報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「秋葉原へ向かう」

2024-03-26 20:39:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月12日09時38分 天候:晴 東京都墨田区菊川3丁目 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線971K電車・最後尾車内]

 朝食を食べ終えた後は、早速準備して菊川駅に向かった。
 尚、高橋とパールは別行動で、都営バスで墨田区役所に向かっている。

 リサ「レイチェルも、今は電車の中だって」
 愛原「ちゃんと予定通りに来るんじゃないか。昨夜の作戦内容とか、教えてくれないかな?」
 リサ「『軍機なのでダメです』って言われそう」
 愛原「そうか。それは残念だ」

 トンネルの向こうから、強い風が吹いてくる。
 リサの黒い髪と、黒いスカートがそれに靡いた。
 そういえば、今日は風が少し強い。
 春一番が吹くだろうか。

〔まもなく1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください。急行電車の通過待ちは、ありません〕

 ゴォッと轟音を立てて入線してきたのは、京王電鉄の車両だった。
 クリーム色が目立つ旧型の方である。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕

 日曜日ということもあり、電車は空いていた。
 空いているローズピンクの座席に腰かける。
 すぐに短い発車メロディがホームに鳴り響く。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 ピンポンピンポンと、ドアチャイムが2回鳴りながらドアが閉まる。
 これはJR東海の在来線車両と同じものだ。
 車掌が発車合図のブザーを鳴らすと、エアーの抜ける音がして電車が動き出した。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサは私の隣に座ると、スマホを開いた。

 愛原「何が欲しいんだ?」
 リサ「服。藤野の行く時のね」
 愛原「なるほど。まあ、学校の制服で行くのもあれか。アキバに行くんだから、何かのコス衣装とか?」
 リサ「パールさんにはメイド服、わたしには体操服ブルマ以外に今度は何を着せたいの?ラムちゃんの虎柄ビキニとか?FGOの酒呑童子みたいな恰好とか?」
 愛原「普通に街を歩ける恰好でシクヨロ」
 リサ「でしょ。やっぱそれだよね?」
 愛原「そりゃそうだろw」

「同日09時45分 天候:晴 東京都中央区神田岩本町→同区神田花岡町 ヨドバシAkiba」

 菊川駅から秋葉原の最寄り駅である岩本町駅へは8分ほどで行ける。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 ここで電車を降りる。
 急行電車の通過待ちがある場合は中線に停車するが、この電車はしないので、外側の本線に停車していた。
 エスカレーターで改札階に向かう。

 愛原「リサ、スカート気をつけろよ。風が強いから」
 リサ「先生なら覗いてもいいよ?」
 愛原「そういう問題じゃない!」

 改札口を通過して、地上に向かう為に更にエスカレーターに乗る。

 愛原「レイチェルとは、どこで待ち合わせするんだ?」
 リサ「ヨドバシAkibaに1番近い、地下鉄の入口があるでしょ?そこ」
 愛原「なるほど。昭和通りから入った、あそこだな。分かった」

 尚、昭和通りに出る際は、途中から階段となる。

 愛原「おっ、本当に風が強い」
 リサ「ん!」

 しかし、天気は良い。
 花粉症には要注意だ。

 愛原「本当にリサは、太陽の下でも平気なんだな」
 リサ「最初からそうだよ。蓮華とか、『6番』みたいに、夜しかダメってのがおかしいんだよ」
 愛原「なるほど」
 リサ「だから藤野に行って、わたしの体、色々いじくるみたいだけど、それで夜しか動けなくなるのって嫌だなぁ……」
 愛原「より人間に近くなる為の治療だから、そんなことは無いと思うよ。リサの背中にある、触手の出入口を塞ぐのが最大のポイントなんだから」

 本当は人間に戻すのが目的だったのだが、だいぶ後退してしまった感じだ。
 途中の神田川に架かる和泉橋を渡り、書泉の前の横断歩道を渡ったら、ヨドバシAkibaはすぐそこである。
 着いた時、レイチェルはまだ到着していなかったが、少し待っていると……。

 レイチェル「皆さん、こんにちは。今日はよろしくです」

 ジーンズにジャケットを羽織ったレイチェルがやってきた。

 愛原「バレンタインデーのチョコレートありがとう。2日早いが、今日はホワイトデーのお返しをさせてもらうよ」
 レイチェル「ありがとうございます。リサが服を見たいというので、私もそれでお願いします」
 愛原「レイチェルも私服が?」
 レイチェル「それもありますけど、やっぱり養成学校に通う者として、それに見合う物がいいですね」
 リサ「レイチェル、マジメ~」
 愛原「じゃあ、中に入ろうか」
 リサ「うぃっス!」

 3倍返しとはいうが、それ以上の額になりそうだな。
 まあ、仕方が無いか。
 それにしても、高橋達は無事に婚姻届をゲットできただろうか?

[同日10時30分 天候:晴 ヨドバシAkiba7階・ユニクロ]

 人によっては、ユニクロが高級ブランドだという向きあるそうだが、本当だろうか?

 愛原「いいのか、ここで?」
 リサ「藤野に行く用だったら、ここで十分」
 愛原「な、なるほど」
 リサ「最悪、春休み全部潰すことになるんでしょ?」
 愛原「最悪な」
 レイチェル「では、スムーズに行った場合はどれくらいになるのですか?」
 愛原「1週間程度らしい。なもんで、平均して10日くらいをメドにってところだな」
 レイチェル「春休みって、2週間程度ですよね?その半分以上を潰すなんて過酷ですね」
 リサ「そうなんだよ。旅行にも行けやしない」
 愛原「スムーズに行けて、早く帰れるようなら、どこか連れて行ってやるよ」
 リサ「ホント!?」
 愛原「レイチェルも、ここの店でいいのか?」
 レイチェル「はい。ちょうど、ジーンズの新しいのが欲しいと思ってましたし。あと、インナーも、ここのは実用性があるので、訓練用に買うのもいいですね」

 軍服の下にはスポプラなど、スポーツインナーを着用することが多い。
 但し、スポーツインナーは確かに頑丈な反面、ナイキやアディダスなどだとブランド性が高い為か、値段もそれなりに高い。
 その為、訓練生の中には、もう少し安いノーブランドのインナーを着用する者もいるという。

 レイチェル「ここのはいいですね。ちょっと、試着してきます」
 愛原「ああ」

 レイチェルはジーンズを何着か持って、試着コーナーに向かった。
 一応、昼食は一緒に食べようという予定であるが、高橋達は秋葉原に着いたのだろうか。

 リサ「先生、キャリーバッグは大きいのがいいかな?」
 愛原「その方がいいだろう。それについては、ヨドバシカメラの方に売ってるから、見てみるか?」
 リサ「うん、そうする!」
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“愛原リサの日常” 「国連の 活躍により 出番なし 今日は繰り出す 秋葉原へと」

2024-03-26 15:14:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月11日23時12分 天候:晴 栃木県某所山中]

 鬼女「はぁ、はぁ、はぁ……」
 鬼男「も、もうダメだ……!」

 栃木県の山中を走り回る1人の鬼の男女。
 それを追い回すは、BSAAのヘリと……。

 上野利恵「往生際が悪いわね。おとなしく観念しなさい」
 鬼の女「うわっ、いつの間に!?」

 着物を着た上野利恵が先回りし、月明りを背に、岩場の上から赤い瞳を光らせて彼らを見下ろす。

 上野凛「うちのお母さんも、なかなか強い鬼だからね!」
 鬼の男「ま、待ってくれ!あんた達も鬼なんだろ!?だったら、仲間じゃないか!アンタ達の所に匿わせてくれよ!?」
 凛「なーにが仲間だよ!ねぇ?お母さん!」
 利恵「あんた達、何人くらいの人を食べたの?」
 鬼の女「ご、5~6人くらいかな……」
 鬼の男「お、俺もだ!」
 上野利恵「私は1人……」
 鬼の女「ちょ、ちょっと待ってよ!」
 鬼の男「1人しか食ってないのに、何でそんなに強いんですか!?」
 利恵「さあねぇ……。地獄で勉強してきたら?」

 カッと眩い光が彼ら照らす。
 BSAAのヘリに追いつかれたのだ。
 そして、そこから機銃掃射を浴びせられる。

 鬼の女「ぎゃああああああ!!」
 鬼の男「お、俺だって元は人間だったのに……」

 そして降下してきたBSAAの隊員達に、更に至近距離から集中砲火を浴びせられた。
 被弾の勢いで、女の方の首がもげる。

 鬼の女「恨んでやる!オメーラ、一生恨んでやるからな!!」

 首だけになっても、遺恨を叫んでいた。

 BSAA隊長「回収しろ!首と胴体は、絶対に近づけるな!」
 BSAA隊員「はっ!」

 BSAAに捕まった彼らの運命は決まっていて、射殺できない以上は、血液などの検体サンプルを採取された後、朝まで監禁されるのである。
 そして朝が来ると同時に日光を浴びせられ、処刑される。

