報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「撤収」

2023-01-19 20:14:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月23日16時30分 天候:晴 宮城県柴田郡川崎町 ファミリーマート宮城川崎インター店]

 車で林道から国道286号線に出た時、ようやく日常に戻れたような気がした。
 その足で、近くのコンビニに向かう。
 しかし、それは高速道路のインターの近くまで行かないと無いのである。
 国道への入口から、車で15分ほど掛かる。

 リサ「オシッコ!ウ○○!お腹空いたーっ!」
 愛原「ハイハイ」

 戦闘が終わって安心したか、リサがこんなことを叫ぶ。
 そして、ようやくコンビニに入ることができた。

 愛原「リサ、行ってこい」
 リサ「はーい!」
 愛原「因みに夕食は後で取るから、あくまで空腹が治まる程度にしておけよ?」
 リサ「はーい」

 リサはそう言って、コンビニ店内に駆け込んだ。

 高橋「先生、俺も一服してきますんで」
 愛原「ああ」

 高橋も車を降りて、喫煙所に向かう。
 私は助手席に座ったまま、自分のスマホを取り出した
 祝日であるにも関わらず、善場主任は電話に出てくれた。

 愛原「お疲れ様です。愛原です」

 私は探索の状況を報告した。
 そして、最後に“青いアンブレラ”と遭遇し、高野君とも再会したことを話した。

 善場「今、BSAAは手が空かないので、その隙を突いたのですね。それで、愛原所長は『高野芽衣子』と、何を話しましたか?」
 愛原「特段、大したことは話していません。向こうも探索することに気を取られていたようですし、恐らく向こうも自分達のことを話したくないのかもしれません」
 善場「彼らは間違いなく、所長達が探索した施設に向かったのですね?」
 愛原「それ以外、考えられません」
 善場「分かりました。なるべく、BSAAも出動できるように、致しましょう」
 愛原「はい」

 それ以上のことは、私も何も言えない。

 愛原「施設の監視室に放置されていた資料を、持てる分だけ持ち出しました。これらは如何致しますか?」
 善場「はい。是非とも、お預かりしたいと思います。明日は可能ですか?」
 愛原「はい、大丈夫ですよ」

 明日は土曜日であるが、善場主任は出勤するのだろうか。

 善場「持ち歩くのは危険ですので、当事務所まで宅配便等で送って頂いても結構ですよ」
 愛原「あー、そうですか。それじゃあ、そうさせて頂きましょうかね」
 善場「壊れ物とかはありますか?」
 愛原「いえ。殆どが書類とか写真とかですので、そういうものはありません」
 善場「それなら、大丈夫ですね。先に送って頂いても結構ですので」
 愛原「分かりました」

 私は電話を切った。
 ちょうど目の前のコンビニで、宅急便を出すことはできる。
 だが、肝心の梱包材が無い。
 殆どが書類や写真などだが、コンビニで売っているコンパクトサイズの梱包材では入らないだろう。

 愛原「近くに、運送会社の営業所とか無いだろうか……」

 私はスマホでそれを検索した。
 この近くだと、仙台市太白区秋保に、ヤマト運輸の営業所があるらしい。
 そこなら、段ボールとかも扱っているだろう。

 愛原「よし。ここに行ってみよう」

 私も車を降りて、コンビニの中に入った。
 先にトイレを借りようとすると、スッキリした表情でリサが出てきた。

 リサ「何か食べ物買っていい?」
 愛原「いいとも。但し、夕食は別に後で食べるからな?」
 リサ「分かってる」

 私もトイレを借りると、リサと同様、空いた小腹の虫を治める為、パンとフランクフルトを購入した。
 そして車に戻ると、あることに気が付いた。

 愛原「うーん……そうだな……」

 高橋も飲み物とタバコを買って、戻ってきた。

 高橋「先生、次はどこに行きますか?」
 愛原「あー、そうだそうだ」

 私はカーナビを操作した。

 愛原「ここだ。ここへ行ってくれ」
 高橋「ヤマト運輸ですか?」
 愛原「さっきのヴェルトロのアジトでガメてきた、資料の数々だよ。持っているとヤバそうな物とかあっただろ?天長会の偉い人が、実は宗教テロ組織ヴェルトロのボスと仲良しでしたなんて……」
 高橋「た、確かに。天長会の連中が知ったら、取り返しに来ますよね?」
 愛原「うん。だったら、さっさと宅急便で、デイライトに送った方がいいってことになった」
 高橋「俺もそう思います。行きますか」
 愛原「ああ。それと……緊張と戦いのせいで、さっきから変な汗の臭いが気になってしょうがない」
 高橋「た、確かに。それと先生、さっきのデブモールデッドの胃液、掛かったりしてませんでした?」
 愛原「直接掛かってはいないけど、臭いは染み付いたかもな……」
 リサ「うん。先生、あのキモデブの臭い、付いちゃってる……」
 愛原「というわけで、ヤマト運輸で荷物を送った後、秋保温泉に入ろうというプランだ」
 リサ「泊まるの!?」
 愛原「いや、共同浴場に入るだけだよ。今日中に帰るぞ。レンタカーだって、12時間プランなんだから」

