くまぐー日記

くまさんの電脳室リポート

発音開眼

2018年11月18日 | Weblog

■林先生から誘われているベトナム語勉強会に使うテキスト「ティエン・ビエット123」をなんとなく読んでいる内にベトナム語総復習をやってみようという気になってきた。まず発音。いままで使ったテキストをひっくり返し、エキスプレスのテキストの発音部分がようやくわかった。すると、このテキストすごいな!よくこんなにコンパクトにまとまったな!と思う。最初はベトナム語めっちゃ難しいと思ったのに本文全部覚えてレベルBクラスに入る準備をしてからこの本はやさしくて便利だと思うようになったが、時々参考にすると、えっこんなことも書いてあった、と思うことがあって復習用に最適だ。その最難関が発音部だった。

かねてより気になっていたこと。なぜベトナム人の英語は聞き取りにくいか?ベトナム語末子音が発音されないという根拠はなにか?ここが知りたかったのだ。ベトナム語の授業では発音練習だけで発声学的な説明は一切ない。しかし、レベルAテキスト付録にもかなり詳細に発生学的説明がある。そこで「日本語教育辞典」(「み日」の他、これと岩崎先生のNHKテキストだけは日本から持ってきている)の発音学を読み始めた。まず母音,子音は何か?声帯の開閉で有声音無声音の識別をするなら、母音(発声)子音(調音)という区別はできない。無声母音も存在するからだ。ようやく母音・子音はIPA(国際音声学会)の口内舌配置図(母音)と口内調音点・発声方法の表(子音)が定義なのだと気づいた。母音・子音の区別は有声音・有気音というような生理学的な分類ではなく、発声学的分類なのだ。まあ、しかしそう考えるとこの子音表というのはよくできている。見方がわかると発音のどこに原因があるのかこの表をみると想像がつくのだ。

ベトナム語の11の母音で日本語の「あ」に相当する音は3種。それぞれ6声調あるので18種類の「あ」が存在する。「お」も同じく3種、「え」「う」がそれぞれ2種類。だから18種類の「お」12種類の「え」「う」、6種類の「い」がある。つまり日本語の5つの母音だけでも相当するベトナム語母音は30種の組み合わせが可能。子音は29種。日本は拡大50音図によれば清音10種と濁音、半濁音5種、のわずか15種、拗音は36種(母音子音あわせて)だからトータルでも日本語は100ぐらいの音しか使われていない。ベトナム語は30の母音音と約180の子音音との組み合わせの音ということになるから相当に難しいということは想像できるだろう。

しかしである。ベトナムにts(IPA表記「ツ」)音はない。t(歯茎破裂音)とs(歯茎摩擦音)の中間音らしいと想像がつく。調音点が同じでベトナムにもsa「サ」はあるので歯茎にタップさせてt音とつづく「サ」を発音させれば似た形になるはずだ。

ベトナム語の末子音のうち、p,t,c,chがサイレントになるのだ。だから日本語のベトナムはベトナム語では「ヴィエッナーム」と聞こえる。バスの乗車券売り場のおばさんがバス出発は6PMだよと言ったんだろうけど僕には「CPM」にしか聞こえなかった。

h音は普通ヨーロッパ言語では発音しないことが多い。B音両唇音ミニマムペアはp音になるのだが日本語で濁音「ば」に対する清音は「は」だからh音になってしまう。pとhは違うようだが有声音・無声音の区別がない中国語・韓国語では「コーヒー」が「コピー」になってしまう。両音の間phはf音に近い。fのミニマムペアはvだ。そしてvとbは日本人が弁別しにくい代表的な音。hの調音点は喉の最奥。声帯付近。つまり中国人・韓国人は声帯で有気音・無気音として認識していて、hは音と認識しないということだろうか。なにやら面白い関係がある。

コメント
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