[9月23日12時30分 天候:不明 宮城県柴田郡川崎町郊外]
リサが先にダクトに入り込む。
リサ「うん、大丈夫。何もいない」
愛原「よし、次は俺だ」
高橋「ケツ持ちなら任せてください」
ダクトは狭く、大の大人である私と高橋は、匍匐前進をしなければならないほど。
小柄なリサは、四つん這いでの移動が可能だった。
四つん這いになっているリサの、すぐ後ろから私が進む……。
愛原「それにしても、何だか臭うな……」
高橋「あれっスよね?カビの臭いと血の臭い……」
愛原「そうだな」
恐らく、さっきのモールデッドのせいだろう。
ダクト内は汚れているだろうが、一応私は作業服を着てきた。
これなら、汚れても大丈夫。
そういった意味では、リサもジャージとかの方が良いだろうに、普通の私服である。
まあ、着替えは持って来ているようだが……。
愛原「方向的には、さっきの廊下の上だよな」
高橋「そうですね」
すると、リサが止まった。
愛原「どうした、リサ?」
リサ「分岐してる。どっちに行く?」
愛原「なに?」
ダクトが狭いので、リサの先がよく見えない。
だが、リサの話だと丁字路になっているとのことだった。
愛原「どっちの方向が怪しいとかあるか?」
リサ「よく分かんない」
愛原「さっきのモールデッドは、どっちから来たか分かるか?多分、臭いが残ってると思うが……」
リサ「ダメ。どっちも臭う。あいつら、定期的にこのダクトを通っているみたいだよ?」
愛原「マジか」
高橋「ということは先生、どこかでダクトを出ないと、ダクト内でモールデッドと鉢合わせになる可能性があります」
愛原「そうだな。どこかに出口があればいいんだが……」
リサ「……僅かに、左から風が来るような気がする」
愛原「本当か。よし、それなら左に行こう」
リサ「分かった」
私達は左に曲がった。
リサ「ん?先生、何か落ちてる」
愛原「え?」
リサ「ちょっと待ってね……」
リサが手を伸ばして、何かを拾う。
リサ「はい、先生」
リサが自分の股の間から手を出し、私に拾得物を渡してきた。
愛原「あ、ああ……」
それは何と、閃光手りゅう弾だった。
殺傷能力は無いが、強い音と光が発生し、敵の目や耳を一時的にマヒさせる効果がある。
どうしてそれが、ダクトの中にあるのだろう?
リサ「あと、これとか……」
未使用のショットガンの弾……。
リサ「あと、これも落ちてる」
未使用のマグナムの弾……。
愛原「BSAAとか、ここに来てたんか?」
そんな話は聞いていないし、むしろ行かなかったと聞いているのだが。
リサ「あ、先生。出口が見えてきたよ」
それと共に風も強くなってきた。
どうやらそれは、排気ファンの風であるようだ。
リサのスカートが捲れ上がるほどで、中の紺色ブルマが見えてしまっている。
リサ「ここだよ」
幸いそこは若干広くなっており、私はリサの横から顔を出すことができた。
それはフェンスになっており、これを外せば室内に出られそうだった。
どうやらそれは、トイレであるらしかった。
男子トイレで、小便器がいくつか並んでいるのが見える。
しかも……。
愛原「モールデッドがいるな……」
正確な数は分からないが、2~3匹はいるようだ。
幸いにして、奴らはまだこちらには気づいていない。
他に下りられる所を探すのもいいが、うかうかしていると、ダクト内を移動している他のモールデッドに見つかってしまうかもしれない。
かといって、このまま出れば、飛んで火にいる夏の虫状態だ。
愛原「そうだ!さっきの閃光手りゅう弾!」
これは使えると思った。
愛原「リサ。この金網、オマエの力で外せるな?」
リサ「うん、大丈夫」
愛原「よし。俺の合図で、この金網を外してくれ」
リサ「分かった」
愛原「いいか?行くぞ?3……2……1……0!」
リサは思いっきり金網を引っ張った。
金網の固定具が外れるも、リサは勢い余って、後ろに倒れてしまう。
それでダクト内で大きな音がした。
モールデッドA「ギ!?」
