[5月4日18:30.天候:曇 宮城県仙台市青葉区中央 ホテルモントレ仙台6F・随縁亭]
夕食はホテルの和食レストランで。
カウンターで、目の前で揚がる天ぷらを堪能する。
天ぷらだけでなく、刺身や寿司も出て来た。
かつては生魚が苦手だったマリアだが、今は一応食べれるようになっている。
アルコールを流し込みながら。
佳子:「昨夜の失敗は、もう無しよ?」
宗一郎:「わ、分かってるって。今日は飲むより、食べる方に専念するよ」
宗一郎はそれでも日本酒を注文していたが。
勇太は相変わらずビール。
マリアは今回、ワインではなく、ウィスキーを注文していた。
それでも後にほろ酔い気分になった宗一郎が、こんなことを言った。
宗一郎:「ところで、キミ達はいつになったら結婚するんだい?」
勇太:「ブバッ!」
ビールを吹きこぼす勇太。
勇太:「えーと……。本当は、今年度中にそうしたいところなんだけど……」
マリア:「勇太のマスター昇格が保留になったので、結婚も保留中です」
宗一郎:「作者がまたフラれたからって、気にすることないんだよ」
雲羽:「うるせー」
多摩:「シッ、黙れ。声が入ってしまうぞ」
宗一郎:「だいたい、昇格が保留って、何かやらかしたのか?以前、うちの社員が警察の御厄介になったので、課長への昇格を1年延期にしたことがあったが……」
勇太:「いや、違うよ。ロシアとウクライナの戦争のせいだよ」
佳子:「そうか……。そういえばイリーナ先生、ロシアの人だったわね。今回来れなかったのも、戦争のせいでロシアに帰らないといけなくなったんだっけ」
勇太:「そうそう。だから、僕だけじゃないよ。マリアだって、ミドルマスター(中級魔道士)への昇格審査に入る所が保留になっているんだから」
宗一郎:「そうなのか。すると、戦争が終わらないことには、何ともならんのか?」
勇太:「第三次世界大戦の危機が回避されるまでは、ね」
マリア:「師匠の考えは分かりませんが、つまりそういうことです」
その時、マリアの脳裏にフラッシュバックのような現象が起きた。
それは自分が過去に経験した凄惨なものではなく、例えて言うなら何かの映画のワンシーン。
しかし、そこの登場人物は間違いなくイリーナだった。
イリーナが黒服達のマシンガン集中砲火を浴びて、窓ガラスを突き破り、そこから飛び出すというものだ。
マリア:「師匠……?!」
勇太:「マリア?」
宗一郎:「どうしたね?」
マリア:「No...Nothing...(いえ……別に……)」
マリアはそう答えると、ウィスキーを飲んだ。
マリア:(交渉がこじれて銃撃されたのか?でも、師匠のことだから、あれくらいで死ぬとは思えないけど……)
作戦上、死んだと思わせることもある。
実際、“魔の者”の眷属達との戦いの時も、それを匂わせることがあった。
魔界にはもちろん、“魔の者”本体が日本国(特に本州)には入れないという常識を覆す出来事(本体は無理だが眷属は可)だった。
マリア:「あの……」
マリアは手を挙げた。
宗一郎:「何かね?」
マリア:「この後、勇太と出掛けてきてもいいですか?」
勇太:「マリア?」
宗一郎:「構わんよ。但し、遅くはならないように。そうだね……日付が変わる時間までには、戻ってきてもらいたい」
マリア:「分かりました」
食事を終えると、マリアと勇太はホテルを出た。
勇太:「どこ行くの?」
マリア:「できれば、2人で静かに話し合える所の方がいい」
勇太:「それなら、ホテルのバーとか?」
マリア:「なるべく御両親とは1つ屋根の下じゃない所の方がいい」
勇太:「そうかぁ……。それじゃあ……」
勇太はマリアを地下鉄の駅に連れて行った。
[同日20:02.天候:雨 同地区 仙台市地下鉄仙台駅→南北線(列番不明)先頭車内]
〔2番線に、泉中央行き電車が到着します〕
休日の夜とはいえ、仙台市地下鉄で最も賑わう仙台駅のホームは、電車を待つ乗客達で賑わっていた。
マリア:「どこまで行くの?」
