[5月10日14時00分 天候:曇 沖縄県国頭郡本部町 海洋博公園駐車場→琉球バス交通貸切バス車内]
出発の時刻になり、2台のバスは海洋博公園を出発した。
空はどんよりと曇っていて、いつ雨になってもおかしくない。
バスガイド「皆様、お疲れ様でした。美ら海水族館、いかがでしたか?ジンベエザメは御覧になりましたでしょうか?」
リサ「食べれなくて残念だった……」
愛原「だから、食べ物じゃないって」
高橋「食う事ばっかw」
バスガイド「バスはこれより沖縄自動車道を通り、再び那覇市内へと参ります。宿泊先のホテルまでの所要時間は、およそ2時間30分程度を予定してございます。尚、今回が1番長い道のりですので、途中でトイレ休憩を挟みたいと思います。一応予定としましては、沖縄自動車道の伊芸サービスエリアを予定してございます。ただ、他にもお手洗いに行きたいといった場合は、どうぞご遠慮無くお申しつけくださいませ。また、これから雨が降る予報となってございます。天候の悪化により、渋滞が発生する恐れがございます。その場合は、予定の時間を過ぎてしまう場合もございますが、予め御了承くださいませ」
愛原「確かに、これは一雨来そうだな」
高橋「つーか先生、雷注意報とか出てるんスけど……ゲリラ豪雨っスかね?」
愛原「まだ5月だで?……あー、まあ、沖縄と東京の気候を同じに考えない方がいいか……」
高橋「そうっス」
愛原「分かったよ。傘が無いからなぁ……」
高橋「こういう時にこそ、アンブレラ(雨傘)は必要ってことっスね!」
愛原「誰が上手いこと言えと……」
[同日15時20分 天候:雨 沖縄県国頭郡金武町 沖縄自動車道上り線・伊芸サービスエリア]
観光バスの大きなフロントガラスの上を、大型のワイパーブレードが規則正しく動いている。
高速道路に入る辺りから、雨が降り出して来た。
バスガイド「沖縄自動車道は、沖縄県唯一の高速道路として開通し……」
しかし、沖縄自動車道が唯一の高速道路ということもあって、ETCの普及率は頗る悪いとのこと。
このバスは仕事柄、高速道路はよく通るのでETCは導入されているが。
バスは減速すると、サービスエリアの中に入った。
バスガイド「お疲れ様でした。こちらで、少々休憩を取りたいと思います。外は雨ですし、また、車道を横断する形になりますので、どうか他の自動車などには注意して渡ってくださいますよう、お願い致します」
とはいえ、遠くの空には晴れ間が見えており、雨も弱くなったような気がする。
ただ、本格的に降るのは夕方以降になってからとのこと。
それまでは降ったり止んだりの天気になるらしい。
バスは空いている大型駐車場に停まった。
バスガイド「30分ほど休憩致します。出発は15時50分でお願いします。それまでにはバスに戻られますよう、お願い致します」
ブシューッと大きなエアー音がしてドアが開く。
愛原「どれ、俺達も降りるか」
高橋「俺は一服してきます」
愛原「ああ」
生徒達にゆっくり休憩してもらうというよりは、高橋達のような喫煙者がゆっくりタバコ吸いたいだけだと思う。
ただおかげで、非喫煙者の私らもゆっくりトイレに行けるんだがな。
走っている最中はそれなりに強い雨が降っていたが、今はかなり弱くなっている。
まあ、傘があったら差すくらいの強さではあるが。
高橋は喫煙所に行き、私はトイレに向かった。
それだけだと当然時間が余るので、コーヒーを飲むくらいの時間はあるだろう。
トイレを済ませると私は自販機コーナーに行き、そこでコーヒーを買い求めて、スマホを覗いた。
因みに休憩時間を30分くらい取った理由は他にもあって、このサービスエリアの女子トイレも比較的広いのだが、やはり団体客が集中すると混雑するようで、既に修学旅行生だけで列ができるほど。
そういう事情もある。
で、スマホには善場係長からのメールが来ている。
善場「緊急事態発生です。斉藤早苗は、確かに我那覇絵恋の家に現れました。しかし、何らかの事情により、調査員がTウィルスに感染したもようです」
愛原「えっ……?」
Tウィルスって……ええ!?
今はもうワクチンもあって、BSAAやデイライトの職員達はそれを接種しているから、感染しないはずじゃ?
