報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「美術部に残された怪奇画」

2023-01-26 16:15:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月23日13時30分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・美術室]

 美術教師(👩)「ふーむ……」

 美術部顧問が桜谷の完成した作品を精査する。
 リサの美術教科担任の教師ではないが、プロの画家でもあり、個展を開くこともあるという。

 美術教師「高校生とは思えない絶妙な表現と、禍々しさの中にも可愛げを感じるこのタッチ……。うん、これならコンクールでも十分に通用すると思うわ」
 桜谷「ありがとうございます!」
 美術教師「本当に凄いわね。まるで、えーと……」
 リサ「愛原リサです」
 美術教師「そうそう。魔王に扮した愛原さんが、絵の中から今にも出てきそうよ」
 リサ「サクラヤの絵の具に混ぜたわたしの血……」
 桜谷「リサ様!」
 リサ「おっと!」
 美術教師「ん?なに?」
 桜谷「な、何でもありません!」
 美術教師「1点だけ分からない所があるんだけど、黒いマントとこの禍々しいデザインの杖は、確かに魔王って感じだけど、どうして服は体操服とブルマなの?」
 リサ「わたしの好きなマンガの主人公、それも魔王なんですけど、それが体操服にブルマだからです」
 美術教師「そ、そうなの?でも、それなのに、本当の魔王に見えてくるから不思議だよねぇ……」
 桜谷「『見える』じゃなくて、本当の魔王様……」
 リサ「サクラヤ!」
 桜谷「あっ、ごめんなさい!」
 美術教師「なに?何なの、あなた達?さっきから?」
 桜谷「な、何でもありません!」
 リサ「こっちのこと」
 美術教師「まあいいわ。この作品は、しばらく美術室に展示しておきましょうね」
 桜谷「ありがとうございます」
 リサ「それと先生、ちょっと聞きたいことが……」
 桜谷「なに?」
 リサ「美術準備室に、面白い絵を見つけた。誰が描いたか知ってる?」
 桜谷「面白い絵?そんなのあったかしら?」
 リサ「うん」

 リサは2人を美術準備室に案内した。

 リサ「これ!この絵!」
 美術教師「こ、これは……!」

 リサは先ほど見た怪奇絵を2人に見せた。
 校庭で体操服にブルマを着用した東京中央学園の女子高生達が、校庭の地面から現れた青紫色の手の集団にエロ攻撃をされている絵である。

 桜谷「うわ、エッロ……!」
 美術教師「み、見てはいけません!」
 リサ「他にも、こんなのとか……」

 リサは旧校舎の階段に現れるという、目玉の化け物を描いた怪奇画も見つけた。
 階段を何も知らずに昇り降りする女子生徒。
 木造の旧校舎が現役で使われていた頃を描いたものなのか、男子生徒の制服は学ランで、女子生徒はセーラー服である。
 階段に潜む目玉のお化けが、女子生徒のスカートの中を覗き込むという絵であった。
 怪奇画なので、絵のタッチは不気味だが、しかしその中にエロ要素も含まれている。

 美術教師「も、持って帰るように言ったはずなのに!」
 リサ「この学校にいる人の作品ですか?」
 美術教師「もう、卒業生よ。何年も前も。今はプロの怪奇画家として活動しているはずよ」
 桜谷「内容はともかく、さすがプロレベルと言える作品なのに、ここに置いて埃被らせるなんて、何だか勿体ないですね」
 リサ「うん!ネットで売れば、いくらかにはなる!」
 美術教師「あの人、『是非とも展示して、この学園で起きている危機を伝えて欲しい』なんて言ってたんだけど、さすがに内容がね……」

 主に女子生徒ばかりを描いていて、それが学園に巣くうお化け達にセクハラされている内容なものだから……。

 リサ「原因となった特異菌は、既にBSAAが排除したから、もうこんな怪奇現象は起こらないしね」

 その為、今現在も進行形で起きている“学園の七不思議”の殆どが、リサが原因である。
 リサが卒業した時、この学園は本当の意味で怪奇現象から解放されることになるだろう。

 リサ「何て名前の人ですか?それと、この絵、もらいたいです」

 リサは校庭で手の化け物にセクハラ攻撃される、体操服にブルマの女子生徒達の絵を手に取った。

 美術教師「ダメよ。これはあの……南原君の作品だから。連絡して、返却します」
 リサ「ぶー……」
 美術教師「どうしても欲しかったら、南原君に聞きなさい」
 桜谷「プロの作品だから、きっと高いよ?」
 リサ「むー……」
 美術教師「いや、それは大丈夫でしょ。ここに置きっ放しにして行くくらいだから」

