熊本熊的日常

日常生活についての雑記

あたりまえのこと

2013年07月13日 | Weblog

なかのZEROホールで落語を聴いてきた。駅から会場までの途中にあったイタリア料理屋が閉店していた。当たり前の料理を当たり前の値段で出す良い店だった。「移転のため閉店」と書かれていたが、移転先が書いてない。「テナント募集」の連絡先は居抜物件で有名な不動産屋だ。おそらく経営がたいへんだったのだろう。

当たり前、ということが通用しにくい時代になったような気がする。自分で食材を吟味し、自分で考えて調理をすれば、一皿の料理がどれほどのもので、それがどう旨いのかそうでないのかということがわかるものだ。自分のことを自分でする、自分の家事を自分でする、ということをしていれば、自ずと自分のなかに価値のモノサシができあがるはずだ。近頃は、そういう当たり前の食に価値を見出すことのできない人が増えているということではないだろうか。一皿の料理に表現されている季節、その背後にある生命史や文化といったものを味わうことのできない輩が増えて、当たり前の商売が成り立たなくなっているとしたら、残念なことだ。ファミレスやファーストフード、あるいはチェーン店の食事のような工業製品で食欲を満たすのが当たり前の食になっているとしたら、それは人間の食事ではなく家畜の給餌だろう。

落語は花緑の独演会だ。弟子の開口一番の後、「つる」と「らくだ」の二席を仲入りを挟んで口演した。「らくだ」は難しい噺だが、「つる」は前座噺でもある。しかし、前座噺という比較的単純なもののほうが、噺家の力量が端的に顕われるものだ。噺のどの部分を強調するのか、どこに焦点を当てるのか、短い噺であっても、そこに無数の選択がある。誰でも思いつくようなところに着目している間は、上手とは言えない。誰もが見聞するものに、誰もが気付かないものを見出すのが、おそらく仕事というものなのではないかと思う。そう思うと、笑い話ではあっても、笑っていられない。おおいに考えさせられた。これだから落語に限らず、芸事を自分の生活のなかにきちんと組み入れておかないといけないとの思いを新たにした。

本日の演目
柳家花いち 元犬 
柳亭花緑  つる 
(仲入り) 
柳家花緑 らくだ

開演:19時30分 終演:21時25分 
会場:なかのZEROホール 小ホール


暑中見舞い

2013年07月07日 | Weblog

暑中お見舞い申し上げます 突然のように盛夏を迎えました。いかがお過ごしでしょうか。

その昔「人生五十年」と言われておりました。生理的な寿命が延びても、人生の内実はそれほど変わっていないのではないでしょうか。自分がその年齢に達してみると、そのように思われます。

結婚して転居しました。最期まで貪欲に楽しむつもりです。よろしくお願い致します。

熊本熊