報恩坊の怪しい偽作家!

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“ユタと愉快な仲間たち” 「束の間ホリデー」 2

2014-10-24 04:20:56 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[10月19日13:22.イオンモール与野バス停 稲生ユウタ、威吹邪甲、威波莞爾、イリーナ・レヴィア・ブリジッド、マリアンナ・スカーレット]

「いやあ、いい買い物したねぇ……」
「『いい商売』の間違いだろ」
 イリーナの言葉に、威吹がツッコミを入れた。
「一応、荷物は大宮駅のコインロッカーに入れて、それから向かいましょうか」
「そうだね。よろしくね」
 そんなことを話しているうちに、バスがやってきた。

〔「大宮駅西口行きです」〕

 大宮駅西口行きは反対側のバス停からも出ている不思議。
 しかし、そちらは遠回りな上、本数も1時間に1本か2本しかない。
「まあ、こういう時、ノンステは楽ですね」
 キャリーバッグを乗せる時だ。
 もっとも、魔道師達のことだ。
 いつぞやの時みたいに、魔法で軽くするくらいのことはするだろう。

〔次は氷川神社前、氷川神社前。……このバスは、大宮駅西口行きです〕

「今日は鬼達と遭遇することは無かったな……」
 威吹は窓の外を見ながら呟いた。
「前に来た時とは大違いだ」
「きっと、栗原女史について歩き回っているのでしょう」
 師匠の呟きに、弟子のカンジが答える。
「おおかた、実家に呼出し食らってたりしてな」
「それも有り得ます」
 カンジは大きく頷いた。
 一方、その隣では……。
「少し混んでいますが、しばらくの御辛抱です」
 ユタが魔道師達に言った。
「いいのよ」
 長身のイリーナは吊り革どころかそれを吊るしているバーを掴んでいるが、マリアは……。
「マリア、良かったらユウタ君に支えてもらったら?」
「いやっ、私は……」
 慌てるマリアだった。
 と、その時!
「!!!」
 バスが突然、急ブレーキ。
 ユタの胸にマリアが飛び込んでくる。

〔「対向車の急な右折により、急停車しました。大変失礼しました」〕

「も、申し訳無い……」
「い、いえっ……!」
 ユタとマリアはお互いに顔を赤くした。
 転倒者の無しを確認した後、バスは再び歩を進めた。

[同日13:45→14:00.JR大宮駅西口 上記メンバー]

 最近のコインロッカーはSuicaやPasmoが使える。
 ただ単に料金の支払いだけでなく、それらICカードに登録された識別情報でロックやその解除を行うことでキーレスを可能にしている。
 無論、現金での利用も可能で、その場合は発行されたレシートに記載されている暗証番号を入力する必要がある。
「じゃあ、この暗証番号はマリアの人形達に任せておくわ」
「はい」
「……おい、ミク人形のヤツ、紙を食ってるぞ。いいのか?」
 ムシャムシャとレシートを食べているミク人形に突っ込む威吹だった。

 それから駅舎の外に出て、バスプールの外にも出る。
「あのバスですね」
 路上に日帰り温泉施設に向かう送迎用のマイクロバスが停車していた。
「お願いします」
「はい、どうぞ」
 バスに乗り込むと、後ろの席の方に腰掛けた。
「師匠、寝ないでくださいね」
「どうだかねぇ……。寝ちゃいそうだねぇ……」
「その時は『流血の惨を見る事、必至』ということで、いかがかな?」
「先生の御意向に従います」
「物騒な妖狐さん達だねぃ……」
「冗談で言ってるんですよ」
 マリアと2人席に座っているユタは、後ろのやり取りを見て苦笑した。

「はい、発車しまーす」
 バスは定刻通り、西口前を発車した。

[同日14:15.さいたま市大宮区三橋 湯快爽快 上記メンバー]

「では、ここでお別れだな!」
 現地に到着する。
 券売機で券を買って入場すると、威吹は俄然強気な態度だ。
「混浴露天風呂でもあるといいのにねぇ……」
「アホか!ユタ、行こう」
「う、うん」
「稲生さん、こっちです」
 ユタは2人の妖狐に前後を挟まれて、男湯に入っていった。
「まあ、しゃーない。富士宮でもゆっくりしたことだし、ここでもゆっくりしましょう」
 イリーナはユタを連れて行った妖狐達に不快そうな顔をしているマリアの方をポンポン叩いた。

