報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「帰宅後の過ごし方」

2024-03-28 20:20:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月12日14時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階リビング]

 リサ「先生、見て見て!」
 愛原「おー、リサ!似合うな!」

 リサは新しく買った服に着替えて、私に見せて来た。
 ピンク色のフード付きパーカーと、新しいデニムのショートパンツである。
 動きやすい服なので、泊まり掛けの旅行にはちょうど良いだろう。
 これだと靴も新調したくなるところだが、それはリサは望まなかった。
 特に、古くなっているわけではないからだろうか。
 尚、パーカーの下は黒いTシャツである。
 黒無地に高橋がシルクスクリーンで、赤く『biohazard』の血文字を入れている。

 愛原「これで寒くないか?」
 リサ「わたしはBOWだからね、これくらいでいいんだよ」
 愛原「それもそうか」

 BOWは概して体温が高い為。

 高橋「先生!ちょっとコンビニに、出しに行ってきます」

 高橋は宅急便コンパクトを持っていた。

 愛原「ああ、行ってこい。父さんにも連絡しておくから」
 高橋「あざっス!」

 父親には、同じく宅急便コンパクトで送ってもらう。
 但し、運賃は着払いだ。
 高橋が出て行くと、私は自分のスマホを取り出し、父にLINEを送った。
 父は、本当に大丈夫かと心配していた。
 まあ、3度目の正直で大丈夫だろうと答えておいた。

 愛原学「宅急便コンパクトで届くから、父さんもそれでこっちに送り返してよ。で、運賃は着払いにしてくれていいから」
 愛原父「分かった」

 とのことだった。

 リサ「荷物も詰めてみたけど、帰りのお土産に入りそうだよ」
 愛原「もう荷造りしたのか!?」
 リサ「あくまで練習だよ、練習」
 愛原「それにしたってだなぁ……」
 リサ「ちゃんと、またしまうよ」
 愛原「しまうのも、大変だよ?」
 リサ「大丈夫、大丈夫。ついでに着替えて来る」
 愛原「ああ」

 リサはそう言うと、リビングから出て行った。
 4階の自室へと向かって行く。
 因みに私は、家の中にら盗聴器や隠しカメラが無いかどうかを調べている。
 今のところは、何も見つかっていない。
 そしたら蓮華は、どうやって私達の会話を聴いていたのだろうか?
 リサでさえ分からないくらいの盗聴法……。

 パール「先生。私、スーパーに買い物に行ってきますが、よろしいでしょうか?」
 愛原「ああ、行ってらっしゃい」

 パールが出て行くと、私は道具を片付けに事務所に下りることにした。
 蓮華がどうやって盗聴したのかは、本人を捕まえて聴くしかないのか……。

 リサ「おっ、先生。帰って来た」

 

 2階の事務所から、また3階のリビングに戻ると、リサが体操服にブルマに着替えていた。
 今日はもう出かけないということだろう。

 愛原「どこにも出かけてないよ。ちょっと事務所に、道具を置きに行っただけだ」
 リサ「ふーん……。まあ、いいや。先生、ゲームでもやろ」
 愛原「リサは自由だな」
 リサ「もうすぐ春休みだから、そんなに宿題も無いし、学年末テストも終わったしね」
 愛原「春休みは宿題あるのか?」
 リサ「無いよ」
 愛原「そうか」

 私の時も、春休みの宿題は無かった気がする。

 リサ「今度は負けないよ」
 愛原「もちろんだとも」

[同日18時00分 天候:晴 同地区 愛原家3階ダイニング]

 今日の夕食はチキンステーキが出て来た。
 どうやら今日は、鶏肉が安かったらしい。
 肉なら何でもいいリサは、満足そうに鶏の胸肉1枚を平らげていた。
 他にも、カレイの煮付けなんかもある。

