クロキライディング

いつだってバイク

2020北海道ツーリング-6 鍵

2020年09月02日 20時32分55秒 | ツーリング


素泊まりとしたホテルも朝風呂はしっかりと楽しんで早朝のスタート。

アドベンチャーの排気音もだんだんと大きくなってきているので、走行前の暖機運転はナシ。

エンジンを始動したらすぐさま動き出し、ゆっくりと走りながらの暖機運転は排気漏れが無くてもこれで良しです。



屈斜路湖と摩周湖の中間に位置する川湯温泉からのスタートで、屈斜路湖の南側(北側半分はダート)に沿って走ると

霧の出やすいエリアですから、やっぱりねと言った感じ。



ココでもまた湖の見物にはあまり興味がないので、霧でほとんど見えていない湖面をチラ見しながら峠道に移ります。



タイトなワインディングをクネクネ上昇していくと、視界がよくなってきて太陽も透けて見えるようになってきて、

これはもしかして…と



昇って来た「津別峠」



広大な雲海が広がっていました。

屈斜路湖とこの先の摩周湖まで沈んでしまっている神秘的な眺め、湖はこの海の底にある…早起きして良かった。





今日は北海道の内陸の真ん中あたりを目指しながら、ワインディングルートを選んで進みますが

天気予報のわりに曇りがち。



陸別町の道の駅での電光板

「日本一寒い町」に納得の11℃



これから向かうのは十勝岳の東側、上士幌町の糠平湖にある、旧国鉄士幌線(廃線)のコンクリート製アーチ橋。



橋梁付近まで続く道はダートで路面状況が良くない上に対面通行が難しく、観光客の増加により路面逸脱などの事故が多発したらしく、

国道から入ってすぐのところにゲートがあり施錠されているのですが、

このゲートから30Kmくらい離れている、上士幌町内にある十勝西部森林管理署東大雪支署で早い者勝ちで鍵を借りるという仕組み。



鍵を借りるときには林道走行や入林に関する注意事項の説明があり、

また、名前や連絡先とバイクのナンバーなどの名簿に必要事項の提示もあります。



ココからこの鍵を使うところまで30Kmほど、そして見学が終わればまたコチラまで鍵を返却に来ないといけないと言う

かなりその気にならないと行くことができない場所。



鍵と通行許可証を持って、携帯電話も圏外となる秘境へと先を急いでいると、やっとのことで天気予報が言っていた晴れ模様。

今日は朝一から晴れていてもいいはずだったのに湖周辺や峠越えで「大雪山」に向けて走って来たので天候はめまぐるしく変化していて、

北海道の空はなかなか読むことができませんでした。



とは言え、これから向かう「タウシュベツ川橋梁」を晴天の下で眺めることができるができるのなら

なにも文句はありません (^_^;)



国道から外れて林道に入ると間もなくそのゲートが現れ、

ここで借りてきた鍵を使うことになります。



勿論、通過したらすぐに施錠。

ココまでの手続きを知らずにゲート前で足止めをくらっていたドライバーさんが一緒に入場させてくれないかと交渉されてきましたが、

もう同じ説明をこれまでに何度繰り返してこられたのだろうと、同情したくなった東大雪支所のお姉さんに言われたことをきちんと守って

アドベンチャーがきっぱりとお断りしました。

林道もですけど、クマの目撃も多いところらしいので、

我々もなんだか緊張してまじめに振舞わかければいけないのではないかと言った思いもありここは当然のことです…

東大雪支所まで往復往復60Kmなんて直ぐですよ、そして鍵の返却にまた30Kmありますけどね (^_^;)





しばらく林道を走りますが、駐車場らしきところに乗り物を停め、あとは徒歩。



それまでの林道はアップダウンとカーブがありましたが、この脇道を歩き始めてからは一直線、かつては線路があったのでしょう。



さらに進むと、急に視界が開けタウシュベツ川橋梁が見える糠平ダム湖に到着。



このコンクリートアーチ橋梁は、ダムの水が少ない1月頃から凍結した湖面に姿を現し、水位が上昇する6月頃から沈み始め、8-10月頃には湖底に沈んでしまうらしく、

季節によってその姿が見え隠れする幻の橋といわれているので、1987年に完全に配線となり、こうして崩落を待ちながら水面に立つ姿を晴れた空と湖を背景に見ることができたのは、

