[3月8日23時00分 天候:晴 静岡県富士市伝法 ABホテル富士]
宿泊先のホテルが見つかった私達は、再び車を出した。
まずは国道469号線を東進する。
トラックの横転事故があり、新道は通行止めのままだったが、カーナビによると、三門の手前の交差点を右折して、あとは市道を進んでも国道139号線には出られるようだ。
高橋「この道、知ってますよ。去年の夏、この近くの市民プールに行きましたね」
愛原「あー、確かそうだったな」
まだ、蓮華が人間だった頃の話である。
愛原「何か、遠い昔のような気がするなぁ……」
高橋「そうっスね」
旧国道たる県道を跨いで、バイパスの国道139号線の上り線に出る。
こちらはさすがに深夜帯でも、まだ多くの車が行き交っていた。
愛原「それにしても疲れたな……」
高橋「そうですね。先生はどうぞ、着くまで休んでいてください」
愛原「ああ……。それにしても、リサにも心配を掛けた」
高橋「探偵の仕事は、突然泊まりになることもあるんでしょう?だから、最低1泊分の用意をしろと先生は御指導くださいました」
愛原「ああ、その通りだ。まさか、本当にそうなるとはな」
そして自動車専用道路、西富士道路を走行する。
かつては有料道路だったが、今では無料の自専道だ。
最高速度も80キロに制限されており、まるで高速道路のようだ。
高橋「ん?」
その時、下り車線を多くの消防車や救急車などの緊急車両がサイレンを鳴らしてすれ違って行った。
何か大きな事故、火事でもあったのだろうか。
上り線は何事もなく、平和であったが。
車は富士インターから、そのまま国道をトレースするかのように左折する。
この富士インターは何も東名高速だけでなく、西富士道路と旧国道との交差点の名前でもある。
左折すると、すぐに予約したホテルが見えて来る。
愛原「帰りはすぐに富士インターから東名高速に乗って、それから帰るぞ」
高橋「……か、もしくはもう少し北に走って、新富士インターから新東名という手もありますよ?」
愛原「あー、まあ、そこは高橋に任せる。ガソリンはまだあるか?」
高橋「何とか都内まで持ちそうです」
愛原「そうか」
そして、ホテルの駐車場に入る。
門限は24時までだというので、何とか間に合った。
チェックインの手続きをして、カードキーを受け取る。
一応、ツインの部屋が取れた。
愛原「行くぞ」
エレベーターに乗り込み、宿泊する部屋のフロアに向かう。
愛原「24時まで大浴場に入れるらしいから、そこで一っ風呂浴びて寝よう」
高橋「そうっスね。そうしましょう」
エレベーターを降りて客室に向かう。
入った部屋は何の変哲も無い、普通のツインルームだった。
禁煙ルームしか無いホテルで、喫煙所1階にしかないということで、高橋にはそこで吸ってもらうしかない。
幸いカードキーは2枚貰えたので、1枚は高橋に渡しておく。
愛原「それじゃ、着替えて大浴場に行くか」
高橋「はい!」
部屋備え付けの作務衣風の館内着に着替え、タオルを持って再び1階に向かう。
大浴場は、もうすぐ利用時間終了だからか、ガラガラだった。
高橋「不肖の弟子、高橋正義が!先生のお背中を!あ!お流しし奉り候~也!」
愛原「……おい、日本語おかしいぞ。お前もずっと運転してて疲れてるんだから、無理しないでゆっくり入っていいんだぞ?」
高橋「いえ!俺にとって運転は趣味なんで!それに、チームにいた頃は、よくずっと夜通し走り回ってたもんです!」
愛原「あー、そうかい。サウナには行かんからな?」
高橋「分かってます」
お湯は残念ながら天然温泉ではなく、人工温泉のようだったが、それでも空いている大浴場に足を伸ばしてゆっくり入れたのは良いことだ。
高橋「先生。明日は何時に起きます?」
愛原「そうだなぁ……。任務は完了したことだし、別に慌てて帰る必要は無いんだよな」
善場主任への報告会は、別に明日でなくてもいいらしい。
主任としても、午前中は都内までの移動。
そして午後は報告書の作成くらいに考えておられるのだろう。
となると、報告会は明後日の午前中といったところだろうか?