 高橋「明日の朝食当番は俺ッスね。明日は和食でいいんスか?」
 愛原「平日は御飯食だからな。魚でも焼いてくれるのか?」
 パール「サバを買ってきましたよ」
 愛原「じゃあ、明日は焼きサバだな」
 高橋「うっス!」
 愛原「それで、宅急便の控えは?」
 高橋「あっ、ポケットの中っス。サーセン、何か先生達、ゲームに夢中だったもんで……」
 愛原「いや、しょうがないよ。あとで伝票に書かれてる追跡番号を登録しておこう。あとは、父さんにも教えておく」
 高橋「サーセン」
 リサ「先生、御飯食べたら映画見よ!DMMからDVD届いたから!」
 愛原「ああ、分かった。タイトルは何だったっけ?」
 リサ「“学校であった怖い話”。レビュー見たら、東京中央学園の怖い話みたいなのがいっぱい!」
 愛原「そ、そうなのか。ガチの和風ホラーっぽいな」

 今、東京中央学園において、現在進行形で起きている怪奇現象は、全てリサが起こしているものだ。
 それまでに起きていた怪奇現象は、登場人物が人間のみの話を除き、全て特異菌が起こしていた幻覚や幻聴によるものだったことが判明している。
 白井伝三郎が旧校舎(現・教育資料館。半壊により、修復工事中)の隠し空間に特異菌の菌塊を隠匿したものの、胞子が壁をすり抜けて建物全体を覆った。
 当時から旧校舎は立入禁止だったものの、好奇心から侵入した生徒達や見回りの宿直教職員が感染。
 そこから新校舎にも拡がり、東京中央学園は怪奇現象の宝庫となってしまった。
 現在、菌塊はBSAAにより撤去され、滅菌・消毒作業が行われたことにより、怪奇現象はナリを潜めている。
 現在はBOWたるリサの独壇場となり、現在進行形で発生している“学校の七不思議”の全てを掌握した。
 例として、『逢魔が時、人けの無い廊下を歩いていると、吸血鬼に捕まって血を抜かれる』→『リサが血液や血中老廃物を摂取する為、“獲物”を捕まえる』など。
 他にも、『技術室から化け物が爪を研ぐ音が聞こえる。聞いた者は死ぬ』→『リサが長く鋭く尖った爪を研ぐ為に、技術室のヤスリで爪を研いでいるだけ。最後の一文はガセ』もある。

 リサ「大丈夫だよ。怖かったら、わたしが守ってあげるからね。わたしに抱き着いていいよ?
 愛原「ああ。ガチの恐怖だったら、そうさせてもらうよ」

 リサを打ち負かす化け物や亡霊が、到底登場するとは思えなかった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「鬼の影」

2024-03-28 14:39:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月12日13時52分 天候:曇 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→都営新宿線1310T電車・最後尾車]

 私達はヨドバシAkibaを出ると、昭和通りに出て地下鉄の岩本町駅に向かった。
 日曜日ではあるが、善場主任にメールで報告はしておく。
 また、レイチェルも自分もスマホで報告していた。
 まさかということもあり、残念ながら先ほどの通話内容は録音していない。
 だが、明らかに着信履歴は残っているから、けして気のせいではない。

 レイチェル「私は部隊に報告しておきます。もしかしたら、愛原センセイのスマートフォンを確認させて頂くかもしれません」
 愛原「分かったよ」
 リサ「じゃあ、BSAAに調べられる前に、わたしのエロ画像消しとかないと」
 愛原「んなわけないだろ!」
 レイチェル「Huh?」
 愛原「何でもない!何でもないんだ!」
 レイチェル「そうですか」

 秋葉原駅前で、レイチェルと別れる。
 私達は徒歩で岩本町駅に向かった。

 愛原「それにしてもこのご時世、公衆電話なんてそうそう無いと思うんだ。辛うじて、駅とかにあるくらいだな」
 リサ「さっきのヨドバシには?」
 愛原「見当たらなかったなぁ……。まあ、フロアガイドを見ると、1階に辛うじてある程度らしい」
 リサ「そこから掛けたんじゃない?」
 愛原「真っ昼間だぞ?」
 リサ「あ、そうか……」

 いくら窓が殆ど無いヨドバシAkibaでも、1階のエントランスは開放されており、そこから日光が差し込むくらいはしている。
 まあ、今は何だか曇って来たが……。
 地下鉄の駅に入る。

 愛原「大丈夫か?いくら中身はまだ何も入ってないとはいえ、少し重いだろ?」
 リサ「わたしの力なら大丈夫だよ」

 リサはヨドバシAkibaで購入した、真新しいキャリーバッグを持っている。
 ダークレッド1色の重厚感あるバッグだが、血のような色がリサの鬼型BOWとしての琴線に触れ、1発でそれに決めた次第。

