熊本熊的日常

日常生活についての雑記

カリン酒

2014年11月16日 | Weblog

以前、このブログで梅酒を仕込んだことを書いたときに、秋にはカリン酒をつくると書いた。今日はカリン酒を仕込んだ。カリンは時期なので難なく入手できる。酒も氷砂糖も当たり前に売られている。問題は保存容器だ。梅酒の仕込みの時期にはスーパーには梅酒コーナーのようなものが登場し、容器から中身まで一切合切が一所で手に入る。ところが、果実と砂糖と一升の酒が収まる大型の容器は、今の時期には店頭に並ばないのである。

おそらく一般の家庭で保存食を作ることはあまりないのだろう。中食だの出来合いの惣菜だのを買って、皿に盛るということもせず、プラスチックの容器からそのまま食べる人が多くなっているのではないだろうか。ここ10年ほどで老若男女いずれもだらしない体型の人が増えたように感じるが、中食や外食といった脂肪過多のものを口にすることが多くなった所為だろう。保存食はおろか、毎日の食事も出来合いのものばかりで料理などしないから調理器具も下らないアイディア商品こそ次から次へと登場するが肝心の普段使いのものの品数や種類は少なくなる一方だ。売る側からすれば、回転率の低い商品を店頭に並べておく余裕がないのだろう。例えば無印良品などは決算説明会でも「アイテムの絞り込み」というようなことを公言しているらしい。

今は販売データを分析して売れ筋商品を特定するのは容易だ。季節により、曜日により、天候により売れる商品を特定するのも朝飯前だろう。データは豊富にあり、分析手法も確立されている。売れる商品、売れそうな商品を重点的に店頭に並べれば、効率良く売り上げが立つはずだ、と誰でも考えるだろう。誰でも思いつくことというのは、往々にして思うようにはならないものである。今は大手小売の傘下に入ってしまったホームセンターの創業者の話を伺ったことがあるが、回転率の低い商材でもそれがあることで品揃えに対するヘビーユーザーの評価が大きく変わるものというのがあるそうだ。ホームセンターの場合は日曜大工や日曜園芸の客よりも、建築だとか農業というような本職の人たちが現場で急に必要になった道具やパーツを買いに来るというような需要に応えることが売り上げ全体の底上げにつながるのだそうだ。同じ話は関西を地盤にする別のホームセンターの経営者からも伺った。年に1個売れるか売れないかというようなものでも揃えておかないといけないものがあるのだそうだ。程度の差こそあれ、同じことは別の業態にも当てはまるのではないか。売れ筋だけを並べておいて商売が成り立つのなら、馬鹿でも経営ができてしまう。安売りしないと売れないというは、その程度の商品力しかないものを並べているということであり、その程度の客しか付いていないということである。そもそも経営になっていないのである。

自分の生活のなかで、実店舗で物を手にとって買う機会は少しずつ少なくなっている気がする。書籍や音楽・映像ソフトのようなものはもちろん、小麦粉のような比較的重量のある食品類や洗剤などの日用品はネットで買っている。それはつまり、実物を手に取らないとそのものの値打ちがわからないようなものは実店舗でしか買えないということでもある。そういうものを並べていると胸を張って言える実店舗の経営者がどれほどいるだろうか。


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1 コメント

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Unknown (とん)
2014-12-08 23:55:19
するどいご指摘、いつも勉強になります。
本来あるべき姿、を見ることがだんだん少なくなってることに、気がつきもしないで過ごしてる自分に気がつきます。
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