 新幹線の最終には間に合うプランである。

 愛原「というわけだ、高橋。そのプランで頼む」
 高橋「了解っス!」

 高橋は車を走らせた。
 まずは国道286号線に入り、それから国道457号線に入る。
 いずれにせよ、片側1車線の地方の国道であった。

[同日17時30分 天候:晴 宮城県仙台市太白区秋保 ヤマト運輸仙台秋保営業所]

 スタッフ「それでは、明日の午前中指定でよろしいですね?」
 愛原「はい、お願いします」

 ヤマト運輸の営業所に行き、そこで段ボールを購入して、資料や写真をそこに入れた。
 さすがに見られてマズい物とかもありそうなので、先ほどのコンビニで封筒は買っておき、その中に入れておいた。
 写真と書類を分けながら入れていたので、結構かさばった。
 なので、段ボールもそこそこのサイズになった。
 その分、料金も掛かってしまうが、安全の為には致し方無い。
 長距離であるにも関わらず、今日の夕方に出して、明日の午前中指定ができるのだから、良しとしよう。
 恐らく、コンビニに出していると、午前中指定はできなかったかもしれない。
 こうやって、直接営業所に出したから間に合ったのかもしれないと私は思った。
 本当は、梱包材の確保が理由なのだが……。
 料金を払い、お客様控えの伝票を受け取って、私達は車に戻った。

 愛原「次は、共同浴場ね!」
 高橋「はい。先生、お元気ですね?」
 愛原「温泉、好きだからな」

 車を走らせ、今度は県道62号線を進む。
 その間、私は善場主任にメールを送った。
 すると、『荷物が届いたら連絡しますので、その後でお越しください』との返信があった。
 確かに、資料も届いてないのに、私達だけ先に事務所に行っても仕方が無いだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「脱出と離脱」

2023-01-19 17:12:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月23日15時30分 天候:曇 宮城県柴田郡川崎町郊外]

 愛原「もうすぐで車だ!さっさと撤収するぞ!」
 高橋「はい!」

 私達は林業の資材倉庫に偽装されたエレベーターホールから、外に出た。
 そして、来た道を走って行く。
 幸い、モールデッドの姿は無かった。

 愛原「あそこだ!」

 車を止めた、開けた場所に到着する。
 幸い車は無事だったし、モールデッドが待ち構えているということも無かった。
 ……のだが!

 リサ「先生!あそこ!」

 車の前に黒い水たまりができたかと思うと……。

 ファット・モールデッド1「ゲヘヘヘヘヘ……!」
 ファット・モールデッド2「ギュウウウウ!」

 そこから、モールデッドが2匹現れた。
 どうやら、待ち伏せていたようである。
 しかし、それまで戦ったモールデッドとは、やや見た目が違った。
 見た目は、全体的に太っている。
 だが、太ったクリーチャーは、得てして痩せているヤツよりも強かったりする。
 名前も『太ったモールデッド』という意味で、ファット・モールデッド(以下、FM)という。
 太っているくせに、動きは案外素早い。

 高橋「タダでは帰してくれそうにないッスよ!」
 愛原「そのようだな!」

 幸い、他に現れたモールデッドはいなかった。
 つまり、この2匹を倒せば撤収可ということだ。

 FA1「ゲェェェェッ!!」
 高橋「うわっ、汚ッ!」

 ファット・モールデッドの特徴の1つは、胃液を吐いての攻撃と、突進である。

 愛原「ゾンビにも、胃液を吐く奴がいたっけな!気をつけろ!」
 高橋「分かってます!」

 高橋は間合いを取ってマグナムを発砲しようとするが、奴らは突進してきて、間合いを詰めようとする。

 愛原「肥満体なだけに、耐久力が強いんだ、こいつら!」

 私もショットガンを放って攻撃するが、どのくらいダメージを与えられているのかは微妙。

 リサ「ガァァァッ!」

 リサは第1形態に戻り、モールデッドに飛びつき、長く鋭い爪で引き裂き攻撃をするが、これもあまり効いていないもよう。
 今度は間合いを取って、掌から触手を出して、それでモールデットの頭や体に突き刺す攻撃をしようとするものの、これもダメだ。
 やはり、銃で攻撃するとか無いのだろうか。

 愛原「資料映像だと、爆弾を仕掛けて攻撃するのが良いみたいだな……」
 高橋「そんなものありますか?!」
 愛原「監視室とかから、手榴弾は持ってきた」
 高橋「おおっ!それじゃ!?」
 愛原「奴ら、案外素早いもんだから、なかなか狙いが定まんないんだよな!」
 リサ「それじゃ、これはどう?!」

 リサは両手から触手を出すと、それぞれ2匹のモールデッドの足に絡みつかせ、転倒させた。
 そこに隙ができる!

