吉田修一 著 「怒り」を読みました。
八王子の郊外に暮らす若い夫婦が自宅で惨殺される。
その殺害現場には、血で書かれた「怒」の文字が残されていた。
目撃情報から精緻なモンタージュ写真が作られる。 犯人は山神一也、27歳。
すぐに全国に指名手配されるも手がかりがないまま1年が過ぎた夏
千葉・房総の港町で働く親子、東京の大企業に勤めるゲイの青年、沖縄の離島で母と暮らす少女の前に、それぞれ身元不詳の男が現れる・・・。
身元不詳の男を受け入れて、生活を共にする周囲の人々の様子がまったく別のストーリーで展開されていきます。
やがて、警察が整形手術後の山神の写真を公表した事で、その周囲の人々にこの男は殺人犯ではないかとの疑念が湧き起ります。
一体誰が山神なのか・・・
他人を信じる事とはどういう事なのか・・・
そして、信じ切ることができなかった時の後悔・・・
さらに、信じていた人に裏切られた時の怒り・・・
ラストが色々な意味で切ないな~!!
映画は未見です。
大崎 善生 著 「聖の青春」を読みました。
昨年、松山ケンイチ主演で映画化された原作本を遅まきながら読んでみました。
5歳の時にネフローゼという重い腎臓病に侵され、学校に行くどころか外で遊ぶことさえもできなくなってしまった村山聖(さとし)少年。
入院中に将棋と出会い、やがて棋士の道を志します。
最大の目標は谷川棋士に勝って名人になる事・・・
難病で何度も倒れならがらも、将棋一筋にがむしゃらに努力する日々
それを支える家族、師匠森信雄七段との師弟愛、羽生善治らライバルたちとの友情
名人への夢を目前に29年の生涯を終えた一人の天才棋士。
彼の歩んだ道は涙なくして読み切れませんでした。
これはオススメの一冊です!
第13回新潮学芸賞受賞。
百田尚樹 著 「カエルの楽園」を読みました。
現代の日本をカエルの国になぞらえて強烈に風刺した寓話的な小説です。
判りやすいストーリーで、心にグサグサと突き刺さります。
「カエルの楽園」にすむツチガエルたちが後生大事に守る「三戒」という教え。
その「三戒」とは
・カエルを信じろ
・カエルと争うな
・争うための力を持つな
というもの。
その「三戒」を守れば未来永劫に安穏と平和を享受できると信じるツチガエルたち・・・
その行く末は・・・
アメリカも変わりそうだし、日本人もこれからは意識を変えていかないとツチガエルのようになるかも!
新海誠 著 「君の名は。」を読みました。
大ヒット中の映画の小説版です。
映画のノベライズとは云え、実はこちらの小説の方が先に書き上がっていて、映画の方はまだ製作中だったとの事。
私は映画を観ずに、この小説を読みました。
その内容はTVの映画紹介コーナーでも盛んに取り上げられていたので、男子高校生と女子高校生が入れ替わる話だと云う事までは知っていましたが・・・
確かに、それ以上の内容はネタばれになるので詳しくは言えませんね~!
時空を越えた男女の出会いのストーリー。
おじさん世代にはどこか郷愁を感じさせる、なかなか感動できる物語でした。
遅まきながら、映画も観てみようかな~。
そして、映画の主題歌のRADWIMPSの「前前前世」は、すでに私のカラオケのレパートリーには入っていますが・・・
これからはもっと感情を入れて歌えそうです!!
宮下奈都 著 「羊と鋼の森」を読みました。
2016年本屋大賞受賞作です。
タイトルからすると牧場の話?なんて思いますが・・・
学校で偶然にピアノを調律する現場に居合わせた主人公が、その事をきっかけに一人前の調律師を目指して成長してゆく物語でした。
羊はピアノのハンマーに使われているフェルト(羊毛)、そして鋼はピアノ線・・・
成る程、ピアノは”羊と鋼の森”です!
同じ職場に勤める調律師の先輩や調律を必要とするお客さんとのふれあい、様々なピアノとの出会い・・・
主人公は次第に調律師として目指す方向を見出して行く・・・。
淡々と描かれている文章に透明感があってなかなか美しい!
