熊本熊的日常

日常生活についての雑記

扉をたたいた人

2009年07月27日 | Weblog
古い雑誌をめくっていたら、偶然、堀江謙一が小さなヨットで単独太平洋横断を成し遂げたときのことが書かれていた。当時、彼はパスポートを持たずに日本を出国し、米国に入国した。密出国であり密入国である。この時、航海の目的地であるサンフランシスコで、彼は逮捕もされなければ強制送還もされなかった。彼の冒険心が素直に受け入れられ、彼が成し遂げたことが素直に評価され、賞賛された。サンフランシスコ市長からは市の「鍵」が贈られた。1962年の夏のことである。

幼い頃から米国で暮らし、米国で教育を受けて成長し、平和に暮らしていても、移民のための事務手続きに不備があるというだけで、ろくに生活したこともない母国に強制送還されてしまう現代。

1962年にも出入国の管理に関する法制度はあり、その制度に照らせば堀江氏のヨットによる入国は違法であったろう。それでも、そこに敵意がないと認識されれば、拘束されるどころか歓迎されたのである。この40数年間の間に我々の世界は何がどのように変化したのだろうか。