 愛原「今だ!」

 私は手持ちの手榴弾をモールデッド達に投げた。

 FA1「ギャアアッ!」
 FA2「ウォォォッ!!」

 高橋「先生、爆弾は効いてます!」
 愛原「だろうな!」

 資料映像ではリモコン爆弾を仕掛け、そこに奴らをおびき寄せた所で爆発させるというやり方が有効らしい。
 しかし、あの施設には、そのような便利な物は無かった。
 銃で言えば、もはやグレネードランチャーで攻撃するような相手なのだ。
 それを私達は軍用とはいえ、ショットガンやマグナムで対応しようというのだから、やや無理がある。
 リサがいなければ、もっと不利な展開になっていたかもしれない。

 高橋「先生!あと、手榴弾は何個っスか!?」
 愛原「2個しかない!」
 高橋「マジっスか!?」

 2個で何とかするしかない。

 リサ「わたしに任せて!」

 リサは再び触手で、モールデットの足を絡め捕った。
 だが!

 FA1「ゲェェェッ!!」

 モールデッドの一匹が胃液を吐く。
 ビチャビチャッと、それはリサの触手にまともに掛かった。

 リサ「あっつい!!」

 リサ、それでモールデッドの足を放してしまう。
 触手は大火傷をしたが、しかしそこは特級BOW。
 すぐに回復してしまう。

 リサ「これは……?」

 触手を戻したリサ、何か違和感を覚えたようだ。

 愛原「どうした、リサ?」
 リサ「いや……」
 高橋「先生、危ない!」
 FA2「ガァァァァッ!!」

 もう1匹のモールデッドが私に突進してきた。

 愛原「ヤベッ!!」

 私は思わず、2個あるうちの1個の手榴弾をそのモールデッドに投げつけた。
 私を食らわんと、大きな口を開けて突進してきたモールデッド。
 何と、私の投げた手榴弾が、その口の中に入ってしまう。
 と、次の瞬間、それが爆発した!

 愛原「でぇぇぇっ!?」

 私は思わずその場に伏せたが、モールデッド2は上半身が吹き飛んだ状態で絶命した。
 残った下半身は見る見るうちに白く変色し、石灰化する。

 高橋「さすが先生!クリティカルヒットです!」
 愛原「ただ、偶然だよ!びっくりしたー!」
 FA1「ギャアアア!」

 まさか仲間がやられるとは思っていなかったか、もう1匹のモールデッドは逃げ出した!

 高橋「待てや、コラ!テメ、逃げんじゃねぇ!!」

 高橋、背中を見せるモールデッドに後ろからマグナムを放つ。
 一瞬、今のうちに逃げようかと思ったが、人的被害が出るとマズいと思った。
 が!

 愛原「あれは……!」

 上空にヘリコプターの音がしたかと思うと、軍服姿の男達が降下してくる。
 そのヘリコプターには、白と青の傘のマークが描かれていた。
 つまり、“青いアンブレラ”(ブルーアンブレラとも)である。

 隊員「民間の探偵が、こんな所で何をやってる?」
 愛原「ふっ、そっちこそ。今更、民間の軍事会社のお出ましってか?」
 高野「愛原先生、相変わらずですね」

 1人の女性隊員がヘルメットを外した。
 その下には、見覚えのある顔があった。

 愛原「高野君。……いや、エイダ・ウォンのコピーか?」
 高野「高野でいいですよ。エイダ・ウォンのそっくりさんのね」
 愛原「何なんだ?ここの施設は?」
 高野「先生達、もう中を見ましたか?」
 愛原「ああ」
 高野「元は日本アンブレラの秘密施設。それが放棄された後、ヴェルトロが日本拠点の1つして無断拝借していた場所のようですね」
 愛原「いずれにせよ、モールデッドは関係無いだろ?ウーズとかが出るならまだしも」
 高野「あ、そこまではまだ調査に及んでいないのですね」
 愛原「んん?」
 高野「ま、あとは私達にお任せください」

 施設の入口の方から、銃声が聞こえてきた。
 ド派手なマシンガンやガトリングガンの音だ。

 愛原「あっちの方は大丈夫なのか?」

 私は国道の方向を指さして言った。

 高野「はい。既にお掃除済みですので、先生方は安全です」
 愛原「分かったよ。2人とも、行こう」
 高橋「は、はい」

 私達は車に乗り込んだ。

 高橋「いいんスか?善場の姉ちゃんとかに言わなくて」
 愛原「BSAAが出動してこない所を見ると、何かあるのかもしれん。とにかく、ここを離脱してから連絡してみることにしよう」
 高橋「わ、分かりました」
 愛原「取りあえず、例のコンビニだ。そこまで行こう」
 高橋「あのインターの所っスね。了解です」

 高橋は車を走らせた。
 広場を出て林道に入る直前、私は後ろを振り向いた。
 数人の隊員達が広場を確保しつつ、残りの隊員達が銃を構えて、あの施設の方向に向かって進んで行くのが見えた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする