報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「深夜の戦い」

2023-09-14 20:16:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月13日23時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家・屋上]

 私達は今、深夜の戦いに巻き込まれている。
 弱毒化されたTウィルスが流出してしまい、それに感染したゴキブリやネズミが巨大化した。
 感染したのはそれだけでなく、そんなゴキブリやネズミを捕食したカラスもだった。
 尚、ギリギリ犬やネコがゾンビ化することは無かったようだ(体を痒がったり、食欲が異常に旺盛になったりということはあったらしい)。
 それにしても、ゾンビ犬はいたのに、ゾンビ猫がいないのは何故だろう?
 まあ、それはいい。
 問題なのは、鳥類がTウィルスに感染したらどうなるかだ。
 基本的に見た目には、ゾンビ化しない。
 しかし、凶暴化・肉食化する。
 アメリカのラクーン市や、私達は遭遇していないが、霧生市でも、感染したカラスが生きている人間を見るや否や、例えそれが屋内にいても、ガラスをブチ破って襲って来たというのである。
 そして、それはここ東京都墨田区内でも同じだった。
 幸いにして、私達の事務所兼住宅は、全ての窓ガラスが強化・防弾ガラスになっていることもあり、そんな感染カラスが突撃してきても、破られることはなかった。
 しかし、近隣では既に被害が発生しているらしい。
 そこで、私達が応戦することにした。
 屋上に出ると、感染カラス達は待ってましたとばかりに襲って来た。
 ただでさえ真夜中なのに、黒いカラスは捕捉しにくい為、外灯の他、停電用のランタンを全部点灯させている。
 こういう時、リサは有利だ。
 電撃を放てる上、第1形態以降は夜目がとても利く。
 また、電撃の際は周囲も明るくなるので。

 愛原「ハンドガンでは撃ち落とせない!ショットガンを使え!」
 高橋「サーセン。俺、ハンドガンかマグナムしか使えないんで」
 愛原「なにぃっ!?」

 感染カラスは全部で10羽くらいいた。

 リサ「焼き鳥ィ!」
 愛原「食うな食うな。オマエも感染するぞ」
 リサ「いや、わたし、Gウィルス持ちだし」
 愛原「それもそうか。……って、バカ!余計化け物になるだろうが!」

 尚、パールもナイフくらいしか使えないので、屋内退避してもらっている。
 ショットガンの使えない高橋は、どうするのかと言うと……。

 高橋「ヒャッハー!汚物は消毒だ~!!」

 高橋は手製の火炎放射器を使って、飛来してくるカラスを丸焼きにしていた。
 いつの間に造ったのだろうか?
 燃料はカセットコンロのガスボンベのようだ。

 愛原「オマエなぁ、こんな夜にサングラスしてたんじゃ、余計見えにくいだろ……」

 私は呆れた。

 リサ「しゃらぁーっ!」

 バリバリバリバリバリバリバリ

 愛原「うっ……」

 とはいうものの、リサが電撃を放つ度に眩い光が辺りを包むので、目が眩むところではある。
 こうして私達は、感染カラスを粗方退治した。

 愛原「おや?」

 すると、これまた待ってましたとばかりに、上空にヘリが現れる。
 どうやら、BSAAのヘリのようだ。
 全く、深夜帯だってのに、近所迷惑である。
 ヘリは着陸する場所が無い為、家の上空にホバリングして、そこからロープを使って数人の隊員が降下してきた。
 しかも、そのうちの1人は……。

 レイチェル「Hi!」
 リサ「レイチェル!」

 レイチェルは他の隊員と同様、軍服にヘルメットを被っていた。
 尚、BSAAは1つの組織である為、基本的にどの支部も制服のデザインは変わらない。
 ワッペンに記されている所属支部名が違うだけである。
 また、階級章はさすがに違う。
 レイチェルは養成学校生である為か、階級章の所に、『Student』と書かれたワッペンが貼られていた。

 愛原「BSAA様のお出ましか」
 BSAA隊長「夜分の戦い、ご苦労様です!感染カラスは、こちらで回収致します!」
 愛原「よろしくお願いします」
 リサ「えー、焼き鳥ぃ……」
 レイチェル「Yakitori?」
 愛原「Japanese roast chickenだよ」
 レイチェル「それは食べてみたいです」
 リサ「ねー!?」
 BSAA隊長「レイチェル!任務の最中だぞ!」
 レイチェル「Yes,sir!」

 レイチェルは隊長に敬礼をすると、自分はショットガンを構えて周囲の警戒に当たった。

 愛原「焼き鳥か……」

 そして、BSAAの処理、事情聴取が終わり、彼らは帰って行った。

 愛原「なあ、リサ」
 リサ「なに?」
 愛原「レイチェルって今、どこに住んでるんだろう?」
 リサ「世田谷区だって」
 愛原「世田谷?寮じゃないんだ?」
 リサ「基本的に、留学生は寮に住まないみたいだよ。交換留学生とかは別だけど。ほら、留学生って、ホストファミリーの所に住むでしょ?」
 愛原「あ、そうか。それもそうだな」
 リサ「BSAAの養成学校から来た場合は、そこが用意するみたいだね。ヨンヒの場合は、大久保だったし」
 愛原「さすがは韓国人。でも、アメリカ人は世田谷区か……。まあ、アメリカの白人は日本人より金持ちだろうしな……」
 リサ「あとは、自衛隊の基地があるところ?だから」
 愛原「確かに、BSAAの日本地区本部は自衛隊の駐屯地に間借りしてるもんな」
 リサ「そう。で、レイチェルの場合はいつでも訓練に参加できるようにって、なるべく基地の近くに住むことにしたみたい」
 愛原「へえ……。ヨンヒとは違うな」
 リサ「レイチェルは、確かにその辺マジメだって」

 それでも、17歳の女の子の片鱗を見せることはあるな。

 愛原「最寄りの駅はどこだろう?」
 リサ「先生。まさか、わたしという者がありながら、レイチェルと……!」
 愛原「違う違う。焼き鳥の話だ」
 リサ「焼き鳥?」
 愛原「何か、焼き鳥食べたがってただろ?幸い、焼き鳥はそんなに高いものじゃない。だったら、これから俺達も世話になるんだし、焼き鳥くらい御馳走してあげてもいいんじゃないかって思ってね」
 リサ「おおー!そういうこと!わたしもいい!?」
 愛原「もちろんだ」
 リサ「明日、レイチェルに聞いてLINEするね」
 愛原「ああ、頼むぞ」

 因みに『世話になっている』というのは、銃器や銃弾のことだ。
 銃器のメンテナンスや銃弾の補充については、BSAAにお願いしている。
 そういうことだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする