報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「地下施設の調査」 2

2023-01-15 20:26:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月23日12時30分 天候:不明 宮城県柴田郡川崎町郊外]

 リサが先にダクトに入り込む。

 リサ「うん、大丈夫。何もいない」
 愛原「よし、次は俺だ」
 高橋「ケツ持ちなら任せてください」

 ダクトは狭く、大の大人である私と高橋は、匍匐前進をしなければならないほど。
 小柄なリサは、四つん這いでの移動が可能だった。
 四つん這いになっているリサの、すぐ後ろから私が進む……。

 愛原「それにしても、何だか臭うな……」
 高橋「あれっスよね?カビの臭いと血の臭い……」
 愛原「そうだな」

 恐らく、さっきのモールデッドのせいだろう。
 ダクト内は汚れているだろうが、一応私は作業服を着てきた。
 これなら、汚れても大丈夫。
 そういった意味では、リサもジャージとかの方が良いだろうに、普通の私服である。
 まあ、着替えは持って来ているようだが……。

 愛原「方向的には、さっきの廊下の上だよな」
 高橋「そうですね」

 すると、リサが止まった。

 愛原「どうした、リサ?」
 リサ「分岐してる。どっちに行く?」
 愛原「なに?」

 ダクトが狭いので、リサの先がよく見えない。
 だが、リサの話だと丁字路になっているとのことだった。

 愛原「どっちの方向が怪しいとかあるか?」
 リサ「よく分かんない」
 愛原「さっきのモールデッドは、どっちから来たか分かるか?多分、臭いが残ってると思うが……」
 リサ「ダメ。どっちも臭う。あいつら、定期的にこのダクトを通っているみたいだよ?」
 愛原「マジか」
 高橋「ということは先生、どこかでダクトを出ないと、ダクト内でモールデッドと鉢合わせになる可能性があります」
 愛原「そうだな。どこかに出口があればいいんだが……」
 リサ「……僅かに、左から風が来るような気がする」
 愛原「本当か。よし、それなら左に行こう」
 リサ「分かった」

 私達は左に曲がった。

 リサ「ん?先生、何か落ちてる」
 愛原「え?」
 リサ「ちょっと待ってね……」

 リサが手を伸ばして、何かを拾う。

 リサ「はい、先生」

 リサが自分の股の間から手を出し、私に拾得物を渡してきた。

 愛原「あ、ああ……」

 それは何と、閃光手りゅう弾だった。
 殺傷能力は無いが、強い音と光が発生し、敵の目や耳を一時的にマヒさせる効果がある。
 どうしてそれが、ダクトの中にあるのだろう?

 リサ「あと、これとか……」

 未使用のショットガンの弾……。

 リサ「あと、これも落ちてる」

 未使用のマグナムの弾……。

 愛原「BSAAとか、ここに来てたんか?」

 そんな話は聞いていないし、むしろ行かなかったと聞いているのだが。

 リサ「あ、先生。出口が見えてきたよ」

 それと共に風も強くなってきた。
 どうやらそれは、排気ファンの風であるようだ。
 リサのスカートが捲れ上がるほどで、中の紺色ブルマが見えてしまっている。

 リサ「ここだよ」

 幸いそこは若干広くなっており、私はリサの横から顔を出すことができた。
 それはフェンスになっており、これを外せば室内に出られそうだった。
 どうやらそれは、トイレであるらしかった。
 男子トイレで、小便器がいくつか並んでいるのが見える。
 しかも……。

 愛原「モールデッドがいるな……」

 正確な数は分からないが、2~3匹はいるようだ。
 幸いにして、奴らはまだこちらには気づいていない。
 他に下りられる所を探すのもいいが、うかうかしていると、ダクト内を移動している他のモールデッドに見つかってしまうかもしれない。
 かといって、このまま出れば、飛んで火にいる夏の虫状態だ。

 愛原「そうだ!さっきの閃光手りゅう弾!」

 これは使えると思った。

 愛原「リサ。この金網、オマエの力で外せるな?」
 リサ「うん、大丈夫」
 愛原「よし。俺の合図で、この金網を外してくれ」
 リサ「分かった」
 愛原「いいか?行くぞ?3……2……1……0!」

