報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「鬼狩りからの依頼」 3

2023-06-25 20:55:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月29日11時00分 天候:晴 東京都墨田区吾妻橋 栗原家]

 私と高橋は栗原家の総代、栗原重蔵氏とその孫娘の蓮華より、仕事の依頼を受けていた。
 契約書を作成中、作務衣を着た、恐らく門下生と思しき男が応接室に入って来た。

 蓮華「なに?来客中なんだけど?」
 門下生「申し訳ありません、御嬢。実は日光の方から……」
 蓮華「ん?……ああ。もしもし」

 門下生は固定電話のコードレス受話器を手にしていた。
 それを受け取り、話しながら部屋の外に出る蓮華。

 重蔵「何かあったのか?」
 門下生「日光の家からです」
 愛原「日光の家?」
 重蔵「先ほどお話しした民……民……えー……」
 愛原「民泊ですね」
 重蔵「そう、その民泊。そこから電話があったようです。そうだな?」
 門下生「そうです」

 そんなことを話していると、蓮華が戻って来た。

 蓮華「お祖父ちゃん、元旦は予約が入ってるんだって」
 重蔵「何だと?あいつ、そんなこと言ってなかったではないか」
 蓮華「大晦日から予約が入っているお客さんが、日光東照宮をゆっくり見たいから、もう一泊したいんだって」
 重蔵「そんなこと急に言われても困るじゃろう。のう?愛原さん」
 愛原「そ、そうですね。じゃあ、いつなら空いてるんですか?」
 蓮華「明日からなら、一泊だけ空いてるんですって」
 愛原「明日!?」

 これはまた随分急な話だ。
 だが、できないわけではない。
 実質的な2泊3日ということにすれば良いのだから。

 重蔵「全く。いい加減なものだ。申し訳ないですね、愛原さん?」
 愛原「えっ?あ、いや、いいですよ、別に」
 重蔵「申し訳ありませんね」

 重蔵氏は何度も謝っていたが、今回ばかりは仕方が無い。

 愛原「よくよく考えたら、元旦に泊まろうとすると、日光東照宮への参拝客で混雑して、落ち着かないかもしれません。明日くらいがゆっくりできるかもしれませんね?」
 重蔵「前向きな考え、恐れ入ります」
 愛原「それじゃ、契約書を作り直そう。高橋、新しいのもう1枚出してくれ」
 高橋「はい、かしこまりました」
 愛原「それと、パールにLINEで明日出発だと伝えてくれ。で、リサと絵恋にも伝えるように言ってくれ」
 高橋「承知です!」

[同日11時18分 天候:晴 同地区 本所吾妻橋バス停→都営バス業10系統車内]

 無事に契約書を交わした私達は、栗原家をあとにした。
 急に予定を変更させたお詫びとして、『お車代』まで頂いてしまった。
 多分、タクシー代としてくれたのだろうが、往復バスの私達には高過ぎるお車代だ。

 高橋「何か、あのレズガキの家とは違う金持ちっスね」
 愛原「栗原家は江戸時代から続く家だからな。それに対して斉藤家は、成り上がりだから……」
 高橋「なるほど」

 そんなことを話していると、バスがやってきた。
 都営バスは全てノンステップバスである。
 今度は折り戸タイプの前扉から、バスに乗り込んだ。
 観光地の東京スカイツリーから来たバスだが、往路ほどあまり乗っていない。
 空いている2人掛けの座席に、ギュウギュウ座る。

 高橋「し、幸せっス……」
 愛原「引っ付くな!」

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスは私達を乗せると、前扉を閉めて発車した。

〔ピンポーン♪ このバスは、東京都現代美術館前、豊洲駅前経由、深川車庫前行きでございます。次は東駒形三丁目、東駒形三丁目でございます。……〕

 高橋「パールからLINEっス。昼飯は何がいいっスかってことっスけど……」
 愛原「おっ、もうそんな時間か。そうだな……。途中で買って行こう。むしろ何がいいか聞いてくれ」
 高橋「了解っス!」

 しかし、私のスマホにもLINEの着信があった。
 スマホのモニタを見ると、ブルマの画像が添付されていた。
 
 https://twitter.com/pocopoko_poney/status/1671796162356035584/photo/1
(リンクはツイ主の許可済み)