ピアノの事など全く分からなくても、その文章からメロディが聴こえてきそうでした。
年末年始、ウォーキング・デッドの殺伐とした世界を観た後にこの本を読んで心が洗われました!
久しぶりにいい本を読んだな~と大満足でした。
石原慎太郎 著 「天才」を読みました。
政敵だった石原慎太郎が田中角栄元首相の一生を、一人称の視点で描いた一冊です。
田中角栄=「俺」が自らの生い立ちから死の瞬間までを語る・・・。
日中国交正常化やロッキード事件の内幕などの政治的な内容ばかりではなく、
田中角栄の抱いていたコンプレックス、私生活などが赤裸々に描かれています。
当然の事ながら、石原氏の私見も入っているとは思いますが、
裸一貫で総理まで登りつめ、「昭和の藤吉郎」と呼ばれた角さんの人生をあらためて知る事が出来ました。
上橋菜穂子 著 「鹿の王 (上)・(下)」を読みました。
2015年度の本屋大賞受賞作品を遅まきならが読んでみました。
架空の国の架空の時代の話です。
民族と民族、王国と王国の駆け引きや陰謀・・・
生命の神秘、家族の絆・・・
医療、共生・・・
さまざまなテーマが複雑に絡み合うファンタジー。
前半は民族や登場人物の多さに混乱しましたが、
後半にはそれらが次々と繋がっていって、骨太でスリリングな物語にのめり込みました。
さすがは本屋大賞! なかなか、面白かった!!
この作者の作品は初めて読みましたが、これからは他の作品も読んでみようと思います。
この小説の満足度:☆☆☆☆
月村了衛 箸 「土漠の花」を読みました。
ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たち。
その野営地に、氏族間抗争で命を狙われている女性が駆け込んだとき、壮絶な撤退戦の幕があがった。
圧倒的な数的不利。 武器も、土地鑑もない。 通信手段も皆無。 自然の猛威も牙を剥く。
最悪の状況のなか、仲間内での疑心暗鬼まで湧き起こる。
なぜここまで激しく攻撃されるのか?
なぜ救援が来ないのか?
自衛官は人を殺せるのか?
ソマリアで活動中の自衛隊が1人の女性を助けたことで石油を巡る民族闘争に巻き込まれてゆく・・・。
戦場で戦った事のない自衛隊員が瞬く間に窮地に追い込まれていきます。
これは実際にあり得る話に思えます!
しかし、そこはフィクション、後はハリウッド映画ばりの展開に・・・
息もつかせぬアクションシーンの連続で最後まで一気読みでした!
火坂 雅志 著 「真田三代(上・下)」を読みました。
信州から上州にまたがる山間部の小土豪でありながら、徳川の大軍を二度も破った真田家は、まさに異能の一族であった。
六文銭の旗印のもと山あいの小土豪から台頭し戦国乱世を駆け抜けた真田一族
戦国時代を彩った真田家とは何者だったのか。
幸隆・昌幸・幸村の三代を描きつくす、戦国一大叙事詩。
来年の NHK_大河ドラマ 『真田丸』の主役は真田幸村。
その大河ドラマの予習として読み始めました。
上巻は幸隆、その子昌幸がメインで話が進みます。
列強国がしのぎを削る戦国の世に小国が生き抜くいて行く為に何をすべきか・・・
真田家存続の為に父から子へと受け継がれる真田家の「大義」とは。。
下巻は昌幸からその子信幸・幸村へとさらに話は進みます。
長男の信幸は徳川家へ仕え、二男の幸村は人質として上杉家へ仕える。
その上杉家で重臣の直江兼続の人となりに接している内に幸村は人としての「義」を知ることになる。
真田家の「大義」を取るか、人としての「義」を取るか・・・。
久々に火坂作品を読みましたが相変わらず読みやすく、なかなか楽しめました。
来年の大河ドラマが楽しみだ~!!
最近本を読んでいないな~。
なんて思い・・・
帰宅途中の本屋で購入しました。
二十年に一度の傑作!だとか・・・
これは、今夜から寝不足になるかも⁉︎
でも、最近は横になると5分で眠れちゃうんだよねー!