 リサは思いっきり金網を引っ張った。
 金網の固定具が外れるも、リサは勢い余って、後ろに倒れてしまう。
 それでダクト内で大きな音がした。

 モールデッドA「ギ!?」

 出口の真下にしたモールデッドの一匹が、私達に気づく。
 と、同時に私は閃光手りゅう弾のスイッチを押してトイレ内に投げ込んだ。

 愛原「目と耳を塞げ!」

 直後、トイレ内は大きな音と光に包まれた。

 モールデッドA「ギャアアアッ!」
 モールデッドB「ギィィィッ!!」
 モールデッドC「!!!」

 モールデッドには見た目、目や耳は無いのだが、一応、視覚や聴覚はあるようで、閃光手りゅう弾の効果は抜群であった。
 モールデット達は一時的に視覚や聴覚がマヒしてしまい、パニックに陥った。

 愛原「今のうちに行くぞ!」

 私達はトイレ内に飛び降り、それからトイレの外に出た。
 幸い、トイレの外にはモールデッドの姿は無かった。

 愛原「今度からダクトの下を通る時は気をつけよう」
 高橋「その方がいいっスね」

 しばらく進むと、ある部屋に辿り着いた。

 愛原「ここは監視室か!これで施設のことが分かるぞ!」

 監視室の中には、誰もいなかった。

 愛原「室内を調べてみよう」

 調べていくうちに、ここもまた日本アンブレラの秘密研究施設であることが分かった。
 だが、不自然な点はあった。
 どうもここは、正式には2005年くらいに閉鎖されているようだ。
 しかし、見る限り、辛うじてまだ稼働している感じである。
 まるで、つい最近まで稼働していたのだが、急に打ち棄てられたみたいな感じである。

 高橋「先生、これを見てください!」
 愛原「ん?」

 高橋は施設内の監視カメラを調べていたが、ある物を映しているカメラの画面を指さした。
 それは黄色い旗であった。
 旗の中には、銃口を上に向けたショットガンらしき銃の絵と、その右横には、前足を大きく上げて飛び掛かろうとする大型犬の絵が描かれていた。

 愛原「この旗……どこかで見たことあるぞ?確か……」
 高橋「2005年って、確かヴェルトロが壊滅した年では?」
 愛原「そうだ!あれはヴェルトロの旗だ!」

 宗教テロ組織ヴェルトロ。
 新興宗教の教祖、ジャック・ノーマン率いるテロ組織だ。
 ダンテ・アリギエーリの“神曲”を経典に、活動していたと聞く。

 愛原「ヨーロッパの地中海だけじゃなく、日本にもいたのか……」
 高橋「しかも、日本アンブレラと繋がってたのかどうか分かりませんけどね」
 リサ「先生。あのモニタ……。ハンターとか眠ってるよ」
 愛原「ヤバい施設だったか、やっぱ」

 私は監視室の写真を撮影しまくった。

 愛原「取りあえず、俺達、民間の探偵事務所ができるのはここまでだ。ここまで分かれば、あとはBSAAの出番だと思う。モールデッドが徘徊していて、ハンターまでいるってなったら、ガチのBSAA通報案件だから」
 高橋「そうですね」
 愛原「で……どうやって、ここから出るかだ。ここは監視室だ。この施設の図面とか、どこかにあるはずだ」
 高橋「そういうのは、元警備員の先生の方がお詳しいのでは?」
 愛原「……それもそうだな。こういう場合、あの机の上のモニタなんかに、電気錠の図面なんかがあったりするんだ」

 私はデスクトップPCの電源を入れた。
 ところが……。

 愛原「カードキーをカードリーダーに読み取らせろ?どこにカードキーがあるんだ?」
 リサ「……はい、これ!」

 リサは日本アンブレラのゴールドカードキーを取り出した。
 これはリサが霧生市の研究所からパクッてきた、『日本アンブレラの関連施設のカードキーで開ける扉なら、全て開けられるカードキー』である。