勇太:「すぐ近くだよ。渡したキップで分かるでしょ?初乗り運賃で行ける距離だって」
4両編成の電車がやってくる。
〔せんだい、仙台。東西線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕
こらちはホームドアが設置されていて、ホームドアが開くタイミングで電車のドアも開く。
メーカーが同じなのか、ホームドアのドアチャイムは札幌市地下鉄と同じである。
電車に乗り込むと、2人は開かないドアの前に立った。
勇太はそこから進行方向の窓を見る。
〔2番線から、泉中央行き電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
短い発車メロディ(というかサイン音)の後で、電車のドアとホームドアが閉まる。
車両の方は、かつては気の抜けるドアブザーだったが、東西線と同じドアチャイムに交換された。
そして、電車が走り出す。
〔次は広瀬通、広瀬通です。一番町、中央通りはこちらです〕
〔The next stop is Hirose-dori station.N09.〕
〔日蓮正宗日浄寺へは北仙台で、日蓮正宗妙遍寺へは八乙女でお降りください〕
進行方向を見てはいるが、マリアの手を握ることも忘れない。
マリア:「少し深刻な話になるから、場所は考えてよね?」
勇太:「分かってるって」
[同日20:10.天候:雨 仙台市青葉区国分町 某ラブホテル]
マリア:「こ、ここが……『考えた場所』?」
勇太:「2人きりになれる場所だし、静かな場所だよ?」
マリア:「し、しかし……」
勇太:「マリアが出した条件そのものにピッタリじゃないか」
マリア:「そ、それはそうだけど……」
勇太:「と、いうわけで入るよ」
マリア:「ちょ、ちょっ……もう」
勇太、半ば強引にマリアをラブホに連れ込む。
だがマリアも、結局は一緒に入った。
マリア:「先に話をしてからだよ?」
勇太:「分かってるよ」
宿泊はできないので、ご休憩で部屋を取る勇太だった。
夕食はホテルの和食レストランで。
カウンターで、目の前で揚がる天ぷらを堪能する。
天ぷらだけでなく、刺身や寿司も出て来た。
かつては生魚が苦手だったマリアだが、今は一応食べれるようになっている。
アルコールを流し込みながら。
佳子:「昨夜の失敗は、もう無しよ?」
宗一郎:「わ、分かってるって。今日は飲むより、食べる方に専念するよ」
宗一郎はそれでも日本酒を注文していたが。
勇太は相変わらずビール。
マリアは今回、ワインではなく、ウィスキーを注文していた。
それでも後にほろ酔い気分になった宗一郎が、こんなことを言った。
宗一郎:「ところで、キミ達はいつになったら結婚するんだい?」
勇太:「ブバッ!」
ビールを吹きこぼす勇太。
勇太:「えーと……。本当は、今年度中にそうしたいところなんだけど……」
マリア:「勇太のマスター昇格が保留になったので、結婚も保留中です」
宗一郎:「作者がまたフラれたからって、気にすることないんだよ」
雲羽:「うるせー」
多摩:「シッ、黙れ。声が入ってしまうぞ」
宗一郎:「だいたい、昇格が保留って、何かやらかしたのか?以前、うちの社員が警察の御厄介になったので、課長への昇格を1年延期にしたことがあったが……」
勇太:「いや、違うよ。ロシアとウクライナの戦争のせいだよ」
佳子:「そうか……。そういえばイリーナ先生、ロシアの人だったわね。今回来れなかったのも、戦争のせいでロシアに帰らないといけなくなったんだっけ」
勇太:「そうそう。だから、僕だけじゃないよ。マリアだって、ミドルマスター(中級魔道士)への昇格審査に入る所が保留になっているんだから」
宗一郎:「そうなのか。すると、戦争が終わらないことには、何ともならんのか?」
勇太:「第三次世界大戦の危機が回避されるまでは、ね」
マリア:「師匠の考えは分かりませんが、つまりそういうことです」
その時、マリアの脳裏にフラッシュバックのような現象が起きた。
