報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「代替修学旅行の話」 2

2022-02-16 20:24:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月24日16:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 ブルマーはリサが先日、中等部の購買で購入したエメラルドグリーンと違い、モスグリーンの色であった。
 これは高等部の体操服の色である。
 高等部では体操服は購買では売っておらず、制服販売店などで購入する必要がある。
 リサはわざわざそこまで買い付けに行き、倉庫の奥で眠っていて処分されなかった物をわざわざ購入してきたというのだ。
 そこまでするリサの執念深さも去ることながら、不用品を処分していなかった販売店の杜撰さにも驚いた。
 で、斉藤絵恋さんとお揃いで購入したのだという。
 しょうがないので、その精神に敬意を表し、正面を向いた姿、後ろを向いた姿、斜め向きの姿で写真を撮り、それぞれ3000円ずつお小遣いをあげたのだった。

 リサ:「いや、これじゃ研究所での撮影と同じだよ!体育座りでポーズするから、あと1000円ちょうだい!」
 愛原:「どこかで見たことある撮り方だなと思ってたら、受刑者の写真だわ、これ」
 絵恋:「うぅぅ……。本当に昔の人は、こんな格好で体育やってたんですかぁ……?」

 というやり取りがあった後、再び制服に着替えてもらった。

 愛原:「本当だよ。俺が中学生の頃までは、女子の全員がブルマーだった」
 リサ:「高校は?」
 愛原:「高校からは、女子も短パンになったよ。恐らく東京中央学園も、そのタイミング(1990年代後半)で短パンに切り替えたんじゃないかな?」

 しかし、当時の卒業アルバムを見ると、ブルマーから短パンへの切り替えが一斉にはできなかったらしく、体育祭の写真を見ると、ブルマーと短パンが混在していた時期もあったようである。
 まあ、鉄道車両と同じ。
 いくら新型車両が導入されたとしても、完全に置き換わるまでは旧型車両も共通で運用される。
 それと同じことだ。

 絵恋:「生まれたタイミングが良くて良かったですぅ……」
 愛原:「御両親に感謝するんだね」

 男子から見れば御褒美という話は置いといて、デザイン性としては短パンよりも良いと思うのだが、そこは考慮されなかったか、或いはあっても踏み潰されたかしたか。
 実際、女子陸上競技のユニフォームとしては、今でもポピュラーなのだから。
 バレーボールでは全廃されたようだが。

 愛原:「それで、来月の代替修学旅行の話なんだけど……。斉藤社長の依頼で、私と高橋がPTA会長代理で同行させてもらうことになったから」
 リサ:「! 先生も一緒に来てくれるの!?おー!」
 愛原:「あくまでも、PTA会長の代役として、だけどな」
 絵恋:「父のサボりの後始末を引き受けて下さったのですね。うちの父が申し訳ありません」
 愛原:「いやいや。お父さんは俺と違って忙しいし、こんな年度末も押し迫る時期というのだからしょうがないよ。お父さんも、人事異動の時期だし」
 リサ:「わたしは先生達が来てくれるのが嬉しい。一緒のホテル泊まるの?」
 愛原:「宿泊施設は同じだろうが、もちろん部屋は違うぞ」
 リサ:「えー?」
 愛原:「えーじゃない」
 リサ:「だって……」
 愛原:「だってじゃない」
 リサ:「でもぉ……」
 愛原:「でもじゃない」

 私は資料を出した。

 愛原:「結局、行き先は福島県というだけで、別に近場ではないんだよね」
 絵恋:「そうですね」
 愛原:「しかし、スキーじゃ、修学旅行というよりスキー合宿だな」
 絵恋:「中2の時のスキー合宿も中止になったので、その埋め合わせもあるんだと思います」
 愛原:「そうなのか!そうだそうだ。ガーラ湯沢の時は1年生だったもんな。年月が経つのは早いな」