 愛原「行けるかな?」

 試しに読み取らせてみると……。

 愛原「行けたし!」

 こうして、電気錠の図面がモニタに現れた。

 愛原「今いるのが……中央監視室か。ここから出入口は……ここにエレベーターがあるのか?」

 エレベーターの電源は落ちていた。
 だが、それもここで入れることができる。
 さすがは中央監視室。
 あとは、ここから鍵を持っていけばいい。

 愛原「エレベーターの鍵を探せ!多分、室内にあるはずだ!」
 高橋「分かりました!」

 あとは無事に脱出するのみ。
 ついでに、室内にある資料も、持って行ける物は持って行くとしよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「地下施設の調査」

2023-01-15 16:17:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月23日11時15分 天候:雨 宮城県柴田郡川崎町郊外]

 前回と同じ場所に到着すると、様相が一変していた。
 まず、プレハブ小屋は潰れてしまっている。
 恐らく、巨人が地下から飛び出してきた時に壊したのだろう。

 高橋「先生、小屋が潰れてますが?」
 愛原「どこからか、入れる場所があるかもしれない。そこを探そう」
 高橋「はい」

 車を降りると、リサが言った。

 リサ「カビ臭い……」
 愛原「かび臭い!?」
 リサ「うん」

 確かに雨が降っていることもあり、湿気の臭いはするが、カビの臭いまでは感じなかった。
 しかし、リサのBOWとしての鼻は、カビの臭いまでも嗅ぎ取ることができるのだろうか。

 愛原「小屋の中から行けないようだから、周辺を探索しよう。他にも入口があるかもしれない」
 高橋「分かりました」

 小屋のあった周辺を探索してみる。
 すると……。

 愛原「! 何だ、今のは?」

 遠くから銃声が聞こえてきた。

 高橋「銃声のようにも、思えますね」
 愛原「なあ?」

 誰が発砲したのだろう?
 すると、もう1回!
 私が持っているショットガンの発砲音にも似ている。
 猟友会の人が、猟でもしているのだろうか。
 林道の沿道で行われるとは思えないが、実は熊が出没していて、それの退治が行われているのかもしれない。

 高橋「どうします?」
 愛原「銃声のした方に行ってみよう」
 高橋「分かりました」

 私達は小屋の前の広場から、更に林道の奥へと向かった。
 グーグルマップでさえ、もう表記されない場所である。

 リサ「! 血の匂いがする」

 リサはフンフンと鼻を鳴らして言った。

 愛原「血!?何の血だ?」
 リサ「多分、人間の血……」
 愛原「何だって!?」

 もしかして、銃撃戦でも行われているのか?
 流れ弾に気をつけなくては……。
 しばらく進むと、また少し開けた場所に出る。
 材木などが散乱していることから、ここも貯木場か何かだったところだろうか。

 高橋「先生、これを!」

 高橋が何か見つけた。
 それは、猟銃としてのショットガンだった。
 先ほどの発砲音は、これだったのか。
 しかし、これの持ち主はどこへ?
 その答えらしき物も見つかった。
 近くにマンホールの蓋が開いており、血の痕はそこに続いていたからだ。

 愛原「この下か?てか、どうしてこんな所にマンホールが?水路か何か?」

 私はヘッドランプを取り出して、それでマンホールの中を照らして見た。
 しかし、底に何があるのかまでは分からない。

 リサ「先生!出たっ!!」

 リサが叫ぶと、目の前に黒い物体が現れた。
 カビの臭いをプンプン放った、2足歩行の生物。
 身の丈は高身長の人間くらい。
 しかし、顔は分からない。
 全身を黒カビの塊で覆われているそいつは、間違いなくモールデッドだった。

 愛原「撃てっ!撃てっ!」
 高橋「はい!」

 私は離れてショットガンを構える。
 こういう時、1番攻撃が早いのはリサ。
 第1形態に戻って、モールデッドに飛び掛かる。
 リサがハイキックで、モールデッドを転倒させた。
 スカートが捲れて、紺色のブルマが丸見えになる。