 リサ「エレンがくれた新しいブルマ。沖縄の『魔王軍』では、これを穿いてるんだって」

 とのこと。
 沖縄中央学園では、かつて青いブルマが着用されていたはずだが、全国的に広がったブルマ廃止運動の煽りを受けて事実上の廃止となった。
 その後、東京の『魔王軍』でブルマ復活運動が行われ、それが実現すると、転校した絵恋がこれに呼応し、斉藤早苗の協力も相俟って、沖縄中央学園でも事実上の復活となった。
 但し、それまで青いブルマを製作していたメーカーが製造中止にしていた為、入手困難となり、また、東京に合わせて緑ブルマにする者などが現れたりと、ほぼ緑に統一されている東京と違って、色が統一されていない。
 斉藤早苗でさえ、旧型の青ブルマ(在庫品を入手したもよう)と緑ブルマ(両脇に白い線の入った、全くの別物)の両方を持っていたほど。
 絵恋も何とか在庫品の青ブルマを入手したものの、緑ブルマは転校前の物を持っているだけに過ぎず、学校側からも、『いくら体操服に関する校則は無いといえど、色くらいは統一して欲しい』と言われ(どうやら沖縄中央学園では、絵恋がブルマ復活運動の責任者だと思っているらしい。まあ、間違いではない)、苦肉の策として、両方の色を合わせたエメラルドグリーンという折衷案を出した。
 それが、これだという。
 東京メトロ千代田線の緑、都営地下鉄三田線の青に対し、東京メトロ南北線のエメラルドグリーンとなった。

 愛原(そういえば、以前もらった画像も、こんな色だったな)

 以前の画像は画質が悪く、また光の加減も相俟って、こんな鮮やかな色ではなかったと思う。

 リサ「で、お昼はマック買ってきてー。ビッグマックのLセット」

 というLINEで締められていた。

 愛原「おい、高橋。どうやらリサは、マックがいいらしいぞ」
 高橋「マジっスか?それでか……」
 愛原「何だ?」
 高橋「いや、パールのヤツ、『御嬢様がマックのハンバーガーがいいと、仰せになっている』なんて送って寄こしたんスよ。あの御嬢様が何でと思ってたんスけど、『魔王様』の影響っスか」
 愛原「まあ、そういうことだな。しょうがない。バスを降りたら、買いに行こう」
 高橋「先生をパシリに使うなんて、いい度胸してますね」
 愛原「別にいいよ、ついでだし。ただ、お前も持つのを手伝ってくれよ?」
 高橋「もちろんです!」
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“私立探偵 愛原学” 「鬼狩りからの依頼」 2

2023-06-23 20:18:06 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月29日10時00分 天候:晴 東京都墨田区吾妻橋 栗原家]

 愛原「……というわけでありまして、今はその鬼の男が怪しいわけです」

 私は30分ほど掛けて、昨日までに起きた出来事を党首の栗原重蔵氏と孫娘の蓮華に説明した。

 栗原重蔵「なるほど。次なる我らの対象は、その鬼というわけですな。因みにその鬼の男とやらは、政府からは何と?」
 愛原「いえ、特に何も……。報告はしているのですが、消極的のようです。恐らく、バイオテロとは無関係だからでしょう」

 そうなると、そいつの正体は如何に?ということになる。

 重蔵「なるほど……。鬼の男は火を噴く妖術を使うのですな。これはまた強敵だ……」
 蓮華「リサの電撃くらいなら、何とかなるけどね」

 かつて栗原家では、雷神というか、リサのように電撃を妖術とする鬼と戦った記録が残っているらしく、その対処法が伝えられていた。
 まだ江戸時代くらいの話だというのに、既に避雷針のような鉄の棒を持って封じる方法が書かれているという。
 もしかすると、リサとはまた違うタイプの鬼だったのかもしれない。
 リサの場合は直接電撃を放つが、言い伝えの鬼は、本当に雷のように、上空から雷を落とす攻撃だったのかも。
 それなら、避雷針を使うという方法は効果的だ。
 とはいえ、遠隔攻撃には効くようで、リサが遠くから電撃を放つと、蓮華は刀を地面に突き立て、避雷針代わりに使用していて封じていた。

 蓮華「火を操る鬼であれば、耐火服とか必要になるかな?」
 重蔵「そんなもので役に立つかのう……?」
 愛原「それで、今日は新たに依頼があると聞きましたが?」
 重蔵「うむ。皆さんは、年末年始を栃木県の那須の方で過ごされるとか……」
 愛原「あ、はい。知り合いがホテルをやってまして、格安で泊めてくれるそうで、その話に乗りました」
 重蔵「さようですか。依頼というのは、調査依頼でしてな。愛原さん達が栃木の方にご旅行されるということで、ちょうど良いと思ったのです」
 愛原「栃木の方に何か気になる所でも?」
 重蔵「うむ。実は栃木の方にも、鬼がいたという情報を得ましてな……」

