木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

追悼 故郷の少年時代の同級生

2023-05-12 11:47:11 | 随想
 追悼 故郷の少年時代の同級生S.Uさん

 20年近くも前に既に他界していたと帰省した
際に知らされて衝撃を受けました。
 恋心を抱いていたわけではありませんが何故か
あなたがもうこの世にはいないと知らされた瞬間
から胸中に隙間ができたような心象です。

 美しい故郷での陸上競技部の同級生の中では
最も再会したいと思っていたのがあなたでした。
 思春期の時節、情熱を捧げ脇目も振らずに走り
続けていた私に遠慮がちにも遠くから声援を送り
続けてくれたのがあなたでしたね。
 厳しい時代でしたから練習中や試合当日などは
和気あいあいと会話するような環境ではなく今に
して思えばもっとあなたと語り合えば良かったと
過ぎ去りし時節の中に置き忘れた何かを感じています。

 20歳の時に成人式で帰省した際に懐かしく再会して
商店街ですれ違い際に一言二言言葉を交わしたのが
この世でのあなたの見納めとなってしまいました。
 あなたがもし、これ程に早く早逝してしまうと
未来から知らされていたならば私はきっとあなたの
手を引き限られたこの世を共有するべく何を語った
でしょうか。

 不思議なものでこの数年は時々あなたの事が気に
なっていました。
 故郷の同級生の中では最も再会してみたいと思って
いたのがあなたでした。
 数年前に何故かあなたの葬式の場面を想像する私が
いました。
 よもやと思い想像を止めました。
 また別の日にはあなたの実家に行き仏壇にあなたの
遺影を見つめて手を合わせる私の姿を想像している私が
いました。
 まさかと思い想像を止めました。
 何かの知らせだったのでしょうか。

 常日頃、あなたの事を意識しなかったのはきっと
どこかで元気に暮らしていると思っていたからです。
 もうこの世にいないと今更ながらに知らされた途端
にあなたの事を強く意識している私がいます。
 不思議なものです。

 久しぶりに再生して見た陸上競技の私の試合の映像
で当時は気付かなかったあなたの声援やあなたの姿を
見出しました。
 その気持ちが帰省した際に入った店の店員との会話の
中であなたの名前を口にさせたのでしょう。
 それにより既に他界していたあなたを知りました。

 店を出て虚無感に包まれながら見上げた故郷の五月晴れ
の空に龍の形をした雲が走っていました。
 あなたでしょうか。
 きっと良き転生をされ、この世を見つめていることでしょう。

 できるならもう1度会いたかったです。
 叶わぬ想いとは知りながら言葉にしないではいられません。
 短いこの世での時節でしたが思春期に共に駆け抜けた
時間を愛しく感じます。

 あの時あの時間をありがとう。
 お別れですね。
 さようなら。

         2023年5月の五月晴れの日に
                  木村 正治

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