熊本熊的日常

日常生活についての雑記

月光町

2015年07月12日 | Weblog

日本民藝館で友の会の更新をした後、雑司ヶ谷の天狼院書店というところを覗いてみた。ちょっと変わった書店らしいという話を耳にして、早速出かけてみたのである。この書店では店主がその時々に選ぶ推奨本というものがあり、数量限定で販売されている。タイトルは伏せてあり、包装された状態で店頭に積まれており、返品不可ということになっている。ただテーマは掲げてあり、どのような想いでその本を選んだかということを説明したものが棚に置いてある。今回は人生は生きる価値がある、というようなことで選ばれた2冊だ。私も常に己の人生について思い悩んでいるので買い求めてみた。店が「秘本」と称しているものをここでタイトルを紹介するのもなんなので「秘本」のままにしておくが、それほど値打ちのあるものとは思われなかった。これを読んで元気になるようでは、余程軽い人生を生きている、そもそも悩むほどの人生ではない、という感じだ。それでも、そういう本の売り方は面白いと思う。

天狼院書店の近くに豊島区役所の新庁舎がある。なんとなく見覚えのある建物だと思ったら「おじゃる丸」に登場する坂田マンションのイメージだ。高層建築なのだが、建物から木々が見え隠れしていて、ユートピア風だが管理が大変そうな建物だ。豊島区役所に用はないし、日曜日でもあるので、中は見なかったが中はどうでもいいと思えるほど存在感のある外観だと思う。殊に天狼院書店を背にして近づくと、手前の懐古調の家並みと奥のおじゃる丸御殿との対比が絶妙な味わいを生んでいる。

この近くには空き地のようなところにぽつんと建つ蔵もあったが、空き地の一部にマンションが建ってしまい、ぽつんではなくなってしまった。それでもこの新区役所に象徴されるように豊島区は見所満載の地域だと思う。23区で唯一の「消滅可能性都市」なのだが、2009年1月から2013年5月まで豊島区の住民であった身にしてみれば、「世間の奴らは見る目がないなぁ」と思ってしまう。