 BSAA隊長「御協力ありがとうございました!」

 隊長が上野母娘の所に来て敬礼する。

 利恵「お役に立てて何よりです」
 凛「この辺りで殺された人達は10人くらい。さっきの奴らの言い分通りだと、ちょうど人数が合っています」
 利恵「鬼はすぐに噓を付く。しかし、さっきのは追い詰められた状況での事ですから、恐らく本当でしょう」
 隊長「了解です。それでは、我々はこれで引き上げますので」
 利恵「ご苦労様でした」

 BSAAのヘリが飛び立って行く。
 その中に、凛は見覚えのある人物を見つけた。

 凛「レイチェル?」
 利恵「知ってる人?」
 凛「BSAA北米支部の養成学校から留学してきた人。リサ先輩と同じクラスなの」
 利恵「姉さんに特別監視が付いたのかしら?」
 凛「どうだろうねぇ……。監視って感じはしないけど……」

 と、そこへ……。

 男「姐さん、御嬢!お待たせしました」

 ホテル天長園の紺色の法被を着た30代くらいの男が、茂みをかき分けてやってきた。

 利恵「あら、早いわね」
 男「へへっ!姐さんの為なら、超特急ですぜ。さっ、こっちへ。車を用意してますんで、これで帰りましょう」
 凛「ありがとう、銀次さん」

 迎えに来て先導する法被の男には、牙があった。
 角こそ無いものの、耳も少し尖っている。

[同日23:35.天候:晴 栃木県上空 BSAAヘリコプター機内]

 南に向かって飛行するBSAAのヘリコプター部隊。
 レイチェルが搭乗している機内には、捕えた鬼の男女は乗っていない。

 教官「夜間実習訓練、ご苦労だった!明日は神聖な日曜日だ!これよりキミの宿舎へ直行するので、ゆっくり休むように!分かったか!?」
 レイチェル「Yes,sir!」

 レイチェルは、教官に敬礼した。
 彼女はBSAAの軍服を着用し、安全装置を付けたマシンガンを持っている。

 隊員「隊長!レーダーに複数の鬼型BOWの反応があります!」
 隊長「アラームは鳴っているか?」
 隊員「いえ、それが鳴っておりません。故障でしょうか?」
 隊長「それなら、故障のランプが点いて、それのアラームが鳴るはずだろ?」
 隊員「そ、そうですね」
 隊長「これは味方の鬼の反応なんだ」
 隊員「み、味方ですか!?」
 隊長「捜査協力をしてくれた上野母娘。しかし、彼女らには配下が何人かいるそうだ。但し、制御はできていて、未だ誰一人として人を襲ったことがないということで、今は監視対象のみとなっている」
 隊員「そういうことでしたか」
 隊長「彼らは栃木県が縄張りだ。そこに先ほどの敵BOWが入り込もうものなら、飛んで火にいる夏の虫だ」
 レイチェル「勉強になります」

 レイチェルは隊長の言葉をメモしていた。

 レイチェル「すると、BSAA欧州本部隊が、ルーマニアの作戦でBOW戦士を投入したというのは……」
 教官「それは最重要機密事項だ!いくらキミが猛勉強中の養成員とて、この質問には答えられない!もしどうしてもというのなら、欧州本部への配属を希望して、実際に配属されなさい。話はそれからだ」
 レイチェル「も、申し訳ありません!」
 教官「宜しい!」

[3月12日08時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 リサはダイニングで朝食を取っていた。
 トーストにベーコンエッグ、ウィンナーにサラダとスープという洋食であった。

 愛原「おはよう」
 リサ「おはよう!」
 愛原「何か昨夜、動きがあったらいしいな?」
 リサ「リンからLINEがあったんだけど、栃木で悪さしていた鬼達、BSAAに捕まったって!」
 愛原「なに?BSAAが活躍したか」
 リサ「リエ達の縄張りに入ったもんだから、追い掛けてBSAAに通報したんだって」
 愛原「そうか。利恵達も頑張ってるな」
 リサ「そこにレイチェルもいたみたいだよ」
 愛原「レイチェルが?今日来れるのか?」
 リサ「一応、LINE送ってるけど、まだ返信来てない」
 愛原「そうか……」
 リサ「まあ、来なかったら、2人でデートしよーね!?
 愛原「そうだな」

 『太陽の下、大手振って外を歩ける。これだけでも、鬼の世界ではエリートです』という言葉をリサは思い出した。
 最初にそれを言ったのは、上野利恵だったか。
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