 あれ?それって、上野母娘のことじゃね?
 栗原家にバレてる?
 あ、いや、違うな。
 上野凛が半鬼だということは、蓮華も知っている。
 鬼と人間のハーフだな。
 もちろん、妹の理子もだ。
 母親の利恵はリサのような鬼型のBOWだが、特異菌とGウィルスではなく、別の生物兵器ウィルスのミックスを投与されたことで、別の種類の鬼と化している。
 性的絶頂を迎えると理性が飛んで、相手を食い殺してしまうという性質がある。
 上野姉妹の父親は普通の人間で、長女を作る時は上手いこと妻を抑え込めたようだが、次女を作る時には失敗して食い殺されてしまった。

 重蔵「愛原さん、鬼怒川は御存知ですな?」
 愛原「えっ?ええ。有名な温泉街ですね」
 重蔵「鬼怒川とは、書いて字の如く、『』と書く」
 愛原「そういえば……」
 重蔵「元々は『衣川』と書かれていたようですが、明治時代以降に今の漢字に変わりました。何故か?」
 愛原「い、いえ、分かりません」
 重蔵「簡単に言えば、我ら一族があの山奥に住む……具体的に衣川の源流辺りを根城にしていた鬼共と戦い、多大な犠牲を払った故のことなのですが……」
 愛原「川の名前を変えるほどですか?その割には、そんな言い伝えは聞いたことが無いのですが……」
 重蔵「我々、鬼狩りは政府非公認です。そんな非公認の団体が大活躍したことなど、時の政府は認めなかったのです。恐らく、今もそうでしょう」

 今の自民党政権だったら、利権と繋がることが分かれば、すぐにでも飛び付いてきそうだけどなw

 愛原「それでは、調査場所は鬼怒川の源流辺りですか?」
 重蔵「いえ、そこまで行く必要はありません。蓮華、地図を」
 蓮華「はい」

 蓮華はタブレットを取り出した。
 それでグーグルマップを開く。

 蓮華「因みに私達の御先祖達が戦った鬼怒川の源流は、この辺りです」
 愛原「中禅寺湖よりもっと山奥かよ、凄ェな……。あれ?でも、そうなると……」
 重蔵「はい。日光ですな」
 愛原「やっぱり。日光に、鬼がいるんですか?」

 東照宮など霊験あらたかな場所で、とても鬼などいそうにないが……。

 重蔵「それを調査して来て頂きたいのです。埼玉のように、『鬼が棲む家』が栃木にもあるとの情報を得ました。費用は全てこちらで出させて頂きます。それとは別に、報酬もお支払いします」
 愛原「ありがとうございます」

 こんなこともあろうかと、契約書は持って来ている。

 愛原「高橋、契約書を」
 高橋「あ、ハイ」

 私は隣に座る高橋に、ノートパソコンと小型のプリンターを用意させた。
 電源はバッテリー内蔵である。

 愛原「現場はどんな所なんですか?」
 重蔵「古民家を改築した、民宿になっているとのことです」
 蓮華「お祖父ちゃん、民宿じゃなくて、民泊ね」
 重蔵「ミンパク?そんな、朝鮮人みたいな名前なのか?」
 愛原「民泊というと、確か民宿よりももっと安い値段で泊まれる代わりに、炊事やら何やらは全てセルフサービスの宿泊施設だね?」
 蓮華「そうです。愛原先生は、お泊りになったことがありますか?」
 愛原「いや、無いなぁ……」
 重蔵「それで、いつ着手して下さいますか?」
 愛原「そうですねぇ……。年末に1泊する予定なので……」
 重蔵「ふむふむ。当初の予定は大晦日に板室温泉に1泊し、元旦に帰京される予定だったのですか」
 愛原「そんなところです」
 重蔵「それでは、その足でもう1泊そこでされるのは如何ですかな?」
 愛原「『鬼の棲む家』に一泊するんですか?」
 重蔵「今は住んでいないでしょう。しかし、住んでいた形跡はある。我々は300年以上もの長きに渡って鬼狩りをしてきましたが、あいにくと鬼ならではの索敵能力はありません」
 愛原「つまり、埼玉の時みたいに、うちのリサに調査させるということですか」
 重蔵「鬼狩りが鬼の手を借りるという不思議な話であることは、重々承知しております。もしも、愛原さんが面倒を看ている鬼の娘が本当に人間の味方であるというのなら、是非とも御協力を賜りたいのです」
 愛原「分かりました」

 話をしている間、高橋か契約書を印刷する。
 何だかムシの良い話をしてくるなぁと思ったが、報酬の金額を見て、それは忘れることにした。
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“私立探偵 愛原学” 「鬼狩りからの依頼」

