[5月6日13時00分 天候:晴 静岡県富士市川成島 JR新富士駅→東海道新幹線718A列車12号車内]
移動の時間になったのか、東京中央進学塾の生徒達は移動を開始した。
私達は1番後ろをついていく。
当然その列には、クライアントの次男もいた。
どちらかというと陰キャの方だろうが、知り合いができたか、数人の塾生達と喋りながら歩いている。
他の塾生達はもちろん、引率の塾関係者にも不審な点は見当たらない。
塾生達は有人改札口から、コンコースに入って行く。
私達は自前のキップで、自動改札機を通過した。
コンコースに入った後は、エスカレーターでホームへと上がって行った。
愛原「うーむ……」
リサ「因みに山手学苑の方も、今は帰りの船の中」
高橋「どうでもいいだろ、そんな情報よ」
ホームに上がった塾生達は、13号車の前に並んだ。
今度の“こだま”718号は本来、普通車指定席は7号車と11号車と12号車だけなのだが、13号車から15号車は、こういった団体の予約があった場合、自由席から指定席車へと変更される。
今回は大型観光バス2台分の団体客ということで、13号車だけが指定席に転換されたようである。
私達は、12号車のキップを持っている。
本来、BSAAとの取り決めでは、リサは1号車か16号車にしか乗れないのだが、何らかの事情がある場合、事前に通知しておけば、BSAAが出動してくることはない。
もちろん、ただ単に通知だけしておけば良いというわけではなく、ちゃんとした理由を付けなければならないのだが。
今回、自由席の14号車ではなく、指定席の12号車にした理由はそこにある。
指定席を確保しておけば、それが理由になると思ったからだ。
あと、先述したように、13号車から15号車は団体用に指定席に転換されることもある。
14号車が自由席だと思って乗り込もうとすると、別の団体客によって指定席になっている場合もあるので。
当然団体予約の場合、既にその車両の座席は満席扱いとされ、その車両に乗ることはできなくなる為。
〔ピン♪ポン♪パン♪ポーン♪ 新幹線を、ご利用頂きまして、ありがとうございます。まもなく、1番線に、13時10分発、“こだま”718号、東京行きが、到着します。黄色い線の内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に止まります。グリーン車は、8号車、9号車、10号車。自由席は1号車から6号車と、14号車から、16号車です〕
通過線たる本線を、通過列車は時速285kmで走行する。
しかし、待避線も兼ねている副線ホームに、停車列車は時速70~80kmでやってきた。
やってきたのは、N700A。
JRマークがオレンジ色なことから、JR東海の車両らしい。
〔しんふじ、新富士です。しんふじ、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕
列車が到着してドアが開く。
新富士駅には、稼働柵(ホームドア)が付いていない。
塾生達はガラ空きの13号車に乗り込んで行く。
幸い新富士駅に止まる“こだま”号は、“のぞみ”や“ひかり”の通過待ちを行うことが多いので、停車時間が長めに取られている。
その為、団体客がぞろぞろ乗り降りしていても、客扱い遅れが発生することはない。
私達は彼らが全員乗車するのを確認してから、隣の12号車に乗り込んだ。
こちらも指定席だが、一般用である為、一般客達で賑わっている。
基本的に“こだま”は空いている列車として有名だが、さすがにゴールデンウィークの最終日とあっては、そういった列車でも満席になっていることが多い。
指定された3人席に座る。
〔「13時10分発、“こだま”718号、東京行きです。発車まで、あと2分ほどお待ちください」〕
窓側に座ったリサは、テーブルを出して、そこにジュースやお菓子を置いている。
高橋は、タバコが吸えない状態だからか、少し落ち着きが無い。
愛原「仕事中は、内容によってタバコが吸えないことも多々ある。こういう辛抱も必要だぞ?」
高橋「は、はい。一流の探偵のなる為ですもんね」
高橋は我慢する為か、自販機で買った缶コーヒーを早くも飲み干してしまった。
愛原「早ェな、おい!w」
高橋「さ、サーセン……」
愛原「しょうがねーな。俺が追加の飲み物、買ってきてやるよ」
高橋「お、俺が行ってきますよ!?」
愛原「いい、いい!ついでに彼らの様子を見てくる」
私は席を立つと、12号車のドアからは降りず、あえて13号車の中に入ってみた。
いかに貸切車両とはいえ、中間車だから、通過する一般客はいるだろう。
デッキには塾関係者と思しきスーツの男が、スマホでどこかに電話している。
恐らく、塾に定時連絡でもしているのだろう。
客室に入ると、塾生達は銘々に過ごしていた。
合宿が終わったからか、緊張の糸が解れている感じ。
仲良くなった者同士お喋りしている席もあれば、緊張の糸はまだ解けておらず、1人で参考書に読み耽る者もいる。
ただ、多くは解れているようだった。
1人でボーッと窓の外を眺めているコもいたし、早々に座席をリクライニングして目を閉じているコもいた。
手持ちのスマホにインストールしているBSAAのアプリも、何も反応しない。
もしもこの中に、リサのように人間に化けて潜り込んでいるようなBOWがいれば、即座に反応する設定にしているのだが、13号車でそのアラームが鳴ることはなかった。
愛原「ふーん……。本当に何も起こらない」
私は首を傾げて、13号車からホームに降りた。
そして、ホームの自販機で、高橋にはペットボトルを、私は高橋が美味そうに飲んでいた缶コーヒーを購入した。
と、ここで轟音を上げて、上りの“のぞみ”だか“ひかり”だかが通過して行く。
風圧で、停車中の“こだま”が大きく揺れた。
あれが通過すれば、もう発車である。
私は急ぎ足で、今度は12号車のドアから車内に戻った。
