報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「緊迫の帰京」

2024-03-20 16:08:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月9日13時00分 天候:曇 東京都江東区住吉 ガソリンスタンド]

 海老名サービスエリアを11時過ぎに出た私達は、真っ直ぐ都内に向かった。
 高橋のルートは東京インターからそのまま首都高3号線に入って更に東進し、浜町出口から高速を降りて、それから新大橋通りを東進するというものだった。
 平日ということもあり、都心は混雑していた。
 昼食も食べずに、何とか家の近所までやってきた。
 この時点でガソリンが残り半分を切っていた為、給油してから帰ることにした。
 給油をしていると、リサから鬼ラインが。

 リサ「わたしはもう帰ったよ!先生はどこにいるの!?」

 みたいな、明らかな不機嫌ラインだった。
 そこで私は、今は住吉のガソリンスタンドで給油中だということを伝えた。

 愛原「まだ昼も食べてないんだ。リサは食べたのか?」

 と、食べ物の話を振ってみると、さすがにそれで少しだけ機嫌が戻ったようで、レイチェルを含む魔王軍達とハンバーガーを食べたことを伝えた。

 リサ「もうすぐ帰ってくるなら、わたしがマックで買ってこようか?」

 との質問に、最初は固辞しようかと考えていた私であったが、リサがマックを買っている間に帰れば良いと思い、頼んでみた。

 愛原「高橋。リサがマック買ってきてくれるみたいだぞ?」
 高橋「マジっスか?じゃあ俺、ビッグマックのセットで。コーラでオナシャス」
 愛原「ああ、分かった」

 私はダブルチーズバーガーのセットを頼んでおく。

 リサ「了解!すぐに買ってくるね!」

 食べ物が絡めば機嫌が直る辺りは、まだ蓮華より扱いやすいかも。

 店員「ありがとうございましたー!」

 給油が終わって、再び新大橋通りに出る。
 それで菊川駅前の交差点を通過すれば、家はもうすぐだ。

 愛原「って、リサ!!」

 菊川駅前の交差点は都道同士の交差点である。
 道幅はどちらも同じようなものであり、どちらもバス通りである。
 ただ、番号的には50号線の新大橋通りに対し、交差する三ツ目通りは319号線と、前者の方が格上なので、優先道路としては新大橋通りの方だろうか。
 で、新大橋通り側が青信号だったので、私達の車はそのまま直進した。
 しかし、リサがBOWならではの跳躍力で、交差点をヒョイと飛び越えてしまった。
 そしてそのまま、交差点の前にあるマックのレジの列に並ぶ。

 愛原「おおーい!おおーい!!」

 私は車の中で、リサに対して壮大なツッコミをした。

 高橋「目立ち過ぎだ、あのバカ!!」

 私の為に、急いで買って来ようとしたのだろう。
 大通り同士の交差点だから、1度赤信号に引っ掛かれば、確かに時間が取られてしまう。
 それなら、せっかく地下鉄の駅があるのだから、駅の中を通って反対側に渡ってもいいはずである。
 しかし、リサは持ち前の身体能力で交差点を飛び越えるという暴挙に出た。
 この辺りは電柱の地中化などは進んでおらず、電線も地上にある。

 愛原「後で説教だな」

 尚、帰りはちょうど信号が青だったので、そのまま横断歩道を渡ったそうである。

[同日14時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 警察官「おたくの娘さんが……」
 愛原「スイマセン!スイマセン!」

 尚、後ほど近所の交番から警察官がやってきて、みっちり説教された。

 リサ「だってあの信号、赤長いんだもん。もうちょっと早く青になるようにしてよ」
 愛原「リサ!」
 高橋「あー、そうそう。俺も気になってた!」
 パール「同じく」
 愛原「お前らな!」
 警察官「急いでるんなら、地下鉄の中を通っていいんだよ!この時間、駅は開いてるんだから!」
 リサ「えっ、線路渡っていいの?」
 警察官「ちがーう!」
 愛原「ローカル駅の構内踏切か!」

 やっぱりBOWは、感覚がズレている。

 警察官「今後は交差点を飛び越えたりしないように!分かった!?」
 リサ「はーい……」
 愛原「すいませんねぇ。保護者の私からも、よく言い聞かせておきますので」
 警察官「お願いしますよ」
 高橋「都営バスだけ優先的に青になるってシステムがちょっと気に入らねぇんだよなぁ……」
 愛原「都営バスも都道も、東京都がやってるからだよ。それに、だったら逆に都営バスに付いて行けば、一緒に優先システムに便乗できるってことだろ」
 高橋「! そうか!さすが先生!」
 警察官「それでは、私はパトロールがありますので」
 愛原「どうもすいませんでした」

 警察官が立ち去る。

 愛原「全く、お前というヤツは……」
 リサ「ハンバーガー美味しかったでしょ?」
 愛原「ああ、それはもちろん。……って、ちがーう!」
 高橋「先生。こいつと関わってると頭痛くなってくるんで、報告書の作成しましょう」
 愛原「そ、そうだな」
 リサ「頭痛いの?はい、ロキソニン」
 高橋「まぬっけーっ!!」
 愛原「リサ、俺達は忙しいんだから、邪魔しないでくれ」
 リサ「はーい……」

 私は自分の机に戻ると、報告書の作成に入った。

 高橋「先生。今後の為に、もう少し弾薬を多めに支給してもらいましょうか?申請書なら俺が作成しますんで」
 愛原「あー、そうだな……。蓮華が逃げたりしなければ、現状維持で良かったんだが、逃げたとなるとな……」
 高橋「いっそのこと、ロケランの貸与も申請してみます?」
 愛原「いや、さすがにそれは無理だろー!」
 高橋「じゃあワンランク落として、グレネードランチャーならワンチャン行けますかね?」
 愛原「ムリムリムリ!いつも通りマグナム弾と、ハンドガンの弾と、ショットガンの弾を多めに請求しとけ!」
 高橋「分かりました」
 パール「手榴弾って請求できましたっけ?」
 愛原「できなくはないだろうけど、蓮華相手に効くかね?」
 高橋「蓮華には無理でも、ザコクリーチャーには効きますよ。試しに2~3発請求しておきますか?」
 愛原「じゃあ頼むよ」
 高橋「了解っス」

 リサは空いている机の椅子に座り、ジュースを飲みながら……。

 リサ「話だけ聞いてると、とても探偵事務所じゃないみたいだね」
 愛原「サバゲークラブの事務所の会話みたいだな。明日も授業は午前中だけか?」
 リサ「もう終業式までそうだね」
 愛原「そうか……」

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