報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「次なる泊まり先」

2023-09-10 21:00:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月11日22時00分 天候:晴 東京都千代田区神田佐久間町 秋葉原ワシントンホテル12階客室]

 愛原「風呂出たぞー。次は高橋だな」
 高橋「ういっス」
 リサ「エヘヘ……。先生と一緒の部屋~
 愛原「やっと機嫌が直ったか……。そろそろ、洗濯が終わる頃だぞ」
 リサ「うん。ちょっと行ってくるね」

 そう言うと、リサは客室を出て行った。
 私達は今、秋葉原のワシントンホテルに泊まっている。
 前のホテルは私達には非が無いからと、リサの部屋を変えるだけで良いようにしてくれたが、さすがに居続けるのは気まずいと思った。
 リサが暴れ過ぎたのは本当だから、というのもある。
 そんな時、デイライトの善場主任が取り成してくれた。
 取りあえず、前のホテルは宿泊費用全額払った上でチェックアウト。
 善場主任達が都心部のホテルを取り直してくれた。
 今度のホテルは秋葉原にあるということもあって、アクセスは至極便利。
 明日、リサの通学は秋葉原駅からJRの定期がそのまま使えるし、私達は少し歩いた所にある岩本町駅から都営新宿線で菊川に戻れば良い。
 さすがに部屋を2つ以上取ることはできなかったが、3人一緒のトリプルルームに泊まることとなった。
 ソファベッドは、リサが使ってもらうことにした。
 A寝台車くらいのサイズのベッドだが、3人の中では体が1番小さいリサが使った方が良いということになった。
 普通、こういう3つ目のベッドは、当日の予約はできないことが多いが、キャンセルでも出たのだろう。

 愛原「最初から、区外のホテルにすりゃ良かったんだな。クソッ!」
 高橋「まあ、しょうがないっスよ。また今度はピカチューが『ハハッ』と笑いながら現れるなんて、誰も想像しなかったっスから……」
 愛原「オマエ、消されるぞ……?」
 高橋「え?何がっスか?それより、リサが出て行ったみたいですが……」
 愛原「ああ。あいつの制服、洗濯してただろ?今度は乾燥だな」
 高橋「ああ、そういうことっスか」

 元はドブネズミだった化けネズミに組み付いたことで汚れが制服に付いた為だった。
 幸い制服の上着のブレザーは脱いでいたので、それは無事だった。
 食事に行く時はブレザーを脱いで、代わりにフード付きのパーカーを羽織っていた為。
 もう1つ幸いなのは、制服のスカートは洗濯機で洗える素材であったことだ。
 取りあえず、ブラウスとスカートだけ洗えれば良い。
 汚れたリボンタイは取りあえず外し、購買で新しいのを買う。
 パーカーは私達が持ち帰り、クリーニングに出すということにした。

 高橋「電気乾燥機だから、そう簡単には乾かないと思いますよ」
 愛原「まあ、1時間は回さないとダメか。幸い今は冬の乾燥している時季だから、乾きやすい季節ではあるがな」
 高橋「はあ……」

 因みにバスルームは、3点ユニットバスである。

 高橋「ねーちゃん達の組織、カネあるんすね。こんな高級ホテルだなんて……」
 愛原「いやいや。ワシントンホテルは、ビジホの中では高級めの部類というだけで、けしてシティホテルではないんだぞ」

 実際シティホテルであれば、トリプルルームも、もう少し広いだろう。
 1番風呂を私が使わせてもらい、2番目が高橋。
 しばらくして、リサが戻って来た。

 愛原「またジュース買って来たのか」
 リサ「お風呂上がりの水分補給用だよ。1時間に設定してきた」
 愛原「それでいい。ガス乾燥機は強力だから案外早く乾くが、電気は弱いからな。高橋も結構ゆっくり入るし、お前もゆっくり入っていれば、ちょうどいいタイミングだろう」
 リサ「うん」
 愛原「とはいうものの、ナイトガウンを着たまま部屋の外には出られんから、私服で出てもらう形になるがね」
 リサ「しょうがないね」

 さすがに下はブルマ姿で出るのもアレなので、ジャージのズボンを穿いて出てもらうことにした。
 明日は体育があるので、体操服のジャージを用意していた為。

 リサ「で、明日は朝食バイキング……と!」
 愛原「ああ、そうだな……」
 リサ「やった!」

 これもまた、リサの機嫌を直した理由なのである。
 今度からこういう時は、ケチらず、都心のホテルに泊まることにしよう。

[同日23時15分 天候:晴 同ホテル 同客室]

