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椿山ダム 貯水量低下に影響の堆積土砂 台風災害(令和元年)復旧でしゅんせつ 〈2021年1月22日〉

2021年01月22日 08時30分00秒 | 記事


日高川町と田辺市境界付近の椿山ダム貯水池で堆積土砂のしゅんせつ作業が続く


 平成元年に田辺市龍神で8月の48時間降水量1位を更新する670ミリを記録するなど日高川上流部に豪雨をもたらした台風10号の影響で、大量の土砂が堆積した県営椿山ダム(日高川町)の貯水池で県が災害復旧事業で土砂のしゅんせつを実施している。貯水池の土砂堆積はダムの貯水容量を減少させ、下流に影響を及ぼすと指摘されており、同事業では令和3年度末までに約20万立方メートルの土砂が取り除かれ、懸案の改善につながると期待される。

 平成元年台風10号は、8月15日に四国から中国地方を縦断し、日高川上流部の日高川町寒川や椿山ダムでは約10時間の降水量が約300ミリに達し、椿山ダムの放流量は最大で1700トン(毎秒)を超え、日高川町の松瀬橋(早藤)の川辺観測所と川原河観測所では、堤防の決壊等による氾濫から避難勧告等を発令する目安の「氾濫危険水位」に達するほどの豪雨となった。
 椿山ダム最上流部の龍神でも記録的な降水量となり、大量の土砂がダム貯水池に流れ込んで堆積した。このため県では、令和元年度の災害復旧事業で堆積土砂のしゅんせつに着手。計画では令和3年度までの3カ年に約14億円を投じて約20万立方メートルの土砂を取り除く。現在は、椿山ダム貯水池の上流となる日高川町と田辺市の市町境付近で大型重機などを使った土砂の搬出が行われている。
 椿山ダムの土砂堆積が貯水容量を減少させ、大雨時に下流域に大きな影響を及ぼすことが以前から懸案となっている。平成26年に会計検査院が全国約200カ所の治水ダムを調査した結果では「洪水調整容量内に土砂が堆積していた」「設定貯水量に堆積測量の結果を反映していなかった」などとして、洪水防止機能が低下している全国106ダムの1つに挙げられた。
 貯水池に流入する土砂は、計画堆砂量に達していなくても、洪水調整容量内に土砂が堆積した場合、洪水調節容量のうち実際に利用できる貯水容量が減少し、洪水時に本来貯留できる水量が貯留できなくなるため、堆砂の状況によってダム下流の河川などに影響を及ぼす恐れがあるという。


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