報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「『魔王様の肖像画』の完成」

2023-01-24 20:07:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月25日09時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 3連休最後の日曜日。
 リサはゆっくり目に起きた。

 リサ「先生、おはよう」
 愛原「おう、リサ。おはよう」
 リサ「お兄ちゃん、おはよ」
 高橋「おう」
 リサ「朝からいい匂い」
 愛原「カレー作り過ぎちゃって、余ったんだ。今朝もカレーでいいかな?」
 リサ「全然OK」

 リサは『いいね』した。

 愛原「今日は学校に行くんだろ?また、夕方までいるのか?」
 リサ「うーん……。サクラヤの絵の進捗具合による」
 愛原「それでも、夕方までには帰るんだろ?」
 リサ「それはもちろん。少なくとも、お昼は食べてくると思う」
 愛原「分かった。俺達も出かけるから、もし何だったら、一緒に車に乗せて行くぞ?」
 リサ「ホント?それじゃ、お願い」
 愛原「但し、帰りは自分で帰れよ?」
 リサ「分かってるよ」

 高橋が温めてくれたカレーを掻き込むリサ。

 リサ「先生達はどこに行くの?」
 愛原「BSAA日本地区本部だよ。緊急に聞きたいことがあるからって、今から事情聴取だよ」
 リサ「ええっ?大丈夫なの?わたし……何かした?」
 愛原「いや、リサのことじゃないさ。呼ばれたのは俺と高橋だけだから。それに、善場主任が付き添ってくれるだけで。もしリサのことなら、リサも連れて来いってことになるはずだ」
 リサ「それもそうか」
 高橋「どうせ、あれっスよね?“青いアンブレラ”と遭遇したもんだから、それのことっスよね?」
 愛原「だと思うんだがな。あいつら、外国では合法な民間軍事会社ではあるけれど、日本ではそんなもの違法だからさ。それを承知で活動されると、国連軍の一派であるBSAAのメンツが潰れるってことなんだろ」
 高橋「俺達が仲良くしたことが、そんなにムカついたんスかね?」
 愛原「どうだかな。俺達だって、高野君が向こうにいなけりゃ、特に相手する所でもないんだがな。もしそういう話の流れだったら、そういう風に説明するしか無いだろう」
 高橋「アネゴとは、一時的にも一緒に仕事した仲っスからねぇ……」
 愛原「それ以前に、霧生市のバイオハザードを一緒に生還した仲間でもある。あまり邪険にされても、困るんだがな」

 リサは2人の探偵と助手の難しい話を話半分に聞きながら、これからの予定のことを考えていた。

 リサ(今日は購買も食堂も開いてないから、自販機で買うしかない。パンとか冷凍食品とかアイスとか……。売り切れになってないといいけど……)

[同日10時30分。天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 東京中央学園の通用門の前に、1台のライトバンが停車する。
 愛原がレンタカー会社からリース契約している、仕事用の商用バンだ。
 4ナンバーのこれを借りているのは、何も5ナンバーや3ナンバー車よりも料金が安いからだけではない。
 隠密行動をする際、全国どこにでも存在していて、どこにいようか不自然ではない車種を選んだからである。
 今回も、こうして学校に来ると、まるで休校日にしかできない作業に来た業者の車に見えるだろう。
 大手の探偵事務所だと、タクシーを貸し切ることもあるそうだ。
 これとて、どこにいても不自然ではないし、自分で運転するわけではないから、乗客のフリをすることもできるというわけだ。

 愛原「それじゃリサ、帰る時、すぐに連絡するんだぞ?」
 リサ「分かった」

 制服に着替えているリサは、車から降りて、生徒通用門から校内に入った。
 平日と比べて静かなものだが、それでも運動部が練習している声とか音などが聞こえる。
 リサは校舎内に入ると、美術室に向かった。

 リサ「おはよう」
 桜谷「あっ、魔王様、おはようございます!」
 リサ「今日で仕上げだっけ?」
 桜谷「そうです。準備の方、お願いします」
 リサ「分かった」

 リサは桜谷からロッカーの鍵を受け取った。
 そして、隣の美術準備室に入る。
 そこにはロッカーが1つ置かれていて、その中にリサがモデルとして着用する衣装が入っているのである。
 もっとも、体操服は学校指定の物であり、ブルマもリサが自前で用意した紺色のブルマを穿く。
 ロッカーの中に入れてあるのは、その上から羽織る黒マントとゴツい装飾のされた魔法の杖である。
 タイトルは、『魔王様の肖像画』である。
 制服から体操服に着替える。
 ブルマは既にスカートの下に穿いていた。
 あとは、マントを羽織って杖を持つだけ。
 最後に、第1形態に戻ってモデル開始である。

[同日13時00分 天候:曇 同校美術室]

 桜谷「できた!できました!」

 制服の上からエプロンを羽織っている桜谷が言った。

 リサ「おおーっ!」

 肖像画とするに相応しい大きなサイズである為、制作期間は思いの外掛かってしまったが、それでもコンクールには間に合ったようだ。

 リサ「モデルになったわたしが言うのも何だけど、まるで本物みたい」
 桜谷「リサ様のおかげですよ」

 桜谷は絵の具を指さした。
 絵の具にはリサの血や、寄生虫の体液を抽出した物が混ざっている。

 リサ「早速飾る!?」
 桜谷「まずは先生に見てもらいます。職員室にいるはずなので、呼んで来ますね」
 リサ「分かった。それじゃ、わたしは着替えるから」
 桜谷「了解です!」

 桜谷は顧問の教師を呼びに行った。
 美術部の顧問なのだから、美術教師である。
 リサは再び美術準備室に入り、制服に着替え始めた。

 リサ「ん、何だこれ?」

 準備室の中には、既に制作済みの絵などが保管されている。
 中には、何年も保管されている絵もあった。
 いつの間にか、その保管庫の棚から、1枚の絵がはみ出ていた。
 リサは着替え終わると、その絵を取り出してみた。

 リサ「こ、これは……!?」

 それはエロ恐ろしい絵であった。
 この学校の女子体操服が、まだブルマが当たり前だった頃に描かれたものだろう。
 複数のブルマ姿の女子生徒が、校庭で猥褻行為を受けている絵だった。
 しかし、猥褻行為をしているのは人間ではない。

 リサ「これは……マドハンド???」

 青紫色の手首から上だけの手が、女子生徒達を襲っていた。
 地面から伸びた手が、長髪の女子の髪を掴んで地面に引っ張ったり、ある手は別の女子生徒の胸を揉みしだいたり、後ろからブルマの中に手を入れたりしていた。
 一番被害を受けている女子は下半身を完全に脱がされ、上半身も体操服をずり上げられて、下のブラが丸見えになっている。
 しかし、肝心の股間を手の化け物が隠しているという絵だった。

 リサ「エロいねぇ……。こんなの描いたの、絶対男子でしょ?」

 リサはニヤッと笑った。

 リサ「……待てよ。この手って……」

 リサはふと、新聞部で行われた“学校の七不思議”特集のことを思い出した。
 さすがにこんなエロ描写は無いものの、似たような話をリサは聞いたことがあった。
 学校の校庭には幾人もの地縛霊が潜んでいて、体育の授業中、見えない手が伸びて来て、足を掴まれたりしたとかいう話だ。
 それとて、結局は特異菌感染による幻覚症状だということが分かっている。

 リサ「なるほど。確かに、こんなエロハンドもいたのかもしれないね。他にもあるかな……?」

 リサは他にも似たような怪奇画が無いか探そうとしたが、そこへ桜谷と顧問の教師が戻って来たので、断念せざるを得なかった。

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