忘れられない景色のひとつになりました。



なんだかココだけ時間が止まっているようなカンジ、遠くの水辺にクマでも居ないかと目を凝らしますが

そこまで幸運ではなかった。



バイクのところまで戻り、さらに先へ進んでみようと試みましたが、やっぱり制限がかかっていました。

「この先はもう絶対ダメですよ」みたいなカンジでお役所関係的な車で通路を塞いでありました。

自己責任とは言え、それほど多くを心得ていない僕には確かにこの先を進むのは危険でしょう。



林道を引き返し、国道まで戻ってさらに北上し「三国峠」にやって来ました。



ココからのショットはバイク誌の「絶景ロード」の紹介でよく使われている絶景。

絶景ロードの特集号でも東北地方までは、そのほとんどを走っている自負はありましたけど北海道エリアとなると全く未経験。

そんな道もこのツーリングでひとつずつ走ることができていますから、まさに感無量の日々ですね。



もう一つ、タウシュベツ川橋梁を見学する方法としてあげられる展望公園にも行ってみました。



確かに見えていますが、現地で間近に見た僕には全然物足りない…

やっぱり行って良かった。





再び南下して30Km、鍵を返却しに戻ります。



そこからほど近い「ナイタイ高原」に昇り、十勝平野を一望できる雄大な展望を求めて素晴らしい曲がり方の高原ワインディングに乗ったのですが

そこはまた霧の中。






ココは北海道の真ん中あたり、ツーリング後半でうまくルートを組めば再度訪れることができるとアドベンチャーが読むので

それを誓って潔く引き返します。



高原から十勝平野に降りてくると気温も上がり、眠くなるほど長い長い直線道路を何本も突き進んで広大な農地を真っ直ぐに南下。



白樺の並木がいくつも見られ、高いスピードで移動しながら目で追うと、それらが一直線に並んでいるものばかりだと言うことはすぐにわかります。




その中でもかつてのツーリングマップルの表紙撮影地。





直線道路にもすっかり飽きたころに、今夜の宿「帯広」に入りました。



帯広はこれまでの行程では一番の都会、しかも暖かい。



ホテルの部屋の窓からの眺めもこのとおり。

今日はよく歩いて活発に動いたのに何も食べていない、走ると見るとで、もはや食べることには執着しなくなることはよくありまして

食べるならナイタイ高原のレストハウスで十勝の絶景を眺めながらのランチとするのがよかったのでしょうけど、

濃い霧でキャンセルしてしまったので結局食べるタイミングを失ってしまいました。

クロキライディングのツーリングではあってはならないことですが、この後の大食いを見込んでのこと

早めにホテルにチェックインして速攻で外へ。



先ずは帯広名物の豚丼を「ぱんちょう」で…これはランチ



香ばしく焼かれた豚肉と濃い味のタレの香りが絶妙で、ライディングと見学でいっぱいだった意識が一気に食欲に変わる瞬間。



帯広と言えば「六花亭」らしいですね、知らなかったけど (^_^;)



おやつは店舗でしか味わえない限定スイーツ。



そして夜の部は焼肉で主にラム肉

これはホテルに帰ったらもう一回シャワー浴びないと (^_^;)