 本当はこの学内にて展示希望として置いて行ったのであるので、放置というわけではないだろうが。

 リサ「他にもありますか?」
 美術教師「他にもあると思うけど、私がここに赴任する前の話だから、探すのが大変なのよ」
 リサ(もしかしたら、“トイレの花子さん”の絵とかもあるかもしれない)

 しかし、今日探すのは無理だった。
 さすがに今日は、美術教師に追い出されてしまったからだ。

 リサ(“花子さん”とエロって関係あるかなぁ……)

 聞いている話の中では、“トイレの花子さん”にエロ描写は無い。

 桜谷「リサ様、あの絵のことなんですけど……」
 リサ「それがどうした?」
 桜谷「リサ様も再現できますか?」
 リサ「そのまんま再現はムリ。あれは特異菌が見せた幻覚。絵の中の女の子達は、その幻覚に現れたクリーチャーに襲われているに過ぎない」

 そこまで言って、リサは……。

 リサ「寄生虫とか使えば再現できるとは思うけど、まんま虫だからね」

 リサは口の中から、芋虫のようなものをペッと吐き出した。
 地面に落ちると、触手のような物を伸ばすことができる。
 この触手に絡めて相手を転倒させたり、スカートめくりくらいはできるだろう。
 だが、無数の手が現れてセクハラ攻撃をするには、寄生虫が1匹や2匹では足りない。

 リサ「再現は無理」

 リサは寄生虫を踏み潰した。

 桜谷「そうですか」
 リサ「うーん……マジであの絵、欲しい」
 桜谷「調べて問い合わせてみましょう」
 リサ「うん」

 2人は学校を出ると、上野駅前のファストフード店に入り、そこで遅い昼食を取って解散した。
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“愛原リサの日常” 「『魔王様の肖像画』の完成」

2023-01-24 20:07:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月25日09時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 3連休最後の日曜日。
 リサはゆっくり目に起きた。

 リサ「先生、おはよう」
 愛原「おう、リサ。おはよう」
 リサ「お兄ちゃん、おはよ」
 高橋「おう」
 リサ「朝からいい匂い」
 愛原「カレー作り過ぎちゃって、余ったんだ。今朝もカレーでいいかな?」
 リサ「全然OK」

 リサは『いいね』した。

 愛原「今日は学校に行くんだろ?また、夕方までいるのか?」
 リサ「うーん……。サクラヤの絵の進捗具合による」
 愛原「それでも、夕方までには帰るんだろ?」
 リサ「それはもちろん。少なくとも、お昼は食べてくると思う」
 愛原「分かった。俺達も出かけるから、もし何だったら、一緒に車に乗せて行くぞ?」
 リサ「ホント?それじゃ、お願い」
 愛原「但し、帰りは自分で帰れよ?」
 リサ「分かってるよ」

 高橋が温めてくれたカレーを掻き込むリサ。

 リサ「先生達はどこに行くの?」
 愛原「BSAA日本地区本部だよ。緊急に聞きたいことがあるからって、今から事情聴取だよ」
 リサ「ええっ?大丈夫なの?わたし……何かした?」
 愛原「いや、リサのことじゃないさ。呼ばれたのは俺と高橋だけだから。それに、善場主任が付き添ってくれるだけで。もしリサのことなら、リサも連れて来いってことになるはずだ」
 リサ「それもそうか」
 高橋「どうせ、あれっスよね?“青いアンブレラ”と遭遇したもんだから、それのことっスよね?」
 愛原「だと思うんだがな。あいつら、外国では合法な民間軍事会社ではあるけれど、日本ではそんなもの違法だからさ。それを承知で活動されると、国連軍の一派であるBSAAのメンツが潰れるってことなんだろ」
 高橋「俺達が仲良くしたことが、そんなにムカついたんスかね?」
 愛原「どうだかな。俺達だって、高野君が向こうにいなけりゃ、特に相手する所でもないんだがな。もしそういう話の流れだったら、そういう風に説明するしか無いだろう」
 高橋「アネゴとは、一時的にも一緒に仕事した仲っスからねぇ……」
 愛原「それ以前に、霧生市のバイオハザードを一緒に生還した仲間でもある。あまり邪険にされても、困るんだがな」

 リサは2人の探偵と助手の難しい話を話半分に聞きながら、これからの予定のことを考えていた。

 リサ(今日は購買も食堂も開いてないから、自販機で買うしかない。パンとか冷凍食品とかアイスとか……。売り切れになってないといいけど……)

