報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「地下施設からの脱出」

2023-01-17 20:33:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月23日14時30分 天候:曇 宮城県柴田郡川崎町郊外]

 地下施設の中央監視室で、脱出用のエレベーターを起動させた。
 あとは実際に操作盤の蓋を開ける鍵が必要だが、これも室内を家探しして、何とか見つかった。

 高橋「先生、これを!」
 愛原「ん?」

 高橋が室内で見つけた資料。
 そこには、かつてヴェルトロの最高指導者であるジャック・ノーマンと共に写る日本人の写真があった。
 白い着物に烏帽子を被っているものの、その烏帽子には十字架も描かれている。
 その写真の説明には、『ヴェルトロ最高指導者、ジャック・ノーマン氏と写る上野明神理事長』とあった。
 新興宗教の教祖同士が仲良く握手を交わす写真は、何ともシュールだ。
 ジャック・ノーマンは軍服姿である。
 しかし、右側の上野明神……。

 愛原「プw 自ら神を名乗る新興宗教の教祖……w」
 高橋「怪しさマックスですね」

 しかし、リサはすぐに気づいた。

 リサ「これ、天長会の着物じゃない?」
 愛原「……あ!」

 上野理事長とやらの着物、確かに天長会の聖職者が着る物に似ていた。
 ホテル天長園の展示コーナーに、この着物の写真があったような気がする。
 写っていたのは、天長会の創始者だったが。

 リサ「しかも上野って苗字、もしかしたら、リンやリコの親戚かもね」
 愛原「……そうだな!よし!この写真と資料も持って行こう!」
 高橋「善場の姉ちゃんに、いい土産ができましたね!」
 愛原「そうだな」

 他にも目ぼしい物が無いかどうかを確かめ、私達は中央監視室を出た。
 そして、非常用エレベーターを目指す。

 モールデッドA「ギャアア!」
 モールデッドB「ギィィィッ!」

 だが、通路にはモールデッド達が待ち構えている。

 高橋「ぅらぁーっ!」

 高橋、ドゴン!ドゴン!と大型のマグナムを放つ。
 ゾンビよりは耐久性も攻撃力もあるモールデッドではあるが、手足を吹っ飛ばして動きを止めることもできるし、ダメージを与え続け、ライフが0になると、白く変色して石灰化してしまい、最期にはボロボロに崩れ去ってしまう。
 これは特異菌感染者の特徴なのだという。

 愛原「あれだ!あそこにエレベーターがある!」

 エレベーターの電源ランプは緑になっていた。
 つまり、ONになっているということ。
 ボタンは見当たらないが、ドアの横に小さな蓋が付いていて、それを中央監視室から持ち出した鍵で開ける。
 すると、中には赤いボタンがあり、これを押すと、ようやくエレベーターが動き出すという仕組みだ。
 あいにくとエレベーターは上に止まっていたのか、下りてくるまで時間が掛かる。
 それまでに、迫り来るモールデッドの群れから身を守らなくてはならない。
 中央監視室内にも銃弾などは保管されていて、それを持ち出して来たが、奴らに使っていると、弾切れになってしまう。

 愛原「防火シャッター!これだ!」

 私は防火シャッターの非常起動ボタンを押した。
 ガコンという音がして、防火シャッターが下りてくる。
 それまでに来たモールデッドはさすがに退治したが、シャッターが閉まれば、あとはもう大丈夫だ。

 高橋「先生、エレベーターが来ました!」
 愛原「よし!」

 私達はエレベーターに乗り込んだ。
 しかし、1階のボタンを押してもドアが閉まらない。

 愛原「どうなってるんだ!?」

 すると、操作盤の上にあるモニタが何かを表示した。

 『次の家電量販店のうち、ヤマダ電機に組み込まれたのは、次のうちどれ? ①石丸電気 ②サトームセン ③さくらや』

 愛原「はあ!?」

 ボタンの横には、数字のランプが点灯している。

 愛原「ここは元々、日本アンブレラの施設だったもんな!」
 高橋「それで、霧生市の研究所みたいなクイズ大会なんスね!」
 リサ「懐かしい……」
 愛原「答えは!?」
 高橋「確か、サトームセンっス」
 愛原「よし!」

 私は②のボタンを押した。
 すると、ピンポーン♪と鳴って、ドアが閉まった。
 だが、まだエレベーターは動き出さない。

 『1993年、中央競馬GⅢ七夕賞を制し、アニメ“ウマ娘プリティーダービー”にもそのシーンに出演した競走馬(ウマ娘)は? ①ツインターボ ②イダテンターボ ➂ダブルジェット』

 高橋「①!ツインターボ!」
 愛原「おっ、さすが!」

 エレベーターが動き出す。

 『20世紀初頭にアメリカから輸入され、およそ100年間、女子学生の体操服として採用されてきたブルマ。名前の由来は? ①最初に考案された町の名前から ②最初に採用された学校の名前から ➂アメリカ国内で普及させた女性の名前から』

 愛原「リサ、どれだ!?」
 リサ「知らないよ!」

 ブブー!(時間切れ)

 愛原「おわっ!」

 エレベーターが途中の階でガクンと停止する。
 だが、ドアは開かない。
 しかし、ドアの向こうで、何かの化け物がドアを叩く音が聞こえる。
 このままだと、ブチ破られてしまう。

 『大正時代、地下鉄銀座線の工事現場に鬼が現れるとして、それを退治しに行く描写のある作品は? ①“鬼滅の刃” ②“帝都物語” ➂“サクラ大戦”』

 愛原「怪しいのは②だ」

 すると、エレベーターが再び上昇した。
 そして、地上階に到着する。
 しかし、まだ開かない。

 『ジャズのスタンダード・ナンバーの1つで有名な、“A列車で行こう”。このA列車とは何のこと? ①今は無きニューヨーク市電のA系統 ②ニューヨーク・グランドセントラル・ステーションを発車する特急列車の記号 ➂ニューヨーク地下鉄のA系統のこと』

 高橋「先生、オナシャス!」
 愛原「答えは➂だ!ニューヨークの地下鉄のことだ!」

 
(ニューヨーク市郊外を走るニューヨーク地下鉄A系統。“A列車で行こう”のモデルになったのは、この電車)

 ピンポーン♪

 愛原「やった!」

 ドアが開く。
 するとそこは、資材倉庫のような感じになっていた。

 愛原「ここにも、弾薬とかがあるな。大丈夫なのか?」
 高橋「サツに通報したら、すぐにパトカーが来る案件っスね」
 愛原「うん。ここも、危なさそうだな」

 因みに倉庫の出入口は内鍵になっていて、そこから外に出られた。

 愛原「! ここは……」

 それは、例のマンホールがあった所の近くの貯木場だった。
 資材倉庫みたいなのがあったのは何となく覚えていたのだが、実は施設の出入口だったとは……。
 既に、雨は上がっていた。
 しかも、モールデッドの姿は見られない。

 愛原「ここに出るのか。よし、今のうちに車に戻るぞ!」
 高橋「はい!」

 私達は来た道を戻って、車の方に向かった。
コメント (1)
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