2023-06-23 14:05:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月29日09時6分 天候:晴 東京都墨田区菊川 菊川駅前バス停→都営バス業10系統車内]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日はこれから、栗原家に向かう所である。
 幸い、菊川からなら都営バス1本で行ける。
 しかも、本数も多い。
 私と同行するのは、助手の高橋だけ。
 リサは留守番させ、来年初めに行われる引っ越しの準備をさせている。
 彼女を連れて行くと、鬼狩りを生業としてきた栗原家の面々に斬られてしまう恐れがある為。
 事情を知っている蓮華だけが庇ってくれるのだが、彼女曰く、『血の気の多い従兄達は、私でも止められない』とのこと。

 高橋「先生、バスが来ました」
 愛原「おーう」

 ごく普通のノンステップバスがやってくる。

〔本所吾妻橋経由、とうきょうスカイツリー駅前行きでございます〕

 グライドスライドドア式の前扉が開いて、私達はバスに乗り込んだ。
 本数が多いということは利用客も多いということであるからして、席は空いておらず、私と高橋は吊り革に掴まった。
 観光地である東京スカイツリーの真ん前まで行くばすだからか、観光客の姿も多い。
 何しろ、東京の中でも賑わう所を走るバスだからだろう。

〔発車致します。お掴まりください〕

 私達を乗せたバスが走り出した。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは本所吾妻橋経由、とうきょうスカイツリー駅前行きでございます。次は立川、立川でございます。日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、本所吾妻橋で。日蓮正宗本行寺と常泉寺へおいでの方は、終点、とうきょうスカイツリー駅前でお降りになると便利です。次は、立川でございます〕

 愛原「バスに乗ったことを、蓮華に伝えて……と」
 高橋「クライアントにはマメな連絡っスね。さすがっス」

 高橋は揺れるバスの中、器用にメモを取った。

 愛原「そういうことだよ、高橋君。この仕事は、クライアントとの信頼・信用で成り立っているんだからね」
 高橋「はい!……それにしても、リサを連れて来なくて良かったんスか?」
 愛原「まあ、リサは嫌がるだろうし、蓮華も嫌がるだろう。クライアントの嫌がることをするのはNGだね」
 高橋「りょ、了解っス!」

[同日09時15分 天候:晴 同区吾妻橋 栗原家]

 私達は1つ手前の本所吾妻橋で、バスを降りた。
 都営地下鉄浅草線も通っている。
 裏道が狭いところは、菊川と似ている気がする。

 愛原「えーと……ここだな」

 近所だからか、栗原家は3代前から鬼狩りの力を神道から法華経へと鞍替えしている。
 その為、剣道場にはよくある神棚が、栗原家には無い。
 代わりにあるのが御仏壇。

 栗原蓮華「ようこそ、お越しくださいました!愛原先生!……と、高橋さん」
 高橋「俺はついでかよw」
 愛原「新たな鬼のことについて、話があるんだ」
 蓮華「はい、聞いてます。どうぞ中へ」

 家の中では義足は付けないようだ。
 代わりに、家中そこかしこに手すりが着けられている。
 残った右足で移動する分、杖やそんな手すりに掴まりながら移動するらしい。

 蓮華「愛原先生の御到着でーす!」

 蓮華は奥の間に向かって言った。
 尚、彼女は珍しく私服姿である。
 いつも制服か剣道着姿くらいしか見ないのに……。

 愛原「さすがに年末年始は剣道場は休みか?」
 蓮華「そうでもないんですけど、冬休みの子供達が稽古に来るくらいです。大人は……まあ、休みですね。門下生達が忘年会で、ドンチャン騒ぎしに来るくらいで」
 高橋「コロナはガン無視か」
 蓮華「少しは自粛しろと私から言ってるんですが……」
 愛原「なるほど」

 床の間みたいな和室に通されるかと思いきや、ちゃんとソファのある洋室の応接間に通された。

 祖父「これはこれは……ようこそ、お越しくださいました。どうぞ、こちらにお掛けください」

 奥からは羽織袴姿の70代くらいの老翁が現れた。
 どこかで見た覚えがあると思ったら、確か会津で会っているはずだ。

 愛原「失礼します」
 祖父「蓮華、お茶をお出ししなさい」
 蓮華「はい!」

 蓮華は片足だけで器用に移動した。

 祖父「改めまして……私は栗原重蔵と申します。蓮華の父方の祖父です」
 愛原「愛原学と申します」

 私は名刺を差し出した。

 愛原「こちらは、助手の高橋でして……」
 高橋「名探偵、愛原先学先生の不肖の弟子、高橋正義っス!」
 栗原重蔵「これはこれは……。なかなか元気で若者で……」
 愛原「失礼ですが、蓮華さんの祖父母の方は霧生市でお亡くなりになったと伺っていますが……」
 重蔵「あれは母方の祖父母ですな。あの地獄のような町からの、数少ない生還者だと聞き及んでおります」
 愛原「いやあ、無我夢中で逃げるのに精一杯で……」

