報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「リサが見た悪夢」

2023-06-22 21:00:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明02時05分 天候:雷雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 外はバケツをひっくり返したような雨だ。
 そして、時折雷鳴も聞こえる。
 リサはふと目が覚めた。
 自分の部屋で寝ているはずだが、何だか自分の部屋のような感じがしない。
 視界に広がる光景は、明らかに自分の部屋なのだが……。

 リサ「……エレン?」

 リサはセミダブルベッドで寝ている。
 それを良いことに、我那覇絵恋と同衾しているといった感じ。
 そこはシングルベッドで高橋が寝ている為に、事務所から折り畳みベッドを持って来て、その隣で寝ているパールとは違う。
 リサが目覚めると、横で寝ているはずの絵恋の姿が無かった。
 トイレに行っているのだろうか?
 それなら自分もとばかりに、リサはベッドから起き上がった。
 カーテン越しに、雷光か室内に差し込む。
 室内の鏡に、リサの赤い瞳が映り込んだ。
 これだけで十分ホラーだろう。
 リサが部屋の外に出ようとした時だった。

 リサ「!?」

 そのドアがドンドンドン!と、乱暴にノックされた。

 リサ「誰だ!?」

 リサは第1形態の鬼に戻り、ドアを開けた。
 すると、その向こうにいたのは……。

 リサ「!!!」

 リサと対峙した男の鬼。
 その左手には……。

 リサ「エレン!?」

 生首だけになった絵恋が髪の毛を掴まれて、ぶら下がっている。
 部屋の外は血の海。
 愛原も高橋もパールも、体をバラバラにされている。
 男の鬼の口元には、血がベットリと付いていた。

 鬼の男「この女が一番美味かったぞ。お前も食え」

 鬼の男は右手に持っていた、絵恋の右腕を差し出した。

[12月29日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 リサ「……はっ!」
 絵恋「リサさん、大丈夫?」
 リサ「はッ!?」

 リサは第1形態に戻っていた。

 絵恋「大丈夫?魘されてたよ?悪い夢でも見たの?」
 リサ「……夢か……。そうかもしれない……」
 絵恋「汗びっしょりよ。一緒にシャワー浴びよ」
 リサ「う、うん……」

 リサの着ていた白い体操服は汗でびっしょりになり、黒いスポプラが透けていた。
 着替えを持って、部屋の外に出ると、いつものリビング・ダイニングがあった。
 キッチンでは、高橋とパールが朝食を作っている。

 高橋「おー、起きたか。さっさと顔洗ってきやがれ」
 パール「御嬢様方、おはようございます」
 リサ「お、おはよう……」
 絵恋「おはよう。リサさん、寝汗かいちゃったから、シャワー浴びて来るね」
 パール「かしこまりました」
 リサ「……先生は?」
 高橋「まだ寝ておられんぜ。どうせ今日から年末年始休みだ。ゆっくりさせて差し上げろ」
 リサ「う、うん……」

 リサは絵恋と一緒にバスルームに入った。

 絵恋「いっぱい汗かいたねー。どんな悪い夢だった?」
 リサ「鬼の男に襲われる夢……」
 絵恋「り、リサさんを乱暴しようだなんて、不潔だわ!私が空手で……」
 リサ「い、いや、そうじゃない。あいつは……本当に人を食ってる。斉藤早苗並み……いや、それ以上に」
 絵恋「ええっ?そんなポッと出の鬼なんて……」
 リサ「私達が知らない……恐らくBSAAもデイライトも完全ノーマークだったんだと思う」
 絵恋「どうして、そんなことが……」
 リサ「多分、本物の鬼だから。わたしはあくまで、Gウィルスと特異菌の作用によって、鬼のような姿に変化しているだけだから。だけど、あの男は違うのかもしれない。だからだよ」
 絵恋「それこそ、栗原先輩達の出番ってことね」
 リサ「そういうことだな」