[同日10時30分。天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 東京中央学園の通用門の前に、1台のライトバンが停車する。
 愛原がレンタカー会社からリース契約している、仕事用の商用バンだ。
 4ナンバーのこれを借りているのは、何も5ナンバーや3ナンバー車よりも料金が安いからだけではない。
 隠密行動をする際、全国どこにでも存在していて、どこにいようか不自然ではない車種を選んだからである。
 今回も、こうして学校に来ると、まるで休校日にしかできない作業に来た業者の車に見えるだろう。
 大手の探偵事務所だと、タクシーを貸し切ることもあるそうだ。
 これとて、どこにいても不自然ではないし、自分で運転するわけではないから、乗客のフリをすることもできるというわけだ。

 愛原「それじゃリサ、帰る時、すぐに連絡するんだぞ?」
 リサ「分かった」

 制服に着替えているリサは、車から降りて、生徒通用門から校内に入った。
 平日と比べて静かなものだが、それでも運動部が練習している声とか音などが聞こえる。
 リサは校舎内に入ると、美術室に向かった。

 リサ「おはよう」
 桜谷「あっ、魔王様、おはようございます!」
 リサ「今日で仕上げだっけ?」
 桜谷「そうです。準備の方、お願いします」
 リサ「分かった」

 リサは桜谷からロッカーの鍵を受け取った。
 そして、隣の美術準備室に入る。
 そこにはロッカーが1つ置かれていて、その中にリサがモデルとして着用する衣装が入っているのである。
 もっとも、体操服は学校指定の物であり、ブルマもリサが自前で用意した紺色のブルマを穿く。
 ロッカーの中に入れてあるのは、その上から羽織る黒マントとゴツい装飾のされた魔法の杖である。
 タイトルは、『魔王様の肖像画』である。
 制服から体操服に着替える。
 ブルマは既にスカートの下に穿いていた。
 あとは、マントを羽織って杖を持つだけ。
 最後に、第1形態に戻ってモデル開始である。

[同日13時00分 天候:曇 同校美術室]

 桜谷「できた!できました!」

 制服の上からエプロンを羽織っている桜谷が言った。

 リサ「おおーっ!」

 肖像画とするに相応しい大きなサイズである為、制作期間は思いの外掛かってしまったが、それでもコンクールには間に合ったようだ。

 リサ「モデルになったわたしが言うのも何だけど、まるで本物みたい」
 桜谷「リサ様のおかげですよ」

 桜谷は絵の具を指さした。
 絵の具にはリサの血や、寄生虫の体液を抽出した物が混ざっている。

 リサ「早速飾る!?」
 桜谷「まずは先生に見てもらいます。職員室にいるはずなので、呼んで来ますね」
 リサ「分かった。それじゃ、わたしは着替えるから」
 桜谷「了解です!」

 桜谷は顧問の教師を呼びに行った。
 美術部の顧問なのだから、美術教師である。
 リサは再び美術準備室に入り、制服に着替え始めた。

 リサ「ん、何だこれ?」

 準備室の中には、既に制作済みの絵などが保管されている。
 中には、何年も保管されている絵もあった。
 いつの間にか、その保管庫の棚から、1枚の絵がはみ出ていた。
 リサは着替え終わると、その絵を取り出してみた。

 リサ「こ、これは……!?」

 それはエロ恐ろしい絵であった。
 この学校の女子体操服が、まだブルマが当たり前だった頃に描かれたものだろう。
 複数のブルマ姿の女子生徒が、校庭で猥褻行為を受けている絵だった。
 しかし、猥褻行為をしているのは人間ではない。

 リサ「これは……マドハンド???」

 青紫色の手首から上だけの手が、女子生徒達を襲っていた。
 地面から伸びた手が、長髪の女子の髪を掴んで地面に引っ張ったり、ある手は別の女子生徒の胸を揉みしだいたり、後ろからブルマの中に手を入れたりしていた。
 一番被害を受けている女子は下半身を完全に脱がされ、上半身も体操服をずり上げられて、下のブラが丸見えになっている。
 しかし、肝心の股間を手の化け物が隠しているという絵だった。

 リサ「エロいねぇ……。こんなの描いたの、絶対男子でしょ?」

 リサはニヤッと笑った。

 リサ「……待てよ。この手って……」

 リサはふと、新聞部で行われた“学校の七不思議”特集のことを思い出した。
 さすがにこんなエロ描写は無いものの、似たような話をリサは聞いたことがあった。
 学校の校庭には幾人もの地縛霊が潜んでいて、体育の授業中、見えない手が伸びて来て、足を掴まれたりしたとかいう話だ。
 それとて、結局は特異菌感染による幻覚症状だということが分かっている。

 リサ「なるほど。確かに、こんなエロハンドもいたのかもしれないね。他にもあるかな……?」

 リサは他にも似たような怪奇画が無いか探そうとしたが、そこへ桜谷と顧問の教師が戻って来たので、断念せざるを得なかった。
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“私立探偵 愛原学” 「報告後の帰り」