私がその旨の返信をすると……。
善場「例外があります。例えばBSAAのジル・ヴァレンタイン氏もTウィルスには最初から抗体がありましたが、ネメシスから高濃度のTウィルスを投与された際にはさすがに感染した例があります。今回も同じです。意図的に強化されたTウィルスを、何らかの方法で投与されたようです」
愛原「すると、その調査員の人達はゾンビ化したのですか?」
善場「はい。幸いゾンビ化直後に駆け付けたBSAAに射殺され、事無きを得ました。その後、家の中に突入しましたが、家の中はもぬけの殻だったとのことです」
愛原「斉藤早苗は?」
善場「BSAAが駆け付ける前に、逃走したもようです。恐らく、まだ那覇市内に潜伏しているものと思われます」
愛原「えぇえ……」
善場「修学旅行ですから、いきなり予定を変更することはほぼ不可能でしょう。我那覇絵恋は、沖縄中央学園にいることは分かっています。狙いはリサだと思いますので、どうか警戒を強化してください。恐らくこの話は、レイチェル養成員にも行っていると思われます」
それでレイチェルのヤツ、バスの中では随分と静かだったわけだ。
元からそんなに話すわけではないのだが、ノリは悪くなく、リサや他の生徒達からのフリにはそれなりにノるコではあるので。
それが今回は、明らかにノリが悪くなっていた。
それは、こういう理由だったのか。
愛原「我那覇絵恋は、そのことを知ってるのでしょうか?」
善場「分かりません。ですが、定期的に彼女の家に通っていたということは、我那覇絵恋が斉藤早苗の手に堕ちている可能性はあります」
愛原「学校が終わったら保護する形ですか?」
善場「そこまではしなくていいでしょう。ただ、尾行などの監視は行う予定です。代わりの調査員を大至急派遣する予定ですので。今は地元警察に依頼して、警察の方で監視をしてもらっています」
愛原「分かりました。実は今夜も、絵恋と会う予定になっています。合流したら、御連絡しましょうか?」
善場「是非とも宜しくお願い致します」
まずいな……。
ついに斉藤早苗が動いたか。
リサをどうするつもりなのか知らないが、少なくとも私達人類に友好的なことをするとは思えないな。
一応、レイチェルにも話をしてみよう。
出発の時刻になり、2台のバスは海洋博公園を出発した。
空はどんよりと曇っていて、いつ雨になってもおかしくない。
バスガイド「皆様、お疲れ様でした。美ら海水族館、いかがでしたか?ジンベエザメは御覧になりましたでしょうか?」
リサ「食べれなくて残念だった……」
愛原「だから、食べ物じゃないって」
高橋「食う事ばっかw」
バスガイド「バスはこれより沖縄自動車道を通り、再び那覇市内へと参ります。宿泊先のホテルまでの所要時間は、およそ2時間30分程度を予定してございます。尚、今回が1番長い道のりですので、途中でトイレ休憩を挟みたいと思います。一応予定としましては、沖縄自動車道の伊芸サービスエリアを予定してございます。ただ、他にもお手洗いに行きたいといった場合は、どうぞご遠慮無くお申しつけくださいませ。また、これから雨が降る予報となってございます。天候の悪化により、渋滞が発生する恐れがございます。その場合は、予定の時間を過ぎてしまう場合もございますが、予め御了承くださいませ」
愛原「確かに、これは一雨来そうだな」
高橋「つーか先生、雷注意報とか出てるんスけど……ゲリラ豪雨っスかね?」
愛原「まだ5月だで?……あー、まあ、沖縄と東京の気候を同じに考えない方がいいか……」
高橋「そうっス」
愛原「分かったよ。傘が無いからなぁ……」
高橋「こういう時にこそ、アンブレラ(雨傘)は必要ってことっスね!」
愛原「誰が上手いこと言えと……」
[同日15時20分 天候:雨 沖縄県国頭郡金武町 沖縄自動車道上り線・伊芸サービスエリア]
観光バスの大きなフロントガラスの上を、大型のワイパーブレードが規則正しく動いている。
高速道路に入る辺りから、雨が降り出して来た。
バスガイド「沖縄自動車道は、沖縄県唯一の高速道路として開通し……」
しかし、沖縄自動車道が唯一の高速道路ということもあって、ETCの普及率は頗る悪いとのこと。
このバスは仕事柄、高速道路はよく通るのでETCは導入されているが。
バスは減速すると、サービスエリアの中に入った。