本日の走行は450Km 

990アドベンチャーの排気音はさらに拡大する一方で、エキゾーストパイプの補修頻度も高くなってきました。

行く先々への期待と危険とアドベンチャーの不安と、そして我々の運と…ツーリングの楽しさと言うのはきわどいものだと思いました。

明日はいよいよ「富良野」美しい丘めぐりとなりますように…






















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2020北海道ツーリング-5 湿原

2020年09月02日 06時27分26秒 | ツーリング


予想通り、冷え込んだ朝の根室市内を5時前に出発。

根室半島は南北にダートがいくつも走っていて、途中で半島を縦断するとさらに良い景色が見られそうですが、

ここはこの先の移動距離の都合もありますので、海沿いを時計回りに一周してみましょう。



市街地を出るとすぐにもう大草原

今日も天気予報は晴れのハズなんですけど、道東の天気はコロコロ変わるので油断できません。

太陽が出ていないと寒いので、電熱ウエアとグリップヒーターが大活躍しています。




最東端の「納沙布岬」

国後島、そして天候が良ければ歯舞群島のいくつかと、幻の灯台が傾いて立つ「貝殻島」などの他の島々も見ることができたはずなのに

海上には霧がかかっていて何も見えていない。

シンボルとしてのモニュメントが無かったからではなくて歯舞群島が全くと言っていいほど見えなかったのが残念…

道東では天気に恵まれなかったみたい、でも大きく崩れたとするともっと過酷なツーリングになったかもしれないと思うと

初日の朝方以来、レウンウエアを着ていないのだから、やっぱりツイていたと思うべき。



その後は根室半島の南側海沿いを足早に駆け抜けて

最東端の駅となる根室本線「東根室駅」を無意識に素通りして北海道の道東南側を今度は太平洋に沿って

淡々としたハイペース。



海沿いからなぜだか内陸を走らされるようになってしばらくのところで、脇道にそれてダートへ。





映画やドラマのロケ地にもなる(そりゃなります)根室市の太平洋側に位置し、湖沼と草原で形成され、北海道の海岸線の原風景が残されている美しい眺め。



この広い「フレシマ湿原」に人間は我々二人だけ…

日本野鳥の会の鳥獣の保護区域

今日はこの後「釧路湿原」に向かうのでそちらメインで考えていたけど

ツーリングマップルにコメントがついていた場所なので、少しだけ覗いてみようかな…くらいのことでしたが、

ココからの眺めは秀逸で、少しではありますがダートを走ってやってきてよかった。

やっぱりある程度ダートを走れる装備と気持ちでいたほうが、北海道では楽しめるようです。




鹿の群れも大所帯、これほどの数は地元では見たことはありません。



フラットダートだからと派手に砂煙を舞い上げながら走るのははばかられるような、清らかな自然の風景でした。



この日は「霧多布岬」で朝ごはんの時間となりました。



岬の手前にはキャンプ場とバンガローがあり、キャンプツーリングを楽しんでいらっしゃるライダーさんには絶好のロケーション。

しばらく滞在して、周辺に豊富にある湿原と海岸線が美しく見渡せる天候を待つと言う作戦もありですね。



また少し進んで厚岸町では「原生花園あやめケ原」



もう少し早ければアヤメの大パノラマを見ることができたようです

自然のままの草原群落は北海道では多く見ることができましたが、何処も寒さのせいでしょう高い木が無いので遠くまで見渡せるのです。





厚岸漁業協同組合の直売店を覗いてみました。



厚岸カキをはじめまさに北海道の海の幸でありまして、花咲ガニやホタテの生けすなど、僕たちの地元では見ることのない圧巻のラインナップ。





今日は朝からいくつもの湿原を眺めながら進んでいるのですが、いよいよ「釧路湿原」

釧路湿原はものすごく広いので、少し高いところから見下ろせるいくつかの展望台の「細岡展望台」に向かいます。

すでに自然豊かなエリアに入ってきていたのに鉄道が通っていて、越える踏切は「釧路本線」



ずっと前から民家は見えていませんからこれはもう観光駅。

ログハウス風の駅舎の「釧路湿原駅」



観光シーズンには、釧路~塘路(とうろ)間に、「くしろ湿原ノロッコ号」というトロッコ列車が

湿原ギリギリを走り、運が良ければ車窓からタンチョウも観察できるらしいのですが

平日の午前中、誰もいない虫の声しか聞こえない秘境駅。



ココを列車が走るところ、鉄道ファンではない僕でも見てみたいと思いましたが

列車本数少なくて、次の便まで待てるものではないですね。

駅を出てからもさらにダートを8.5Km走って「細岡展望台」



山の中を走り続けたので、この先に開けた湿原の眺めは素晴らしかった。

広大な湿原の中を緩やかに曲がりくねる川、東京の広さを知らないけど東京23区がすっぽり収まってしまう広さ (^_^;)