2023-01-23 20:42:49 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月24日16時15分 天候:曇 東京都港区新橋 新橋バス停→都営バス業10系統車内]

 デイライトでの話は、小一時間ほどで終了した。
 私達はデイライトの事務所をあとにした。

 愛原「上手く行ったな」
 高橋「はい、さすが先生です」
 愛原「いや、皆のおかげだよ。それじゃ、帰るとしよう」
 リサ「ヘイ、タクシー!」
 愛原「いや、帰りもバスだよ」
 リサ「えー……」
 愛原「もう用事は終わったんだからな」

 私達はデイライトの事務所近くのバス停に向かった。
 ここからバスに乗れば、菊川まで乗り換え無しで帰れる。

 愛原「帰って、夕飯にしよう」
 高橋「はい。帰ったら、すぐに作りますので」
 愛原「頼もしいな」
 高橋「ネンショーやムショにいた時のスキルがお役に立てるなんて、最高です」
 リサ「わたしも手伝うー」
 愛原「ありがとう」

 そして、バスがやってくる。

 愛原「バス代くらいは、俺が出してやるよ」
 高橋「ありがとうございます」
 リサ「ありがとう」

 私達は前扉からバスに乗り込んだ。
 今日は1番後ろに3人並んで座った。
 席の並びは……まあ、新幹線と同じだ。

 愛原「何だか、曇ってきたな……」
 高橋「今日の夜、雨降るらしいっス」
 愛原「マジか。洗濯物、取り込んでおいた方がいいな」

 まだ9月では、ゲリラ豪雨も降るだろう。
 次の台風の予報なんかも出ているし、まだまだ油断はできない。
 発車の時刻になり、バスのエンジンが掛かる。

〔「お待たせ致しました。16時17分発、東京スカイツリー駅前行き、発車致します」〕

 折戸式の前扉が閉まると、バスが走り出した。

〔発車致します。お掴まりください〕
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは銀座四丁目、勝どき橋南詰、豊洲駅前経由、とうきょうスカイツリー駅前行きでございます。次は銀座西六丁目、銀座西六丁目でございます。日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、本所吾妻橋で。日蓮正宗本行寺と常泉寺へおいでの方は、終点、とうきょうスカイツリー駅前でお降りになると便利です。次は、銀座西六丁目でございます〕

 たまにこのバスに乗ると、栗原姉妹と乗り合わせることがあるが、今回はそういうことは無いようだ。

 高橋「先生、新しい事務所の件っスけど、俺のツテで探してるんですが、どうも……」
 愛原「だからさ、オマエの仲間が協力してくれるのは嬉しいが、どうして如何わしい所ばっかりなんだい?」
 高橋「いやあ、半グレの悲しい所で、風俗店とかやってるもんで……」
 愛原「昔は風俗店の後ろに付いているのは暴力団だったりしたものだけど、今は半グレなんだねぇ……」
 高橋「ヤーさん経営の店を追い出して、空き店舗になった所とかあるんスけど……」
 愛原「だから、治安の悪い所に事務所構えても、変な仕事しか来ないって」
 高橋「さ、サーセン」
 愛原「リサの学校のこともあるんだから、なるべく今と近い所の方がいいんだって」
 高橋「まあ、そうっスね」
 愛原「近くの不動産屋を当たるしかないよ」
 高橋「でも、無かったじゃないスか」
 愛原「まあな……」

[同日17時15分 天候:曇 東京都墨田区菊川 都営バス菊川バス停→愛原のマンション]

 バスは無事に菊川に着いた。

 高橋「じゃあ、急いで帰って、飯にしましょう」
 愛原「ああ、頼むよ」

 コンビニの前を通らないので、リサの買い食いは防げそうだ。
 もっとも、マンションの入口に自販機はあるので、そこでリサがよくジュースを買うのだが。
 現金しか使えないので、リサが小銭を入れる数少ない機会だ。

 高橋「リサ、早くしろ」

 高橋が先にマンションの中に入って、エレベーターを呼ぶ。

 愛原「どうしたんだ、高橋?」
 高橋「いや、さっき雷の音が聞こえたもんで」
 愛原「えっ、うそ?!」
 高橋「いや、ホントっス」

 とはいうものの、まだ9月だというのに、外が随分と暗くなってきたように見える。
 雨は夜だと聞いていたが、早まったのか。

〔上に参ります〕

 私達は急いでエレベーターに乗った。

 愛原「雨が降る前に、洗濯物取り込んでおくぞ」
 リサ「もう乾いてるかな?」
 愛原「乾いていない場合は、室内干しだな。俺がやっておくから、リサは高橋の手伝いをしてくれ」
 リサ「分かった」