 しかし、重蔵氏の目が鋭く光る。

 重蔵「そうでしょうか?その割には、鬼の娘を連れ出すほどの余裕があったとお見受けしますが?」
 愛原「あれは変化でそうなったのです。最初から鬼の姿をしていたわけではありません」
 重蔵「科学的な話は色々とあるでしょうが、当家では、例え元が普通の人間であったとしても、鬼と化した者は容赦せず、必ず斬り伏せることになっております」
 愛原「しかし、うちのリサはまだ1人も人間を食い殺していません。そりゃ、そういう衝動に駆られる時は何度もありますが……」
 重蔵「犠牲者が出てからでは遅いのですよ」
 愛原「それは分かっています。それに、リサに関しては政府からの庇護を受けています。私はその政府機関からの委託を受けて、彼女の監視をしているのです。即ち、皆様がリサを斬ろうものなら、政府機関より警察が派遣されることになるでしょう。その意味、分かりますね?」
 重蔵「十分、分かりますよ。ですので、その鬼については、愛原さん方にお任せします。もっとも、犠牲者が出ようものなら、私共は動させてもらいますが」
 愛原「結構です。しかし、国家権力としては……」
 重蔵「そうですね……。こちらとしては、区議会や都議会に名前を連ねている親族はいるのですが、まだ国会議員としては名前を出していないので、さすがに国家権力には負けてしまいますな」
 愛原「栗原家の方に、区議会議員や都議会議員がいらっしゃるのですか」
 重蔵「はい」
 愛原「それは凄いですね」
 重蔵「まあ、泡沫議員ですよ。何せ、無所属ですから」

 それでも、親族一同は元より、剣道場における人脈、そして日蓮正宗における人脈を使った組織票を形成したものかもしれない。

 蓮華「お茶でございます」
 重蔵「ああ、そこに置いてくれ。そして、蓮華もそこに座りなさい」

 蓮華はお盆ではなく、小さなワゴンに乗せてお茶やお茶菓子を持って来た。
 恐らくお盆だと片足だけで移動する為、バランスが悪くて危険だからだろう。

 蓮華「はい!」

 蓮華は祖父の隣に座った。

 愛原「それでは、本題に入らせて頂きます」

 私は埼玉であった出来事を、資料を交えながら話した。
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“愛原リサの日常” 「リサが見た悪夢」

2023-06-22 21:00:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明02時05分 天候:雷雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 外はバケツをひっくり返したような雨だ。
 そして、時折雷鳴も聞こえる。
 リサはふと目が覚めた。
 自分の部屋で寝ているはずだが、何だか自分の部屋のような感じがしない。
 視界に広がる光景は、明らかに自分の部屋なのだが……。

 リサ「……エレン?」

 リサはセミダブルベッドで寝ている。
 それを良いことに、我那覇絵恋と同衾しているといった感じ。
 そこはシングルベッドで高橋が寝ている為に、事務所から折り畳みベッドを持って来て、その隣で寝ているパールとは違う。
 リサが目覚めると、横で寝ているはずの絵恋の姿が無かった。
 トイレに行っているのだろうか?
 それなら自分もとばかりに、リサはベッドから起き上がった。
 カーテン越しに、雷光か室内に差し込む。
 室内の鏡に、リサの赤い瞳が映り込んだ。
 これだけで十分ホラーだろう。
 リサが部屋の外に出ようとした時だった。

 リサ「!?」

 そのドアがドンドンドン!と、乱暴にノックされた。

 リサ「誰だ!?」

 リサは第1形態の鬼に戻り、ドアを開けた。
 すると、その向こうにいたのは……。

 リサ「!!!」

 リサと対峙した男の鬼。
 その左手には……。

 リサ「エレン!?」

 生首だけになった絵恋が髪の毛を掴まれて、ぶら下がっている。
 部屋の外は血の海。
 愛原も高橋もパールも、体をバラバラにされている。
 男の鬼の口元には、血がベットリと付いていた。

 鬼の男「この女が一番美味かったぞ。お前も食え」

 鬼の男は右手に持っていた、絵恋の右腕を差し出した。

[12月29日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 リサ「……はっ!」
 絵恋「リサさん、大丈夫?」
 リサ「はッ!?」

 リサは第1形態に戻っていた。

 絵恋「大丈夫?魘されてたよ?悪い夢でも見たの?」
 リサ「……夢か……。そうかもしれない……」
 絵恋「汗びっしょりよ。一緒にシャワー浴びよ」
 リサ「う、うん……」

