紀州新聞 THE KISYU SIMBUN ONLINE

和歌山県の御坊市と日高郡をカバーする地方紙「紀州新聞」のウェブサイトです。主要記事、バックナンバーなどを紹介。

川上診療所(日高川町)和医大間で全国初5G導入の遠隔診療実証実験始まる 〈2018年2月22日〉

2018年02月22日 08時30分00秒 | 記事

5G回線で送信した映像をもとに医大の専門医から
指示を受けて診療する(川上診療所)


 日高川町川原河の国保川上診療所と県立医大間で20日、超高速の移動通信システム「5G」を導入した遠隔診療の実証実験が始まった。総務省から(株)NTTドコモが請け負い、高精細なエコー動画(4K)などの送受信が行われ、へき地にいながら専門医が実際に診断するのと同じような環境で受診できる遠隔医療に、参加した診療所と医大側の専門医も手応えを感じた。

 超高速で大容量の通信が可能な第5世代(5G)移動通信システムを使い、病変部の鮮明な映像をへき地から専門医や設備の体制が整った病院に送り、小さな診療所などを支援するための実証試験が20日、日高川町の診療所と和歌山市の県立医大で始まった。県はこうした実証試験は全国初としている。3月上旬まで。
 総務省が各地で行う5G活用試験の一環で、NTTドコモと県が協力し実施。この日は、県立医大と交通の便が悪い山あいの川上診療所を5G回線で結んだ。
 発熱が続いていると想定した患者の喉の映像や胸部の超音波検査画像を、医大の専門医と診療所の医師が同時に見ながら診察したり話したりし、疾患名などを判断した。
 5Gは、肌の色合いや傷の深さを詳細に検討できる皮膚科分野などで特に活用が期待できるという。川上診療所の平林直樹(ひらばやし・なおき)医師は「専門医から精度の高い助言を得られ、1人で幅広い疾患を診るへき地の医師にとっては心強い」と話した。
 導入される移動通信システムの「5G」は、現行のLTE方式に比べて100倍の最高伝送速度などを実現する超高速、多数同時接続、超低遅延の性能があり研究開発が進んでいる。県は、へき地診療所と医大を結ぶ遠隔医療支援システムの整備を進めており、日高川町の保健福祉センター内にある国保川上診療所と医大を結ぶ回線の一部に5Gを導入して実施した。
 1週間程度39度の発熱が続く28歳男性が川上診療所を受診し、心内膜炎の疑いがあるとの想定。診療所側は、同所の平林医師と野上厚生病院内科医の川端大輝医師、医大側は県地域医療センターの上野雅巳・センター長、山野貴司・副センター長が参加。川端医師が患者の口腔内を診て心臓のエコー画像を医大側に送信。テレビ会議システムで映像が瞬時に映し出され、循環器専門の山野医師が所見して診察した。
 同システムによる遠隔診療が実現すれば、診療所の医師と医大の専門医の協力により、高度な映像による皮膚疾患などの症状の正確な把握、映像や会話の遅延減少で円滑なコミュニケーションが可能。へき地の医療現場では医師が不足し、専門分野以外の疾患を診察することが多くなるため、川上診療所側の医師らは「専門外の患者を診ることも多く、専門医師に聞きたいことがリアルタイムで聞くことができ、その場で治療でき、初期治療のスピードアップにつながる」と期待した。


その他の主なニュース

 書初会県中央審査会で管内から特選30点、準特選39点選ばれる

 心豊かに歌う全国ふれあい短歌大会で田端喜美子さん(美浜町)優秀賞

 御坊クリーンセンター改築事業着手へ 30年度で基本計画策定や用地測量

 マレーシア高校生が今年も日高川町で民泊、日本の生活文化体験