報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Sisters” 「ショーウィンドーのレイチェル」 2

2017-08-27 20:13:07 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月12日15:00.天候:曇 宮城県仙台市青葉区台原森林公園 スリーエム仙台市科学館]

 敷島:「えー、それでは皆様、大変長らくお待たせ致しました。これより我が敷島エージェンシーの誇る『美人過ぎるアンドロイド』こと、エミリーとシンディの姉妹によるデュエット演奏を披露させて頂きたいと思います。ピアノはエミリー、フルートはシンディであります。……」

 敷島が自ら挨拶を行う。

 敷島:「それでは最初にお聴き頂きますのは、かつてまだロボットだった頃のエミリーのテーマでありました、“人形裁判 〜人の形弄びし少女〜”です」

 尚、楽曲の殆どが“東方Project”系であったことは【お察しください】。

 敷島がステージ裏に行くと、井辺が結月ゆかりと未夢に対してバッテリーを交換していた。

 敷島:「どうだった?」
 井辺:「未夢さんの天然ぶりと、結月さんのドジっ娘ぶりにお客様方の掴みは上々でした」
 敷島:「よし。よくやったぞ。ピアノとフルートのデュエットではあるけども、けして二重奏だけで終わらせない。あのマルチタイプ達の演奏に合わせて、彼女達にも歌わせよう」
 井辺:「そうですね」

[同日同時刻 天候:晴 同市同区国分町 某高級ブティック]

 レイチェル:(遅い……遅い……KAITO様……遅い……!)
 技術員A:「それでは6号機のレイチェルは修理が完了しました」
 技術員B:「こちらが作業報告書になります」
 店長:「原因は『人工知能の不具合』とかありますけど、本当に大丈夫ですか?」
 技術員A:「ええ。御心配要りませんよ」

[同日15:30.天候:晴 仙台市科学館]

 敷島:「ありがとうございました。“パンデモニックプラネット”でした。こちらは今のエミリーのテーマでもあります。こちらのピアノ奏者のエミリーは、あることをきっかけにロボットの仮面を脱ぎ捨ててロイドになった者です。即ち、ただ単に人間の命令を聞くだけのロボットではなく、ちゃんと自分で考えて行動するという、人間と同じ行動ができるアンドロイドということですね。それでは次の曲ですが、今度はボーカロイドの結月ゆかりと未夢にも手伝ってもらおうかと思います。彼女達の生演奏に合わせて歌ってみるというものです。何かリクエストはありますかー?」

 その時、ステージ裏から顔を出している者がいた。

 敷島:(KAITO?……あっ!)

 その時、敷島は思い出した。

 敷島:(しまった!KAITOにマネキンロイドのこと言ってない!)
 シンディ:「……あ、はい。“千本桜”ですね。やはり大人気のボカロ曲ですものね。社長?……社長!」
 敷島:「……おっ?」
 シンディ:「おっ、じゃないでしょ。“千本桜”のリクエスト来たわよ」
 敷島:「あっと!これは失礼しました!それではリクエストにお応えして、張り切って参りましょう!レッツゴー・ミュージック!」
 ゆかり&未夢:「大胆不敵に♪ハイカラ革命♪来々磊々♪反戦国家♪」

 敷島は急いでステージ裏に戻った。

 敷島:「KAITO、お前どうしてここへ?」
 KAITO:「次のラジオの収録まで時間があったので来ちゃいました。ホテルに戻ってた方が良かったですか?」
 敷島:「よくここに入れたな?」
 KAITO:「受付の女性の方に事情を伝えたら、快諾してくれました」
 敷島:「イケメン無罪か、この野郎!……っと、それよりだ!お前、エミリーから何か聞いてるか?」
 KAITO:「は?何がですか?」
 敷島:「勾当台公園駅近くのブティックに行けって指示だよ!」
 KAITO:「いえ、何も聞いてません。……えっ?えっ?何かそこでお仕事でも入ってましたか?」
 敷島:
 KAITO:「まさかのダブルブッキング!?」
 敷島:「か、完……。バッドエンドだ……

 勝手にバッドエンドにされては困る!

