現在地での新庁舎建設を目前に控えた御坊市
御坊市は、一般会計予算編成において家庭の貯金に当たる財政調整基金の取り崩しを極力抑えるため、平成30年度で内部的経費の見直しを検討する。同基金はピーク時で30億円を超えていたが、ここ数年は毎年度4億円程度取り崩しており、30年度当初予算時の残高見込みは約12億円。交付税や市税が大幅に増える見通しはなく、目前には数十億円を要する新庁舎建設事業も控えており、今のままでは「基金が底を突く恐れもある」と危機感を持ち、さらなる行財政改革に努める。
財政調整基金は財源不足を補う重要な財源。枯渇すれば赤字再建団体に転落する恐れがあり、常に余裕のある基金を確保しておくのがベスト。平成元年以降を見ると基金はおおむね10~20億円台で推移していたが、単年度で7億~9億円を取り崩した年もあり、10年度は3億7千万円、17年度は8億5千万円に減り、新規採用職員抑制による職員数削減など「市民サービスを低下させない行財政改革」で乗り切ってきた。
18~19年度には御坊第2火電建設中止に伴う関西電力(株)からの財政支援があり、19年度は28億円まで増やした。20年度で24億円に減らしたが、21年度以降は国の地方交付税が大幅に増えたこともあり、25年度までの5年間は基金を取り崩すことはなく、逆に30億5千万円に上積みした。26年度以降は交付税や市税の伸び悩みに加え、大型事業もあり、26年度1億2千万円(決算時)27年度5千万円(同)28年度3億6千万円(同)29年度8億円(予算上)30年度当初5億6千万円(同)と5年連続で取り崩している。
30年度当初予算時の基金残高見込額は11億7736万円で、18年度以降で最も少ない額。29年度は予算上で8億円を取り崩したが、決算段階で不要額が4億円程度あると予想され、これを含めれば16億円程度残っていることになるが、交付税や市税が大幅に増える見通しがなく、福祉予算など扶助費が年々増えている中で、今のペースで毎年度4億円程度の取り崩しを続けていれば数年先には基金が底を突いてしまう。
目前に控えている新庁舎建設事業は数十億円の財源が必要。毎年1億円ずつ積み立てている庁舎建設基金(30年度当初時で8億円)や起債、国の補助金を活用するが、足りなければ財調基金の取り崩しも必要。市当局は「財政状況は非常に厳しい。31年度予算編成に向け、内部的経費の見直しを検討したい」と、総人件費の抑制や投資的経費の削減などさらなる歳出抑制、未利用地活用や市税滞納額縮減、ふるさと納税など収入増を図りながら基金取り崩しを極力抑え、持続可能な行財政運営に努める。
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