 愛原「今だ!」

 モールデッドが立ち上がろうとする時、私はそいつに集中砲火を浴びせた。
 高橋もそうする。
 モールデッドは、白く変化して行き、ついに石灰化してボロボロと崩れ落ちて行った。

 愛原「まさか、本当にモールデッドがいるなんて……」
 リサ「エブリンでもいるの?」
 愛原「いや、まさか……」

 私はスマホを取り出した。
 しかし残念ながら、ここでは使えないようだ。
 車まで戻れば、使えるだろう。

 愛原「しょうがない。一旦車に戻って、善場主任に報告を……」
 リサ「また来たよ!」

 またもや、モールデッドがわらわらと現れた。
 今度は、私達が来た方向からだ。
 何匹いるのか分からないが、2~3匹ではないようだ。
 両手が鍵爪になっている者もいれば、リッカーのように4足歩行で移動している者もいる。

 愛原「多いな、おい!しょうがない!一旦、この中に隠れよう!」

 私はマンホールを指さした。

 愛原「急げ急げ!」

 私達はマンホールの中に入ると、蓋を閉めた。
 まともな人間の姿をしていない奴らは、マンホールの蓋を開けることなどできないだろう。
 しかし、ということは、このマンホールの蓋を開けたのは、まともな人間の姿をしている者。
 恐らく、あの猟銃の持ち主と見て良いだろう。
 案の定、追いついたモールデッド達はマンホールの上で喚いたり、蓋をゴンゴン叩くだけで、それを開けて追って来ようとはしなかった。

 愛原「退路を断たれた。別の出口を探そう」
 高橋「はい」

 ライトを着けると、通路はカビの臭いで一杯だった。
 つまり、下水道ではない。
 下水の臭いは殆どしなかったからだ。

 愛原「血の痕が続いてるな。よし、これの後を追おう」
 高橋「はい」

 もし大怪我をしているのならば、尚更通報しなくてはならない。

 愛原「カビの臭いがするということは、もしかしたら、ここにもモールデッドがいるかもしれないってことだからな?」
 高橋「分かってます。注意して行きましょう」

 しかもこの通路、水路ではないようだ。
 カビの臭いはするが、水気を感じない。
 一体、何なんだ、ここは?

 ???「ぎゃああっ!!」
 愛原「!?」

 すると、通路の奥で叫び声が聞こえた。
 もしかして、この血痕の主だろうか?

 愛原「行くぞ!」
 高橋「はい!」

 奥からはパンパンと、今度はハンドガンの発砲音が響いてきた。
 あとは、何かの金属音とか……。

 愛原「あ?!何だこれ?!」

 通路を塞ぐようにして、キャビネットが置かれていた。
 さっきの叫び声の主がしたのだろうか?
 キャビネットは、ちょうど通路の壁の両側に挟まっている状態だ。

 愛原「しょうがない!高橋、一緒に押してくれ!」
 高橋「分かりました!」

 私と高橋でキャビネットを押すと、何とか少しずつ動いた。
 この通路がどこまで続いているか分からないが、交差点とか、幅が広くなれば、退かすことができるだろう。

 リサ「! 先生、危ない!」

 リサが私を引っ張った。
 おかげで私は尻餅を付いてしまったのだが、ちょうど私がいた場所に、上から何かが落ちてきた。
 それはダクトの金網。
 そして、そこから……。

 モールデッド「ギャアアッ!」

 モールデッドが現れた。
 リサが引き倒してくれなかったら、私はダクトの金網やモールデッドの直撃を受けて、頭を大ケガしていただろう。
 モールデッドは、ウーズのようにダクトを移動するのか!
 ……まあ、ここにいるリサもできるが。
 しかもこのモールデッド、ある物を持っていた。
 それは人間の右足。
 体から引きちぎって間もないのか、まだ血が噴き出している。
 もしかして、その右足は……。

