熊本熊的日常

日常生活についての雑記

2月に逝く

2007年03月31日 | Weblog
先月に引き続き、日経新聞の訃報欄および社会面から2月死亡分のデータを整理した。

訃報が掲載されたのは87名。享年の最大値は98、最小値は43、平均値は78.2である。最も多い年齢層は70歳代で31名、続いて80歳代が29名、90歳代が12名、60歳代が10名、50歳代が3名、40歳代が2名だった。性別の記載は無いが、氏名や喪主の続柄から推測すると男性76名、女性11名であり、享年の平均はそれぞれ78.6歳、75.1歳である。女性には1名、43歳で自殺された方がおられるので、それによって平均値が下げられているが、自殺も心の病と考えれば、「異常値」とすることはできないと考え、敢えて除外していない。参考までに2006年7月25日に厚生労働省から発表された「平成17年簡易生命表」によれば男性の平均寿命は78.53歳、女性が85.49歳である。

87名中79名に死因の記載があるが、このなかに自殺が1名含まれている。死因は、届け出に基づいており、本当の死因につてはわからない部分もある。ただ、年齢が高い程、脳、心肺系の病気が多く、年齢が下がるにつれて食道、胃、腸、肝臓、膵臓など心肺以外の臓器の病気が増える。また、癌も年齢が低いほど多い。90歳代で死因の記載がある11名のなかで癌が死因と書かれている人は1名である。逆に40歳代では2名中1名、50歳代では2名中2名、60歳代では10名中5名、70歳代では27名中12名、80歳代では27名中7名が癌である。ちなみに、40歳代のもう1名は自殺である。

葬儀の喪主は、記載があった75名中41名が妻、22名が長男だった。

告別式あるいはお別れの会の場所は、記載があった61名のうち26名が東京都、大阪府と千葉県がそれぞれ5名、愛知県が4名、兵庫県が3名、神奈川県、徳島県、長野県、奈良県が各2名だった。首都圏一都三県が33名である。

皆様のご冥福をお祈り申し上げます。

「今宵、フィッツジェラルド劇場で」

2007年03月08日 | Weblog
楽しいのに哀しい話だ。「老人の死は悲劇ではない」という台詞があるのだが、この作品を一言で表現するとこうなるかもしれない。この台詞が語られた時、映画館の客席全体が溜め息をついたような感覚に襲われた。平日の昼間、客席は8割ほど埋まっていたが、おそらくその殆どがシニア料金の人々だ。スクリーンの向こうとこちらが一体となったような空間が生まれたと感じた。コメディなので台詞にはジョークも多い。字幕はそれを巧みに訳出している。しかし、客席は静寂につつまれている。それがスクリーンで展開されている物語の哀しさを際立たせるのである。作品と客席が一体となって新たな空間を生み出す映画というものを体験できたことに感動した。

「松ヶ根乱射事件」

2007年03月07日 | Weblog
途中で席を立ってしまおうかと思った。でも、立たなくてよかった。正常と異常というものが連続しているということがよくわかって面白かった。誰でも性格とか考え方には他人の理解を超えた部分というものが多少はあるものだ。社会は多くの人々の最大公約数的な規範によって律せられ、そこから極端に外れた人を変人として排除し、病的に外れた人を犯罪者や精神病患者として排除することで平和を保っているのだろう。「正常」に属する人の微妙にズレた性向を寄せ集めるとこの作品の世界になる。

今、多和田葉子の本を読んでいる。ここに登場する人たちも、少しズレた感じがする。何かが変な感じがするからこそ生々しい。まるで人の心象をそのまま描いたような話なのである。

最近、銀行のキャッシュカードを生体認証付きにした。そして気がついたのだが、私の指はまっすぐでない。曲がっているというのではなく、ねじれているのである。そのねじれを意識してしまうと、うまく認証できない。ズレていることが現実なのである。私なのに私であると認めてもらえない私がいる。私は誰なのだろう。