 部屋に戻ると、リサは着替えに自分の部屋へ。
 私はベランダに向かって、洗濯物を取り込み始めた。
 確かに遠雷が聞こえる。
 どうやら、ゲリラ豪雨が早まったようである。
 さすがに、まだ生乾きなので、リビングの上に設置している物干し竿に引き続き干し直す。

 

 リサのブルマや黒いショーツが干されているのも干し直す。

 リサ「先生、もっと見たい?」

 後ろから声を掛けられて振り向くと、体操服とブルマに着替えたリサが言った。
 ブルマはもう1着の緑色であった。
 学校指定の物で、いま洗濯しているのは通販で購入したものだが、いま穿いているのは、学校指定の衣料店で購入したものだ。

 愛原「オマエ、それで高橋を手伝うのか?」
 リサ「うん!」

 リサはそう言って、その上からエプロンを着用した。

 愛原「まあ、いいけどさ……」
 リサ「あ、そうだ。わたし、明日、学校行くから」
 愛原「また、絵のモデルか?」
 リサ「うん。サクラヤが、仕上げに入りたいんだって」
 愛原「そうか。もう仕上げの段階なのか」
 リサ「そう。できたら、先生にも見せてあげるね」
 愛原「それは楽しみだ」
 高橋「おい、リサ。早くこっちに来い」
 リサ「はーい」
 愛原「今日のメニューは何だ?」
 高橋「いつも週末はカレーじゃないっスか」
 愛原「それもそうだ。昨日は出張で食えなかったから、今日に代替ってか」
 高橋「そういうことです。リサがどうしても、ビーフカレーがいいって言うんですけど、それで良かったっスか?」
 愛原「別にいいよ」

 王道だと思うが、リサが何も言わなかったら、何のカレーにするつもりだったのだろうか?
 それを聞こうとした時、私のスマホが鳴った。
 画面を見ると、善場主任だった。
 私は自分の部屋に入ると、電話に出た。

 愛原「はい、愛原です」
 善場「愛原所長、お疲れさまです」
 愛原「主任、お疲れさまです。先ほどは、ありがとうございました」
 善場「いいえ、こちらこそ」
 愛原「何かありましたか?」
 善場「リサの方ですが、何か異常はありませんか?」
 愛原「リサですか?いいえ、別に。リサが、どうかしたんですか?」
 善場「アンブレラ側のデータによると、Gウィルス保有者が特異菌に感染すると、突然変異が発生する恐れがあるとあったものですから……」
 愛原「ええっ、そうなんですか?!」
 善場「リサは特異菌クリーチャー、モールデッドからの攻撃を受けたんですよね?」
 愛原「ええ。でも、リサもBOWですから、回復薬無しですぐに回復しましたが」
 善場「何かアイテムを使用したりはしましたか?」
 愛原「はい。レッドハーブを使いました」
 善場「レッドハーブですか」
 愛原「はい」
 善場「使ったアイテムは、それだけですか?」
 愛原「そうですけど……」
 善場「分かりました。異常が出たら、いつでも構いませんので、すぐに連絡してください」
 愛原「わ、分かりました」

 私は電話を切った。
 そして、また部屋を出て、ダイニングに行った。

 高橋「何だァ?化け物でも、玉ねぎ切れば、涙出るんだな?」
 リサ「そうだよ……」
 高橋「あれ?先生、どうしました?」
 愛原「あ、いや。リサのヤツ、大丈夫か?」
 高橋「玉ねぎ切って、涙が出ただけっスよ。確か先生、玉ねぎはみじん切りの方がいいんでしたね?」
 愛原「あ、ああ、そうだな。頼むぞ」
 高橋「はい」
 愛原「リサ」
 リサ「なに……?」
 愛原「体の具合が悪くなったら、すぐに言うんだぞ?」
 リサ「分かった……」

 今のところ、特に異常は無いようだが……。
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“私立探偵 愛原学” 「帰京してからのこと」

2023-01-23 14:58:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月24日00時15分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 タクシーがマンションの前に到着する。

 愛原「カードで払います」
 運転手「はい、ありがとうございます」
 愛原「領収証ください」

 料金は私がカードで払った。
 領収書は取っておき、明日……おっと!
 日付が変わったから、今日か。
 今日、デイライトの事務所に行く時に持って行くことにする。

 愛原「あー、疲れたなー……」
 高橋「早いとこ帰って、休むとしましょう」
 愛原「ああ」

 タクシーから荷物を降ろして、マンションに入る。

 愛原「風呂入って寝るか」
 高橋「すぐに沸かします。朝は、何時に起きますか?」
 愛原「そうだなぁ……。そもそも、デイライトさんに、荷物が届かないことには、俺達も動けないしなぁ……」