[同日16:00.天候:雨 仙台市科学館]

 敷島:「えー、本日はお日柄も良い中起こし頂きまして、ありがとうございます」
 エミリー:「社長、外、雨です!」
 敷島:「正に夏の日差しが眩しい中、熱中症には十分気をつけて頂いて……」
 シンディ:「だから社長、外、雨!」
 敷島:「『マルチタイプの演奏会』、平和なうちに終了とさせて頂きます。またの機会をどうぞお楽しみに!ありがとうございました!」

 敷島、ステージ裏に戻ると、真っ青な顔をした。

 敷島:「KAITO!次の仕事行くぞ!」
 KAITO:「あ、はい」
 シンディ:「次の仕事?KAITOは18時くらいにラジオ局入りでいいんじゃないの?」
 敷島:「シンディは黙ってろ!エミリー、あのマネキンロイドの話だよ!」
 エミリー:「ああ、あれですか。何もそんなに慌てなくても……」
 敷島:「俺は約束を破っちまったんだぞ!急がないと!」
 エミリー:「そもそもがワガママなんです。もしゴネるようでしたら、私がバラバラに……」
 敷島:「KAITO、行くぞ!井辺君、悪いけど後を頼む!」
 井辺:「は、はい!」

[同日16:30.天候:雷雨 某高級ブティック]

 レイチェル:「KAITO様、今会いに行きます……!」

 敷島の懸念通り、勝手に電源が入ったレイチェル。

 Lily:「MEIKO先輩、お疲れさまでした!」

 近くのライブハウスでの仕事を終えたボーカロイドが2機。

 MEIKO:「お疲れー。やっぱLilyはロック向きだね」
 Lily:「先輩の方がよっぽどロックだと思います。……あっ、先輩!エネオス寄って、新型オイル飲んで戻ろ!あれは美味いぞー!」
 MEIKO:「はいはい」

 ガソリンスタンドに、エンジンオイル目当てで立ち寄るロイドが散見されるこの世界。
 そして、2人は例のブティックの前に差し掛かった。

 MEIKO:「? ねぇ?何か変な音しない?」
 Lily:「変な音?……近くで改装工事でもしてるんですかねぇ?」
 MEIKO:「いや、この店からだね。……臨時休業なのに、中か音が?」
 Lily:「だから、改装工事とか?」
 MEIKO:「んん?」

 すると、ショーウィンドーにレイチェルが現れた。

 MEIKO:「あー、スタッフがいるわ。やっぱ改装工事か棚卸しか」
 Lily:「そうかもです」

 2人は店の前を通り過ぎようとした。
 が、背後で大きな音がした。
 ガラスの割れる音だ。

 MEIKO:「!?」
 Lily:「なに!?」

 振り向くとレイチェルがガラスをブチ破って外に出ていた。
 防犯センサーが付いていたのだろう。
 店の中からは防犯ベルの音が響いてくる。

 Lily:「先輩、あれ、ロイドです!」
 MEIKO:「何ですって!?」

 するとレイチェルが、ギギギという音をしてMEIKO達を見た。

 レイチェル:「ボーカロイド……MEIKO……!」
 MEIKO:「何故にバレてるし!?変装してるのに!?」
 Lily:「人間は誤魔化せても、ロイドでスキャナー持ってるヤツが相手だと誤魔化し切れないようです」
 レイチェル:「KAITO様と別れて!」
 MEIKO:「は?なに?KAITO……様?どういうこと?あんた、KAITOの知り合い?」
 レイチェル:「知ってる。オマエが誑かした。体で!」
 MEIKO:「は?」
 レイチェル:「NTR!淫乱赤女!」
 MEIKO:「な、何かよく分かんないけど、取りあえず捕まえてエミリーかシンディに突き出そう」
 Lily:「そ、そうですね!何か無制御状態っぽいですし!」

 MEIKOとLilyが戦闘態勢に入った。
 と、そこへある者がやってきた。
 それは誰だったと思う?

 ①エミリー
 ➁シンディ
 ③バージョン4.0
 ④ロイ&村上大二郎

(※バッドエンドはありません)

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