出口の真下にしたモールデッドの一匹が、私達に気づく。
と、同時に私は閃光手りゅう弾のスイッチを押してトイレ内に投げ込んだ。
愛原「目と耳を塞げ!」
直後、トイレ内は大きな音と光に包まれた。
モールデッドA「ギャアアアッ!」
モールデッドB「ギィィィッ!!」
モールデッドC「!!!」
モールデッドには見た目、目や耳は無いのだが、一応、視覚や聴覚はあるようで、閃光手りゅう弾の効果は抜群であった。
モールデット達は一時的に視覚や聴覚がマヒしてしまい、パニックに陥った。
愛原「今のうちに行くぞ!」
私達はトイレ内に飛び降り、それからトイレの外に出た。
幸い、トイレの外にはモールデッドの姿は無かった。
愛原「今度からダクトの下を通る時は気をつけよう」
高橋「その方がいいっスね」
しばらく進むと、ある部屋に辿り着いた。
愛原「ここは監視室か!これで施設のことが分かるぞ!」
監視室の中には、誰もいなかった。
愛原「室内を調べてみよう」
調べていくうちに、ここもまた日本アンブレラの秘密研究施設であることが分かった。
だが、不自然な点はあった。
どうもここは、正式には2005年くらいに閉鎖されているようだ。
しかし、見る限り、辛うじてまだ稼働している感じである。
まるで、つい最近まで稼働していたのだが、急に打ち棄てられたみたいな感じである。
高橋「先生、これを見てください!」
愛原「ん?」
高橋は施設内の監視カメラを調べていたが、ある物を映しているカメラの画面を指さした。
それは黄色い旗であった。
旗の中には、銃口を上に向けたショットガンらしき銃の絵と、その右横には、前足を大きく上げて飛び掛かろうとする大型犬の絵が描かれていた。
愛原「この旗……どこかで見たことあるぞ?確か……」
高橋「2005年って、確かヴェルトロが壊滅した年では?」
愛原「そうだ!あれはヴェルトロの旗だ!」
宗教テロ組織ヴェルトロ。
新興宗教の教祖、ジャック・ノーマン率いるテロ組織だ。
ダンテ・アリギエーリの“神曲”を経典に、活動していたと聞く。
愛原「ヨーロッパの地中海だけじゃなく、日本にもいたのか……」
高橋「しかも、日本アンブレラと繋がってたのかどうか分かりませんけどね」
リサ「先生。あのモニタ……。ハンターとか眠ってるよ」
愛原「ヤバい施設だったか、やっぱ」
私は監視室の写真を撮影しまくった。
愛原「取りあえず、俺達、民間の探偵事務所ができるのはここまでだ。ここまで分かれば、あとはBSAAの出番だと思う。モールデッドが徘徊していて、ハンターまでいるってなったら、ガチのBSAA通報案件だから」
高橋「そうですね」
愛原「で……どうやって、ここから出るかだ。ここは監視室だ。この施設の図面とか、どこかにあるはずだ」
高橋「そういうのは、元警備員の先生の方がお詳しいのでは?」
愛原「……それもそうだな。こういう場合、あの机の上のモニタなんかに、電気錠の図面なんかがあったりするんだ」
私はデスクトップPCの電源を入れた。
ところが……。
愛原「カードキーをカードリーダーに読み取らせろ?どこにカードキーがあるんだ?」
リサ「……はい、これ!」
リサは日本アンブレラのゴールドカードキーを取り出した。
これはリサが霧生市の研究所からパクッてきた、『日本アンブレラの関連施設のカードキーで開ける扉なら、全て開けられるカードキー』である。
愛原「行けるかな?」
試しに読み取らせてみると……。
愛原「行けたし!」
こうして、電気錠の図面がモニタに現れた。
愛原「今いるのが……中央監視室か。ここから出入口は……ここにエレベーターがあるのか?」
エレベーターの電源は落ちていた。
だが、それもここで入れることができる。
さすがは中央監視室。
あとは、ここから鍵を持っていけばいい。
愛原「エレベーターの鍵を探せ!多分、室内にあるはずだ!」
高橋「分かりました!」
あとは無事に脱出するのみ。