のんびり浸かっていると、スタッフが入って来た。
スタッフ「お客様、申し訳ございません。まもなく閉鎖のお時間ですので……」
愛原「あ、はい!今、出ます!」
時刻はまもなく日付が変わろうとしていた。
愛原「すいません。朝食の時間って、何時から何時まででしたっけ?」
スタッフ「朝食の時間ですか?6時半から9時までとなっております」
愛原「6時半から9時までか。分かった。ありがとう」
大浴場から脱衣場に移動する。
そこでバスタオルで体を拭いたりしているうち、高橋が聞いてきた。
高橋「朝飯の時間に合わせて起きる形ですか?」
愛原「そうだな。まあ、8時くらいに起きよう。で、朝飯食ってチェックアウトっと」
高橋「朝飯の時間ギリギリまでいるってわけっスね。9時過ぎなら、朝のラッシュも終わってるでしょうからね」
愛原「そういうことだ」
最後に高橋は、洗面所のドライヤーで髪を乾かした。
そして、私達は大浴場最後の客となったのだった。
明日は、朝食最後の客となるか。
高橋「先生。俺、一服してから部屋に戻りますんで」
愛原「ああ、分かった。俺は先に部屋に戻ってるよ。風呂上がりのビールと、夜食代わりのおつまみを買ってな」
高橋「了解しました」
私は自販機コーナーに寄った。
もちろんホテルだから、ソフトドリンク以外にもアルコールの自販機もある。
そして、その自販機にはおつまみも売られていた。
カップラーメンの自販機もあったが、さすがに今は食べる気はしない。
ということで、缶ビールとおつまみを購入する。
それから、部屋に戻った。
愛原「ふう……」
ライティングデスクの椅子に座って、机の上にビールとおつまみを置く。
そして、テレビを点けた。
深夜番組をやっているのだが、チャンネルによってはニュースをやっていたりする。
〔「ここで速報です。国連組織BSAAのヘリコプターが墜落しました。墜落したのは国連組織BSAA極東支部日本地区本部に所属するヘリコプター1機で、極秘任務の為、富士宮市郊外から陸上自衛隊駒門駐屯地へ向かっていたところ、突然墜落しました。墜落の原因には分かっていません。尚、墜落した場所と乗員の安否については……」〕
愛原「え?これって……?」
まさか、栗原蓮華を乗せたヘリじゃないよな???
私は善場主任に確認しようかと思ったが、もう夜遅くなので、朝になってから確認することにした。
蓮華は麻酔を点滴されて、眠っているはずだが……。
すると、別のヘリだろうか?
もしかしたら、他にもヘリが飛んでいたのかもしれない。
宿泊先のホテルが見つかった私達は、再び車を出した。
まずは国道469号線を東進する。
トラックの横転事故があり、新道は通行止めのままだったが、カーナビによると、三門の手前の交差点を右折して、あとは市道を進んでも国道139号線には出られるようだ。
高橋「この道、知ってますよ。去年の夏、この近くの市民プールに行きましたね」
愛原「あー、確かそうだったな」
まだ、蓮華が人間だった頃の話である。
愛原「何か、遠い昔のような気がするなぁ……」
高橋「そうっスね」
旧国道たる県道を跨いで、バイパスの国道139号線の上り線に出る。
こちらはさすがに深夜帯でも、まだ多くの車が行き交っていた。
愛原「それにしても疲れたな……」
高橋「そうですね。先生はどうぞ、着くまで休んでいてください」
愛原「ああ……。それにしても、リサにも心配を掛けた」
高橋「探偵の仕事は、突然泊まりになることもあるんでしょう?だから、最低1泊分の用意をしろと先生は御指導くださいました」
愛原「ああ、その通りだ。まさか、本当にそうなるとはな」
そして自動車専用道路、西富士道路を走行する。
かつては有料道路だったが、今では無料の自専道だ。
最高速度も80キロに制限されており、まるで高速道路のようだ。
高橋「ん?」
その時、下り車線を多くの消防車や救急車などの緊急車両がサイレンを鳴らしてすれ違って行った。
何か大きな事故、火事でもあったのだろうか。
上り線は何事もなく、平和であったが。
車は富士インターから、そのまま国道をトレースするかのように左折する。
この富士インターは何も東名高速だけでなく、西富士道路と旧国道との交差点の名前でもある。
左折すると、すぐに予約したホテルが見えて来る。
愛原「帰りはすぐに富士インターから東名高速に乗って、それから帰るぞ」
高橋「……か、もしくはもう少し北に走って、新富士インターから新東名という手もありますよ?」
愛原「あー、まあ、そこは高橋に任せる。ガソリンはまだあるか?」
