報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「温泉での一夜」

2024-02-06 20:30:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月25日20時30分 天候:雪 宮城県仙台市青葉区作並元木 鷹泉閣岩松旅館・大浴場]

 リサ「先生!混浴岩風呂があるよ!?」

 リサは鼻息を荒くして愛原に迫った。
 危うく角が一瞬生えたところだが、愛原の母親がリサの髪を結い上げてくれたおかげで、角はその中に隠れた。
 リサは基本おかっぱ頭だが、今は少し髪が伸びており、毛先が肩甲骨に掛かるほど。
 髪の伸び方は、人間より遅い。
 そろそろ切りに行かないと、とは思う。
 散髪は年に1~2回で良い。
 それくらい髪の伸び方は遅い。
 その理由は、未だに不明である。
 鬼型BOWのリサは、人間の常識では考えていけないのだ。

 愛原「残念だ。21時までは女性専用だって。あと30分はある」
 リサ「むー……」
 愛原「リサは入っていいんだよ」
 リサ「先生と一緒じゃなきゃイヤ!」
 パール「今は別のお風呂に入って、30分後、一緒に入りますか?」
 リサ「その手があった!」

 と、そこへリサ達の横を通り過ぎる20代の浴衣美女達。

 美女A「やだァ!ここ混浴なのォ!?」
 美女B「でも21時までは女性専用だってよ。だから今のうちだよ!」
 美女C「そっか。よし!ソッコー入ろう!」
 パール「うるさい連中だ……」

 パールはあからさまに嫌な顔をして、チッと舌打ちをした。
 明らかにメイドが取って良い態度ではない。

 愛原「よし!30分後、ここへ集合な!高橋!イケメンのお前があの美女達を釣るんだ!」
 高橋「お、俺っスか!?」
 愛原「“海物語”から出て来たような美女達を釣れるサム役はオマエしかいない!」
 高橋「あいつ、イケメンキャラでしたっけ!?」
 愛原「確変を狙うんだ!」
 高橋「そりゃ、サムは確変の代名詞っスけどねぇ……」
 リサ「先生……
 愛原「はっ!?」
 リサ「また浮気しようとしてるっちゃね!こんのォーーーーー!!」

 ザシュッ!(リサ、愛原を爪で引っ掻く)

 愛原「いっでっ!?」

 バリバリバリバリバリバリバリ(リサの引っ掻き攻撃炸裂!)

 リサ「ガブッ!!」

 リサ、愛原に噛み付いた。

 愛原「ぎゃあああああっ!!」
 リサ「先生のバカ!」

 リサは女湯に入っていった。

 パール「リサ様、お待ちください!」

 パール、いつものメイド口調に戻ってリサを追い掛けた。

 高橋「先生!急ぎ、救急スプレーを!」

 高橋、どこから持って来たか、救急スプレーで瀕死の重傷の愛原の治療に当たった。
 救急スプレーは、体力が全回復するアイテムである。
 アンブレラ社特製品の為、今はあまり出回っていない。
 アンブレラが表の顔で製作した回復薬なので、中に怪しげな成分が入っているというようなことは無いので安心である。
 その為、旧・大日本製薬(現・ダイニチ)がそのレシピをどこからか手に入れて量産・販売していたが、さすがに元アンブレラが生産していた商品だったということで、今は製造・販売共に中止となっている。
 それを何故高橋が持っていたのかは不明だが、それで愛原は全回復した。
 尚、毒を持つ敵から毒攻撃を受けた場合、解毒作用は無いので念の為。
 リサの攻撃を受けたことで、愛原も特異菌に感染するはずなのだが、幸い今は抗体がある。
 但し、Gウィルスの胚を受けた場合は、その都度治療薬を投与しなければならない。

 リサ「先生のバカ……」

 リサは女性専用風呂に漬かっていた。

 パール「なかなか熱いですね。さすが、源泉かけ流し」
 リサ「うん」

 パールはリサの背中側に回る。
 リサの背中、肩甲骨の辺りには赤黒い痣があった。

 パール「リサさん、この痣は痛くないのてすか?」
 リサ「ああ、これ?大丈夫。そこ、触手が出て来るところだから」

 第2形態以降になると、背中から触手が出て来る。
 オリジナルのリサ・トレヴァーの名残だ。
 Gウィルスは彼女から生み出され、それを改良して投与されたのがリサ達だ。
 その為、リサ達も変化を重ねれば重なるほどオリジナルに近づいて行き、その過程で触手が出るのである。
 もっとも、オリジナルの場合、殆ど触手は飾りのようなもので、何か攻撃に使うというようなことは無かった。
 映画版のリサ・トレヴァーも、触手を出す描写は無く、自前の怪力で持ってリッカーの首を捩じり切るという荒業を見せただけである。

 パール「触手!?」
 リサ「今もう滅多に出さないね。そこまで変化することもないから」

 そして、リサの弱点でもある。
 オリジナルのリサ・トレヴァーには弱点は無いが、リサにとってはこの痣が弱点。
 触手を出す時に、この部分が光る。
 そこを攻撃されると、殆ど不死身のリサでも死ぬ。
 今は攻撃されても平気。
 何故か触手を出している時だけ、弱点となる。

 パール「そうですか……」
 リサ「春休みになったら、この痣を塞ぐ手術をしに行くんだ。同時に触手が出なくなるけど、その方が人間に近づけていい。そうでしょ?」
 パール「そ、そうですね。いくら何でも、触手を出す人間なんていませんから」

 パールはザッと風呂から上がる。

 パール「熱いお風呂は少し苦手なので、ちょっとシャワーで流してきます」
 リサ「分かった。わたしは、もう少し入ってる。あと、21時になったら、先生があの混浴風呂に入らないよう、見張るから」
 パール「かしこまりました」

 さすがにそこは、疑っているようである。

[同日21:00.天候:雪 同旅館・大浴場]

 男性客A「混浴っつったって、男しかいねーべっちゃ」
 男性客B「がっかりだっぺよ」
 リサ(よっし!先生は入っていない!)
 パール「マサのLINEによりますと、マサが何とか愛原先生を制止してくれたようです」
 リサ「さすがはお兄ちゃん!」

 リサ達は湯上り処に移動した。

 愛原「おー、リサ!」
 リサ「先生、混浴行かなかったんだね?」

 リサはニヤッと笑った。
 口元から牙が覗く。

 愛原「あー、何だか今、オッサンしかいないみたいでさ……。実質的な男湯だよ」
 リサ「それは残念だねw」
 愛原「ん?リサ、髪は解いたのか?」
 リサ「だって、シャンプーする時は解くでしょ?」
 愛原「それもそうか。でも、また入る時は?」
 リサ「取りあえず、パールに髪を上げてもらった」
 パール「絵恋御嬢様が御入浴の時も、そういうお手伝いはさせて頂いておりましたので」
 愛原「そういうことか」
 リサ「先生、わたしにも飲み物!」
 愛原「分かったよ」
 リサ「飲んだら卓球!卓球やろ!卓球温泉!」
 愛原「分かった分かった」

 何だかんだ言って、リサは温泉を楽しんだようである。
コメント
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