「んっ!?」
 男湯側の脱衣所でスマソ。
 そこで妖狐達は、ある気配に気づいた。
 日蓮正宗にて正しい仏法に縁したことで、無駄に強かった霊力が抑えられているユタも、それは察知することができた。
「先生、どうやら件の鬼も来ているようです」
「そのようだな」
「キノがここに?珍しいなぁ……。ん?ってことは、栗原さんも一緒?」
「可能性はあるな。……というか、それ以外考えられん」
「同感です」
 そんなことを話していると、赤銅色の肌をしたキノが浴場から出て来た。
「ああっ!?巫女に封印された妖狐の威吹が何でここにいんだ?」
「いちいち枕詞付けんじゃねぇ」
 お互い舌打ちしながら睨み合う。
 ユタは溜め息つきながら、服を脱ぎ始めた。
「カンジ君、放っといて先に入ろう」
「は?はあ……。ですが……」
「いいんだよ。あの2人、楽しんでやってるんだから」

[同日同時刻。同場所・お待ちかね女湯 イリーナ、マリア、栗原江蓮]

「あら?あなたは……」
「んん?奇遇っスね」
 脱衣所で服を脱いでいると、浴場から江蓮が出てきた。
「珍しいわね。御家族で来てるの?」
「いや、何か知らないんスけど、キノがこういうの好きみたいで、無理やり誘われたんスよ」
「下心あり、か……。それにしても……」
 マリアは江蓮の体つきを見た。
(私より年下なのに……!)
 まあ、発育の良さは江蓮の方が上だったようで……。

[同日14:40.男湯・洗い場 ユタ、威吹、カンジ]

「ったく、あいつめ……」
 威吹がボヤきながら、ユタの隣に座った。
「睨み合いは終わった?もう少し掛かると思ってたけど……」
「先生、最後はあいつ、何と?」
「『いいか?オレと江蓮の邪魔すんじゃねーぞ?分かったな?絶対だぞ!』だそうだ。誰も邪魔せんというに……」
 威吹は呆れて、シャンプーを始めた。
「キノも結構、真っ直ぐな性格ではあるけどね。威吹はよく変化球投げるけど……」
「それは褒め言葉でいいんだよね?」

 威吹に限ったことではないが、髪の長い者はシャンプーの後、髪をバサバサやることが多い。
「髪が長いと、洗うの大変だな」
「ええ……」
 カンジは人間形態だと短髪(スポーツ刈り)だが、妖狐の正体を現しても、肩の所までしか無い。
 これはここ最近の若い妖狐族の流行りなのだそうだ。

[同日同時刻。女湯・露天風呂 イリーナ&マリア]

「発育を気にしてるのかい?そんな瑣末なこと、気にすることないよー」
「そうでしょうか?」
「魔道師になると、体の老化が遅くなるのは知ってるね?」
「ええ」
 だからイリーナは、アラサー状態のまま何百年もその姿のままでいられるのだ。
「あなたは18で魔道師になった。18と言えばまだ体の成長は続いてるわけだけど、逆に若いうちに魔道師になるということは、体の成長も遅くなるってことよ。だから時間は掛かるけど、そのうち立派な大人の体型にるさー」
「はあ……」
「逆に……ユウタ君は、あなたが『お人形さんみたいでかわいい』なんて言ってくれたってことは、現時点でそのロリ体型は正解ってことよ」
「…………」
「だからね、ユウタ君には私の弟子、あなたの弟弟子になってもらって、近くで体の成長とか見てもらいたいよね」
「はい!」
 師匠の最後の言葉に、ようやくマリアが顔を明るくした。

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2 コメント

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つぶやき (作者)
2014-10-24 10:10:12
泊まり勤務明けで帰るところである。
こんな仕事してるせいで、日曜日は基本休めない。
来月、うちの寺院で青年部大会があるらしく、紹介者から誘われたのだが、ものの見事に日曜日なのであるorz
無論、バックレ決定だ。
返信する
つぶやき 2 (作者)
2014-10-24 15:03:12
 所属警備会社からの突然のミッション終了。
 いや、勤務ではなく、警備検定試験絡みの話。
 国家資格(といっても警備業界でしか通用しないが)なので、色々と書類集めが大変みたいだ。
 取り急ぎ、まずは区役所に行って住民票(の写し)の取得。
 会社に電話して、私の現住所に間違いが無いか、住民票の写しの記載内容を口頭で伝える。
 その後は急いで郵送せよとのことなので、速達にしたら、割高になってしまった(当たり前)。
 えっ、郵便代?当業界は社会の底辺(業界ぐるみでブラック)なので、そんな措置ありません。
 今現在はこれだけだが、泊り勤務明けで帰ってゆっくり昼寝する機会を逸してしまった。

 法華講少年部員のみんな〜!しっかり勉強して、信心もしっかりして、こんなブラック業界来るんじゃないぞー!罰の現証に苛まされるぞー!
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