やっぱり自分の目で見るのが一番、来てよかった。



釧路湿原の北部、湿原内を走れるダートがあるようなので。ぜひ走ってみたいところでしたが…



現在のところ周辺の水位が高く残念ながら通行止め。

それでも諦めきれないので、大きく回り込み

反対側も行けるところまで行こうと大きく迂回。



途中、道路沿いの草原に天然記念物のタンチョウを何度か見ることができました。





適度な曲がり具合のワインディング、北海道は舗装されている道路は路面コンディションが全般的に良いと思いました。

30Kmの迂回も美しく曲がる道を見ながらのスピードコントロールとバンキングの楽しさであっという間。

北海道は直線道路が多いので、少し曲がりが立てこんでくると目が覚めると言うものです。



そして通行止めエリアの対岸、ツーリングマップルでは薄い水色で表示されているようなところ

ストリートビューでは普通のダートに見えていたけど、水位が高くなることによりどれだけ水辺に近いところを走れるのかと興味があったのに残念。

足早でしたが、雄大な湿原とタンチョウを見ることができたので、次の場所へ引き続き走ることにしましょう。



釧路湿原を離れてすぐに道道1093号線(4ケタ)で「阿寒湖」へ向けて峠越え。



見通しが良くてセンターラインもあり気持ちよくクルージングを続けていられたのに、この後の未舗装路への移り変わりがいきなりで劇的。



フラットダートが14Kmも続くのに直線が多い、ダート得意なライダーならカッ飛んでいけそうな珍しい道。





頂上の鶴見峠では霧の中、下界に広がる阿寒湖を見ることは叶わず、

下りは一変、ダートのワインディングで山深い雰囲気。



ひと山超えるだけでこれほどまでに気象と道路が変化するとは (^_^;)





ダートを走り終えて国道へ出てみるとまた快走舗装路。

今回のツーリングルートでDL1000を選んだのは正解でした。

それはアドベンチャーも然り。



阿寒湖と言えば「マリモ」

しかし湖の観光にあまり興味がない我々は、ランチで「ザリガニ」を食べるためだけに湖畔へ。

阿寒湖で釣り案内のサービスを行っている「フィッシングランド阿寒」にある「海平」

ザリガニというと食べるのに抵抗がありますが、ここでは「レイクロブスター」と呼び、阿寒湖の特産品となっているそうです。



生きたものをすぐに茹でた、新鮮なものが食べられるのは北海道でも阿寒湖だけらしく

ココでこれを食べるのはもともとツーリングのプランに組み込まれていました。



湖では必ずと言っていいほど定番のワカサギの天ぷら。

何処でもほぼ揚げたてが出てくるので美味しいこと間違いなし。



その後も霧が晴れたり曇ったりの山間部を北上して、摩周湖と屈斜路湖の中間のエリアに向かいます。



山間部を走っていても長い長い直線が続くことは珍しくなく、ほかに交通量も無いのでスピードも出ます。

クルマにも歩行者にも取締りとかにも注意と気配りが必要ですけど、もっと怖いのは自分のミス

そして最も怖いのが「シカ」。

ちょうどこの頃、シカと衝突し大事故になってしまったと言う悲しいニュースを耳にしたところなので

視界の先々まで見通せていても安心なんてできません。

シカは真横からでも飛び出してきますからね。                                                                                                                                                                           


宿まであと少しと言うところ、「硫黄山」の看板に目がとまり急遽見物となりました。



目の前の山肌からゴウゴウと音を立てながら勢いよく噴き出す噴煙。

黄色の硫黄の結晶がいくつも見られ、なんだか近付くのを躊躇うくらいのエネルギーと強烈な硫黄の匂い。



まるでアトラクションを楽しむかのように噴気孔のすぐそばまで近づいてみましたが、

かつて硫黄の採掘で栄えたこの山が、沿線の近代化に貢献するとともに今日のJR釧網本線の礎を築くことになり、

今夜泊まる「川湯温泉」の発展を支えていたことは後から知りました。



アイヌ語で「アトサヌプリ」、裸の山と呼ばれる硫黄山

これを背景に少し走れば宿に到着します。







温泉はもちろん源泉かけ流し、さっき見た山の活動とこのお湯の気持ちよさが直結して、

なんとも気持ちのいいこと…





缶ビールの自販機が無く、フロントにて瓶ビール購入。

一日の無事を祝うのはこのほうがいい (>_<)



そんな温泉宿でも食事は外で…

この温泉街以外には周囲に民家などしばらくなかったのに、飲食店はけっこうあるようですからこの宿を素泊まりにしたのも頷けます。



2軒目は寿司店、ここは南の釧路よりも北の知床オホーツクのほうが近い。



本日の走行は400Kmほど、

山の中に居る気分なのに、職人さんの寿司はうまかったな~。

























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