報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「事務所詰めの愛原学」

2023-09-01 20:14:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月10日13時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 午後になり、昼休みを終えた私達は業務を再開した。

 愛原「ん?そう言えば、まだリサは帰ってこないのか?確か今日は、始業式とオリエンテーションだけで授業は無いから、午前中には下校のはずだが……」
 高橋「どこかで寄り道してんじゃないスか。今頃、確変出してたりして?」
 愛原「俺達じゃねーんだからよ……ん?」

 その時、事務所内にある監視カメラの映像に、リサ達の姿が写った。
 それにしても……。
 いくら防犯用とはいえ、正面エントランスの内外やガレージ、エレベーター内、3階の住居用の玄関にまでカメラが付いているのは、些か強過ぎる防犯意識のような気がする。
 やはり、暴力団の組事務所か何かだったのだろうなぁ……。
 リサの他に、『四天王』の淀橋さんと小島さんも一緒だった。
 手に、マクドナルドの袋を提げている。
 菊川駅前のマックは、昼時のレジは長蛇の列になるので、ネットオーダーがオススメだ。
 しかしながらリサ達はそうせず、直接レジに並んだので、時間が掛かったのだろう。

 愛原「はいはい」

 リサ達はガレージに移動し、その奥にあるエレベーターの横にある内線電話機で、事務所に掛けて来た。
 階段で上がって来ればいいのに思うだろうが、私がリサに指示したのだ。
 一応、リサの監視者として、学校から帰宅したら、私の所に報告するようにと。
 旧・事務所の時は、リサが直接事務所に来ていた。
 だが、顧客との応対中の時に制服の女子高生が来るのは如何なものかということになり、新事務所での今では、本当に用事がある時以外は事務所に顔を出さなくても良いことにした。
 但し、報告はしてもらう。
 階段を使うと、やはりどうしても2階の事務所に立ち寄る形になってしまう為、エレベーターを使わせた。
 ガレージには内線電話が付いており、それで帰宅を報告してもらう。
 そして私がエレベーターのスイッチキーを、3階または4階のボタンの横に差しておく。
 外来者が勝手に3階から上の住宅に行かないよう、普段は1階と2階しか行き来できないようにしているからだ。
 エレベーターを3階から上に行かせる為には、ボタンの横にあるスイッチに鍵を差し、それを回して設定しなくてはならない。
 防災センターがあるようなビルだと、そこでエレベーターの停止階設定を遠隔でできるのだが、さすがにこんな小さなビルでは、そんな便利なことはできない。
 というか、そもそもエレベーターが旧型なので、遠隔で操作できるような機能など無いだろう。
 一応、非常ボタンはエレベーターの管理会社に繋がるようにはなっているようだが。

 愛原「もしもし?」

 私は受話器を取った。

 リサ「あ、先生。ただいま。今、1階にいる」
 愛原「分かった。鍵を差しておくよ。淀橋さんと小島さんも一緒か」
 リサ「そう。ヨドバシのヤツ、まだ宿題終わってないっていうから、マック食べながら宿題済ませる」
 愛原「そうか。大変だな。じゃあ、3階で飯食って、それから4階でいいか?」
 リサ「うん」
 愛原「じゃあ、3階の所に鍵を差しておくよ」
 リサ「ありがとう」

 私は電話を切ると、エレベーターを呼んだ。
 1階に止まっていたエレベーターが、スーッと上がって来る。
 そして、片側に開くタイプの2枚扉が開いた。
 4人乗りの小さなエレベーターだった。
 ホームエレベーターよりは一回り大きいが、それ以外の乗用エレベーターとしては、最小のサイズではないだろうか。
 私はエレベーターに乗り込むと……。

 愛原「……あ、いや。ちょっと、彼女達を送り迎えに行ってくるわ」
 高橋「えっ?ああ、そうスか」
 パール「行ってらっしゃいませ」

 高橋は意外そうな顔をし、パールは何故か含み笑いをした。
 私はエレベーターの鍵を持って、まずは1階に下りた。

 リサ「わっ!」

 ドアが開くと、真ん前にリサがいて、私とぶつかってしまった。

 愛原「ぐわっ!」

 鬼型BOWに軽く体当たりされたようなものである。
 私は弾き飛ばされ、エレベーター内部の壁に激突した。
 幸い、エレベーターの中は、グレーのカーペットを張り付けたような養生シートが壁一面を覆っており、それが緩衝材となった為、私にケガは無かった。
 リサもまた、床に尻餅をついてしまった。
 但し、大事な食料であるマックの袋だけは、絶対に落とさず、死守している。
 その代わり、スカートの中が丸見えになってしまい、東京中央学園指定の緑色のブルマが曝け出された。
 かつては東京中央学園の女子体操服も、スクールカラーの緑色を使用したブルマが指定されていたが、全国的なブルマ廃止の流れに乗って、1度は廃止されている。
 ところが、リサ達、『魔王軍』によるブルマ復活運動が実って、今では『魔王軍』を中心として、その支持者も含め、全女子生徒の3分の1がブルマを使用するようになったという(但し、体育では使用せず、あくまでもスパッツ代わりとして使用するだけの者も含む)。

 淀橋「リサ、大丈夫!?」

 リサのことを『魔王様』と呼ぶのは、いつもではない。
 こういう咄嗟の時は、ちゃんと名前で呼ぶようだ。

 リサ「え……先生、どうしたの?」
 愛原「いや、ゴメン。今は来客が無いから、直接迎えに行こうと思って。先に言っておくべきだった」
 リサ「まあ、わたしには御褒美。先生もでしょ?」

 リサは立ち上がりながら、再びスカートを軽く捲って見せた。
 軽くなので、またブルマが見えるほどではない。

 愛原「あのなぁ……」
 小島「え……愛原先生、まさかそこまで狙って来られたのですか?」

 小島さんが眉を潜め、眼鏡の位置を直しながら言った。

 愛原「ちちち、違うよ!偶然偶然!事故だよ、事故!」
 リサ「またの名をラッキースケベという」
 淀橋「……ブルマって、パンチラ防止の意味、マジであるの?」
 リサ「うん。パンツは見えてない」
 小島「何か……違うような……」
 愛原「それより、早くエレベーターに乗ってくれ」
 リサ「はいはい」

 私は女子高生達をエレベーターに乗せた。
 3階のボタンの横に鍵を差し込み、ボタンを押すと、ランプが点灯した。
 そして、ドアが閉まる。
 定員一杯に乗っている為、籠内はハンバーガーやフライドポテトの匂いと、女子高生達の匂いで充満した。
 一応、天井では換気ファンが回っているのだが、その換気が追い付かないほど。
 そして、エレベーターが3階に到着した。

 リサ「じゃあ、靴脱いで」
 淀橋「あ、そうか」

 エレベーターを降りると、すぐ家の中である。
 その為、玄関とは別に、靴を脱ぐスペースがエレベーターの前にあった。
 靴箱もそこにある。

 愛原「じゃあ、鍵を渡しておくから、4階に行ったら、鍵を抜いておけよ?」
 リサ「分かった」

 尚、3階や4階からエレベーターに乗る時には、特に設定する必要は無い。
 私はリサ達をエレベーターから降ろすと、再び2階へと戻った。
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