移動の時間になったのか、東京中央進学塾の生徒達は移動を開始した。
私達は1番後ろをついていく。
当然その列には、クライアントの次男もいた。
どちらかというと陰キャの方だろうが、知り合いができたか、数人の塾生達と喋りながら歩いている。
他の塾生達はもちろん、引率の塾関係者にも不審な点は見当たらない。
塾生達は有人改札口から、コンコースに入って行く。
私達は自前のキップで、自動改札機を通過した。
コンコースに入った後は、エスカレーターでホームへと上がって行った。
愛原「うーむ……」
リサ「因みに山手学苑の方も、今は帰りの船の中」
高橋「どうでもいいだろ、そんな情報よ」
ホームに上がった塾生達は、13号車の前に並んだ。
今度の“こだま”718号は本来、普通車指定席は7号車と11号車と12号車だけなのだが、13号車から15号車は、こういった団体の予約があった場合、自由席から指定席車へと変更される。
今回は大型観光バス2台分の団体客ということで、13号車だけが指定席に転換されたようである。
私達は、12号車のキップを持っている。
本来、BSAAとの取り決めでは、リサは1号車か16号車にしか乗れないのだが、何らかの事情がある場合、事前に通知しておけば、BSAAが出動してくることはない。
もちろん、ただ単に通知だけしておけば良いというわけではなく、ちゃんとした理由を付けなければならないのだが。
今回、自由席の14号車ではなく、指定席の12号車にした理由はそこにある。
指定席を確保しておけば、それが理由になると思ったからだ。
あと、先述したように、13号車から15号車は団体用に指定席に転換されることもある。
14号車が自由席だと思って乗り込もうとすると、別の団体客によって指定席になっている場合もあるので。
当然団体予約の場合、既にその車両の座席は満席扱いとされ、その車両に乗ることはできなくなる為。
〔ピン♪ポン♪パン♪ポーン♪ 新幹線を、ご利用頂きまして、ありがとうございます。まもなく、1番線に、13時10分発、“こだま”718号、東京行きが、到着します。黄色い線の内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に止まります。グリーン車は、8号車、9号車、10号車。自由席は1号車から6号車と、14号車から、16号車です〕
通過線たる本線を、通過列車は時速285kmで走行する。
しかし、待避線も兼ねている副線ホームに、停車列車は時速70~80kmでやってきた。
やってきたのは、N700A。
JRマークがオレンジ色なことから、JR東海の車両らしい。
〔しんふじ、新富士です。しんふじ、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕
列車が到着してドアが開く。
新富士駅には、稼働柵(ホームドア)が付いていない。
塾生達はガラ空きの13号車に乗り込んで行く。
幸い新富士駅に止まる“こだま”号は、“のぞみ”や“ひかり”の通過待ちを行うことが多いので、停車時間が長めに取られている。
その為、団体客がぞろぞろ乗り降りしていても、客扱い遅れが発生することはない。
私達は彼らが全員乗車するのを確認してから、隣の12号車に乗り込んだ。
こちらも指定席だが、一般用である為、一般客達で賑わっている。
基本的に“こだま”は空いている列車として有名だが、さすがにゴールデンウィークの最終日とあっては、そういった列車でも満席になっていることが多い。
指定された3人席に座る。
〔「13時10分発、“こだま”718号、東京行きです。発車まで、あと2分ほどお待ちください」〕
窓側に座ったリサは、テーブルを出して、そこにジュースやお菓子を置いている。
高橋は、タバコが吸えない状態だからか、少し落ち着きが無い。
愛原「仕事中は、内容によってタバコが吸えないことも多々ある。こういう辛抱も必要だぞ?」
高橋「は、はい。一流の探偵のなる為ですもんね」
高橋は我慢する為か、自販機で買った缶コーヒーを早くも飲み干してしまった。
愛原「早ェな、おい!w」
高橋「さ、サーセン……」
愛原「しょうがねーな。俺が追加の飲み物、買ってきてやるよ」
高橋「お、俺が行ってきますよ!?」
愛原「いい、いい!ついでに彼らの様子を見てくる」
私は席を立つと、12号車のドアからは降りず、あえて13号車の中に入ってみた。
いかに貸切車両とはいえ、中間車だから、通過する一般客はいるだろう。
デッキには塾関係者と思しきスーツの男が、スマホでどこかに電話している。
恐らく、塾に定時連絡でもしているのだろう。
客室に入ると、塾生達は銘々に過ごしていた。
合宿が終わったからか、緊張の糸が解れている感じ。
仲良くなった者同士お喋りしている席もあれば、緊張の糸はまだ解けておらず、1人で参考書に読み耽る者もいる。
ただ、多くは解れているようだった。
1人でボーッと窓の外を眺めているコもいたし、早々に座席をリクライニングして目を閉じているコもいた。
手持ちのスマホにインストールしているBSAAのアプリも、何も反応しない。
もしもこの中に、リサのように人間に化けて潜り込んでいるようなBOWがいれば、即座に反応する設定にしているのだが、13号車でそのアラームが鳴ることはなかった。
愛原「ふーん……。本当に何も起こらない」
私は首を傾げて、13号車からホームに降りた。
そして、ホームの自販機で、高橋にはペットボトルを、私は高橋が美味そうに飲んでいた缶コーヒーを購入した。
と、ここで轟音を上げて、上りの“のぞみ”だか“ひかり”だかが通過して行く。
風圧で、停車中の“こだま”が大きく揺れた。
あれが通過すれば、もう発車である。
私は急ぎ足で、今度は12号車のドアから車内に戻った。
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