 再び3階のランドリールームに行っていたリサが戻ってきた。

 リサ「だいぶ乾いた」
 愛原「それは良かった。臭いとか汚れは落ちてるか?」
 リサ「多分……。嗅いでみる?」

 試しに私はリサのスカートに、顔を近づけてみた。
 確かに、あのドブネズミの化け物が放っていたドブの臭いはしなくなっていた。
 洗剤自動投入タイプだったから、どんな洗剤が使われているのかは分からなかったが、一応ちゃんとした洗剤だったらしい。

 リサ「これの臭いも嗅いでみる?」

 リサはそう言って、自分の下着のショーツも取り出した。

 愛原「それじゃ、ただの変態だろうが」
 リサ「わたしのならいいのに……」
 高橋「ネットで転売するか?」
 リサ「ヤダ!」

 とはいうものの、完全に乾いているというわけではないようで、リサはハンガーにブラウスとスカートを掛けた。
 ブラウスもまたノーアイロンタイプなので、ハンガーに掛けておけば、シワは自動的に伸びる。

 愛原「じゃ、歯磨きして寝よう。明日は早いぞ」
 リサ「んー」

 リサはナイトガウンを持って、バスルームに入った。
 そこでジャージからガウンに着替え、歯磨きをするらしい。

 高橋「先生。それにしても、リサがネズミの化け物倒すだけで報酬って凄いシステムっスね」
 愛原「BSAAとしては、なるべくサンプルが欲しいんだろ。ゴキブリだけでなく、ネズミもってことさ」
 高橋「ネズミは哺乳類なのに、ゾンビ化しないんスね」
 愛原「そうだなぁ……」

 アメリカのラクーン市では、アンブレラの研究所から下水に漏れ出したウィルスにネズミやゴキブリが感染、そこから爆発的に市中に広がったとされる。
 日本の霧生市も、似たような感染経路である。
 ただ、リサはあまり喋らないが、霧生市の場合は、リサ・トレヴァー達が脱走計画の一環としてウィルスを漏洩させていたという話もある。

 愛原「ま、よく分からんな。とにかく、BSAAから金一封もらえるみたいだし、何とかな……」
 高橋「はい」

 リサの着替えが終わり、歯磨きも終わったら消灯することにしよう。
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“私立探偵 愛原学” 「鬼娘リサの戦い」

2023-09-10 16:58:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月11日19時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川 リバーサイドホテル墨田・江東]

 私達は1階に下りると、小さなロビーを抜けて、宿泊者専用のフリースペースに向かった。

 高橋「リサの分なんて、自分に買いに行かせればいいじゃないスか」
 愛原「いいんだ。どうせあいつの飲みたいジュースなんて、オレンジとかその辺りだから」
 高橋「まあ、そうっスけど……」

 と、その時だった。

 愛原「ん!?」

 フロントの方から、けたたましいブザーの音が鳴り響いた。

 愛原「防災盤の発報だ!」

 防災盤とは火災受信盤とも言い、館内に仕掛けられた火災感知器が作動すると、それを警報などで知らせてくれる機械のことを言う。
 警備員が常駐するようなビルだと、防災センターや警備室に設置されており、管理人が常駐するマンションだと管理人室にあり、そしてホテルだと、フロントやスタッフルームにあることが多い。
 私は今は探偵業を営んでいるが、その前は警備会社で警備員をやっていた。
 その時の癖で、急いで音の鳴っている方へと走る。

 愛原「どうしました!?」
 スタッフ「どうやら、客室で感知器が作動したようです」

 男性スタッフは音を止めながら答えた。
 尚、最初に止めるのは、この受信盤のアラームだけ。
 これを『主音響停止』という。
 但し、感知器が作動した客室のあるフロアや、その直上階のフロアでは、火災報知器のベルが鳴っているはずである。

 愛原「どこの部屋ですか!?」

 スタッフは部屋番号を言った。

 愛原「それってリサの部屋じゃん!?」
 高橋「あのバカ!何やってんだ!?」
 愛原「私の連れの部屋です!ちょっと確認してきます!」
 スタッフ「あっ、ちょっと!お客様……」

 私達はエレベーターに飛び乗った。
 本当はこういうのは、スタッフに任せた方がいいのかもしれない。
 もちろん、他の関係無い部屋であれば、そうした。
 尚、エレベーターを使って良いのかというツッコミがあるかもしれないが、使用していけない時は、警報が本当であった時。
 今はまだ『警報が鳴った』というだけで、もしかしたら、誤報かもしれないわけだ。
 その確認に向かう段階であれば、エレベーターは使用しても良い。
 但し、それにも条件がある。

 高橋「! 先生、リサの部屋はもう1つ上ですが?」
 愛原「分かってる。だけど、もしも警報が本当であった場合、エレベーターに程近いリサの部屋から出火しているのであれば、煙が充満している恐れがある。エレベーターのドアが開いた途端、煙に巻かれるかもしれないわけだ。それを防ぐ為にも、確認に向かう際は直下階でエレベーターを降りて、あとは階段で向かうこと。火や煙は、基本的には上に向かって進むからだ」
 高橋「なるほど!さすがは元ガードマンっス!」