 リサ「帰ったら、早速荷造りする」
 愛原「まだ1週間あるぞ?」

 買ってあげた新しい下着なんかは、何着も持って行く必要があるだろう。
 リサがどういう所に泊まって、しかも洗濯もできるかどうか不明だからだ。
 国家機密の場所ということもあり、善場主任は機密漏洩防止の為として、直前にならないと教えてくれない。
 重そうなバッグだが、リサはそれを片手でヒョイと持ち上げ、階段を下りている。
 ホームで電車を待っていると、善場主任からメールの返信が来た。

 善場「デイライトから調査を行います。電話の着信履歴は切らないよう、お願いします。明日、事務所にお伺いして、事情を聴かせて頂きます」

 とのことだった。
 BSAAのレイチェルも知っている旨を報告したのだが、デイライトはデイライトで独自に動くようである。

〔まもなく4番線に、各駅停車、本八幡行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 中線ではなく、外側の本線ホームで電車を待っていると、強風と共に轟音が近づいて来た。
 そして、強風と共に入線してきたのは都営の車両。
 京王電車と違い、東京都のマークであるイチョウの葉が車体にペイントされている。

〔4番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 最後尾の電車に乗り込む。
 私とリサは空いている座席に腰かけたが、高橋とパールはドアの前に立っている。
 短い発車メロディが鳴る。

〔4番線、ドアが閉まります〕

 ドアが閉まる。
 ドアチャイムが鳴るが、こちらの音色はJR東日本の首都圏在来線車両と同じ。
 リサは自分の前に、キャリーバッグを置いた。
 電車が走り出す。

〔次は馬喰横山、馬喰横山。都営浅草線、JR総武快速線はお乗り換えです。お出口は、左側です〕

 愛原「なあ、リサ」
 リサ「なに?」
 愛原「この電話に掛けて来たのが蓮華だったとして、どうやって俺達の会話はピンポイントで聞いてたんだろうな?」
 リサ「わたしも、それはできる。ただ、蓮華にそれができるかどうかは分かんないね」
 愛原「お前もできるのか?」
 リサ「うん、わたしの寄生虫を使う。わたしの寄生虫、盗聴できるから。わたしの耳とリンクして。もちろん、『目』もね。それで生徒会室のブルマ復活反対の連中の会話、盗み聞きしたりしたなぁ……」
 愛原「そういうことか。でも、蓮華は寄生虫使いじゃないだろう?」
 リサ「だからねぇ……。でもあいつも鬼なら、盗聴できる何かの力は持ってるかもしれない」
 愛原「マジか……」

 仮にそうだとしたら、ちょっとマズいかもしれない。
 何せ、リサが気づかないほどの高精度だということになるからだ。
 一応、返ったら盗聴器仕掛けられてないか確認しようと思った。

[同日13時59分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 都営地下鉄菊川駅→愛原学探偵事務所]

 電車は特にトラブル無く走行した。

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 そして電車を降りてから、高橋とパールに……。

 愛原「ちょっと事務所に寄るぞ。盗聴器が仕掛けられてないか、確認するんだ」

 と言うと、この2人は少し驚いた顔をした。
 そう簡単に、盗聴器の有無を調べられるのかと思うだろうが、幸い私の稼業は探偵。
 探偵事務所には、盗聴や盗撮に関しての依頼もあるものだ。
 だから、事務所には盗聴器を発見する為の道具も置いてある。
 金属探知機とか、あるいは盗聴器が発する特殊な電波を探知する機械とか。
 急ぎ足で帰宅した後、早速それを使って、私を含む全員の服や荷物を調べた。
 服にいつの間にか小型の盗聴器が付けられている場合もあるからだ。
 しかし、いくら調べても、盗聴器の類は見つからなかった。

 愛原「これは一体、どういうことなんだ???」
 リサ「やっぱり、血鬼術か何かかなぁ……?」

 リサでさえ、首を傾げるほどだった。
 明日になって、善場主任が来てから相談するしかなさそうだ。
 或いは、BSAAの調査だな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする