報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「戦いの後処理」

2023-09-07 20:24:02 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月11日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 ジョナサン菊川店]

 高橋「俺はお役に立てなくて、何とも不甲斐ない……」

 高橋は悔しそうにしていた。

 愛原「まあまあ。オマエは山梨に出張だったんだから、しょうがないだろう」
 高橋「サーセン……。これ、お土産です」
 リサ「おー!ありがとー!」
 愛原「ありがとう。桔梗信玄餅だな。ホテルに戻ったら食べよう」
 リサ「うん!」

 高橋が帰京し、私達は夕食を近所のファミレスで取ることにした。
 夕食は外食なのかって?
 そりゃそうだ。
 冷蔵庫はラージローチに食い荒らされてしまった。
 無事な食材もあったが、ラージローチのヤツ、それで冷蔵庫ぶっ壊しやがったからさぁ……。
 食材は全部廃棄、冷蔵庫も買い直しだ。
 あと、ラージローチにリビングのドアとか高橋の部屋のドア、そして脱衣所のドアまで壊されるし、あとゴキブリって、体がテカテカしてるだろう?
 化け物クラスともなると、歩く時に脂ぎった体が床の上を歩くものだから、床もヌルヌルしてダメだ。
 実害としては3階だけなのだが、さすがに修理や整備は必要だと判断した。
 幸いにも、保険金は下りるようである。
 あと、雑損控除の手続きとかもしておこう。
 明日、事務所は臨時休業だな。
 というかもう、実質的に今日は15時以降の営業が強制終了のようなものである。

 高橋「注文していいっスか?」
 愛原「いいよ。俺は広島産カキフライの和食セット。……それと、やっぱビール」
 高橋「ですよねー!俺もビール、お付き合いしまっス!」
 リサ「じゃあ、わたしも」
 愛原「オマエは“鬼ころし”以外、飲酒禁止!」
 リサ「ちぇっ……。あっ、わたし、アプリのクーポンで、ドリンクバー無料クーポンあるんだった」
 愛原「よし。オマエはそれでドリンクバー頼め」
 リサ「はーい。食事はぁ……肉……」
 愛原「ああ。ステーキ頼んでいいから」
 リサ「やった!」

 高橋にタブレットを操作してもらい、それで注文する。

 リサ「ジュース持ってこよ!」
 高橋「先生、水とおしぼり持って来ます」
 愛原「ああ、すまない」

 リサはオレンジジュース、高橋はお冷とおしぼりを持って来た。
 この店でも、もれなくロボットが配膳をしているが、アルコールなどの飲み物は店員が持ってくる。

 高橋「先生の勝利に乾杯っス!」
 愛原「ああ、ありがとう」
 リサ「カンパーイ!」
 愛原「冷蔵庫は、明日頼めるんだって?」
 高橋「そうです!」

 代わりの冷蔵庫は、高橋の知り合いが働くリサイクルショップで何とか手に入れることができそうだった。
 大きさも何とか、使っていたものとだいたい同じサイズの物があるという。
 また、壊されたドアとかの修理についても、高橋の知り合いが働く建具屋だか内装屋だかで頼めそうだという。
 できれば大至急直して欲しいところなので、高橋が交渉してくれると助かる。
 あとはゴキブリに汚された所だが、これは私の知り合いにハウスクリーニングをやっているのがいるので、そこに頼んでおいた。
 明日は臨時休業だが、何とか皆の協力でそれだけで済みそうだった。

 愛原「それは助かるよ」

 私はホッとして、ビールを口に運んだ。

 愛原「パールの調子はどうだ?」
 高橋「全然フツーみたいっスね。このまま帰りたいとか言ってます」
 愛原「コロナよりも特殊なワクチンだからな。どんな影響があるか分からん。1日様子を見るというのは当然だよ。とにかく、今日1日は我慢するように言っておいてくれ」
 高橋「もちろんです。寝てるしかやること無ェって愚痴ってましたけど」
 愛原「まあ、病院ってそういう所だからな。明日、迎えに行くんだろ?」
 高橋「そうです。どうせ元気でしょうから、急いで帰って、先生のお手伝いをしますよ」
 愛原「ありがとう。まさか、本業より後処理の方が忙しいとはなぁ……」

 幸いなのは、家の損害が3階だけで済んだことだ。

[同日19時00分 天候:晴 同日同地区 リバーサイドホテル墨田・江東]