それは自分が過去に経験した凄惨なものではなく、例えて言うなら何かの映画のワンシーン。
しかし、そこの登場人物は間違いなくイリーナだった。
イリーナが黒服達のマシンガン集中砲火を浴びて、窓ガラスを突き破り、そこから飛び出すというものだ。
マリア:「師匠……?!」
勇太:「マリア?」
宗一郎:「どうしたね?」
マリア:「No...Nothing...(いえ……別に……)」
マリアはそう答えると、ウィスキーを飲んだ。
マリア:(交渉がこじれて銃撃されたのか?でも、師匠のことだから、あれくらいで死ぬとは思えないけど……)
作戦上、死んだと思わせることもある。
実際、“魔の者”の眷属達との戦いの時も、それを匂わせることがあった。
魔界にはもちろん、“魔の者”本体が日本国(特に本州)には入れないという常識を覆す出来事(本体は無理だが眷属は可)だった。
マリア:「あの……」
マリアは手を挙げた。
宗一郎:「何かね?」
マリア:「この後、勇太と出掛けてきてもいいですか?」
勇太:「マリア?」
宗一郎:「構わんよ。但し、遅くはならないように。そうだね……日付が変わる時間までには、戻ってきてもらいたい」
マリア:「分かりました」
食事を終えると、マリアと勇太はホテルを出た。
勇太:「どこ行くの?」
マリア:「できれば、2人で静かに話し合える所の方がいい」
勇太:「それなら、ホテルのバーとか?」
マリア:「なるべく御両親とは1つ屋根の下じゃない所の方がいい」
勇太:「そうかぁ……。それじゃあ……」
勇太はマリアを地下鉄の駅に連れて行った。
[同日20:02.天候:雨 同地区 仙台市地下鉄仙台駅→南北線(列番不明)先頭車内]
〔2番線に、泉中央行き電車が到着します〕
休日の夜とはいえ、仙台市地下鉄で最も賑わう仙台駅のホームは、電車を待つ乗客達で賑わっていた。
マリア:「どこまで行くの?」
勇太:「すぐ近くだよ。渡したキップで分かるでしょ?初乗り運賃で行ける距離だって」
4両編成の電車がやってくる。
〔せんだい、仙台。東西線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕
こらちはホームドアが設置されていて、ホームドアが開くタイミングで電車のドアも開く。
メーカーが同じなのか、ホームドアのドアチャイムは札幌市地下鉄と同じである。
電車に乗り込むと、2人は開かないドアの前に立った。
勇太はそこから進行方向の窓を見る。
〔2番線から、泉中央行き電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
短い発車メロディ(というかサイン音)の後で、電車のドアとホームドアが閉まる。
車両の方は、かつては気の抜けるドアブザーだったが、東西線と同じドアチャイムに交換された。
そして、電車が走り出す。
〔次は広瀬通、広瀬通です。一番町、中央通りはこちらです〕
〔The next stop is Hirose-dori station.N09.〕
〔日蓮正宗日浄寺へは北仙台で、日蓮正宗妙遍寺へは八乙女でお降りください〕
進行方向を見てはいるが、マリアの手を握ることも忘れない。
マリア:「少し深刻な話になるから、場所は考えてよね?」
勇太:「分かってるって」
[同日20:10.天候:雨 仙台市青葉区国分町 某ラブホテル]
マリア:「こ、ここが……『考えた場所』?」
勇太:「2人きりになれる場所だし、静かな場所だよ?」
マリア:「し、しかし……」
勇太:「マリアが出した条件そのものにピッタリじゃないか」
マリア:「そ、それはそうだけど……」
勇太:「と、いうわけで入るよ」
マリア:「ちょ、ちょっ……もう」
勇太、半ば強引にマリアをラブホに連れ込む。
だがマリアも、結局は一緒に入った。
マリア:「先に話をしてからだよ?」
勇太:「分かってるよ」
宿泊はできないので、ご休憩で部屋を取る勇太だった。