 リサの着ていた白い体操服は汗でびっしょりになり、黒いスポプラが透けていた。
 着替えを持って、部屋の外に出ると、いつものリビング・ダイニングがあった。
 キッチンでは、高橋とパールが朝食を作っている。

 高橋「おー、起きたか。さっさと顔洗ってきやがれ」
 パール「御嬢様方、おはようございます」
 リサ「お、おはよう……」
 絵恋「おはよう。リサさん、寝汗かいちゃったから、シャワー浴びて来るね」
 パール「かしこまりました」
 リサ「……先生は?」
 高橋「まだ寝ておられんぜ。どうせ今日から年末年始休みだ。ゆっくりさせて差し上げろ」
 リサ「う、うん……」

 リサは絵恋と一緒にバスルームに入った。

 絵恋「いっぱい汗かいたねー。どんな悪い夢だった?」
 リサ「鬼の男に襲われる夢……」
 絵恋「り、リサさんを乱暴しようだなんて、不潔だわ!私が空手で……」
 リサ「い、いや、そうじゃない。あいつは……本当に人を食ってる。斉藤早苗並み……いや、それ以上に」
 絵恋「ええっ?そんなポッと出の鬼なんて……」
 リサ「私達が知らない……恐らくBSAAもデイライトも完全ノーマークだったんだと思う」
 絵恋「どうして、そんなことが……」
 リサ「多分、本物の鬼だから。わたしはあくまで、Gウィルスと特異菌の作用によって、鬼のような姿に変化しているだけだから。だけど、あの男は違うのかもしれない。だからだよ」
 絵恋「それこそ、栗原先輩達の出番ってことね」
 リサ「そういうことだな」

 2人の少女は一糸まとわぬ姿になり、浴室に入った。

 リサ「……って、何でエレンも入ってるの!?」
 絵恋「いいからいいから背中流してあげる」
 リサ「オマエなぁ……」

 リサは背中を流してもらった。

 リサ「ん?」

 その時、リサは排水口の蓋がズレていることに気づいた。
 比較的新しいマンションである為、浴室もユニットバスである。
 排水口も、床とデザインが一体化したタイプになっており、その蓋の隙間からお湯が排水される仕組みとなっている。
 その蓋がズレていたので、リサはその蓋を一旦外した。
 すると、その中に本当の排水口が出て来る。
 要は、排水口を隠す為の蓋ということだ。

 リサ「蓋……?跳ね上げる?もしかして……!」
 絵恋「リサさん、どうしたの?」

 リサはシャワーで汗を流し、私服に着替えた。
 さすがに、体操服ではない。

 愛原「2人とも、おはよう」
 リサ「おはよう」
 絵恋「おはようございます」
 リサ「先生」
 愛原「ん?」
 リサ「埼玉のあの家の図面、見せて」
 愛原「え?」
 リサ「不動産屋さんからコピーもらってたでしょ?あれ見せて」
 愛原「しかし、もうあの家は燃えちゃったぞ?」
 リサ「それでもいい」
 愛原「分かった分かった。だが、メシマズ案件だったら、まず先に朝飯食ってからにしよう」
 リサ「うん、分かった」

 リサはダイニングの自分の席に着いた。
 そして、一気に食べてしまう。

 愛原「今のうちに、引っ越しの準備とかしておけよー」
 高橋「了解っス」
 リサ「先生、図面」
 愛原「ああ、分かった」

 愛原は図面のコピーを自分の部屋ら持って来た。

 愛原「これでいいか?」
 リサ「ありがとう」

 リサは1階と2階の図面を重ね合わせてみた。
 探索したことのある物置の抜け穴、そして子供部屋と隠し通路との抜け穴の位置がピッタリ重なった。

 リサ「横長の通路の先が、どこに続いていたのかというと……ここ!やっぱり!お風呂に通じてる!」
 愛原「なるほど、そうなのか。……つまり、これは……」
 リサ「子供部屋に、あの鬼の『男』が住む。“獲物”を2階のお風呂を使わせて、油断してる所を一気に爪で……」

 リサは自分の右手の爪を長く鋭く伸ばした。

 愛原「おい、それホントかよ……」
 リサ「殺した後は、そのままお風呂で食事。食べ残しや骨なんかは細かく切断して、抜け穴の中に落とす。そして、抜け穴から子供部屋を通って、今度は物置の方の抜け穴に落とす。あとは、そこから車で骨とかを捨てに行く。……これでいいんじゃない?」
 愛原「……なるほどな」
 リサ「正に、『鬼の棲む家』」
 高橋「鬼というよりは、まるで山姥ですね」
 愛原「あー、確かにな」