 中1の時はスキー合宿、中2の時は野外活動だったのだがコロナで中止。
 その埋め合わせで再びスキー合宿を行なおうとしたが、コロナは収束せずにやっぱり中止になってしまった。

 愛原:「で、使わなかった分の予算が溜まりに溜まってるもんで、来月はその放出デーってか」
 リサ:「まあ、そういうこと」

 それでも使い切れるんだろうか?
 もちろん、スキーだけではない。
 2泊3日(もっとも、初日は前夜に出発)のうち、最初の1日はスキーで、2日目と3日は福島県の会津地方を観光して帰るというものだ。
 関西地方ではないのは、コロナ禍のせいで、なるべく感染者数の少ない場所を選んだということだ。

 絵恋:「私、夜行列車って初めて乗るの」
 リサ:「そうなんだ。私は何回かある」
 愛原:「えっ!?」
 絵恋:「そうなの!?」
 リサ:「霧生市にいた時、霧生電鉄の終電が終わった後、荷物電車に乗せられて移動したことが何回かある」
 愛原:「確かに、それもある意味夜行列車!」

 夜行列車が下火になったのは旅客列車であって、貨物列車は今でも元気に走っている。

 愛原:「そういうことだから、来月はよろしく頼むよ」
 リサ:「分かった!」
 絵恋:「分かりました。具体的に、会長代行って何をやるんですか?」
 愛原:「雑用係だろ、どうせ。聞いた話、最初の仕事は集合場所の確保だそうだ。ほら、東武浅草駅に集合するだろ?『集合場所』って書かれた旗を持って立っているだけの仕事さ」
 絵恋:「それ、旅行会社の人がやるんじゃ?」
 愛原:「パックツアーの場合でしょ?修学旅行はパックツアーじゃないから、そういう係の人いないよ」

 もっとも、旅行会社の人も同行はするだろうが……。
 中学校のクラスだから、高校よりは少ないが、それでも2班(1組~3組と4組~6組のような感じ)に日程を分けるという。
 3年3組にいたリサと絵恋さんは、最初の1班という形になる。

 リサ:「わたしも手伝う!」
 絵恋:「リサさんがやるなら、私も手伝います!」
 愛原:「ありがとう。だけど、旗持って立つだけだから、大したことしなくていいよ。ただ、早めに駅に行くというだけでね」
 リサ:「それでもいい。楽しみになってきた」
 絵恋:「私もよ!」
 愛原:「それは良かった。夜も遅いから、当日は皆でタクシーに乗って行こう」
 絵恋:「分かりました!」

 高校3年生の時にも修学旅行はあるが、この時は無事に行けるといいな。

 愛原:「話は終わった。あとは帰っていいよ」
 絵恋:「こ、ここで、リサさんと宿題やらせてもらってもいいですか!?」
 愛原:「遅くならないようにするんだよ?18時には事務所を閉めるからね」
 絵恋:「分かりました!」
 リサ:「それじゃサイトー、給湯室でやろう」
 絵恋:「はーい!」
 リサ:「……あ」

 そこでリサが思い出したかのように言った。

 リサ:「先生、制服ブルマも撮る?半額にするよ」

 リサはスカートを少しだけ捲り上げた。
 ブルマはまだ穿いたままのようで、それがチラッと見えた。

 愛原:「いいからさっさと宿題やれ!」
 リサ:「……はーい」

 私に見せて小遣いをせびるのが目的だったようだが、実は本人も気に入って穿いている説が急浮上してきた。
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“私立探偵 愛原学” 「人間臭い生物兵器」

2022-02-16 15:46:25 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月24日14:15.天候:晴 東京都千代田区丸の内 東京駅丸の内北口バス停→都営バス東20系統車内]

