報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「何事も無い夜」

2024-03-20 20:38:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月9日17時00分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 リサ「雨が降ってきたよ?」
 愛原「ああ。夕方から雨らしいからな。まあ、外に出ている時じゃなくて良かったよ。……よし、できた」

 私は作成し終えた報告書を印刷した。

 リサ「写真が多いね」
 愛原「見やすいだろ?」
 リサ「うわ、モールデッドじゃん!……てか、なにこのオバケ!?スギャグデッド?」
 愛原「その類かもな」
 リサ「メーデーメーデー言ってた?」
 愛原「いや、船じゃないから。でも、何か色々喋ってたな。もちろん、ただのうわ言で、会話なんかできやしない」
 リサ「だろうねぇ……」

 私はすぐに善場主任に電話した。

 愛原「お疲れ様です。愛原です」
 善場「愛原所長、お疲れさまです」
 愛原「今しがた、報告書が完成しました。ファックスか、メールしますか?」
 善場「そうですね。原本は明日頂くとして、PDFにしてメールして頂くと助かります」
 愛原「分かりました。すぐに送信致します。それで、明日の報告会は如何致しましょう?」
 善場「10時に、こちらの事務所に御足労頂くことは可能ですか?」
 愛原「はい、大丈夫です。それでは、10時に伺わせて頂きます」
 善場「お待ちしております」

 私は電話を切った。

 愛原「よし。これを持って、明日はデイライトさんの所に行くぞ。その前に、メール送信だ」
 リサ「あーあ。先生、またお出かけしちゃうんだー」
 愛原「何言ってる。仕事だぞ。それに、お前も学校だろうが。上野に行くか、新橋に行くかの違いだけだぞ」
 リサ「それもそうか」
 愛原「分かったら、お前も家に戻れ。俺は報告書をメール送信してから、事務所を閉めるからな」
 リサ「はーい。あ、先生のコーヒーカップ舐め舐めしてから洗っておくね」
 愛原「舐め舐めは余計だな」
 リサ「ちっ、バレたか」

 リサは私のコーヒーカップを持って、給湯室に向かった。
 コーヒーカップを洗うだけだからすぐだ。
 それからリサはエレベーターに乗って、上に向かって行った。

 愛原「……よしっと、こんなもんだな」

 私は報告書をPDFにして、善場主任にメール送信した。
 あとはもう、今日の仕事は終わり。
 事務所を閉めることにした。

[同日18時00分 天候:雨 同地区 愛原家3階ダイニング]

 高橋「先生、お疲れ様っス!」
 愛原「おう。じゃあ、明日は10時にデイライトさんの事務所だ。遅れないようにな」
 高橋「はい。車出しますか?」
 愛原「いや。さすがに平日の都心、駐車場はなかなか空いてないだろう。地下鉄で行くぞ」
 高橋「分かりました」
 リサ「で、帰りは上野まで来てくれるんだね?」
 高橋「何でだよ?オメーが来い」
 リサ「通学経路から外れると、デイライトがうるさいんだよ」
 愛原「そうだったな。しかし、今はレイチェルが一緒だろ?」

 リサが許されていないのは単独行動だけであり、例え経路を外れても、そこにBSAA関係者やデイライト関係者がいれば良い。
 レイチェルは正式な隊員ではないが、養成学校生であり、訓練・実習の一環でリサの監視員の1人に任命されている。

 リサ「まあね。報告会ってお昼までなんでしょ?一緒にお昼食べて帰ろうよ?」
 愛原「本当にお昼までとは限らないから。まあ、一応会議が終わったらLINEしてみるよ」
 リサ「やった!待ってるからねー」
 パール「お待たせしました。今日は中華です」
 リサ「おー!」
 愛原「激辛回鍋肉かよ。リサ向けだな」
 リサ「豚肉がいっぱい!いただきまーす!」
 パール「先生には青椒肉絲です。こちらは辛くないですよ」
 愛原「何だ、そうか。それは助かる」

 全員に共通した料理として、他にチャーハンと唐揚げ、中華スープがあった。

 高橋「唐揚げ、急いで食わないと、リサに食われますぜ?」
 愛原「そうだな、頂こう」
 高橋「先生は唐揚げにレモン掛けない派でしたね?」
 愛原「そうなんだ。まさかこの中にレモン掛け派、いねーよなぁ!?」
 高橋「先生!リサが、唐揚げに唐辛子投入しようとしてやがります!!」
 愛原「リサ!?」
 リサ「だってぇ、マイルド過ぎて味がしないだもん」

 さすがは鬼型BOW。
 辛党である。

 愛原「そんなに辛い物食べて、よく火ィ吹いたりしないな?」
 リサ「電撃も弱くなったし、そのうち、今度はそうなるかもね」
 愛原「鬼の男みたいに?」
 リサ「あんなヤツの話ししないで!」
 愛原「ゴメンゴメン」
 高橋「俺とは違うタイプのイケメンだったな。それでも嫌いか?」
 リサ「キライ!」
 愛原「イケメン同士、何かタイプが違うって分かるんだ?」
 高橋「まあ、そうっスね。口では上手く言えないんスけど……」
 愛原「いや、いいんだよ。俺はイケメンじゃないから、逆に違いが説明できる」
 高橋「お、何スか?」
 愛原「まず、鬼の男は『かませ犬系イケメン』だ」
 高橋「ははっ(笑)!さすが先生です!……俺は?」
 愛原「『天然系イケメン』?」
 高橋「どういう意味っスか!?」
 リサ「どっちもボケ役だってことだよ」
 高橋「そ、それは……そうかもしれないっスけど」
 愛原「ボケ役の方が楽なんだけどな。ツッコミ役は、色々とエネルギーを使うもんでな」
 高橋「さ、サーセン」

[同日21時00分 天候:雨 愛原家3階リビング]

 夕食が終わった後は、リサとゲームに付き合ってあげた。
 少し昔の懐かしいゲームを引っ張り出して、プレイしてみたのだが、オリジナルのリサ・トレヴァーが登場するシーンにおいて、リサが正座して伏せ拝するほどに心服随従している姿を見て、リサを本当に使役できるのは、オリジナルのリサ・トレヴァーなのだと思った。
 ここにいるリサをBOWとしている最大の原因は、Gウィルスにある。
 それの生みの親がリサ・トレヴァーなのだから、リサにとってオリジナルのリサ・トレヴァーはGウィルスの親とも言える存在なのだろう。
 そもそも、リサという名前も、このリサ・トレヴァーからもらっている。
 リサが部屋に飾ってあるクランクハンドルも、リサ・トレヴァーが寝泊まりしている小屋に飾っておいていたのを真似している。

 高橋「先生、お風呂沸きましたよ?」
 愛原「了解。リサ、先に風呂入ってこい」
 リサ「はーい」

 リサは席を立って、まずは着替えを取りに、4階の自室に向かって行った。

 高橋「シャワールームができたら、あいつにはそこを使わせるんですよね?」
 愛原「風呂好きの鬼だ。別に、普段は3階の風呂でいいだろ」
 高橋「そうっスか」
 愛原「リサの次は、俺が入るからな」
 高橋「了解です」 
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“私立探偵 愛原学” 「緊迫の帰京」

2024-03-20 16:08:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月9日13時00分 天候:曇 東京都江東区住吉 ガソリンスタンド]

 海老名サービスエリアを11時過ぎに出た私達は、真っ直ぐ都内に向かった。
 高橋のルートは東京インターからそのまま首都高3号線に入って更に東進し、浜町出口から高速を降りて、それから新大橋通りを東進するというものだった。
 平日ということもあり、都心は混雑していた。
 昼食も食べずに、何とか家の近所までやってきた。
 この時点でガソリンが残り半分を切っていた為、給油してから帰ることにした。
 給油をしていると、リサから鬼ラインが。

 リサ「わたしはもう帰ったよ!先生はどこにいるの!?」

 みたいな、明らかな不機嫌ラインだった。
 そこで私は、今は住吉のガソリンスタンドで給油中だということを伝えた。

 愛原「まだ昼も食べてないんだ。リサは食べたのか?」

 と、食べ物の話を振ってみると、さすがにそれで少しだけ機嫌が戻ったようで、レイチェルを含む魔王軍達とハンバーガーを食べたことを伝えた。

 リサ「もうすぐ帰ってくるなら、わたしがマックで買ってこようか?」

 との質問に、最初は固辞しようかと考えていた私であったが、リサがマックを買っている間に帰れば良いと思い、頼んでみた。

 愛原「高橋。リサがマック買ってきてくれるみたいだぞ?」
 高橋「マジっスか?じゃあ俺、ビッグマックのセットで。コーラでオナシャス」
 愛原「ああ、分かった」

 私はダブルチーズバーガーのセットを頼んでおく。

 リサ「了解!すぐに買ってくるね!」

 食べ物が絡めば機嫌が直る辺りは、まだ蓮華より扱いやすいかも。

 店員「ありがとうございましたー!」

 給油が終わって、再び新大橋通りに出る。
 それで菊川駅前の交差点を通過すれば、家はもうすぐだ。

 愛原「って、リサ!!」

 菊川駅前の交差点は都道同士の交差点である。
 道幅はどちらも同じようなものであり、どちらもバス通りである。
 ただ、番号的には50号線の新大橋通りに対し、交差する三ツ目通りは319号線と、前者の方が格上なので、優先道路としては新大橋通りの方だろうか。
 で、新大橋通り側が青信号だったので、私達の車はそのまま直進した。
 しかし、リサがBOWならではの跳躍力で、交差点をヒョイと飛び越えてしまった。
 そしてそのまま、交差点の前にあるマックのレジの列に並ぶ。