 2人の少女は一糸まとわぬ姿になり、浴室に入った。

 リサ「……って、何でエレンも入ってるの!?」
 絵恋「いいからいいから背中流してあげる」
 リサ「オマエなぁ……」

 リサは背中を流してもらった。

 リサ「ん?」

 その時、リサは排水口の蓋がズレていることに気づいた。
 比較的新しいマンションである為、浴室もユニットバスである。
 排水口も、床とデザインが一体化したタイプになっており、その蓋の隙間からお湯が排水される仕組みとなっている。
 その蓋がズレていたので、リサはその蓋を一旦外した。
 すると、その中に本当の排水口が出て来る。
 要は、排水口を隠す為の蓋ということだ。

 リサ「蓋……?跳ね上げる?もしかして……!」
 絵恋「リサさん、どうしたの?」

 リサはシャワーで汗を流し、私服に着替えた。
 さすがに、体操服ではない。

 愛原「2人とも、おはよう」
 リサ「おはよう」
 絵恋「おはようございます」
 リサ「先生」
 愛原「ん?」
 リサ「埼玉のあの家の図面、見せて」
 愛原「え?」
 リサ「不動産屋さんからコピーもらってたでしょ?あれ見せて」
 愛原「しかし、もうあの家は燃えちゃったぞ?」
 リサ「それでもいい」
 愛原「分かった分かった。だが、メシマズ案件だったら、まず先に朝飯食ってからにしよう」
 リサ「うん、分かった」

 リサはダイニングの自分の席に着いた。
 そして、一気に食べてしまう。

 愛原「今のうちに、引っ越しの準備とかしておけよー」
 高橋「了解っス」
 リサ「先生、図面」
 愛原「ああ、分かった」

 愛原は図面のコピーを自分の部屋ら持って来た。

 愛原「これでいいか?」
 リサ「ありがとう」

 リサは1階と2階の図面を重ね合わせてみた。
 探索したことのある物置の抜け穴、そして子供部屋と隠し通路との抜け穴の位置がピッタリ重なった。

 リサ「横長の通路の先が、どこに続いていたのかというと……ここ!やっぱり!お風呂に通じてる!」
 愛原「なるほど、そうなのか。……つまり、これは……」
 リサ「子供部屋に、あの鬼の『男』が住む。“獲物”を2階のお風呂を使わせて、油断してる所を一気に爪で……」

 リサは自分の右手の爪を長く鋭く伸ばした。

 愛原「おい、それホントかよ……」
 リサ「殺した後は、そのままお風呂で食事。食べ残しや骨なんかは細かく切断して、抜け穴の中に落とす。そして、抜け穴から子供部屋を通って、今度は物置の方の抜け穴に落とす。あとは、そこから車で骨とかを捨てに行く。……これでいいんじゃない?」
 愛原「……なるほどな」
 リサ「正に、『鬼の棲む家』」
 高橋「鬼というよりは、まるで山姥ですね」
 愛原「あー、確かにな」

 最初は常人を装って、来客を歓待する。
 歓待された来客は上機嫌で、酒などを飲まされる。
 夜遅くまで歓待された後、家人から、『今夜はもう遅いので、泊まって行かれたらどうか?』と、誘われる。
 これまで大歓待を受けていた来客は上機嫌で、それを受けてしまう。
 そして、リビング横のゲストルームや2階の浴室に案内される。
 浴室で入浴していた来客は、何も知らずに後ろから鬼に襲われて……。

 リサ「人を食べる時、服とかは邪魔だからね。お風呂ならちょうど裸だし、都合いいと思う」
 愛原「なるほどな。しかし、あの家は全焼してしまった」
 高橋「証拠隠滅っスかね?」
 愛原「多分な」

 しかし、もう年末年始休みに入ってしまった。
 デイライトもBSAAも、よほどの事が無い限りは出動しないだろう。
 ましてや、鬼の男がバイオテロと関りが無いとなると、尚更だ。

 愛原「やはり、栗原一族にお願いするしかないか」
 リサ「わたしにまで飛び火しそうで何かヤダけどね……」
 愛原「しょうがないだろう。何なら、俺と高橋だけで行ってくるよ」
 絵恋「その方がいいわ。栗原先輩、悪い人じゃないけど、鬼の事になると、人が変わるもの」
 リサ「う、うん。そう、だな……」

 日本アンブレラ関係の事がようやく終わりを見せたと思ったら、今度は本物の鬼が現れたか。

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