 斉藤社長と無事に契約を締結した私達は、事務所に引き上げることにした。
 往路はタクシーだが、復路は都営バス。
 乗り込んで、後ろの席に座る。

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスは時間通りに発車した。
 昼下がりの時間帯なので、乗客はそんなに多くない。
 私達以外に、7~8人ほど乗っているだけだ。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは日本橋、東京都現代美術館前経由、錦糸町駅前行きでございます。次は呉服橋、呉服橋でございます。……〕

 愛原:「それにしても、斉藤社長とあろう方が俺達の為に、こんなに時間を割いてくれるなんて、ありがたいね」
 高橋:「大会社の社長ってクソ忙しいってイメージでしたけど、案外そうでもないんスね」
 愛原:「会社が安泰なうちは、案外ヒマだと思うよ。クソ忙しくなるのは、会社がピンチになってからだ」
 高橋:「社長自ら不祥事起こしたのに?」
 愛原:「あれは斉藤社長が辞任するだけで済んだからだろう。その社長も、今年度末に解任されることが分かっているから、あんまりガチにやらないのかもしれない」

 これから斉藤社長のやるべき仕事と言えば、後任社長への引継ぎくらいだろう。
 そして、来年度初の仕事は、出向先の関連会社の社長業務の引継ぎか。

 高橋:「何か帰り際、あの社長、変なことを言ってませんでした?」
 愛原:「変な事?」
 高橋:「将来は……どうのこうのって……」
 愛原:「ああ。確か、『将来は、愛原さんみたいな名探偵が常に必要になりそうです』って話か?今後とも俺達と付き合ってくれるってことだろ。斉藤社長が辞任しても、ダイニチグループ(大日本製薬の所属するグループ。屋台骨企業は、大日本製薬)との付き合いはまだ続くということだ。良かったな。あんな巨大企業とのパイプは繋がったままだぞ」
 高橋:「そういう意味でしたか」
 愛原:「ん?違う意味だと思ったか?」
 高橋:「いや、まあ、気のせいっスね。それより社長、どこの関連会社に行くんスかね?ダイニチグループ、日立の木並みに数多いっスよ」
 愛原:「どこだろうなぁ……?まあ、グループ内でも有名どころの『ダイニチロジスティックス』とか、『ダイニチ不動産』とか、その辺じゃないの?あとは意表を突いて、『大日本学苑』とか。ダイニチグループがやってる学習塾や予備校の運営企業」
 高橋:「色々あるんスね」
 愛原:「さすがは製薬会社のコングロマリットだ」

 そこまで敏腕な経営者だったのに、リサの寄生虫を無断で採取した程度で辞任することになるとは……。
 いや、逆を言えば、そこまで敏腕な経営者だったからこそ、年度末解任で済んだのかも。
 まあ、無断採取した寄生虫が、取り扱いを誤るとバイオハザードを引き起こす超デンジャラスな代物だったからというのは大きいな。
 斉藤社長のことだから、それくらいは想定していたのだろうが……。
 まあ、想定していてもやらかした企業組織やバイオテロ組織は他にいたので、それで関係役所はピリピリしているのだろう。

[同日14:49.天候:晴 東京都墨田区菊川 都営バス菊川駅前停留所→愛原学探偵事務所]

〔ピンポーン♪ 次は菊川駅前、菊川駅前でございます。都営地下鉄新宿線、都営バス、築地駅前、とうきょうスカイツリー駅前方面はお乗り換えでございます。次は、菊川駅前でございます〕

 愛原:「高橋、ピンポンやってくれ」
 高橋:「うっス」

 いつも降車ボタン係を務めるリサがいない為、今回は高橋に押してもらう。
 そういえば、ガチャで降車ボタン売ってたっけな。

〔次、止まります。お降りの際はバスが停車し、扉が開いてから席をお立ち下さい〕

 地下鉄に接続していることもあり、このバス停での乗降は多い。
 私と高橋は、他の乗客に続いてバスを降りた。

 愛原:「この時間だと、リサ達帰ってるかな?」
 高橋:「まだなんじゃないスかね?15時過ぎないと……」
 愛原:「そうか」
 高橋:「将来の嫁さんが心配っスか?」
 愛原:「こら!」
 高橋:「ひゃはっ!サーセン!」
 愛原:「あと少ししたら、オマエとパールとの結婚、保証人の所にサインしてやるよ」
 高橋:「先生、ムリしなくていいっスよ?」
 愛原:「だから、あと少ししたらって言ってるだろ」