 夕食を終え、私達はファミレスをあとにし、宿泊先のホテルに戻った。

 愛原「幸いホテルは朝食付きだから、朝飯の心配はしなくていいな」
 リサ「でも、食べ放題じゃないんでしょう?わたしは途中でお腹空きそうだなぁ……」
 高橋「そういう時はな、授業中早弁だよ」
 愛原「いつの時代の高校生だよ?俺の時ですら、もうそんなヤツいなかったぞ」
 高橋「そ、そうっスか?」
 愛原「今みたいに、学校内に自販機とかも無かった時代だろうからな」
 リサ「今はいっぱいあるからね。まあ、お腹が空いたらそこで買えばいいか」
 愛原「そういうことだ。とにかく、戻って信玄餅とドーナツ食うぞ」
 リサ「ういっス!」

 信玄餅は高橋が持っているのだが、ドーナツはリサの部屋にある。
 1階には小さなロビーがあるが、そこ以外にも隣に宿泊客用のラウンジがある。
 そこは朝食会場になる所だが、それ以外の時間帯はフリースペースとして利用できるそうなので、そこに集まって食べることにした。
 フロントに預けていた鍵を受け取り、私達は横のエレベーターに乗り込んだ。

 リサ「ちぇーっ。わたしが先生と一緒の部屋が良かったな……」
 愛原「しょうがないだろ。パールが来る前の状態に戻ったってことだよ」

 こうして3人で行動する時、ホテルは私と高橋、そしてリサはシングルルームに泊まるのが原則だった。
 私達が宿泊しているのは上の階だが、自販機コーナーが3階にある。

 愛原「じゃあリサ、1階でな?」
 リサ「分かったー」

 私と高橋は3階で降り、自販機コーナーに向かい、リサはそのままエレベーターに乗って行った。

 高橋「酒、飲み直しですか?」
 愛原「いやいや。さすがに甘い物をつまみに、ビールは飲めんよ。普通に食後のコーヒーにするさ」
 高橋「そうっスか」
 愛原「まあ、たまには甘い物を食べてもいいだろう」
 高橋「そうっスね」

 私達は食後のコーヒーを購入した。
 といっても、缶コーヒーしか無いが。
 尚、部屋にお茶はある。
 リサがエレベーターから降りたのを確認すると、私はエレベーターを呼び戻し、それで再びエレベーターに乗り込んだ。
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“私立探偵 愛原学” 「愛原の孤独な戦い」 勝利

2023-09-07 15:49:55 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月11日16時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所1階ガレージ]

 リサ「先生!先生!大丈夫だった!?」
 レイチェル「Large Roachはどこ!?」

 そこへリサ達が帰って来た。
 1人は金髪ポニーテールの外国人だったが、どこか見たことのある学校の制服を着ているところを見ると、留学生か何からしい。
 いや、もしかしたら、彼女がリサが言っていたBSAA養成学校からの留学生なのかも。
 だいぶ前は韓国人が来ていたが、今度はアメリカ人なのだと……。

 愛原「お帰り、リサ。ドーナッツ買ってきた?」

 ラージローチは既に駆け付けて来ているBSAA極東支部日本地区本部員によって、運び出されるところだった。
 幸いエレベーターがあるので、養生シートをベタベタ張って、それで現場となった3階から1階のガレージへ出す所であった。
 ガレージにはBSAAの車の他、建物の前の1車線しか無い道路を緊急通行止めにして、BSAAの中型トラックが道を塞いでいる。

 リサ「これがでっかいゴキブリ!?」
 レイチェル「It’s so big!」
 愛原「そうだよ。俺が倒した」
 リサ「先生が!?BSAAじゃなくて!?」
 愛原「BSAAは俺が倒してからやっとこさ来たよ。取りあえず、このゴキブリは調査の為に回収するって」
 レイチェル「私も本物を見るのは初めてです。是非とも一緒に行きたいです。キャプテンはどこに?」
 BSAA隊長「私が責任者だが、キミは?」
 レイチェル「私はBSAA北米支部、養成学校の生徒です。留学制度を利用して、日本に来ました。本物のLarge Roachを見るのは初めてなので、研究施設まで同行させてもらえませんか?」

 レイチェルは自分の身分証を見せながら言った。
 もちろん、学校の生徒手帳ではなく、ちゃんとしたBSAAの隊員証だ。
 胸から上を斜め前から撮影した写真であるが、BSAAの制服に身を包み、キリッとした表情の写真があった。

