報恩坊の怪しい偽作家!

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“大魔道師の弟子” 「新年早々」 2

2019-01-09 10:13:23 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月1日14:00.天候:晴 東京都豊島区某所 日蓮正宗正証寺]

 藤谷:「はーい!元旦勤行に参加の方はこちらー!」

 ワイワイガヤガヤ、ワイワイガヤガヤ……。

 藤谷:「えー、このタイミングで御受誡、御勧誡を受けられる方はこちら」

 シーン……。

 藤谷:「ま、これが現実だ……」
 稲生:「班長!」
 藤谷:「うおっ!」
 稲生:「またこのネタですか」
 藤谷:「ほんと、作者も好きだねぇ。ま、法道院さんだったらガチで正月から御受誡、御勧誡はあるらしいけどな」
 稲生:「あそこは大規模ですから。うちみたいな小規模な所は……」
 藤谷:「まあな。……あ、そうそう。明けましておめでとう」
 稲生:「おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
 藤谷:「こちらこそ。さ、早く中へ」

 境内に入ると、まだ規制線が張ってあった。

 稲生:(エレーナのヤツ、あそこでイオラを唱えたのか……)

 やむにやまれぬ事情があったとはいえ、イオラは少し強かったのではないかと稲生は思った。
 尚、ちゃんと鈴木はエレーナに契約通りの額を支払ったとのこと。

 藤谷:「あの魔女っ娘、『御本尊よりアタシとの契約の方が確実に願い事が叶えられて功徳〜〜〜〜〜〜!!』なんて言ってたけども……」
 稲生:「ま、ウソは言ってませんね。その代わり、契約者から金をふんだくるので、その分、罰も大きいですよ」
 藤谷:「これがホントの『魔の通力』ってか」
 稲生:「あ、班長、上手い!」

 稲生は集会室から座布団を1枚持って来た。

 藤谷:「こらこら。御本尊様の御前で座布団を使用するべからず」
 稲生:「分かってますよぉ……」
 藤谷:「俺は正座椅子だ。これは使っていい」
 稲生:「そんなに足が?」
 藤谷:「俺もトシかね」
 稲生:「イリーナ先生は正座なさっても、意外と大丈夫でしたね」
 藤谷:「ほお……。じゃあ、歳以外に原因があるのかな?」
 稲生:「どうでしょうねぇ……。(体型じゃないかなぁ……)」

 こうして2人は午後は行われた元旦勤行に参加した。

[同日15:30.天候:晴 正証寺境内]

 御住職:「稲生さんが来てから、このお寺では不思議なことばかり起こるようになったような気がします」
 稲生:「ぐ、偶然じゃないですかね。アハハハハ……」
 藤谷:「稲生君の縁で御受誡した者もそれなりにいますから、きっとそれは魔の揺さぶりですよ」
 御住職:「ですかねぇ」
 藤谷:「俺も彼も今年1年、魔に負けないように頑張りますから。な?」
 稲生:「そ、そうですよ」
 御住職:「それは頼もしい限りです」

 と、その時、外から街宣車の音がした。

〔「こちらは敬虔なるイエス・キリストの教団、聖ジャンジョン教会である。陰険なる魔女共に告ぐ。直ちに神への抵抗を止め、その汚らわしき魂を……」〕

 御住職:「昨年からあの邪教徒達は何を言ってるんですか?」
 稲生:「創価学会や顕正会ならよくあることだけど、まさかこっちはキリスト教に目を付けられるとは……」
 藤谷:「ったく、うるせぇヤツらだな!」

〔「……神は全てを御照覧あそばされている。邪な力を用い、この町に災厄を齎そうとしていることも全て把握している。我々は神の命により、その邪悪な野望を打ち砕くべく……」〕

 稲生:「本当だ!邪教を信仰するとこうなるんだな!」
 藤谷:「その通りだ!こっちはエレーナが魔法使ったくらいしかしてねーぞ!この邪教どもが!」
 稲生:「そうそう!……って、いやいやいや!それですよ、原因!え?なに!?もしかして、魔法使うところ、あいつらに見られた!?」
 藤谷:「いや、その時奴らはいなかったと思うが……」

 ザシャアァァァァァ〜ッ!(妙観講員達が教会の街宣車を取り囲む)

 稲生:「おおっ!ちょうどいいタイミングで妙観講の人達が!」
 藤谷:「ありがたい!あとは彼らにお任せしよう!」

 ↑他力本願な時点で、正証寺の今年の誓願達成率が【お察しください】。

 キリスト教徒A:「魔女だよ!魔女がこの寺にいるんだよ!」
 妙観講員A:「さっきからワケの分からんこと言ってるんじゃない!」

 稲生:「良かったぁ……、マリアさん連れて来なくて」
 藤谷:「そうだな。取りあえず、俺達も退散するとしよう。裏門から駐車場に行ける」
 稲生:「はい」

 キリスト教徒B:「魔女を匿うつもりか!神に仇なす者共め!」
 妙観講員B:「当たり前だ!いもしない神や魔女に踊らされる邪教徒共が!」

[同日15:45.天候:晴 東京都豊島区某所 首都高速内]

 稲生:「ふ〜、危なかったぁ……」
 藤谷:「あとはマリアさんをピックアップするだけだな」
 稲生:「はい、お願いします」
 藤谷:「どこにいるんだ?」
 稲生:「森下のワンスターホテルです」
 藤谷:「なるほど。『魔女の巣窟』だな。奴らに言わせればな」
 稲生:「ま、そういうことになりますかね」
 藤谷:「別に魔法を使うだけで、キリストをバカにするわけでもないだろうに、何であいつらはキレるんだ?」
 稲生:「分かりませんねぇ……」
 藤谷:「火病か?あの教団、朝鮮系だしな」
 稲生:「特殊な力を使えるのは神のみであり、神でもないのに特殊な力を使いやがって怪しからんということですかね」
 藤谷:「大きなお世話だっつーの」
 稲生:「多分、僕達からしてみれば、大聖人様でもないのに火球を飛ばして来てみたり、暴風雨を起こして船団を2回も潰したという奇跡を起こすようなものでしょう。因みにイリーナ先生のお力でしたら、どちらも可能です」
 藤谷:「……今度、ロト7の予知もお願いしようかな?」
 稲生:「大聖人様と似た力を持った人に、そんなことお願いするんですか?報酬は半分ですよ?」
 藤谷:「う、うん、そうだな。……ご、御供養だよ、御供養」
 稲生:「これから競馬で稼ぐお金も、ちゃんと宗門に御供養するんですよ?」
 藤谷:「ば、バクチで稼いだ汚い金を御供養するのは大聖人様に対する御不敬……」
 稲生:「何言ってるんですか!」

 変な所でケチる藤谷であった。

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1 コメント

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つぶやき (雲羽百三)
2019-01-09 18:17:38
 それにしても顕正会と創価学会と比べてみた時、顕正会は「前方から襲って来る」のに対し、創価学会は「後方から襲って来る」ように感じられる。
 前後挟み撃ちを食らった宗門は、上下左右に避けて、この2つの団体を正面衝突させるという手がいいのかもしれない。
 ただ、あいにくなことに、この2つの団体が挟み撃ちをして来る場所というのが狭いトンネルの中ということだ。
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