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豊嶋住職(円通寺)の40年目寒行始まる 〈2021年1月7日〉

2021年01月07日 08時30分00秒 | 記事


40年目の寒行を始めた豊嶋住職


 日高川町玄子、浄土宗円通寺の豊嶋英雄住職(66)は5日、40年目となる寒行を始めた。約1カ月間に及ぶ期間中、体調が芳しくない時も悪天候の夜も休むことなく続け、その数1000回以上。豊嶋住職は40年目を迎えたことに「寒行をさせていただき、ありがとうという感謝の気持ち。1日1日、1年1年の積み重ね。〝一唱一生〟。1つの念仏が一生につながる」と話す。

 毎年、寒の入りの5日から(6日の年もある)寒の終わりの2月2日まで行う寒行。体調が芳しくない時も雨や雪など悪天候の夜も一晩たりとも休むことはない。毎晩、網代笠に墨染めの衣、手は手甲(てっこう)、足には脚絆(きゃはん)という姿で午後6時30分から3、4時間、ひたすら念仏を唱えながら川辺地区を中心に巡る。預けられた浄財は町の社会福祉協議会や赤十字、災害被災地、ユニセフなどに寄付している。
 大学時代に訪れた奈良の寺院の住職の助言で27歳の時から始めた。豊嶋住職は40年目を迎え「1日1日、1年1年の積み重ね。〝一唱一生〟。1つの呼吸の積み重ねが一生となるのと同じように、1つの念仏が一生につながる。寒行を始めるとそれを実感する」と話す。昨年まで39年間の修行では、大雪で凍てつくような寒さに見舞われた夜は数えきれず、冷たい雨やみぞれに打たれ濡れねずみのようになったことも多い。真っ暗闇で転倒したり谷底に転落したり命の危険を感じたこともある。そんな豊嶋住職に、檀家をはじめとする地域住民や見ず知らずの通りすがりの人も手を合わせ浄財を預ける。人生の悩みや心の闇を打ち明け救いを求める人もいる。
 危険も隣り合わせの厳しい寒行。今年は腰の具合が思わしくなく体調も万全でない。「自分の寺に戻ることができるのかも、明日できるのかも分からない。やらなければと思うと辛いが、ありがとうという感謝の気持ち、寒行をさせていただいていると思えばとても楽なんです。寒行を始めると昨年の最終日に心身がつながって気力、体力ともよみがえる。不思議なものです」と笑う。ここ3年は暖冬が続いたが、今年は4年ぶりに厳しい冬。「厳しい寒さの方が修行になる。とても楽しみ」と話す。
 1112回目となった40年目初日のこの日、中津川を経由して千津川、尊光寺(上人堂)往復のコースで「南無阿弥陀仏」を唱え、自寺や尊光寺などで世の平和や五穀豊穣、新型コロナウイルス早期終息などに願いを込めた。


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