 最初は常人を装って、来客を歓待する。
 歓待された来客は上機嫌で、酒などを飲まされる。
 夜遅くまで歓待された後、家人から、『今夜はもう遅いので、泊まって行かれたらどうか?』と、誘われる。
 これまで大歓待を受けていた来客は上機嫌で、それを受けてしまう。
 そして、リビング横のゲストルームや2階の浴室に案内される。
 浴室で入浴していた来客は、何も知らずに後ろから鬼に襲われて……。

 リサ「人を食べる時、服とかは邪魔だからね。お風呂ならちょうど裸だし、都合いいと思う」
 愛原「なるほどな。しかし、あの家は全焼してしまった」
 高橋「証拠隠滅っスかね?」
 愛原「多分な」

 しかし、もう年末年始休みに入ってしまった。
 デイライトもBSAAも、よほどの事が無い限りは出動しないだろう。
 ましてや、鬼の男がバイオテロと関りが無いとなると、尚更だ。

 愛原「やはり、栗原一族にお願いするしかないか」
 リサ「わたしにまで飛び火しそうで何かヤダけどね……」
 愛原「しょうがないだろう。何なら、俺と高橋だけで行ってくるよ」
 絵恋「その方がいいわ。栗原先輩、悪い人じゃないけど、鬼の事になると、人が変わるもの」
 リサ「う、うん。そう、だな……」

 日本アンブレラ関係の事がようやく終わりを見せたと思ったら、今度は本物の鬼が現れたか。
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“私立探偵 愛原学” 「年末の打ち合わせ」

2023-06-20 20:19:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月28日20時40分 天候:晴 東京都豊島区南池袋 首都高速5号池袋線上り・南池袋PA]

 南池袋パーキングエリアは、片側上り線にしか設置されていない。
 これはかつて、料金所があった頃の名残だ。
 料金所が廃止され、その跡地にパーキングエリアが作られたものである。
 その為、あまり広いパーキングエリアではない。
 中に入ると、最初に普通車の駐車スペースがあった。
 15台駐車できるというが、その殆どが埋まっている。

 高橋「ん?ここか?」

 黒塗りのハイエースから善場主任が降りて来た。
 そして、その隣に駐車していたライトバンが出て行く。
 どうやら、そこに止めろということらしい。
 ライトバンはデイライト関係者の車だったのか。
 高橋はハザードランプを点けて、ハイエースの隣に駐車した。
 そして、私はスライドドアを開けた。

 善場「お疲れ様です。愛原所長」
 愛原「お疲れさまです」
 善場「御足労ありがとうございます。話がありますので、あの現場にいた方のみ、こちらの車にお移りください」
 愛原「まさか、どこかへ移動するるのですか?」
 善場「いえ、外でお話はできませんので、中で話をするだけです」
 愛原「そうですか……」

 あの現場にいたのは私とリサ、高橋だ。

 絵恋「私達は向こうの休憩所にいます」
 パール「そうしましょう」

 現場にいなかった絵恋とパールは対象外なので、ハイエースには乗れない。
 このまま車の中で待機しても良いのだが、降りて待つことにした。
 駐車スペース後ろの歩道を通って、休憩所へと向かっていった。
 私達はハイエースの中へ。
 外は寒かったが、車の中は暖房が効いていて暖かい。
 また、スモークガラスだけでなく、カーテンも全部閉まっていた。
 助手席や運転席後ろのカーテンも閉められている。

 スライドドアが閉まってから、善場主任は私達に向き直って言った。

 善場「改めまして、お疲れさまです。昼間に愛原所長方が見舞われた被害について、この度はお話ししたいと思います」
 愛原「お願いします」
 善場「まず、リサが戦った男の『鬼』について、現場周辺の防犯カメラから解析しました」
 愛原「早いですね」
 善場「民間所有のカメラだと手続きが面倒なのですが、警察が所有しているカメラなら話は別です」
 愛原「なるほど。交差点などに設置されているカメラのことですね?」
 善場「そうです。リサが追い掛けたのは、この男で間違いないですね?」

 善場主任は1枚の画像を見せた。

 リサ「そう!こいつ!」

 リサもまあロリ顔だが、この男の『鬼』とやらも、思ったよりもガキっぽく見えた。
 私はつい、高橋みたいなヤツを想像していたのだが……。
 確かに、人間にしてみれば中高生に見えてしまう。
 鬼としての年齢は、リサと同じくらいということか。
 だから、イケメンではあるが、韓流スターというよりはジャニーズに近いかもしれない。
 で、確かにリサが言ってたように、色黒であった。
 画像がそこまで鮮明ではないのだが、多分赤銅色だろう。
 変化前のリサのように、前頭部の上に1本角が生えていた。
 両耳が長くて尖り、牙が生えていて、両手の爪が長くて鋭い所はリサと同じ。