 午前中といっても、昼近くに届くようだったら、午後に行くことになるだろう。

 愛原「まあ、9時までには起きることにしよう」
 高橋「分かりました」
 愛原「今回はリサにも一緒に行ってもらうから」
 リサ「わたしも?分かった」
 高橋「どうしてリサもなんスか?」
 愛原「今回、向こうでクリーチャーと戦っただろ?BOWの視点で見た報告が欲しいんだと」
 リサ「わたし目線って……先生達と、そんなに変わんないと思うよ。わたしも眠いから、もう寝るね」
 愛原「風呂はいいのか?」
 リサ「仙台で温泉入っちゃったし。起きてから入るよ」
 愛原「そうか」

 リサは自分の部屋に入って行った。

 高橋「先生、朝飯は軽くでいいっスか?」
 愛原「いいよ」

 私も荷物の片づけをする為に、自分の部屋に入った。

[同日09時00分 天候:晴 同マンション]

 疲れたせいか、随分とグッスリ眠ったような気がする。

 高橋「先生、おはようございます」
 愛原「ああ、おはよう」

 顔を洗いに洗面所にに行くと、浴室からシャワーの音が聞こえた。
 どうやら、リサがシャワーを浴びているらしい。

 愛原「デイライトさんから連絡は?」
 高橋「まだ無いっス」
 愛原「そうか」

 控えの伝票から、荷物が今どうなっているのか確かめることができる。
 それによると、今、配達中になっていた。
 どうやら無事に荷物は都内まで運ばれ、近くの配達店まで来たようである。
 そして今、配達中と……。

 愛原「どうやら、朝飯をゆっくり食える暇は有りそうだな」
 高橋「そうっスね」

 しばらくして、制服に着替えたリサが部屋から出てきた。

 愛原「学校に行くわけじゃないよな?」
 リサ「もちろん。デイライトの事務所に行くんでしょ?」
 愛原「ああ、そうだ」

 高橋が作ったのはトーストとベーコンエッグ、サラダとコンソメスープだった。

 愛原「いただきまーす」
 リサ「いただきまーす」

[同日11時00分 天候:晴 同地区内 愛原学探偵事務所]

 朝食を食べ終わっても、まだ善場主任から連絡が来ない。
 待っていると、なかなか来ないなと思う。
 それがようやく11時を回る頃、やっと連絡が来た。

 善場「愛原所長、お疲れ様です」
 愛原「善場主任、お疲れ様です」
 善場「今しがた、荷物が届きました」
 愛原「あ、今届きましたか」

 午前中であることに、変わりは無い。

 愛原「それでは今から向かい……」
 善場「あ、いえ。その前に、こちらで内容を精査致します。所長方は、それ以降に来て頂きたいのです」
 愛原「あ、これは失礼致しました。それで、いつ頃お伺いすれば?」
 善場「そうですね……。もうすぐお昼ですし、15時頃に来て頂ければ宜しいかと思います」
 愛原「15時頃ですね。承知致しました。では、その時間帯に伺わせて頂きます」
 善場「宜しくお願いします」

 私は電話を切った。

 愛原「15時だってさ」
 高橋「マジっスか。時間が中途半端っスね」
 愛原「まあ、しょうがない。昼飯食べてから行くことになるな」
 高橋「また俺が、ホットドッグでも作りますよ」
 愛原「おう、悪いな」
 高橋「その前に、夕食の買い出しに行こうと思います。15時からだと、帰り、夕方になりますよね?」
 愛原「あー……そうだな。じゃあ、頼むよ」
 高橋「任せてください」

[同日15時00分 天候:曇 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]