 具体的にはリサが高校卒業する頃か。
 その後の進路がどうなるのかは知らんが、少なくともその頃には人間に戻れているかもしれないし、そうでなくても、見通しくらいは立っているだろう。

 愛原:「あと少ししたら、ムリの無いタイミングになるだろうからって言ってるんだ」
 高橋:「了解っス。でもホント、ガチでムリしてもらわなくてもいいんで」
 愛原:「ま、そこは時間経過してみないと分からんってことだな」

 三ツ目通りと新大橋通りとの交差点に差し掛かる。
 この角のコンビニにリサがいないかと覗いてみたが、いなかった。
 さすがに、そう何度もタイミングが良いわけではないらしい。

 高橋:「それじゃ先生、俺は夕飯の支度がありますんで」
 愛原:「ああ、分かった。因みに夕飯は何だ?」
 高橋:「ほとんどビーフのハンバーグに、トンカツと来たんで、今度はチキンにしようかと」
 愛原:「おっ、そりゃいいな。唐揚げ山盛り定食とかいいかもな」
 高橋:「唐揚げ山盛りっスね!了解っス!ちょっと買い出し、行ってきます!」
 愛原:「頼んだぞ!」

 あえて山盛りと言ったのは、殆どがリサの胃袋に収まってしまうからであった。
 まあ、人肉を胃袋に収められるよりはかなりマシである。
 そして私は、1人で事務所に帰所した。
 高橋の言う通り、さすがにまだリサは帰っていないらしい。
 事務作業をしていると、廊下からエレベーターが到着する音が聞こえた。

 リサ:「ただいまぁ!」
 斉藤絵恋:「お、お邪魔します……」
 愛原:「お帰り。……と、いらっしゃい、絵恋さん。今日、お父さんの会社に行ってきたよ」
 絵恋:「そ、そうなんですか。お仕事の依頼ですか?」
 愛原:「ああ。キミ達にも関わることだから、後で話すよ」
 リサ:「ん、後の方がいい。わたし達も、先生に見てもらいたいものがあるの」
 愛原:「俺に見せたいもの?何だ?」
 リサ:「ちょっと準備してくるから待ってて。応接室借りていい?」
 愛原:「いいよ」
 リサ:「ほら、サイトー。行くよ」

 リサは絵恋さんの手を引いて、応接室に向かった。

 絵恋:「り、リサさん、本当にやるの?」
 リサ:「当たり前。これも先生の為。サイトーも協力する約束」
 絵恋:「そ、そりゃ、しちゃったけど……」

 そんな話し声が聞こえた。
 どうやらリサのヤツ、また何かロクでもないこと企んでいるようだが……。
 それから更にしばらくして……。

 リサ:「先生、お待たせ」
 絵恋:「うぅぅ……」
 愛原:「はいはい。……って、オマっ……!?」

 応接室から体操服にブルマ姿のJK2人が出て来た。
 そう、絵恋さんもその姿だったのである!

 絵恋:「は、恥ずかしい……」
 リサ:「ほら、ちゃんと先生に見せて!」

 絵恋さんは恥ずかしそうに、体操服の上の裾を引っ張るようにしてブルマを隠していた。
 うん、そういえばいたわー。
 そういう風にしてた女子、中高の同級生に。

 リサ:「先生、写真撮っていいよ。1枚1000円」
 愛原:「カネ取るのかよ!」

 こういう所は、人間に近づいてきているBOW(Bio Organic Weapon。生物兵器)日本版リサ・トレヴァーであった。
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