 愛原「こいつも、普段は人間に化けて暮らしているのだろうか?」
 善場「それは現在調査中ですが、その可能性は大きいです」
 愛原「リサから逃げる時に、たまたま通り掛かったトラックの屋根に便乗して逃げたんですよね?」
 善場「そうです。この画像は、その時に撮影されたものです」
 愛原「そうでしたか。ということは、このトラックについても分かりましたか?」
 善場「はい。栃木県の運送会社のものでした。都内へ配送に向かっていたようです」
 愛原「すると、この男は都内まで乗って行ったと?」
 善場「いえ、違います。このトラックは首都高埼玉大宮線を走行し、美女木ジャンクションから、外環道に入っています」
 愛原「それから?」
 善場「外環道の東方面ですね。それから川口ジャンクションにて、今度は首都高川口線に入っています」
 愛原「で、この男がトラックを降りたのは……?」
 善場「川口パーキングエリアです。トラックは、そこで休憩を取っています」
 愛原「川口かぁ……。微妙だな……」
 善場「しかも川口パーキングエリアは、隣接する公園“イイナパーク”を介して一般道に出ることが可能です。もちろん、車の出入りはできませんが……」

 恐らく鬼の男は、そこでトラックを飛び降り、“イイナパーク”を通って逃走したのではないかと善場主任は見ている。
 この場合、男は埼玉県内に留まっているのか、都内へ向かったのかは不明だ。
 また、この近くには埼玉高速鉄道の新井宿駅もあり、人間に化けられるのなら、そこから地下鉄に乗って移動も可能だ。
 それもまた、予測不能さを呼んでいる。
 下り電車に乗れば終点が浦和美園、つまりさいたま市に戻ることができるし、上り電車に乗れば、東京メトロ南北線と相互乗り入れしていることもあり、そのまま都内へ向かうことも可能だからである。

 愛原「駅の防犯カメラを見せてもらうしかないでしょうね。地下鉄の駅なら、防犯カメラもあるでしょうから」
 善場「私達は警察ではないので、あまり積極的に動くことができないのです」
 愛原「えっ?でも、この画像は……」
 善場「うちの職員に、浦和西警察署に勤務していたことのある者がおり、そのツテで何とかできました。しかし、川口市内などを管轄する警察署にはツテが無いのです」
 愛原「そこは国家機関として……」
 善場「この鬼の男が、バイオテロと関係があることを証明できれば、その権限を使うことができます。しかし現在は、ただの放火殺人未遂の疑いのある者というだけです。今は埼玉県警の管轄です。私達がそう簡単に首を突っ込める状態ではないのです」
 愛原「分かりました。それはしょうがないですね。とはいえ、このままでいいと思えません。リサが今こうして復讐に燃えているのと同様、それは向こうも同じでしょう。鬼というのは、執念深いですから」
 善場「リサ、その男と戦っている時、男は何か言ってましたか?」
 リサ「特に重大なことは言ってなかった。ただ……」
 善場「ただ?」
 リサ「『俺以外にも鬼がいたのか!』って、驚いてた」
 愛原「んん?」
 リサ「『しかも女だ!』って」
 愛原「それはつまり……」
 高橋「本物の鬼ってことっスか?」
 善場「まさか。例えば源頼光の伝説で有名な酒呑童子や茨木童子でさえ、伝説では鬼ですが、その実は人間の山賊であったわけです。実在はしないはずですよ。リサの場合は、たまたま体内のGウィルスや特異菌が、鬼の姿を形成してしまった、偶然の産物です」
 愛原「ということは、その男も、Gウィルスや特異菌を体内に有した者ということですか?」
 善場「あ、有り得ないです。そんなのが国内に入ってきたら、すぐに分かります」
 高橋「こいつ、外国人か?……いや、日本人だよなぁ……」
 善場「とにかく、埼玉県警には私共も捜査協力という形で、何とか情報提供を求めるようにします」
 愛原「私達はどうすれば?」
 善場「リサ、その男に自分のことを話した?」
 リサ「そんなことするわけがない。『お前は誰だ?』とかは聞かれたけど、『アンタなんかに教えるか!』って爪で引っ掻いてやった」

 リサの方が押していたが、鬼の男は火を噴いて、リサを火だるまにした。
 その隙に逃げたというわけだ。

 愛原「じゃあ、俺達が都内に住んでいるかどうかは知らないってわけだ。助かった」

 願わくば、埼玉県内を永遠に探し回っててもらいたいものだ。
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