バスガイド「お疲れ様でした。こちらで、少々休憩を取りたいと思います。外は雨ですし、また、車道を横断する形になりますので、どうか他の自動車などには注意して渡ってくださいますよう、お願い致します」
とはいえ、遠くの空には晴れ間が見えており、雨も弱くなったような気がする。
ただ、本格的に降るのは夕方以降になってからとのこと。
それまでは降ったり止んだりの天気になるらしい。
バスは空いている大型駐車場に停まった。
バスガイド「30分ほど休憩致します。出発は15時50分でお願いします。それまでにはバスに戻られますよう、お願い致します」
ブシューッと大きなエアー音がしてドアが開く。
愛原「どれ、俺達も降りるか」
高橋「俺は一服してきます」
愛原「ああ」
生徒達にゆっくり休憩してもらうというよりは、高橋達のような喫煙者がゆっくりタバコ吸いたいだけだと思う。
ただおかげで、非喫煙者の私らもゆっくりトイレに行けるんだがな。
走っている最中はそれなりに強い雨が降っていたが、今はかなり弱くなっている。
まあ、傘があったら差すくらいの強さではあるが。
高橋は喫煙所に行き、私はトイレに向かった。
それだけだと当然時間が余るので、コーヒーを飲むくらいの時間はあるだろう。
トイレを済ませると私は自販機コーナーに行き、そこでコーヒーを買い求めて、スマホを覗いた。
因みに休憩時間を30分くらい取った理由は他にもあって、このサービスエリアの女子トイレも比較的広いのだが、やはり団体客が集中すると混雑するようで、既に修学旅行生だけで列ができるほど。
そういう事情もある。
で、スマホには善場係長からのメールが来ている。
善場「緊急事態発生です。斉藤早苗は、確かに我那覇絵恋の家に現れました。しかし、何らかの事情により、調査員がTウィルスに感染したもようです」
愛原「えっ……?」
Tウィルスって……ええ!?
今はもうワクチンもあって、BSAAやデイライトの職員達はそれを接種しているから、感染しないはずじゃ?
私がその旨の返信をすると……。
善場「例外があります。例えばBSAAのジル・ヴァレンタイン氏もTウィルスには最初から抗体がありましたが、ネメシスから高濃度のTウィルスを投与された際にはさすがに感染した例があります。今回も同じです。意図的に強化されたTウィルスを、何らかの方法で投与されたようです」
愛原「すると、その調査員の人達はゾンビ化したのですか?」
善場「はい。幸いゾンビ化直後に駆け付けたBSAAに射殺され、事無きを得ました。その後、家の中に突入しましたが、家の中はもぬけの殻だったとのことです」
愛原「斉藤早苗は?」
善場「BSAAが駆け付ける前に、逃走したもようです。恐らく、まだ那覇市内に潜伏しているものと思われます」
愛原「えぇえ……」
善場「修学旅行ですから、いきなり予定を変更することはほぼ不可能でしょう。我那覇絵恋は、沖縄中央学園にいることは分かっています。狙いはリサだと思いますので、どうか警戒を強化してください。恐らくこの話は、レイチェル養成員にも行っていると思われます」
それでレイチェルのヤツ、バスの中では随分と静かだったわけだ。
元からそんなに話すわけではないのだが、ノリは悪くなく、リサや他の生徒達からのフリにはそれなりにノるコではあるので。
それが今回は、明らかにノリが悪くなっていた。
それは、こういう理由だったのか。
愛原「我那覇絵恋は、そのことを知ってるのでしょうか?」
善場「分かりません。ですが、定期的に彼女の家に通っていたということは、我那覇絵恋が斉藤早苗の手に堕ちている可能性はあります」
愛原「学校が終わったら保護する形ですか?」
善場「そこまではしなくていいでしょう。ただ、尾行などの監視は行う予定です。代わりの調査員を大至急派遣する予定ですので。今は地元警察に依頼して、警察の方で監視をしてもらっています」
愛原「分かりました。実は今夜も、絵恋と会う予定になっています。合流したら、御連絡しましょうか?」
善場「是非とも宜しくお願い致します」
まずいな……。
ついに斉藤早苗が動いたか。
リサをどうするつもりなのか知らないが、少なくとも私達人類に友好的なことをするとは思えないな。
一応、レイチェルにも話をしてみよう。