ついでに、室内にある資料も、持って行ける物は持って行くとしよう。
リサが先にダクトに入り込む。
リサ「うん、大丈夫。何もいない」
愛原「よし、次は俺だ」
高橋「ケツ持ちなら任せてください」
ダクトは狭く、大の大人である私と高橋は、匍匐前進をしなければならないほど。
小柄なリサは、四つん這いでの移動が可能だった。
四つん這いになっているリサの、すぐ後ろから私が進む……。
愛原「それにしても、何だか臭うな……」
高橋「あれっスよね?カビの臭いと血の臭い……」
愛原「そうだな」
恐らく、さっきのモールデッドのせいだろう。
ダクト内は汚れているだろうが、一応私は作業服を着てきた。
これなら、汚れても大丈夫。
そういった意味では、リサもジャージとかの方が良いだろうに、普通の私服である。
まあ、着替えは持って来ているようだが……。
愛原「方向的には、さっきの廊下の上だよな」
高橋「そうですね」
すると、リサが止まった。
愛原「どうした、リサ?」
リサ「分岐してる。どっちに行く?」
愛原「なに?」
ダクトが狭いので、リサの先がよく見えない。
だが、リサの話だと丁字路になっているとのことだった。
愛原「どっちの方向が怪しいとかあるか?」
リサ「よく分かんない」
愛原「さっきのモールデッドは、どっちから来たか分かるか?多分、臭いが残ってると思うが……」
リサ「ダメ。どっちも臭う。あいつら、定期的にこのダクトを通っているみたいだよ?」
愛原「マジか」
高橋「ということは先生、どこかでダクトを出ないと、ダクト内でモールデッドと鉢合わせになる可能性があります」
愛原「そうだな。どこかに出口があればいいんだが……」
リサ「……僅かに、左から風が来るような気がする」
愛原「本当か。よし、それなら左に行こう」
リサ「分かった」
私達は左に曲がった。
リサ「ん?先生、何か落ちてる」
愛原「え?」
リサ「ちょっと待ってね……」
リサが手を伸ばして、何かを拾う。
リサ「はい、先生」
リサが自分の股の間から手を出し、私に拾得物を渡してきた。
愛原「あ、ああ……」
それは何と、閃光手りゅう弾だった。
殺傷能力は無いが、強い音と光が発生し、敵の目や耳を一時的にマヒさせる効果がある。
どうしてそれが、ダクトの中にあるのだろう?
リサ「あと、これとか……」
未使用のショットガンの弾……。
リサ「あと、これも落ちてる」
未使用のマグナムの弾……。
愛原「BSAAとか、ここに来てたんか?」
そんな話は聞いていないし、むしろ行かなかったと聞いているのだが。
リサ「あ、先生。出口が見えてきたよ」
それと共に風も強くなってきた。
どうやらそれは、排気ファンの風であるようだ。
リサのスカートが捲れ上がるほどで、中の紺色ブルマが見えてしまっている。
リサ「ここだよ」
幸いそこは若干広くなっており、私はリサの横から顔を出すことができた。
それはフェンスになっており、これを外せば室内に出られそうだった。
どうやらそれは、トイレであるらしかった。
男子トイレで、小便器がいくつか並んでいるのが見える。
しかも……。
愛原「モールデッドがいるな……」
正確な数は分からないが、2~3匹はいるようだ。
幸いにして、奴らはまだこちらには気づいていない。
他に下りられる所を探すのもいいが、うかうかしていると、ダクト内を移動している他のモールデッドに見つかってしまうかもしれない。
かといって、このまま出れば、飛んで火にいる夏の虫状態だ。
愛原「そうだ!さっきの閃光手りゅう弾!」
これは使えると思った。
愛原「リサ。この金網、オマエの力で外せるな?」
リサ「うん、大丈夫」
愛原「よし。俺の合図で、この金網を外してくれ」
リサ「分かった」
愛原「いいか?行くぞ?3……2……1……0!」
リサは思いっきり金網を引っ張った。
金網の固定具が外れるも、リサは勢い余って、後ろに倒れてしまう。
それでダクト内で大きな音がした。
モールデッドA「ギ!?」
出口の真下にしたモールデッドの一匹が、私達に気づく。
