報恩坊の怪しい偽作家!

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“大魔道師の弟子” 「嵐の直前」

2018-09-08 10:17:01 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月27日18:00.天候:曇 埼玉県さいたま市中央区 稲生家]

 シャワールーム無断使用事件の犯人は、マルファで決まりだった。
 本人があっさりゲロった。
 マルファはかつてエレーナと同じような金髪セミロングだったはずだが、イメチェンで切ってみたとのこと。
 門内一の自由人として知られるマルファだが、魔道師としての年齢は相当なものである。
 イリーナが齢1000年超えであり、それより階級が1つ下なだけということは……。
 「お土産」と称して、宗一郎が隠し持っていた贈答品である高級洋酒を1本持って帰って行った。

 マリア:「結局何しに来たんですか、あの人は?」
 イリーナ:「まあまあ。これでも結果的にアタシを助けてくれたんだよぉ。許してあげてね」
 マリア:「助けてくれた?」
 イリーナ:「廃鉱まで逃げたら、そこが反政府ゲリラのアジトだったみたいで、危うく殺されるところだったんだから」
 マリア:「それで?」
 イリーナ:「廃鉱とはいえ、宝石のかけらはそれなりに残っていたみたいで、それをマルファが暢気に集めに来たわけ」
 マリア:「助けに来たわけじゃないんですね」
 イリーナ:「武装ゲリラ達が、『何だオマエは?!』って感じでマルファにマシンガンやらガトリングガンやら一斉掃射したんだけど……」
 マリア:「ま、あの様子じゃ蜂の巣にはならなかったようですね」
 イリーナ:「蜂の巣になったのはゲリラの方。あのコの着ているローブ、攻撃を全てそっくりそのまま敵に返すという効果があるからね」
 マリア:「うわ……」
 イリーナ:「ついでにアタシも宝石探し手伝わされた上、勇太君んちにまで付いてきたってわけ」
 マリア:「超絶自由人!」

 と、そこへ玄関のインターホンが鳴る。

 稲生勇太:「寿司の出前、来たかな。はいはーい」

 勇太はお金の入った封筒を手に、玄関に向かった。

 ポテンヒット:「毎度どうも!寿司屋ポテンヒットです」
 勇太:「はい、ご苦労さまです」
 ポテンヒット:「特撰盛り込み3人前ずつ、“大石”と“報恩”ですね」
 勇太:「はい、大丈夫です。それじゃ、お金がこちらに……」
 ポテンヒット:「寿司桶は後で取りに行きますから、外に出しといてください」
 勇太:「分かりました」

 勇太は寿司桶を手にダイニングに向かった。

 勇太:「先生、マリアさん、夕食ですよー」
 イリーナ:「了解」
 マリア:「今行く」
 イリーナ:「ゲリラと言えば、ゲリラ豪雨に注意しないとね」
 マリア:「また来るんですか?」
 イリーナ:「むしろこれからがメインよ。今夜は外に出ないことね」
 マリア:「分かりました」

 ダイニングに行くと、既に稲生家の面々が椅子に座っていた。

 宗一郎:「さ、先生、どうぞこちらへ」
 イリーナ:「お気遣い無く、勇太君のお父さん」
 宗一郎:「後でまた占い、よろしくお願いしますね」
 イリーナ:「ええ。もちろんですわ」

 イリーナの占い的中率は、ほぼ100%である。
 その為、噂を聞きつけた政財界の大物がイリーナに依頼してくるほどだという。
 もっとも、マルファほどではないが、イリーナもまた気紛れ。
 ノリが良くないと依頼には応じない。
 稲生宗一郎にあっては、勇太という逸材を提供してくれたこともあり、ほぼ無条件で占っているわけだ。
 こればかりは、仏法が霞んでしまう。

 勇太:「マリアさん、本当に大丈夫なんですか?生魚は苦手だと……」
 マリア:「いや、大丈夫」
 勇太:「無理しなくていいんですよ」

 1人前多く頼んだのは、勇太やイリーナが良く食べることを見越してのことだった。

 イリーナ:「今夜はゲリラ豪雨がやってきますので、家の外には出ないでください」
 宗一郎:「さっきから天気予報でやっていましたが、やはりそうなんですね」
 勇太:「何だかタイムリーですね」
 イリーナ:「ホラーな展開ですよ。こういう時、妖怪からの襲撃がよくあったなぁ」
 宗一郎:「あの頃は大変だったな。威吹君がいたからこそ、だ」
 イリーナ:「私の予知では、そういうホラーチックな展開はございませんので、どうぞご安心ください」
 宗一郎:「それなら安心です」

[同日20:00.天候:曇 稲生家]

 意外とマリアは一人前を普通に食べた。
 少しずつトラウマを克服できることの表れであろうか。

 イリーナ:「そうですわねぇ……。ここは1つ、マイケル建設に依頼すると良いでしょう」
 宗一郎:「そうですか!」
 イリーナ:「沖浦工務店は費用を必要以上に削減する余り、作業が杜撰です。厳虎土建は創価建設におもねることで、後に爆発事故を起こします」
 宗一郎:「さすがです!ではすぐにマイケル建設に発注するよう、明日の役員会で提言します」

 応接間で占いをしてもらう宗一郎。
 客間では……。

 勇太:「あれ、いいのかな?」
 マリア:「いいんじゃない?師匠の商売だし」
 勇太:「まだ外は静かですね」
 マリア:「もう少し遅い時間に降るってことだろ。……ああ、あった。水晶球に。こんな小さい表示、見落とすって」
 勇太:「表示が出るんだ……」

 因みに勇太、本科として水晶球占いを習ってはいたのだが、いかんせん……スマートフォンで十分対応できてしまうという現状に【お察しください】。

 マリア:「今日は早めに休んだ方がいいかもよ」
 勇太:「そうですか」
 マリア:「私も後で2階(のシャワールーム)使わせてもらう」
 勇太:「わ、分かりました。ゲリラ豪雨、そんなに被害が大きいんですか?」
 マリア:「この辺は大丈夫だと思うけどね」
 勇太:「それも分かるんですか?占いで」
 マリア:「占いというより、師匠がいる時点でそんなに危険じゃないってことだろ」
 勇太:「でもさっきまで、紛争地帯にいたんでしょう?」
 マリア:「紛争地帯よりは安全?」
 勇太:「いや、そりゃそうでしょ」
 マリア:「ま、そういうわけだから。明日には晴れる」
 勇太:「被害が無かったら、明日は都内にでも出てみますか」
 マリア:「家庭用プロジェクター……」
 勇太:「あ、忘れてませんでしたか。いいですよ。見に行きましょう」

 マリアの趣味、人形作りにプラスして映画鑑賞も入りそうな勢いである。

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1 コメント

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つぶやき (雲羽百三)
2018-09-08 16:49:30
大宮駅東口で婦人部員とおぼしき顕正会員が新聞配りをしていた。一人で。
近くではエホバのきれいどころが二人、にこやかな顔で冊子配りをしていた。
顕正会員のオバちゃんは余裕無しで、あの広告の特大サイズを掲げながらの新聞配り。
一方、エホバの美女二人は余裕の表情。

幸せって一体何だろうね?
誓願に追われているようでは、誰も信用しない。
誓願を追い掛けてこそ、信用が得られるものだ。
仕事も同じ。
仕事に追われている間は半人前。
仕事を追い掛けて一人前だ。
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