朝早い時間に羽田を発つエールフランスでパリに到着。実際には12時間ほどの飛行だが時差の関係で昼過ぎには到着する。タクシーで宿に直行する。空港から市内までの高速道路は順調に進んだが、高速の出口で早速渋滞に嵌る。高速から一般道への合流地点は蚤の市で有名なClignancourt。来る前に読んだ芸術新潮の「パリと骨董」(2009年4月号)で見覚えのある風景が車窓に広がる。雑誌の記事では市のない日の写真だったので人影は疎らだが今日は日曜日。人も車もごった返している。記事を読んで出かけてみようかと連れと話していたのだが、この風景を見て絶対に足を踏み入れないことに決めた。なんとか渋滞を抜けたと思ったら、よりによって宿のある通りが通行止めになっていて、運転手は細い路地を使って迂回を図る。宿近くの交差点までたどり着いたところでタクシーを降りる。メーターは60ユーロ近かったが、渋滞脱出で見せた手に汗握る運転に敬意を表してチップを10ユーロはずんだ。宿のチェックインは14時からだったので、早く着きすぎてしまうのではないかと心配していたが、渋滞のおかげでちょうど良い時間になった。
日本の宿泊予約サイトで予約したので、本当に予約が入っているかどうか不安だったが、フロントで名前を告げると当たり前のように手続きが済んだ。カードキーを受け取り、ひとまず部屋に落ち着く。簡単に荷物の整理をして、予め予約しておいたParis City Passportを受け取りに観光案内所へ向かう。これはパリ市内の交通乗り放題券であるParis Visit (Zone 1-3)、パリの60の美術館や博物館の入場ができるParis Museum Pass (4 days)、セーヌ川遊覧船Bateaux Mouchesの乗船券、市内観光バスCar Rougesの1日券がセットになったものだ。セットになったからといって割引は殆どなく、バラで買ってもほぼ同じ価格である。しかし、フランス語ができないので、必要になりそうなものを予めまとめて入手しておいたほうが後々の手間がかからないと思い、セットで購入しておいた。
Paris City Passportを受け取るのは地下鉄Pyramides駅近くの観光案内所。Paris Visitは明日から使うことにして、今日はMobiLisを買って使う。前回2008年夏にパリを訪れた時は地下鉄の自動券売機はフランス語だけだったが、今はどの券売機も英語による表示がある。なかには欧州の複数の言語を表示できる機種もある。宿の最寄り駅、地下鉄4号線のChateau Rouge駅の券売機でMobiLisのZone 1-2を買って、遊園地の入口のような改札を通り、南行きの電車に乗る。Chateletで14号線に乗り換えてPyramidesで下車。地下鉄は均一料金なので、降り口には改札がない。駅構内に観光案内所への案内看板があり、その指示に従って地上へ出る。案内所はすぐにそれとわかった。日曜の昼下がりの所為なのか、案内状は空いていて、すぐにParis City Passportを受け取ることができた。係の人が中味をひとつひとつ噛んで含めるように英語で説明してくれた。
案内所はオペラ座とルーブルの中間にある。まずはオペラ座の建物まで行き、次にルーブルへ向かう。ルーブルの中は明日出かけるつもりなので、その敷地を通り抜け、セーヌ川のほとりに出る。ルーブルの裏手から学士院に伸びるPont des Artsは欄干の金網が南京錠で埋め尽くされている。恋人たちがここに南京錠をかけてその鍵を川に投げると永遠の愛が訪れるのだそうだ。どれほどの恋人たちが愛を願ったり誓ったりしたのか知らないが、愛というのは重いものらしく、金網がところどころ南京錠の重さで破れている。ベニヤ板で応急処置がなされているが、そのうち欄干が丸ごと落ちてしまうのではないかと思われるほどに鈴なりになっている。前回はこの南京錠に全く気がつかなかった。
今日は時差もあって疲れたので、ルーブル近くのスーパーですぐに食べられそうなものを買って宿に帰った。