報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「修学旅行3日目」 1

2024-09-04 20:26:42 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月10日06時15分 天候:曇 沖縄県国頭郡恩納村 シェラトン沖縄サンマリーナ・リゾート]

 枕元の電話機から、モーニングコールの着信音が流れる。

 愛原「ううーん……」

 あとは私のスマホのアラーム。
 私は手を伸ばしてスマホのアラームを止め、高橋は電話の受話器を取った。

 高橋「お電話ありがとうございやす……。愛原学探偵事務所っス……」
 愛原「おい、寝ぼけてんじゃねーよ」
 高橋「あっ……」

 高橋は電話を切った。

 愛原「おはよう」
 高橋「おはようございます……」

 私はベッドから起き上がった。

 愛原「おおっと!」

 何故かこのホテルのベッド、マットレスが高い位置にある。
 低身長の私は、思わず飛び下りてしまいそうな感じだ。

 

 愛原「このホテルの朝食は7時からだ。それまでに会場に行くぞ」
 高橋「あ、はい」

 私はバスルームに行って、顔を洗うことにした。

 愛原「それにしても、昨夜は大変だったなぁ……」
 高橋「そうっスね……」

 リサを連れて彼女らの部屋に行ったのだが、レイチェルは既に目を覚ましていて、リサを見るなりキレ散らかした。
 いつもの生真面目でクールな性格とは、全く違う一面を見ることができた。
 高橋よりも威力の強そうなマグナムをリサに発砲するところだったのだから。
 一緒に付いてきてくれた淀橋さんや小島さんが止めに入ってくれなければ、レイチェルはリサに発砲しただろう。
 いくら高橋が持っている物よりも威力が強そうといったところで、それだけでリサが死ぬとは思えない。
 だが、発砲音が館内に響くので、それで大騒ぎになってしまうだろう。
 私とリサの全力土下座で、何とかレイチェルの怒りを鎮めた次第。
 因みに高橋の誤射については、ちょうど近隣で花火が打ち上がっていたので、それで誤魔化せた。
 このホテルではなく、近隣で結婚式のパーティーがあったらしく、その祝いの花火が打ち上がったようである。

[同日07時00分 天候:晴 同ホテル・メインタワー1階“ダイニングルーム・センス”]

 朝食はバイキング形式。
 リサにとってはありがたい形式だろう。
 ところで昨夜の騒ぎで、引率の先生達からは何も言われなかったのかというと、結論から言えば何も言われなかった。
 それどころか……。

 愛原「あっ、三上先生、おはようございます」
 三上「おっ、あー……愛原会長、おはようございます」
 愛原「昨夜はだいぶ飲まれたみたいですね?」
 三上「いやあ……こういう所でなかなか飲む機会が無くて……。若い先生達の仕事の悩みとか聞いているうちに、ついつい痛飲してしまって……」

 先生達3人は飲み過ぎてしまい、そのまま部屋に戻ってダウンしていた。
 その為、就寝時間の見回りは私と高橋だけで行うこととなってしまった。

 愛原「昨夜は何事もありませんでしたので。幸いなことに」
 三上「は、これはどうも恐れ入ります。どうか、この事は生徒達や学校には御内密に……」
 愛原「ええ、ええ、もちろんですよ。うちのリサがお世話になっていることですし……」

 三上先生は終始ばつが悪そうだった。

 愛原「出発はいつもの通り、9時ですな?」
 三上「はい。その予定でお願いします」
 愛原「分かりました」
 リサ「先生、おはようございまーす!」
 レイチェル「……オハヨウゴザイマス」
 三上「おはよう」
 愛原「おはよう。今朝も1番乗りだな」
 リサ「食べ放題には目が無くて~!」
 三上「お前は大食いなんだから、他の人の分も食うなよ?」
 リサ「はーい」
 レイチェル「愛原センセイ、昨夜は取り乱しました」
 三上「ん?昨夜?」
 愛原「おっと!レイチェル!ノーノーノーノー!」
 レイチェル「Huh?」
 三上「昨夜が何か?」
 愛原「いえいえ、何でも無いです!近隣の花火の音が、まるで銃の発砲音に似てたなぁ……と、そういう話です」
 三上「ああ……。確かに、銃の発砲音のようなものが聞こえましたね。そうですか。あれは花火でしたか」
 愛原「!!!」

 そ、そういえば、私達の部屋と先生達の部屋は並びにあるんだった!