 私は高橋とリサを連れ、約束の時刻にデイライトの事務所を訪れた。
 すぐに来客用の会議室に通される。

 善場「皆さん、昨日はお疲れさまでした。おかげさまで、重要な情報を得ることができました」
 愛原「もしかすると、それは地下施設の概要よりも、ヴェルトロと天長会が繋がっていたことですか?」
 善場「そうです。関係各機関と連携し、天長会には捜査の手が及ぶことになるでしょう」
 高橋「胡散臭ェ宗教だと思ってたけど、やっぱそうだったかよ」
 愛原「今更だぞ。白井が信者という時点で、ほぼ真っ黒だろ」
 高橋「それもそうっスね」
 善場「仰る通りです。資料の中には、どうやってヴェルトロが特異菌を手にしたのかも書かれていました」
 愛原「そうですか」
 善場「2005年にヴェルトロの本体が崩壊した後、生き残った一部の者が他の組織に移ったようです。その組織が特異菌を扱っていたことから、そこから渡ったようですね」
 愛原「天長会は、どう関わったのでしょうか?」
 善場「東京中央学園で起きていた怪奇現象の正体は、特異菌による幻覚や幻聴であることが分かりましたね?」
 愛原「はい」
 善場「幻惑を見せる特別な薬として、儀式で使う名目で手に入れていたようです」
 愛原「写真に移っていた上野理事長というのは、教祖ですか?」
 善場「いえ、教祖ではありません。あくまでも、事務部門のトップです。省庁で言えば、教祖が大臣なのに対し、理事長は事務次官クラスです」
 愛原「そういうことですか」
 善場「そして、上野利恵の夫であることも判明しました」
 愛原「上野利恵に食い殺されたわけですね?」
 善場「そうです」
 リサ「あの人食い鬼が……」
 高橋「オマエもだろ」
 リサ「わたしはまだ食い殺してないもん!」
 高橋「先生を食い殺すんじゃねーぞ!?」
 リサ「分かってるよ」
 愛原「そういえば上野利恵は、特異菌を使ってBOWになったんでしたね?」
 善場「そうです。そこがGウィルスとTウィルスを使われたリサとは、大きな違いです」

 実際には特異菌だけでなく、他にも生物兵器ウィルスを混ぜた物が使われた。
 しかし、リサよりも、より鬼らしい鬼となった。
 リサと同じなのは、普段は人間に化けられるところ。
 そして、スイッチが入ると、食人衝動や性欲がとても強くなるところ。

 愛原「ただ、あいにくと白井に関する情報は入りませんでした」
 善場「それは仕方ないです。恐らく、あの施設に白井は殆ど関わっていなかったのでしょう。どちらかというと、白井は本部長だったわけですから、本部直轄の施設しか関わらなかったと思われます」
 愛原「アンブレラの再興を願っているのでしょうか?」
 善場「それはまだ不明です。今、殆ど白井は自分の願いを叶えたも同然なのです。捕まえて本人から問い質したいところですが、姿を現してくれないことには、こちらも手が出せません」
 愛原「特異菌の使い手となると、消えるのも得意ですからね」
 高橋「先生、今のギャグっスか?」
 愛原「ンなわけあるか!」
 善場「とにかく、所長方の調査に感謝します。報酬は後ほどお支払い致しますので、まずは調査に掛かった諸経費について精算させてください」
 愛原「ありがとうございます」
 善場「それと、リサ」
 リサ「はい?」
 善場「あなたの戦闘データも確認しました。モールデッドから、何回か攻撃を食らっていますね?」
 リサ「ノーダメージ攻略なんて無理だよ」
 善場「いえ、そういうことではありません。人間であれば、あれで特異菌に感染したようなものです。もしも体に異常を感じるようなことがあれば、すぐに報告してください」
 リサ「分かりました」

 私達は東京中央学園の件で、既に特異菌に対するワクチンが投与されているので、抗体はある。
 それは、リサも同じだと思うのだが……。
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“私立探偵 愛原学” 「夜の帰京」

2023-01-23 12:16:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月23日21時45分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 JR仙台駅新幹線乗り場→東北新幹線74B列車8号車内]

 高橋が喫煙所から戻り、リサもトイレから出てきた。

 高橋「先生、どうします?ホームに行きますか?」

 列車を待ちますか?
 ①はい
 ②いいえ

 愛原「①だ!」
 高橋「え?」
 愛原「……あ、いや、何でもない。ホームに行こう」
 高橋「はい」

 私達はエスカレーターで、ホームに上がった。

〔13番線に、“やまびこ”74号、東京行きが、10両編成で、参ります。この、電車は、福島、郡山、宇都宮、大宮、上野、終点東京の順に止まります。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車、自由席は1号車から5号車です。尚、全車両禁煙です。……〕
〔「13番線、ご注意ください。“やまびこ”74号、東京行きが参ります。本日、東京行きの最終列車です。お乗り遅れの無いよう、ご注意ください」〕

 ホームで列車を待っていると、盛岡方向から真っ白なヘッドランプの光を灯らせて、最終列車が入線してきた。
 厳密にはこの後にも1本あるのだが、それは郡山止まりである。

〔仙台、仙台。仙台、仙台。ご乗車、ありがとうございました。……〕

 JR仙台駅には、ホームドアが無い。
 なので、列車が停車すると、すぐにドアが開く。
 盛岡始発なので、既に先客が乗っていたが、この駅で降りる乗客も散見される。
 そして、私達は前に並んでいる乗客に続いて、8号車に乗り込んだ。

 

