くまぐー日記

くまさんの電脳室リポート

ウオール街のモンスター

2009年11月04日 | Weblog
■テレビ番組のNHKスペシャル「マネー資本主義」を興味深く見た。9.11の後僕が帰国して数年の間の事だと知って以外だった。サブプライムローン問題って結構最近のことなんだ。

サブタイトル「マンハッタン計画」はロスアラモスでの原爆開発コードネームとウオール街の金融バブルをつなぐうまいネーミングだ。ベトナムが終わり冷戦がなくなって職を失った数学者がNYの金融界で仕事を求めていく時代背景を描いている。

僕がシティカレッジに出かけて取ったクラスでやっていたのがブラックショールズ式の証明。発表されたのが1973年。ブラックの死後ショールズはノーベル賞受賞。僕のクラスではテキストのページ数よりノートの方が多かった。結局解らなかったが、、、。

でも、デリバティブのリスクを沈殿させて分割するとか説明されるサブプライムローン膨張の筋書きを根拠付ける理論と言うやつはどうも僕の知らない数学理論のようだ。企業破綻の確立統計はあるが個人破産の有効データは少なすぎて理論上成立しないにもかかわらず、大衆の欲望が暴走してしまった、というような事らしい。よくある話だ。あたかもありそうな話はまるで真実であるかのように大衆は作ってしまうようだ。たとえば、、うがいは風邪の予防に効果があるという話(これは日本だけで正しいと信じられている全くの誤りであることは先日知ったばかりだ)。

世の中はそんなものかもしれない。思いがけない真実は結局大衆によってどうでもいいようなものに作り変えられてしまう、、、。

掛け金をどんどん倍にしていくというとんでもない戦略がばくちの世界では一番勝率が高いというマルチンゲール理論は同時に不幸の連鎖もまたしかりで損の確率も最大であることを示している。それは投機の手法であって投資はそうじゃあないんだ、というのが大衆の声。そんな投機をしかけるなんて悪い人たち、、、みたいな流れになってしまう。

投機というのは社会のいろいろな局面で安定を維持する重要な機能を果たしており、前例のない未知の世界にランダムな現象は不可避。そのための理論が投資に応用されたがために理論自体が否定されるような事態に陥っている。なにか原爆禁止と原子力平和利用と似たような問題だ。

バブル崩壊で居場所を失くした技術者が未曾有の災害を保障するための保険の世界(まさにここがランダムな世界で従来の統計理論の入り込めない聖域だ)に入ったり、一転して「投資」と縁のない世界で生き方を模索している最後は印象的だった。

コメント
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