボクは本当に愛原さんを食べたいだけなんだ!」
 母親「……今日は早く寝なさい。パパも忙しくて、今夜は遅くなるみたいだから。江戸川の店舗で、何か騒ぎがあったみたいでね」
 縁「あれはボクが悪かったんだ!ボクがいきなり現れたものだから、愛原さんがビックリして……!」
 母親「でも、警察沙汰になったのだから、縁ちゃんと愛原さんを会わせるわけにはいかにないわね。縁ちゃんの教育に悪いわ」
 縁「そんな、ママ!?」
 母親「縁ちゃんは来年度からアメリカ留学が待っているんだから、いま女の子にうつつを抜かしている場合じゃないのよ?」
 縁「アメリカなんて行きたくない!」
 母親「何てことを言うの!?せっかくパパがアメリカ法人のCEOに話をしてくれて、CEOが懇意にしているハイスクールの校長先生に話をつけて、縁ちゃんの留学が実現したというのに!」
 縁「ママなんて、嫌いだぁーっ!」
 母親「縁ちゃん!?」

 縁はダイニングを飛び出すと、自室に飛び込んで行った。

[同日同時刻 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 パール「ペンギン堂南砂店で安い牛肉が買えなかったので、今日は近所のスーパーで辛うじて安く買えたチキンです」
 リサ「おー!チキンステーキ!激辛!?」
 パール「辛さの調整は、そこのスパイスなどで御自由に調整なさってください」
 愛原「いや、こういうのでいいんだよ、こういうので」

 リサは肉が食べられれば、それで良いようである。

 リサ「うっ……」
 愛原「どうした、リサ?」
 リサ「いやあ……何かさっきから寒気か……」
 愛原「おいおい。鬼型BOWともあろうリサが、風邪か?」
 リサ「いや、別に風邪っぽくは無いんだけど……」
 高橋「先生、御冗談を。リサのウィルスや特異菌からしてみりゃ、風邪のウィルスなんておやつ同然ですぜ?」
 愛原「そ、それもそうだな」
 リサ「何だろうねぇ……。どこかで呪いを掛けられてる感じがする……」
 愛原「むしろ呪いを掛ける側の鬼が掛けられるとか……」
 リサ「鬼に戻れば、大丈夫かな。……よっと」

 リサは人間形態から鬼形態に戻った。
 前頭部左右から2本の角が生える。

 リサ「まあ、これなら何とか……」
 愛原「一応、後で“鬼ころし”も飲んどけよ」
 リサ「分かったよ。“鬼ころし”は一杯だけ?」
 愛原「一杯というか、紙パック1個分だ」

 リサの人間としての年齢は17歳だから、未成年飲酒になってしまうのだが、何故か“鬼ころし”を飲むと暴走が抑制される為、“鬼ころし”の紙パック1個分だけは黙認されていた。
 “鬼ころし”だけ何か特別な成分が入っているわけでもないのに、どうしてそれだけが抑制効果があるのかは不明だ。
 恐らく、ネーミングによる暗示ではないかと言われている。

 高橋「それにしても先生、江戸川区のスーパーの件、善場のねーちゃんが揉み消してくれて良かったですね」
 愛原「日曜日なのに、申し訳ないことをしてしまった。明日は菓子折り持って、詫びに行くぞ。また、車出してくれ」
 高橋「デイライトの事務所っスね。了解っス」
 愛原「それと、ペンギン堂さんな」
 高橋「えっ!?」
 愛原「『リサが暴れて申し訳ありませんでした』って、向こうの店長さんに謝りに行かないと」
 リサ「あれは縁のゴミ野郎が……!」
 愛原「汚い言葉を使うな、リサ!!」
 リサ「……っ!」
 愛原「本当はお前を直接連れて行きたいところだが、明日は学校がある。伊藤君も来るだろうから、お前からも話ししておけよ」
 リサ「あんな奴に謝りたくないなぁ……」

 その気持ちは高橋も同じだったのか、見かねた高橋がそっと耳打ち。

 高橋「リサ。そういう時はな、仲間引き連れて、謝罪相手をグルリと取り囲み、外堀と逃げ場を分捕った状態で、『サーセンした』って言っておきゃいいんだよ」
 リサ「おー!そうか!」
 愛原「ヤクザの謝罪か!」

[同日22時00分 天候:晴 東京都板橋区常盤台 伊藤家・縁の自室]

 縁「ハァハァ……ハァハァ……」(*´Д`)

 縁、下半身裸の状態でベッドに横たわる。
 視線の先には、学校で隠し撮りしたと思われるリサのパンチラ写真。
 恐らく、ブルマもスパッツも穿き忘れた状態で登校した時に撮影したものだろう。
 その生写真はオ○ニー用に何十枚も焼き増しされており、そのうちの1枚を『使用中』だ。

 縁「ハァハァ……ハァハァ……」(;゚∀゚)=3

 更に別の写真は、リサの体操服にブルマ姿を撮影した物だった。
 これはリサと『魔王軍』が、ブルマ復活運動の一環で穿いていた時に撮影したものだ。
 ちょうどリサが足を開いて体育座りしていたところを、上手く撮影できた。
 それらの写真をオカズに、縁はオ○ニーに興じた。

 縁「ハァァァッ!」(*´▽`*)

 そして、大量の精液をリサの生写真にぶちまけた。

 縁「はぁ……はぁ……リサさん……」
 ???「よっぽどその女の事が好きみたいだねぇ?」
 縁「うわっ!?」

 突然、窓の方から女の声がした。
 ドアはもちろん、窓も鍵を掛けておいたはずだが!?

 栗原蓮華「なに鳩が豆鉄砲を食ったような顔してんの、変態野郎」

 そこにいたのは、月明りを背に銀髪をポニーテールにした女。
 何故か東京中央学園の制服を着ているが、ブレザーは着ておらず、しかも着ているのは夏服だ。

 縁「だ、誰だ!?」
 蓮華「私は恋のキューピット。その女と一緒になれるようにしてやろうか?私の言う事を聞いたら、その願いは叶うよ?」
 縁「……!」
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