 愛原「そ、そうなんですよ。どうも、近くで結婚式のパーティーをやっていたようで、その祝砲があったようで……」
 三上「なるほど」
 リサ「先生!これって、どの料理を取ってもいいの!?」
 愛原「いいけど、取り過ぎるなよ」
 リサ「豪華ホテルってこともあって、一杯あるー!」
 三上「愛原会長方も、ここは私に任せて、どうぞ先に朝食を」
 愛原「いいんですか?」
 三上「昨夜は全て会長方にお任せしてしまいましたので、今朝は私共にお任せください。それに……二日酔い気味で、食欲が湧かないものですから……」
 愛原「もしかしたら、売店でソルマックくらい売ってるかもしれませんよ?」
 三上「そうですか。後で探してみます」
 高橋「何故にソルマックなんスか?」
 愛原「いや、あれだよ。魔道師達が出て来るドラマ作品で、日本人魔道師が二日酔いした先輩魔道師にソルマックを勧めるシーンがある」
 高橋「打ち切りになったヤツっスね」
 愛原「あれも東京中央学園で撮影されたからね。……ま、そんなことはどうでもいい。お言葉に甘えて、俺達も食おう」
 高橋「はい」

 朝食にはゴーヤチャンプルーのような沖縄料理もあれば、ベーコンやウィンナーなどのオーソドックスな料理もある。
 鮭の切り身を焼いた物もあった。
 他には……。

 愛原「ベーコンとゴーヤと玉ねぎを入れてください」
 スタッフ「かしこまりました」

 客の目の前で、調理スタッフがオムレツを焼いてくれたりとかもあった。
 出来立てアツアツのオムレツが、客に提供されるというわけである。

 愛原「あとは米だな。沖縄に来てから、白米食ってない」
 高橋「なるほど。米関係で言ったら、ジューシーでしたか」
 愛原「そうそう。昨夜はパンだったし」
 高橋「それもそうっスね」

 リサと比べてはいけないが、あれもこれもと選んでいるうちに、結構な量になってしまった。
 リサなど、これを何倍も平らげるのだから凄い。
 リサ自身が大食いというよりは、リサの体内を牛耳っているGウィルスが大食いなんだな。
 幸いなことにGウィルスは、人間の食べ物でも栄養が補給できる為、それが安定供給されているうちは暴走することはない。
 但し、結果的に大食いになるのだが。
 おかげさまで今、リサの臓器で心臓が7つ、脳が5つほどのストックがあると言われている。
 つまり今、脳や心臓を撃ち抜いて、それぞれ1つ潰しても、ストックされている他の脳や心臓がすぐにその代わりを担う。
 だから、リサは死なないのだと。
 それら予備の臓器は、Gウィルスの中に隠されている。

 高橋「先生、飲み物持って来ます。何にしますか?」
 愛原「まずは水でいいよ。それから、食後にコーヒー」
 高橋「分かりました」

 まあ、まずは三上先生の言葉に甘えて、先に朝食を頂くことにしよう。
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“私立探偵 愛原学” 「修学旅行2日目」 8

2024-09-04 15:34:40 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月9日21時00分 天候:晴 沖縄県国頭郡恩納村 シェラトン沖縄サンマリーナ・リゾート]

 私と高橋の部屋を、暴走したリサがドンドンドンと乱暴にドアを叩く。
 ピンポンピンポンピンポンピンポンとチャイムを連打したり、ガチャガチャと鍵の掛かったドアノブを回す。
 そして……。

 リサ「せんせぇーーーーーーっ!!!」

 部屋の外からはリサの私を呼ぶ声が!

 高橋「くっ……!こうなったら先生……!」

 部屋の中では高橋が、手持ちのマグナムを構えている。
 しかし、私の方はというと、ショットガンは用意していなかった。

 愛原「ま、待て、高橋!」
 高橋「で、ですが……!このままでは先生の身に危険が……!」
 愛原「分かってる!分かってるが、この事態を招いた責任は俺にある!」
 高橋「だからといって、みすみすこのまま先生を危険な目に遭わせるわけには参りません!」
 愛原「その気持ちは嬉しい!嬉しいが……」

 何故このようなことになったのか?
 私は自分のスマホを見た。
 そこには、私とリサのLINEのやり取りが画面に映し出されている。
 高橋と部屋飲みをしていた私は、リサからLINEか来たことに気づいた。
 それはどうもカラオケで金を使い過ぎたからなのか、お小遣いを足して欲しいというものだった。
 私が、それも金の管理だと最初は断ったのだが、その後もリサの鬼LINE。
 リサだけでなく、『魔王軍』メンバーからも、頼まれる始末。
 しまいには、

 リサ「わたしのパンチラ写真あげるからぁ~!」

 と、パンチラ写真を送って来た。

 

 ここで軽く説教してやれば良かったのだが、酒が入ってテンションハイになっていた私は冗談のつもりで、

 愛原「リサのJKぱんつくれたらお小遣いあげるっぱw」

 と、送ってしまった。
 そして、今に至る。

 リサ「せんせぇーーーーーーっ!!パンツ持って来たヨーっ!!でへへへへへへ!!!」
 愛原「ば、バカ!声がでけぇ!」

 レイチェルは何をしてるんだ!?