〔「21時48分発、“やまびこ”74号、東京行きです。本日、東京行きの最終列車です。次は、福島に止まります。ご乗車になりまして、お待ちください」〕

 愛原「ここだな」
 高橋「先生、荷物上げます」
 愛原「ああ」

 リサが窓側席に行き、私は真ん中、高橋は通路側というのがセオリー。
 大きな荷物は、高橋に棚の上に載せてもらう。
 リサはテーブルを出して、NewDaysで買ったお菓子やジュースを置いた。
 しばらくして、ホームから発車メロディの音色が聞こえてくる。
 さとう宗幸氏の“青葉城恋唄”を地元の仙台フィルハーモニー管弦楽団が演奏したものである。

〔「13番線、ドアが閉まります。ご注意ください。ドアが閉まります」〕

 終電あるあるで駆け込み客を待つことがあり、それで発車が遅れることがある。
 客扱い遅れは乗務員の責任ではないので、会社側からのペナルティが課せられることはないそうだ。
 先述した通り、ホームドアが無いので、車両側のドアが閉まれば、すぐに発車する。
 スーッと加速して行き、夜の市街地に入る。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、東北新幹線“やまびこ”号、東京行きです。次は、福島に止まります。……〕

 高橋「それにしても先生、何とか無事に帰れそうですね?」
 愛原「油断するなよ。遠足や修学旅行と同じで、帰るまで仕事なんだからな」
 高橋「メモっておきます!」
 愛原「今更かよ……」

 そもそも帰りの新幹線代から、東京駅からマンションまでのタクシー代やら、デイライトさんに請求できるのだから、やはり帰るまでが仕事なのは間違いないだろう。
 例の資料は全てデイライトさんに送ったが、ちゃんと届くまでは、こちらに責任がある。

 愛原「今頃は、あの宅急便も、夜の高速を走っているだろう」
 高橋「なるほど」
 愛原「いや、もしかしたら、貨物列車かな」
 高橋「貨物列車ですか」
 愛原「大宮駅で、ヤマト運輸のコンテナを積んだ貨物列車を見たことがある。あれかもしれない」

 いずれにせよ、明日の午前中に着けば構わない。
 一方、リサはポッキーをポリポリ食べていた。

 リサ「先生、ポッキーゲームやる?」
 愛原「え?」
 高橋「バカ野郎、俺が先生とポッキーゲームやるんだよ!」
 愛原「オマエら、アホか!」

 こいつらといると、退屈しないなァ……。

[同日23時44分 天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]

 愛原「ニュースを見てるけど、さすがにまだ例の地下施設はニュースになっていないようだ」
 高橋「報道規制ですかね?」
 愛原「どうだろうな……」

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 もう終電なので、乗り換え案内はされない。
 もっとも、まだ通勤電車は運転されている。

〔「23番線到着、お出口は右側です。各在来線にお乗り換えのお客様は、最終列車にご注意ください。……」〕

 愛原「駆け足の仕事だったな」
 高橋「まさか、終電で帰ることになるとは思いませんでしたね」

 リサは私に寄り掛かるようにして寝ている。

 愛原「リサ、起きろ。そろそろ降りるぞ」
 リサ「うーん……」

 列車は地下トンネルを出て、秋葉原駅、神田駅と通過していく。
 平日なら並走する通勤電車も、もっと混んでいるだろうが、祝日の今日は客が少ない。
 そして、列車は東京駅の新幹線ホームに滑り込んだ。
 この車両はこのままこのホームで夜明かしをし、明日の始発列車として運転される。
 隣の東海道新幹線ホーム14番線にも、似たような運用がされると思われるN700系が停車していた。

〔「ご乗車ありがとうございました。終点、東京、終点、東京です。お忘れ物、落とし物をなさいませんよう、ご注意ください。23番線の列車は、回送です。ご乗車になれませんので、ご注意ください」〕

 私達は荷物を手に、ホームに降りた。

 愛原「それじゃ、タクシーにでも乗るか」
 高橋「へい」

 エスカレーターでコンコースに下り、八重洲中央口の改札を出る。
 それから八重洲側のタクシー乗り場へ。
 荷物はトランクを開けてもらい、そこに載せた。
 後ろに3人で乗る。
 セダンタイプのタクシーに3人で乗ると狭いが、リサと高橋は、私と密着できる御褒美らしい。

 愛原「菊川1丁目【中略】までお願いします」
 運転手「はい、ありがとうございます」

 タクシーは深夜の東京駅を出発した。

 愛原「ちょ……狭い!寄り掛んな!」
 高橋「気のせいっスよ~」
 リサ「気のせいっスよ~」
 愛原「……お前ら、後で説教な」
コメント
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