と、同時に私は閃光手りゅう弾のスイッチを押してトイレ内に投げ込んだ。
愛原「目と耳を塞げ!」
直後、トイレ内は大きな音と光に包まれた。
モールデッドA「ギャアアアッ!」
モールデッドB「ギィィィッ!!」
モールデッドC「!!!」
モールデッドには見た目、目や耳は無いのだが、一応、視覚や聴覚はあるようで、閃光手りゅう弾の効果は抜群であった。
モールデット達は一時的に視覚や聴覚がマヒしてしまい、パニックに陥った。
愛原「今のうちに行くぞ!」
私達はトイレ内に飛び降り、それからトイレの外に出た。
幸い、トイレの外にはモールデッドの姿は無かった。
愛原「今度からダクトの下を通る時は気をつけよう」
高橋「その方がいいっスね」
しばらく進むと、ある部屋に辿り着いた。
愛原「ここは監視室か!これで施設のことが分かるぞ!」
監視室の中には、誰もいなかった。
愛原「室内を調べてみよう」
調べていくうちに、ここもまた日本アンブレラの秘密研究施設であることが分かった。
だが、不自然な点はあった。
どうもここは、正式には2005年くらいに閉鎖されているようだ。
しかし、見る限り、辛うじてまだ稼働している感じである。
まるで、つい最近まで稼働していたのだが、急に打ち棄てられたみたいな感じである。
高橋「先生、これを見てください!」
愛原「ん?」
高橋は施設内の監視カメラを調べていたが、ある物を映しているカメラの画面を指さした。
それは黄色い旗であった。
旗の中には、銃口を上に向けたショットガンらしき銃の絵と、その右横には、前足を大きく上げて飛び掛かろうとする大型犬の絵が描かれていた。
愛原「この旗……どこかで見たことあるぞ?確か……」
高橋「2005年って、確かヴェルトロが壊滅した年では?」
愛原「そうだ!あれはヴェルトロの旗だ!」
宗教テロ組織ヴェルトロ。
新興宗教の教祖、ジャック・ノーマン率いるテロ組織だ。
ダンテ・アリギエーリの“神曲”を経典に、活動していたと聞く。
愛原「ヨーロッパの地中海だけじゃなく、日本にもいたのか……」
高橋「しかも、日本アンブレラと繋がってたのかどうか分かりませんけどね」
リサ「先生。あのモニタ……。ハンターとか眠ってるよ」
愛原「ヤバい施設だったか、やっぱ」
私は監視室の写真を撮影しまくった。
愛原「取りあえず、俺達、民間の探偵事務所ができるのはここまでだ。ここまで分かれば、あとはBSAAの出番だと思う。モールデッドが徘徊していて、ハンターまでいるってなったら、ガチのBSAA通報案件だから」
高橋「そうですね」
愛原「で……どうやって、ここから出るかだ。ここは監視室だ。この施設の図面とか、どこかにあるはずだ」
高橋「そういうのは、元警備員の先生の方がお詳しいのでは?」
愛原「……それもそうだな。こういう場合、あの机の上のモニタなんかに、電気錠の図面なんかがあったりするんだ」
私はデスクトップPCの電源を入れた。
ところが……。
愛原「カードキーをカードリーダーに読み取らせろ?どこにカードキーがあるんだ?」
リサ「……はい、これ!」
リサは日本アンブレラのゴールドカードキーを取り出した。
これはリサが霧生市の研究所からパクッてきた、『日本アンブレラの関連施設のカードキーで開ける扉なら、全て開けられるカードキー』である。
愛原「行けるかな?」
試しに読み取らせてみると……。
愛原「行けたし!」
こうして、電気錠の図面がモニタに現れた。
愛原「今いるのが……中央監視室か。ここから出入口は……ここにエレベーターがあるのか?」
エレベーターの電源は落ちていた。
だが、それもここで入れることができる。
さすがは中央監視室。
あとは、ここから鍵を持っていけばいい。
愛原「エレベーターの鍵を探せ!多分、室内にあるはずだ!」
高橋「分かりました!」
あとは無事に脱出するのみ。
ついでに、室内にある資料も、持って行ける物は持って行くとしよう。