 高橋「先生!?今、アラームが『注意』になりましたよ!?」

 BSAAが製作したアプリ。
 近くに危険なBOWがいたら教えてくれる機能付き。
 普段は青(緑)表示の『No Enemy.』になっているのだが、今は黄色表示の『Be Careful.』になっている。
 付近のBSAA隊員は、次に赤色に変わった時にいつでも行動できるように備えよということになっている。
 そして赤表示になると、管轄内のBSAAが出動するることになっている。
 そうなったら大騒ぎだ。

 愛原「もういい!高橋、オマエはベランダに避難してろ!」
 高橋「し、しかし……!」
 愛原「俺がここで漢気見せてやる!早くしろ!命令だ!」
 高橋「せ、先生……」

 高橋は泣く泣くといった感じで、ベランダへのガラス戸を開けた。

 高橋「わぁーっ!?」

 その時、高橋が驚いた声を上げて尻餅をついた。
 その際にマグナムを落としたことで、暴発してしまった。
 幸い弾は開いた窓から外へ飛んで行っただけだった。
 この部屋は海に面しているから、海の向こうに飛んでいっただけだと思うが……。
 どうして、そうなったかというと、それまで部屋の外でドアをドンドン叩いていたはずのリサが、窓から侵入してきたからである。
 リサのヤツ、窓ガラスをブチ破って侵入しようとしたらしい。
 ところがその直前に高橋がガラス戸を開けたものだから、リサがそのまま部屋に飛び込んで来た形だ。

 リサ「せんせぇーーーーーっ!!」

 リサは人間形態から鬼形態へと変化していた。
 そして、スタッと部屋の床に着地すると……。

 リサ「待っててね。今、パンツ脱ぐから……」

 リサはスカートの中に手を入れると、穿いていたショーツを脱ぎ始めた。

 

 愛原「最初に送ってきた画像のパンツと違うようだが?」
 リサ「あれは地味だったから穿き替えて来た。あっ、あっちの方が良かった?」
 愛原「リサ、ちょっとそこに座れ」

 私はテーブルの前にある椅子を指さした。

 リサ「えっ?えっとぉ……」
 愛原「いいから座れ!」
 リサ「は、はい」
 愛原「いいか、リサ?今からお前に『男の浪漫の何たるか』をレクチャーしてやる。男というのは、そういう派手な下着よりも、カルバンクラインみたいな下着を着けてるコの方が好きだ!」
 リサ「ええーっ!?だって、先生が観てたエロ動画、『鬼ギャルアヘ顔列伝!!』のJK達はもっと派手なの穿いてたよ!?」
 愛原「あれはギャルだからだ。オマエはギャルじゃないだろ?」
 リサ「ギャルになれって命令するならなるけど?」
 愛原「ならんでいい!全く、オマエは俺の心が分かっていない!」
 リサ「ごめんなさい……」
 高橋「そうだそうだ!オメーは全く分かってねぇっ!」
 愛原「オマエも人の事言えないからな?」
 高橋「ええーっ!?」
 愛原「いいからお前は、ちょっと茶でも入れてくれ。リサの分も」
 高橋「は、はい!」

 高橋は部屋備え付けの電気ケトルに水を入れると、まずはそれでお湯を沸かし始めた。
 室内にはインスタントコーヒーの他、緑茶や紅茶のティーバッグも置かれている。

 愛原「お茶が入るまでの間、オマエの下着チェックだ。あれだろ?今穿いてる派手なヤツ以外にも、カルバンクラインとか、ナイキとかのスポーツインナーとかも持ってきてるんだろ?」
 リサ「うん、持って来てる。何なら、昨日はそれ着けてた」
 愛原「そういうのでいいんだよ、そういうので」
 リサ「そ、そうなんだ。じゃ、じゃあそれ持って来るね」
 愛原「もういいよ。酔いが醒めたから」
 リサ「えー……」
 愛原「それより、レイチェルはどうした?お前のさっきの態度からして、レイチェルが制止するもんだと思うが?」
 リサ「あー……」

 その時、私のスマホにLINEの着信があった。
 それは『魔王軍四天王』の1人、淀橋さんからだった。

 淀橋「愛原先生。リサがそっちに行ってたら、『レイチェルがガチクソ怒ってるから、早く部屋に戻れ』と伝えてください」

 とのことだった。

 愛原「……だってさ」
 リサ「頭が無くなりそうだねぇ……」
 高橋「自業自得だろうが!」
 愛原「……いいよ、俺も一緒に謝ってくる。元はと言えば、俺が変なLINE送ったのが悪いんだし」
 高橋「たかが冗談を、マジ受けしたリサがアホなだけですって」
 リサ「あぁッ!?」
 愛原「いいからいいから。お茶は後で飲む。リサ、行くぞ!」
 リサ「はーい……」

 どうもレイチェルは、リサが部屋から飛び出そうとしたのを制止したらしいが、リサに頭1発ボコられて気絶したらしい。
 BSAAの隊員1人を倒すとは、さすがはリサはラスボスクラスなのである。
 尚、その時のレイチェルのケガはグリーンハーブで治したとのこと。
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