 BSAA隊長「キミが北米支部からの留学生……。分かった。地区本部に確認するから、待っててくれ」
 レイチェル「Thank you.」

 どうやら日本地区本部のバイオハザードについて勉強するのも、留学の一環となっている為か、BSAA隊長は無下に断ることはしなかった。

 リサ「随分、堅そうな体だよ?」
 レイチェル「その通り。弱点はちょうどこの腹部の柔らかい所。背中の羽の部分は堅くなるので、殆どの銃弾が効かなくなると教わったわ」
 愛原「あー、その通りだ、チクショウ!俺のハンドガンもショットガンも全然効かなかったよ」
 リサ「で、どうやって倒したの!?手榴弾とか、家にあったっけ?」
 レイチェル「その通り。こいつをどうしても銃で倒したい場合、手榴弾を使って、その体をひっくり返し、腹が曝け出された所を銃で集中攻撃するしかない」
 愛原「そんな物騒な物、あるわけないだろ」

 私はとあるスプレーを取り出した。

 愛原「これだよ。変な臭いの香水」
 レイチェル「Huh!?」
 リサ「それはだいぶ前、学校でエレンからもらったヤツだよ」
 愛原「そん時も、学校にデカいゴキブリ出たのか?」
 リサ「い、いや、そんなことは無いけど……。ほ、本当にこれで倒したの!?」
 愛原「うん」
 レイチェル「だとしたら、精密検査が必要です。これはすぐにBSAAの研究機関に渡してください」
 愛原「もちろん、そうするつもりだよ」

 しばらくして、BSAA隊長が戻って来た。

 BSAA隊長「レイチェル・グラハムさん」
 レイチェル「Yes,sir!」

 BSAA隊長に呼ばれ、レイチェルは脊髄反射的に気をつけの姿勢を取った。

 BSAA隊長「地区本部からの許可が取れたので、車に乗ってください」
 レイチェル「Thank you so much,sir!」

 レイチェルはBSAA隊長に対してビシッと敬礼をした。
 そこは訓練された軍学校の生徒なのだろう。
 前回来日していたパク・ヨンヒによると、滞日中はBSAA極東支部日本地区本部隊の指示に従うようにという規則があるらしい。

 BSAA隊長「それと愛原さん」
 愛原「は、はい!」
 BSAA隊長「ラージローチを倒したという香水をお預かりします」
 愛原「こちらです」
 リサ「変な臭いがするから、返さなくてもいいよ」
 BSAA隊長「なるほど……」

 BSAA隊長は自分の手に香水を吹きかけ、その匂いを嗅いだ。

 BSAA隊長「製造されてだいぶ日数が経っているのか、かなりの劣化が見られるものの……この匂いは……」
 愛原「どこかで嗅いだことのある匂いなんですよね……」
 BSAA隊長「恐らくグリーンハーブやレッドハーブが混ぜられているのでしょう」
 リサ「そういえばエレンのヤツ、そんなことを言ってたような……」
 BSAA隊長「回復薬は、時としてクリーチャーに対して攻撃材料になることもあるのです。それかもしれませんね」
 愛原「へえ、そうなんですか!」
 BSAA隊長「アメリカのラクーン市では、グリーンハーブは回復薬や料理の材料に使われるだけでなく、虫下しの薬に使われることもあったそうです」
 愛原「そうでしたか」
 BSAA隊長「では、更なる状況を確認したいので、よろしいでしょうか?」
 愛原「分かりました。リサは制服から着替えてきなよ」
 リサ「ブルマに?」
 愛原「……しばらく制服のままでいいや」
 リサ「ひゃはっ!」

 ラージローチが表に止められているトラックに乗せられる。

 レイチェル「それじゃ、リサ。また明日、学校で」
 リサ「うん。それじゃ」

 トラックはダブルキャブになっていた。
 レイチェルは助手席の後ろに乗ったが、制服のスカート姿のまま、車高の高い車に乗り込んだこともあり、チラッとスカートの中が見えた。
 しかし、そこは今時の女子高生。
 黒いスパッツを下に穿いているようだ。
 実はスカートの下にオーバーパンツを穿くという習慣は、欧米ではあまり一般的ではないそうだが、例え学生でも軍人。
 学校の校則は守っているようである(東京中央学園では、女子生徒はスカートの下にはオーバーパンツを穿くという校則がある。但し、それはブルマでも構わないことになっている)。

 BSAA隊長「それでは、お願いします」
 愛原「はい。私がエレベーターで3階に移動した時にラージローチと遭遇しましたので、そこから説明させて頂きます」

 私達はエレベーターに乗り込み、3階に向かった。
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