高橋「何とか都内まで持ちそうです」
愛原「そうか」
そして、ホテルの駐車場に入る。
門限は24時までだというので、何とか間に合った。
チェックインの手続きをして、カードキーを受け取る。
一応、ツインの部屋が取れた。
愛原「行くぞ」
エレベーターに乗り込み、宿泊する部屋のフロアに向かう。
愛原「24時まで大浴場に入れるらしいから、そこで一っ風呂浴びて寝よう」
高橋「そうっスね。そうしましょう」
エレベーターを降りて客室に向かう。
入った部屋は何の変哲も無い、普通のツインルームだった。
禁煙ルームしか無いホテルで、喫煙所1階にしかないということで、高橋にはそこで吸ってもらうしかない。
幸いカードキーは2枚貰えたので、1枚は高橋に渡しておく。
愛原「それじゃ、着替えて大浴場に行くか」
高橋「はい!」
部屋備え付けの作務衣風の館内着に着替え、タオルを持って再び1階に向かう。
大浴場は、もうすぐ利用時間終了だからか、ガラガラだった。
高橋「不肖の弟子、高橋正義が!先生のお背中を!あ!お流しし奉り候~也!」
愛原「……おい、日本語おかしいぞ。お前もずっと運転してて疲れてるんだから、無理しないでゆっくり入っていいんだぞ?」
高橋「いえ!俺にとって運転は趣味なんで!それに、チームにいた頃は、よくずっと夜通し走り回ってたもんです!」
愛原「あー、そうかい。サウナには行かんからな?」
高橋「分かってます」
お湯は残念ながら天然温泉ではなく、人工温泉のようだったが、それでも空いている大浴場に足を伸ばしてゆっくり入れたのは良いことだ。
高橋「先生。明日は何時に起きます?」
愛原「そうだなぁ……。任務は完了したことだし、別に慌てて帰る必要は無いんだよな」
善場主任への報告会は、別に明日でなくてもいいらしい。
主任としても、午前中は都内までの移動。
そして午後は報告書の作成くらいに考えておられるのだろう。
となると、報告会は明後日の午前中といったところだろうか?
のんびり浸かっていると、スタッフが入って来た。
スタッフ「お客様、申し訳ございません。まもなく閉鎖のお時間ですので……」
愛原「あ、はい!今、出ます!」
時刻はまもなく日付が変わろうとしていた。
愛原「すいません。朝食の時間って、何時から何時まででしたっけ?」
スタッフ「朝食の時間ですか?6時半から9時までとなっております」
愛原「6時半から9時までか。分かった。ありがとう」
大浴場から脱衣場に移動する。
そこでバスタオルで体を拭いたりしているうち、高橋が聞いてきた。
高橋「朝飯の時間に合わせて起きる形ですか?」
愛原「そうだな。まあ、8時くらいに起きよう。で、朝飯食ってチェックアウトっと」
高橋「朝飯の時間ギリギリまでいるってわけっスね。9時過ぎなら、朝のラッシュも終わってるでしょうからね」
愛原「そういうことだ」
最後に高橋は、洗面所のドライヤーで髪を乾かした。
そして、私達は大浴場最後の客となったのだった。
明日は、朝食最後の客となるか。
高橋「先生。俺、一服してから部屋に戻りますんで」
愛原「ああ、分かった。俺は先に部屋に戻ってるよ。風呂上がりのビールと、夜食代わりのおつまみを買ってな」
高橋「了解しました」
私は自販機コーナーに寄った。
もちろんホテルだから、ソフトドリンク以外にもアルコールの自販機もある。
そして、その自販機にはおつまみも売られていた。
カップラーメンの自販機もあったが、さすがに今は食べる気はしない。
ということで、缶ビールとおつまみを購入する。
それから、部屋に戻った。
愛原「ふう……」
ライティングデスクの椅子に座って、机の上にビールとおつまみを置く。
そして、テレビを点けた。
深夜番組をやっているのだが、チャンネルによってはニュースをやっていたりする。
〔「ここで速報です。国連組織BSAAのヘリコプターが墜落しました。墜落したのは国連組織BSAA極東支部日本地区本部に所属するヘリコプター1機で、極秘任務の為、富士宮市郊外から陸上自衛隊駒門駐屯地へ向かっていたところ、突然墜落しました。墜落の原因には分かっていません。尚、墜落した場所と乗員の安否については……」〕
愛原「え?これって……?」
まさか、栗原蓮華を乗せたヘリじゃないよな???
私は善場主任に確認しようかと思ったが、もう夜遅くなので、朝になってから確認することにした。
蓮華は麻酔を点滴されて、眠っているはずだが……。
すると、別のヘリだろうか?
もしかしたら、他にもヘリが飛んでいたのかもしれない。