 ところが、ここで私はある重大なミスをした。
 このホテルには当然、非常階段がある。
 もしも警報が真報であった場合、宿泊客は非常階段を使って1階に避難するわけだが、その階段は外側にあった。
 その場合、大抵は防犯の為にドアは施錠されている。
 基本的には内鍵になっているのだが、その鍵はプラスチックのカバーで覆われていることが多い。
 このホテルも例外ではなかった。
 カバーを破らずに、鍵を使ってドアを開けられるようになっているのだが……。

 スタッフ「お客様!」

 そこへスタッフが、外から階段を使って上がって来た。
 そして、手持ちの鍵で非常口のドアを開けた。

 スタッフ「危険ですから、下で待っていてください」
 愛原「し、失礼!何せ、連れがその部屋にいるもんで。一緒に行ってもいいですか?」
 スタッフ「それは是非お願いします」

 私と高橋は外階段に出ると、それを昇って上の階に向かった。
 再びスタッフが鍵を使って、非常口のドアを開ける。

 愛原「こ、これは……」

 ドアを開けると、非常ベルが鳴っていた。
 それはいい。
 だが、煙など全く無かった。
 焦げ臭い臭いも無い。
 これだけ見たら、どうやら誤報であるかもしれない。

 愛原「リサ!リサ!どうした!?何があった!?」
 リサ「キサマーッ!ブッ殺してやる!!」

 すると、中から争う声が聞こえた!

 愛原「リサ、どうした!?」

 もしかして、不審者が入り込んでいたのだろうか?
 私と高橋は、手持ちのハンドガンを手にした。
 スタッフが目を丸くする。

 スタッフ「お、お客様方、警察の方ですか?」
 愛原「いえ、探偵です!」
 高橋「その弟子っス!」
 スタッフ「ええっ!?」

 私は高橋と呼吸を合わせ、一気にドアを開けた。

 愛原「動くな!撃つぞ!!」
 高橋「フリーズ!ドント、ムーブ!」
 愛原「欧米か!」

 そんなことやってる場合じゃない!
 部屋の中は、特に火災などは起きていなかった。
 その代わり、リサの他にいたのはクマ?!……ではなかった。
 大人のツキノワグマくらいの大きさの灰色のネズミであった!
 こいつも感染者か!?
 リサは第2形態にまで変化して、その巨大ネズミと戦っていたのだ。
 床には壊れて落ちた火災感知器と、ダクトの金網。
 そして、ドーナッツが入っていたであろう潰れた箱と、食い荒らされた跡。

 リサ「キサマァァァッ!よくもわたしのドーナッツを!!楽しみにしてたのにぃィィィッ!!」
 化けネズミ「キュウウウウウッ!!」

 リサはネズミを羽交い絞めにして、電撃を放った。
 バリバリと感電するネズミ。
 それだけでなく、リサは鋭い牙でネズミに噛み付いた。

 高橋「せ、先生?」
 愛原「な、なるほど……そういうことか……」

 だいたい、状況は把握した。
 恐らくリサが部屋に戻ったら、ダクトから化けネズミが侵入していたのだろう。
 そして、ドーナッツを食い荒らしていた所にリサが戻ってきて……といったところか。

 愛原「高橋。チェックアウトの準備をしろ」
 高橋「ええっ!?」
 愛原「さすがにホテルに迷惑を掛けてしまった。別のホテルに移ろう」

 それから、ホテルの外も騒ぎになっているのが分かった。
 私が窓の外を見ると、どうやら化けネズミの他に、マンションに現れたような化けゴキブリもいたらしく、ラスボスクラスのリサの電撃や気配に驚いて、慌ててホテルから逃げ出したらしい。
 で、警察やら消防やらが駆け付けたと……。

 高橋「その前に、善場のねーちゃんに報告した方が……」
 愛原「そ、それもそうだな。オマエ、頼めるか?」
 高橋「俺が連絡していいんスか?」
 愛原「ああ。新たに仕事ができた」
 リサ「弁償しろぉぉぉッ!このクソネズミぃぃぃッ!!!」
 化けネズミ「キィィィィィッ!!」
 愛原「化けネズミは、もうすぐリサの電撃と噛み付き攻撃によって絶命するだろう。その後、リサを宥められるのは俺しかいない」
 高橋「た、確かに。よろしくオナシャス。俺は善場のねーちゃんに電話します」
 愛原「頼むぞ」

 高橋は自分のスマホを手に、部屋の外に出て行った。
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