 リサ「わたしにも食わせろぉぉぉっ!!」

 リサは牙を剥き出しにして、モールデッドに向かった。

 愛原「いや、オマエも食おうとすんな!」
 高橋「先生、離れて!」

 リサはモールデットに飛びつくと、頭をねじ伏せた。
 そして、そのまま鬼の馬鹿力で、太い首を捩じり切ったのだった。

 モールデッド「ギャアアアアアア!!」

 モールデッドは断末魔を上げ、真っ黒な血を噴き出して絶命したのだった。

 愛原「リサ、レッドハーブ!」

 グリーンハーブは回復薬、ブルーハーブは解毒剤、レッドハーブはそれらと組み合わせないと効果が無いとされている。
 だが最近の研究では、レッドハーブはレッドハーブで鎮静効果があることが分かってきた。
 特に、リサのようなBOWには効果的とのこと。
 なのでたまに、リサには食事にレッドハーブを混ぜて、暴走を抑えることを狙っている。

 愛原「レッドハーブ使え!」

 リサが人間の足に食らいつく前に、私はリサの口にレッドハーブを錠剤にした物を捻じ込んだ。

 リサ「ふう……」

 それで、リサはようやく落ち着いた。

 高橋「先生。ここから上に上がれるんじゃないですか?」

 高橋はモールデッドが落ちてきたダクトを指さした。
 確かに、キャビネットの棚を足掛かりにして登って行けば、そこに入れなくもない。
 モールデッドがここまで来たということは、どこかには繋がっているだろうと想像はつく。

 愛原「なるほど。それは名案だな。だけど、またモールデッドがいるかもしれないしな……」
 リサ「だったら、わたしが先に行くよ」

 レッドハーブの効果で、ようやく落ち着きを取り戻したリサが申し出た。

 リサ「わたしなら攻撃されても、すぐに回復するし」
 愛原「そうか。じゃあ、お願いしようかな」
 リサ「うん、任せて」

 私達はダクトへの侵入を試みた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「山奥の地下施設」

2023-01-15 11:10:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月23日10時00分 天候:雨 宮城県柴田郡川崎町 山形自動車道・宮城川崎インター→ファミリーマート宮城川崎インター店]

 仙台駅でレンタカーを借りた私達は、その足で現地へと向かった。
 3連休初日で雨ということもあり、市街地では渋滞に巻き込まれた。
 それでも高橋の元走り屋のテクで、何とか東北自動車道に乗り、それから山形自動車道に移って、少しは遅れを取り戻した感はある。

 高橋「先生、次のインターでいいんでしたね?」
 愛原「そうだ。インターを降りたら、すぐにコンビニがあっただろ?そこで一旦、休憩しよう」
 高橋「分かりました。確かその先は、もうコンビニが無いんでしたね」
 愛原「そういうことだ」

 

 レンタカーにはETCが導入されている為、料金所もそのレーンを通過できる。
 それから車は国道286号線の交差点を左折して、すぐその先にあるコンビニの駐車場に入った。
 大型車駐車場もあり、日曜日ながら、大型トラックが駐車しているのが見えた。

 愛原「リサ、ここで休憩するから」
 リサ「はーい」

 駐車場に車を止める。

 高橋「はい、到着っス!」
 愛原「ありがとう」

 私達は雨の降りしきる中、車を降りて、小走りに店に走って行った。

 愛原「先にトイレを借りておこう」

 私は先にトイレを借りた。
 リサもそうした。

 愛原「昼過ぎるだろうから、一応何か腹に入れておくか」

 まだ10時過ぎであり、空腹は全く無かったが、調査は昼過ぎるだろうと思われた。
 なので、カロリーメイトくらいは買っておこうと思った。

 リサ「ファミチキ2つください」

 リサのヤツ、ここでエネルギー補充するつもりだぞ。

 店員「はい、ありがとうございます」
 愛原「オマエ、ガッツリ食うなぁ……」
 リサ「ガッツリ、頂きます」

 店の外では、高橋がタバコを吸っている。
 私も肉まんを購入した。

 高橋「先生も栄養補給ですか?」
 愛原「どうせ昼抜きになるだろうから、今のうちに食べておこうと思って」
 高橋「そうですね」
 愛原「あと、善場主任に連絡する」
 高橋「了解です」

 私は先に車に戻って、善場主任に連絡した。
 祝日であるにも関わらず、善場主任は電話に出た。

 愛原「愛原です。お疲れさまです」
 善場「愛原所長、お疲れです。今、どちらですか?」
 愛原「宮城県の川崎町です。高速の川崎インターの近くのコンビニで、いま休憩中です」
 善場「分かりました。現地の事についての、最新情報をお知らせします」
 愛原「最新情報?何かあるんですか?」
 善場「最近、現地周辺にて、『黒いお化け』についての目撃情報があるそうです」
 愛原「『黒いお化け』?何でしょう?ゾンビじゃなさそうだな……」
 善場「アメリカのルイジアナ州で発生したバイオハザード事件。そこに現れた特異菌感染者のクリーチャーは、『黒い幽霊』と呼ばれたそうです」
 愛原「すると、モールデッド!?でも、特異菌って……」
 善場「理由は分かりませんが、とにかく警戒をお願いします」
 愛原「分かりました」

 電話を終えると、高橋とリサが戻ってきた。

 高橋「先生、そろそろ行きますか?」
 愛原「ああ」

 私が頷くと、高橋は車を出した。
 そしてコンビニから出て、再び国道の下り線に入る。
 地方の国道であり、オレンジ色のセンターラインが引かれている、2車線の国道である。
 規格としてはショボイが、それでも道幅は、藤野の甲州街道よりは広いように見える。

 愛原「カーナビはセットしてあるな?」
 高橋「はい。途中で旧道に入って、それから林道でしたね?」
 愛原「そうだ。いつ来ても迷いそうな道だ」
 高橋「はい」

 未だに雨が降っており、ワイパーが規則正しく動いている。
 カーナビでは、林道の途中にある渓流釣りの場所までしか案内してくれない。
 林道はその先にも続いていて、そこが目的地なのだが、まあ、林道はほぼ一本道なので、そこに入りさえすれば、あとは迷うことはない。

[同日11時00分 天候:雨 同町郊外]

 車は国道の現道から、旧道区間に入った。
 旧道というよりは、旧橋の部分である。
 道幅が狭い為、広い新橋に架け替えられたようだ。
 そして旧橋は、林道へのアクセス路として、未だに残っているといった感じ。
 だが、前回来た時よりは様子が変わっていた。
 前回は渓流釣りの場所を案内する看板が立っていただけなのだが、今は『林業関係者以外立ち入り禁止』とか、『林道この先通行止め』とか、そういう看板が至る所に立っている。

 愛原「随分、物々しいな」
 高橋「何せ前回、巨人が暴れた所っスからね」

 巨人の名前はエルヒガンテ。
 元々は、ヨーロッパの辺境の村(西欧)で起きたバイオハザード事件に現れたBOWである。
 それがどうして、ここにいたのかは分からない。
 実際には、それとは別種であるということだが……。

 愛原「それと、善場主任の情報で、モールデッドのような物もいるらしいから気をつけろ」
 高橋「マジっスか!?……先に、銃とかの準備をしておいた方がいいんじゃ?」
 愛原「……それもそうだな」

 途中で検問があった場合、銃を持っていたらマズい(許可はあるので、ちゃんと許可証を提示して、理由を説明すれば良いのだが、それが面倒くさい)ので、後ろの荷物に隠したままになっていた。
 だが、ここまで来れば、もう大丈夫だろう。

 愛原「あそこ、少し開けてるだろ。あそこに車を止めてくれないか?」
 高橋「分かりました」

 恐らく、林業関係のトラックが出入りする所だろう。
 焼け焦げた木材とかが散乱している所を見ると、もしかしかしたら、ここでエルヒガンテとBSAAが対峙したのかもしれない。

 愛原「高橋も銃を装備しておけよ?」
 高橋「分かってます」

 私はキャリーバッグの中から、分解されたショットガンを組み立てた。
 高橋はマグナムを装備する。

 愛原「よし、行こう」

 あとは弾もリロードして、準備完了である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする