■今日は授業がなかったので読みかけていた小松さんの本を一気に読んだ。ほんとに泣ける話で感動。小松さん自身の話も(これは出版社の意向だそうだが)同時代のよしみで、しかも法律事務所関係というし、興味あり。お母さんの介護をベトナムでするという何という先進的な発想!しかも人生後期にライフワークで成功をおさめるというタイミングの良さ。うらやましい。
各残留日本兵の家族の話はそれぞれ感動的で、特に日本教育をうけた台湾人で日本行きを拒絶される呉さんの話(NHKでカットされている)。日本に行きたいというベトナムの子を拒否したり、連絡を取ることすら避けようとする父、、これは日本家族特有なことなのかなと思ったり。一方、個人的には巻末の手記で帰国前の「ホクタップ」と称する研修や、元中野学校出身者の置き去りにする妻にあてた情勢判断を説明する手紙が興味深い。ふっとあの巴さんの別れた共産党の亭主のことを思い出した。終戦後共産圏からの引揚者が日本でどう扱われたか?どう考えたのか?がよく知られてないのではないか?と思ったりする。残留日本兵のコンライ(混血)とベトナム戦争でのコンライはどう違うか、、などなど
この本のすごさの第一はベトナム研究者トップ3人が並んで解説しているところだそうだ。日本の学界では絶対にありえないことだそうだ。詳細はしらんが知ってる人によると実際そうなんだそうだ。ちなみに、この部分たった5,60ページの解説は僕の知る限り日越関係の要点をこれほど簡潔的確に解説しているものはないと思った.。僕にとってはNHKプロデューサー栗木誠一の話が核心だと思う。要は「なぜ残留日本兵は家族を残して帰国し、その理由を語らないか」それは彼らが日本で革命を起こすために送られたのに実際は浦島太郎だった、ということ(この観点からは北朝鮮拉致問題と同類)で、2度目のドキュメンタリーが許可されるまでの苦労にベトナム政府の国家的苦悩が濃縮されているのが垣間見えるような気がする。ベトナムの最大の問題は行政改革を実行する共産党の力が足りないことだが、それは微妙な問題に即時に現場対応できないシステムに現れている。この本は同時にベトナム家族観とアイデンティ(血縁社会)の日本人(地縁社会)との違いをも物語っていると思う。