 愛原「おおーい!おおーい!!」

 私は車の中で、リサに対して壮大なツッコミをした。

 高橋「目立ち過ぎだ、あのバカ!!」

 私の為に、急いで買って来ようとしたのだろう。
 大通り同士の交差点だから、1度赤信号に引っ掛かれば、確かに時間が取られてしまう。
 それなら、せっかく地下鉄の駅があるのだから、駅の中を通って反対側に渡ってもいいはずである。
 しかし、リサは持ち前の身体能力で交差点を飛び越えるという暴挙に出た。
 この辺りは電柱の地中化などは進んでおらず、電線も地上にある。

 愛原「後で説教だな」

 尚、帰りはちょうど信号が青だったので、そのまま横断歩道を渡ったそうである。

[同日14時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 警察官「おたくの娘さんが……」
 愛原「スイマセン!スイマセン!」

 尚、後ほど近所の交番から警察官がやってきて、みっちり説教された。

 リサ「だってあの信号、赤長いんだもん。もうちょっと早く青になるようにしてよ」
 愛原「リサ!」
 高橋「あー、そうそう。俺も気になってた!」
 パール「同じく」
 愛原「お前らな!」
 警察官「急いでるんなら、地下鉄の中を通っていいんだよ!この時間、駅は開いてるんだから!」
 リサ「えっ、線路渡っていいの?」
 警察官「ちがーう!」
 愛原「ローカル駅の構内踏切か!」

 やっぱりBOWは、感覚がズレている。

 警察官「今後は交差点を飛び越えたりしないように!分かった!?」
 リサ「はーい……」
 愛原「すいませんねぇ。保護者の私からも、よく言い聞かせておきますので」
 警察官「お願いしますよ」
 高橋「都営バスだけ優先的に青になるってシステムがちょっと気に入らねぇんだよなぁ……」
 愛原「都営バスも都道も、東京都がやってるからだよ。それに、だったら逆に都営バスに付いて行けば、一緒に優先システムに便乗できるってことだろ」
 高橋「! そうか!さすが先生!」
 警察官「それでは、私はパトロールがありますので」
 愛原「どうもすいませんでした」

 警察官が立ち去る。

 愛原「全く、お前というヤツは……」
 リサ「ハンバーガー美味しかったでしょ?」
 愛原「ああ、それはもちろん。……って、ちがーう!」
 高橋「先生。こいつと関わってると頭痛くなってくるんで、報告書の作成しましょう」
 愛原「そ、そうだな」
 リサ「頭痛いの?はい、ロキソニン」
 高橋「まぬっけーっ!!」
 愛原「リサ、俺達は忙しいんだから、邪魔しないでくれ」
 リサ「はーい……」

 私は自分の机に戻ると、報告書の作成に入った。

 高橋「先生。今後の為に、もう少し弾薬を多めに支給してもらいましょうか?申請書なら俺が作成しますんで」
 愛原「あー、そうだな……。蓮華が逃げたりしなければ、現状維持で良かったんだが、逃げたとなるとな……」
 高橋「いっそのこと、ロケランの貸与も申請してみます?」
 愛原「いや、さすがにそれは無理だろー!」
 高橋「じゃあワンランク落として、グレネードランチャーならワンチャン行けますかね?」
 愛原「ムリムリムリ!いつも通りマグナム弾と、ハンドガンの弾と、ショットガンの弾を多めに請求しとけ!」
 高橋「分かりました」
 パール「手榴弾って請求できましたっけ?」
 愛原「できなくはないだろうけど、蓮華相手に効くかね?」
 高橋「蓮華には無理でも、ザコクリーチャーには効きますよ。試しに2~3発請求しておきますか?」
 愛原「じゃあ頼むよ」
 高橋「了解っス」

 リサは空いている机の椅子に座り、ジュースを飲みながら……。

 リサ「話だけ聞いてると、とても探偵事務所じゃないみたいだね」
 愛原「サバゲークラブの事務所の会話みたいだな。明日も授業は午前中だけか?」
 リサ「もう終業式までそうだね」
 愛原「そうか……」
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